黙視の佐天は今日も線を視る。 作:寿限無
病院の前に茶髪に少女が前髪から電気をバチッと鳴らしながら待っていた。その少女の隣をツインテールの少女が歩き二人は遠くから見れば仲の良い女子中学生に映るだろう。
だが実態はかたや茶髪の彼女こそが学園都市の能力者の頂点第三位、
そしてもう片方のツインテールの彼女は学園都市の治安を守る
茶髪の少女は心配そうに病院のほうを見つめ呟いた。
「佐天さん大丈夫かしら」
そのつぶやきが聞こえたのか隣にいた黒子はお姉さまと呼び敬愛する御坂に対してため息をつきながら見つめる。
「お姉様の能力が今日に限って不調で常時周囲にECMよりも強力な電磁波を出し続けてなければお見舞いにいけるのですが」
御坂はまるで心臓にナイフが刺さったかのような痛みに襲われ膝をつく。それを見た黒子はこれはこれでありかと心の中で思いながらスカートから見えている短パンに目を奪われている。
そんな彼女達の元に初春とともに佐天が病院の扉を開けて現れた。
御坂はそれを見て一瞬感情が止まった。黒子はそれを見て一瞬目を背けた。
「どうしました?」
「…佐天さん、目が」
「―――あぁ…これですか」
佐天は目にかけられた包帯を触りながら少し困ったように笑う。本当に困ったように少しだけの後悔が混ざったそれは見ていてとてもいい気持ちになれないだろう。
「レベルアッパーのせい…なの?」
「多分、そうかもしれないらしいです」
「らしい?」
「えぇ…お医者さんが『君の目がそうなったのはレベルアッパーのせいとはとてもだが思えない…あれは一種のネットワークを構築し能力のコツを互いの伝え合い他の脳を共有して能力を強化するといったものでね。新しい能力の発現なんて…ありはしないはずなんだ』…って言っていましたので」
そこで佐天は見えないはずなのに御坂の方を向いて話しかける。御坂は目がみえていないはずなのにこちらを見ている佐天に驚きバチッと一瞬周囲に静電気が走る。
「佐天さん目見えてるの…よね?」
「別に見えないわけじゃないんです。ただ目を開いて視たらまずいそうなので目に特殊な包帯を巻いているだけで…細かい話はわからないけど能力を限定的に封印するものだそうです」
あそうそうと佐天は自分の目にかけられた包帯を指さして軽くたたき、黒髪を少し揺らしながら御坂を見る。
「この包帯は脳内に視覚情報を投影するので見えることには見えるんですよ」
御坂は痛ましいものを見るように目を逸らし両手を強く握る。黒子もまた己の無力さを悟り目をそらした。
「そ、そういえば少し行った先にアイス屋さんがオープンしたんです!皆さんでいきませんか?というか行きましょう」
初春この状況をなんとか脱しようと皆に声をかけその言葉に御坂は頬を数回叩いたあとうしっと自分に気合を入れるように声を出して佐天をまっすぐ見据える。
「じゃあ快気祝いにパァーっといきましょうか!」
「お姉様…体重プラス0,5キロ」
「ちょっとなんであんたが知ってるのよ」
「お姉様のことについて知らないことなどこの黒子ありはしませんので」
「―――…」
私はそんな三人の声がとても遠くから聞こえた気がした。