カクヨムでも後々投稿する予定です。
ど う し て こ う な っ た ! ?
時を遡れば昨日の夜。
───〜〜〜〜〜〜♪
そろそろ寝ようと思ってたのに、こんな時間に誰だ?無視してやろうか……あ、若か。
俺は眠気を我慢して目を擦りながら電話に出る。
スマホに耳を近づけると聞き馴染みのある能天気な声が聞こえてきた。
『やあ!』
「若、どうしたんだ?こんな時間に電話なんて。」
『いや〜、まあ重大なヤツとか色々ね、ちょっとお話しようよ。』
若はなんだか機嫌の良さそうだ。
俺は高校二年の上羽千歳《うえはねちとせ》、頭脳明晰、運動抜群。周りも認める才子だ。
いま通話してるのは水無月若葉《みなづきわかば》、頭脳そこそこ明晰、運動それなりに抜群。親友で恩人、若って呼んでる。
「重大なヤツ?」
正直あまり期待はしてないが、聞くだけ聞いておこう。
『あのさ、私たちでなんか凄いことしてみたくない?』
俺は怪訝そうに口を開く。
「凄いこと?…まぁ内容によってはいいぞ、なにするんだ?」
若は待ってましたと言わんばかりに元気よく口を開いた。
『配信者!2人で一緒に配信活動しよう!』
「んん?配信?」
思わず聞き返してしまった。
「それは、なんで?」
若はこちらの困惑など気にも留めず変わらない元気な声で話を続ける。
『一緒にやりたいじゃ〜ん。人気になればお金も貰えるし!』
どうやら現実が見えていないようだ。
「無理だ、人気になれるのは極一部の狭き門なんだからさ、普通に稼いだほうが絶対にいい。」
『え〜?…ちとせ最近ちょっと成績悪くない?』
「…若もほぼ同じって話したいの?」
確かに俺の成績は最近あまり良くない。だが言い訳させてくれ、俺は勉強ができないんじゃない。勉強をしたくないんだよ。やればできるはず。絶対。多分。おそらく。きっと。そう信じてる。
『私はもう収益で生きてくって決めたからいーの。ちとせは将来どーすんのさ?いくら君が頭が良くって運動できて顔も良くたってそううまくは行かないよ〜。』
「めっちゃ褒めてくれるな、ありがとよ。俺の事好きなの?」
素直に褒められたことそんな無いから嬉しい。
『全然。大嫌いだよ。』
「若?それ本気で言ってんの?」
『本気で言ってたら親友続けてないよ〜。』
「『へへへへへ!』」
しまった、ネタに走ってしまった。こういう事はよくやってしまう、だが楽しいから今後も続ける予定だ。
配信活動は楽しそうだし面白そうではあるんだが、これは若のためでもある。
俺は全力で否定する、この意思が変わることはないだろう。
「とにかく、そんなのやるだけ時間の無駄だ。」
しかし若もそう簡単には引かない。あっちも意思を変える気はないようだ。
『そこをなんとか!お願い!一生のお願いだから!』
「時間の無駄、駄目なもんは駄目だ諦めろ。」
そう言うと一瞬彼女は静かになった。
そしてそれと同時に俺の背筋に冷たいものが走る。
『うう……ヒック…ちょっとくらい、いいじゃんか…ヒック…』
あ〜泣いてるわこの子、どうしよ。
「いや………そのさ……まあ、うん……え〜…強く言い過ぎたな、ごめんな、ちょっとだけならやるからさ、泣くなよ、…な?」
若は悲しげに聞き返してきた。
『………本当に?やってくれる?』
当然俺はこれを断るという選択肢を選ぶことはできない。
「あ〜やるやる!しっかりやるから任せろって!」
若は元気を取り戻したのか再び明るい声色で返事をしてきた。
『ありがとう!明日CSで、詳しくはその時に話そ!じゃあね!』
で今(翌日)に至るってわけだ。
どうしようもねぇ、男は女に泣かれたら慰めるか謝るしか選択肢ねぇし。あー、現代社会は男尊女卑だ?こういう理不尽な男女格差無くしてから出直してこいってんだ。
別に若が嫌なわけじゃない、若は恩があるし親友だ。
でも恥ずかしいんだよ、黒歴史なんだよ、普通に考えて自分たちなら人気になれると根拠のない希望を持っておいて結局人気のでなかった底辺YouTuberほど恥ずかしいものは無い。
さて、そろそろ入るか。
CS(サイバースペース)電脳空間と言われたりもする。まぁVR空間と思ってもらえばだいたい合ってる。俺らのいうCSってのは対話用個室VR空間の事だ。VRディ○コードと思ってくれ。ここにはホワイトボードが一つと椅子、机が人数分用意される。ホワイトボードを使ったたことは殆どないが…
「ごめん、ちょっと遅れた。」
部屋に参加すると茶髪のアバターがそこに立っている。若のアバターだ。
「全然大丈夫だよ〜!今日からよろしく!」
どうやらやる気は充分の様だ。
どうやら俺もそろそろ腹を括らないといけないようだ。
「よろしく、それで今日は具体的に何するんだ?」
若は待ってましたと言わんばかりに目をキラッと輝かせて言った。
「今日はチャンネル名や活動内容なんかの基本的なことを決めるよ!」
「なるほどね、何か案は?」
若はまた目を光らせ、自慢げに言った。
「まずチャンネル名なんだけどさ!案考えてきたんだよ!」
「お〜、なに?」
正直そこまで期待はしてないが、どうやらよっぽど自信のあるようだ。
「千葉!」
しかし彼女の口から飛び出てきたのはなんと近所の都道府県の名前だ。
俺は困惑して聞き返してしまった、本当に意味が分からない。
「待て待て待て待て、千葉?」
その一言だけでツッコミ所満載なんだが?
「なに?いい案でしょ?」
その感じだと本気でいい案だと信じてるようだ。
「良くないだめだ、都道府県と被るだろ、あとなんで本名なの?」
「たまたま被っただけだよ!良くない?」
「良くねぇよ、そもそも俺たち千葉に縁もゆかりも無いだろうが、俺ら2人の出身は?」
「関西」
「ここは?」
「都内」
「千葉の事は?」
「知らない」
思わずため息が出てしまう、なぜおかしいと気付かなかったのか…
「駄目駄目、他ないの?」
「これ通ると思ったからもうないよ。」
「…とりあえず俺ら個人活動名を先に決めよう。」
とりあえずもう疲れた。
先にチャンネル名なんか考えるからこうなったんだ。まず名前決めないと。
しかしまたしても若が能天気な声で発言する。
「私決まってるよ〜、ワカバ!」
「本名駄目やっちゅうねんバカタレ!」
思わず脳内標準語フィルターを通す前にツッコんでしまった。
本当に危機感ねぇな、ネット甘く見すぎなんだよ。
「え〜、あ!苗字をつければいいじゃん!」
苗字ならまだ…いや駄目な気もするな、だがもういちいち考えるのも面倒くさい。
「まぁ、いいよ。水無月以外ね。」
「じゃあ上羽……」「キショいっス。」
またしても速攻でツッコむと若は軽く笑いながら口を開く。
「じょーだんだよ〜、なににしよ〜かな。」
「なんか憧れてた苗字とかないのか?」
「苗字なんて考えたことないよ〜、う〜ん…なんだかお腹空い…あ!最中!」
「今食欲に脳が占領されたな、別にいいけど。」
モナカねぇ、まあ特に問題ないか。
「千歳はなににすんの?」
「あ〜、俺はそもそも名前変える予定、ネット怖いし。」
俺はあんなに能天気じゃないからな。
「なになに?」
いや、それが………
「まだ考えてない。」
「え?」
「まだ考えてない。」
「あ、うん。」
しかたないだろ。やることになったの昨日の夜だし朝起きて少ししてここ来たし。時間がないんだよ。
「え〜、じゃあ私が決めるね。千歳だから…千とか?」
ジ○リの某BBAみたいなことを言い出すから思わずツッコんでしまう。
「俺の名前ってそんな贅沢か?」
「ハハハ!冗談だよ!それじゃあ…う〜〜ん何かないかな〜。」
若が珍しく真面目な顔で考え込む。
そして少ししてから何か閃いたのかこっちを見て言った。
「蓬《よもぎ》!これなら良いでしょ!絶対これにしてね!他思いつかないでしょ!あ、私と揃えてカタカナにしよう!」
「あ〜、うんそうするわ。」
疲れた俺は、そこまで酷く無いようだから軽くあしらう。
「苗字は宇治ね!」
「宇治?なぜ?」
「ヨモギといえば宇治でしょ!」
よもぎと関連性無いような気がするが?
「お前蓬ってどんなのか知ってるか?」
「お茶の親戚みたいな?」
蓬のことを誤って理解してるようなので最低限の知識を教える。
「蓬は茶とは関係ないぞ、なんなら大都市じゃないならそこら辺の道端に生えてたりもする。」
「そうなの?」
でも宇治ヨモギねぇ…響きそこまで悪くないしまあいっか。
「まあいっか!てか決定ね!」
「わかったそうするよ。じゃあチャンネル名どうする?」
自分で聞いておいて、少し後悔した。
こいつの事だ、また『千葉』みたいなものを案として出してくる気がしてならない。
地獄の時間はここからしばらく続いたそうだ。
ここからしばらく設定とか考えるのを書く予定でしたがしばらく本題に入れないと思うので軽く解説だけして飛ばします。
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