だが段々空腹を覚えていった。
魚はいない。居たとしても腹の足しになんてならない。
深海棲艦は燃料を食わないといけないのだ。
「空腹だ…」
眩しい晴天と青い空。その間で白黒な深海棲艦達が進んでいる。
最初は快速だったものの、今ではヘロヘロとゆったり進むばかりである。
「さすがに補給が無いと厳しいですね…」
一旦止まって、考える深海棲艦たち。
「君達はいつもどうやって燃料とかを補給してたんだ?」
「そりゃ輸送艦を襲ったり、哨戒してる小型艦ひっ捕らえたりいろいろ」
レ級の問いかけに、酷い答えを返すリ級。
たった一人、突然Elite級とかに襲われたであろう小型艦が可哀想でならない。
「しかし周りを見渡しても何も見えないですね」
目を細めているチ級。ちゃんと青白い火が細まった目の形になっている。可愛い。
それはともかく、本当に何も見えないのである。見渡す限りの青しかない。
「んー…んー?」
なのだが、さっきから尻尾の向いている方向を見てみると、何かが動いているのが見えた。
「ありゃなんだ?」
ほかの深海棲艦たちも見てみるが、おそらくわかってない。
というかどいつもこいつもレーダー載せていないので多分わからない(今までどうやって生き残ってきたんだ?)
「まぁ近寄ればわかるだろ」
ーーーーーーー
目視した。
敵はおそらく輸送艦3隻、護衛が2隻。
何か見たことのないような艦娘の気がするが、相手はこちらに気づいておらず、奇襲を仕掛ける絶好の機会だ。
砲撃。
戦艦級の砲撃。当たれば撃破確定の一撃である。
Miss
Miss
Miss
Miss
そう。レーダーを積んでいないせいで、命中能力はゴミカスだったのだ!
そうこうする間に、相手が気づいた。何かレシーバーのような物を手に取っているのがわかる。
やば、と思うより速く、レ級の横を何かが通り過ぎていった。
チ級である。
船体全体を前に傾けながら急接近し、跳ねた。
跳ねたチ級の船体下部による体当たり。モロに食らった艦娘は弾き飛ばされる。
「逃げろ!」
護衛の一人が叫んで、輸送艦娘が戦線を離脱しようと離れていく。
しかし、その前に立ちはだかるのは黒い影。
短パン履いてるリ級である。
「悪い。逃がすわけには行かねぇんだ」
リ級は頭部へ向けて砲弾を放った。
レーダーを積んでいなくても、至近距離ならば外すことは無い。
2隻がダウン、しかし1隻は健在で、一瞬の隙を付いてにリ級の横を通り抜けた。
しかし、それでも逃げることはかなわなかった。
目の前に多数の水柱が立ったことに驚き、急停止してしまう。
ル級達による砲撃である。
足が止まった瞬間をイ級達の砲撃が襲い、輸送艦娘は成すすべも無く倒れた。
海面に倒れ伏す、頭を吹き飛ばされたであろう護衛のそばで、チ級が佇んでいる。
「終わりましたよ~」
呑気に手を振っているその後ろで、体当たりで弾き飛ばされた護衛が立ち上がり、震えながら砲口をチ級に向けた。
その直後、護衛が引き金を引くよりも早く、ドゴンという爆音が響き、護衛が倒れ伏した。
「マジかよ、当たった…」
レ級のまぐれによる命中が、何気にチ級を救ったのである。
輸送艦娘が運んでいたドラム缶のなかに詰まった、ドロリとした黒い液体を飲んでみる。
熱い。腹の底に火がつくような感じがするのだが、深海だからなのかとてもうまく感じる。
グーッと飲み干してから、レ級は口を開いた。
「こいつらは死んでるのか?」
足元に倒れたまま、沈むも倒れるもしない謎の艦娘を見ながら聞く。
なぜかって?いつまでたっても沈むどころか、ずっと浮かんだままだからだ。
「死んではないですね。頭部に砲撃をブチ当てて、機能停止にしただけです」
グイッと燃料を飲み干すチ級。
深海棲艦になると、燃料の匂いがとても魅力的に感じるのは不思議な話である。
まぁさっき飲んだので、空腹時程は感じないが。
…ん?匂い?
「まさかお前、匂いで見つけたとか?」
尻尾に聞いてみるも、答えは返ってこない。
でも多分図星だとは思う。
「チ級〜、コイツラ沈めるけどいいな?」
「大丈夫ですよ」
相変わらず会話が物騒である。
みれば、ゆっくりと艦娘が沈んでいる。
「で、どうします?」
行く当てを聞いているのだろう。
だが済まない。
わからないんだ。