産廃レ級 〜ゴミじゃなくて産業廃棄物〜 作:Верный510
だが段々空腹を覚えていった。
魚はいない。居たとしても腹の足しになんてならない。
深海棲艦は燃料を食わないといけないのだ。
「空腹だ…」
眩しい晴天と青い空。その間で白黒な深海棲艦達が進んでいる。
最初は快速だったものの、今ではヘロヘロとゆったり進むばかりである。
「さすがに補給が無いと厳しいですね…」
一旦止まって、考える深海棲艦たち。
「君達はいつもどうやって燃料とかを補給してたんだ?」
「そりゃ輸送艦を襲ったり、哨戒してる小型艦ひっ捕らえたりいろいろ」
レ級の問いかけに、酷い答えを返すリ級。
たった一人、突然Elite級とかに襲われたであろう小型艦が可哀想でならない。
「しかし周りを見渡しても何も見えないですね」
目を細めているチ級。ちゃんと青白い火が細まった目の形になっている。可愛い。
それはともかく、本当に何も見えないのである。見渡す限りの青しかない。
「んー…んー?」
なのだが、さっきから尻尾の向いている方向を見てみると、何かが動いているのが見えた。
「ありゃなんだ?」
ほかの深海棲艦たちも見てみるが、おそらくわかってない。
というかどいつもこいつもレーダー載せていないので多分わからない(今までどうやって生き残ってきたんだ?)
「まぁ近寄ればわかるだろ」
ーーーーーーー
目視した。
敵はおそらく輸送艦3隻、護衛が2隻。
何か見たことのないような艦娘の気がするが、相手はこちらに気づいておらず、奇襲を仕掛ける絶好の機会だ。
砲撃。
戦艦級の砲撃。当たれば撃破確定の一撃である。
Miss
Miss
Miss
Miss
そう。レーダーを積んでいないせいで、命中能力はゴミカスだったのだ!
そうこうする間に、相手が気づいた。何かレシーバーのような物を手に取っているのがわかる。
やば、と思うより速く、レ級の横を何かが通り過ぎていった。
チ級である。
船体全体を前に傾けながら急接近し、跳ねた。
跳ねたチ級の船体下部による体当たり。モロに食らった艦娘は弾き飛ばされる。
「逃げろ!」
護衛の一人が叫んで、輸送艦娘が戦線を離脱しようと離れていく。
しかし、その前に立ちはだかるのは黒い影。
短パン履いてるリ級である。
「悪い。逃がすわけには行かねぇんだ」
リ級は頭部へ向けて砲弾を放った。
レーダーを積んでいなくても、至近距離ならば外すことは無い。
2隻がダウン、しかし1隻は健在で、一瞬の隙を付いてにリ級の横を通り抜ける。
しかし、それでも逃げることはかなわない。
進路方向に、多数の水柱が立つ。
驚いた輸送艦娘は急停止してしまう。
この水柱は、ル級達による砲撃によるものだ。
足が止まった瞬間をイ級達の砲撃が襲い、輸送艦娘は成すすべも無く倒れた。
海面に倒れ伏す、頭を吹き飛ばされたであろう護衛のそばで、チ級が佇んでいる。
「終わりましたよ~」
呑気に手を振っているその後ろで、体当たりで弾き飛ばされた護衛が立ち上がり、震えながら砲口をチ級に向けた。
その直後、護衛が引き金を引くよりも早く、ドゴンという爆音が響き、護衛が倒れ伏した。
「マジかよ、当たった…」
レ級のまぐれによる命中が、何気にチ級を救ったのである。
輸送艦娘が運んでいたドラム缶のなかに詰まった、ドロリとした黒い液体を飲んでみる。
熱い。腹の底に火がつくような感じがするのだが、深海だからなのかとてもうまく感じる。
グーッと飲み干してから、レ級は口を開いた。
「こいつらは死んでるのか?」
足元に倒れたまま、ピクリともしない謎の艦娘を見ながら聞く。
なぜかって?いつまでたっても沈むどころか、ずっと浮かんだままだからだ。
「死んではないですね。頭部に砲撃をブチ当てて、機能停止にしただけです」
グイッと燃料を飲み干すチ級。
深海棲艦になると、燃料の匂いがとても魅力的に感じるのは不思議な話である。
まぁさっき飲んだので、空腹時程は感じないが。
…ん?匂い?
「まさかお前、匂いで見つけたとか?」
尻尾に聞いてみるも、答えは返ってこない。
でも多分図星だとは思う。
「チ級〜、コイツラ沈めるけどいいな?」
「大丈夫ですよ」
相変わらず会話が物騒である。
そちらを見れば、脚で踏みつけられながら、ゆっくりと艦娘が沈んでいく。
ドMが喜びそうだな…。
「で、どうします?」
行く当てを聞いているのだろう。
だが済まない。
……わからないんだ。