見た感じ、戦艦や空母はいない。5隻だ。
おそらくパトロール艦隊だろう。
ほれ見ろ、やっぱり敵と出会った。
進行方向的に、接触することになるだろう。
先制攻撃を仕掛けるべきだ。
「ル級たち、この角度この向きで撃ってくれ」
レ級は着弾観測をやってみようと思った。
思ったはいいが、専門用語などは分からないゆえ、どうしても語彙力の足らない説明になってしまう。
「レ級さん、艦隊に視野共有できるの忘れてます」
すかさず、チ級の訂正がとんでくる。
ウンウンとル級たちも頷いている。やっぱり話さないんだな。
「う…じゃあル級たちと私が敵艦隊に向けて砲撃するから、チ級、リ級を戦闘にイ級達も突撃してくれ」
指示を出しつつ、砲撃の構えを取るレ級とル級たち。ちなみに、レ級は尻尾をまだうまく動かせない。
目を閉じ、艦爆の視野を強く見る。どうやら相手も艦爆に気づいたようで、指さして何か言っている。
「撃て!」
23の砲弾。レ級の副砲も合わせれば27の砲弾が唸りを上げながら飛んで行く。
砲撃に合わせ、チ級とリ級、そしてイ級4隻が突撃していく。
「次弾装填後に射撃!」
ル級に号令を飛ばし、レ級も突撃する。着弾観測で分かったが、敵艦隊付近に水柱が上がったものの、3つほど離れたところに水柱が上がっていた。
無論、レ級の砲撃である。
「…ん?」
レ級の目には、敵艦がだんだんと近づいてくるように見えた。
しかも、何か槍のようなものを持っている。それが4隻。
「イ級!戻れ!」
声を聞いてすぐさま反転するイ級たち。
それと同時に、リ級達が槍持ちと接敵した。鋭い突きがそれぞれ2本ずつ迫る。
チ級は急速に軌道を変え、躱す。
しかし、リ級は右手で相手の槍の柄を掴むと、一気に引き寄せる。そのまま裏拳を放つように艤装で殴るが、相手の左腕に装備されている盾で防がれる。
だがリ級の相手はもう1隻いる。もう1隻はリ級の腹へ向け、突きを放った。
「おらよ!」
そこでリ級は、槍ごと敵艦を振り回しもう片方にぶつけた。もつれ合って姿勢が崩れたところを砲撃する。
美しい連続攻撃だった。
だが、突如として腹に衝撃が来、目の前が爆煙に包まれる。
何事かと前を見ると、1隻の敵艦がいた。
盾を4つ装備し、何か長砲身の単相砲を背部に装備している。
完全に某実写ミキサー車の金属生命体のような見た目だった。
「レ級さん!危険です!回避してください!」
引き撃ちしながらチ級が叫ぶ。弾かれたように横へ飛ぶと、直ぐ側で巨大な水柱が上がった。
「この野郎…」
態勢を立て直すと、一気に増速するレ級。リ級とチ級が戦っているところを通り抜け、狙撃型の敵艦に迫る。
だが、直線に進むと砲撃の餌食になる。ジグザクに進んでも、相手は狙撃型。撃ち抜かれる可能性がある。
「撃て!」
主副砲の砲弾を撃ち込むレ級。だが、砲弾は盾に防がれてしまった。
お返しと言わんばかりに、砲撃を食らう。とても痛い。金属バットで殴られたような感覚だ。
相手に攻撃は通じない。だが相手の砲撃は脅威。
詰んだと思ったが、そのとき周囲に水柱が上がった。衝撃と波の揺れが凄まじい。
ル級の砲撃だ。
「…ばら撒け!」
途端、尻尾から数多の魚雷が撃ち出され、相手の足元の周囲ごと吹き飛ばした。
「うぅ…………あ……」
足元が吹き飛んでいた。
いくら量産型とはいえ、艤装が壊れるもんだと思っていたが、そうではなかったようだ。
海が血で赤く染まっていく。
「レ級!」
リ級がそばに来た。来た方角を見ると、敵艦が2隻とも倒れ伏している。
チ級の方も、敵艦にイ級が噛み付いて体勢を崩しているから直ぐに倒れるだろう。
「あ、こいつ生きてるじゃん」
這いずるように距離を取る狙撃型に言い放つリ級。
狙撃型はこちらを向くと、右側にのこっている盾を構えた。
「…」
三発。三発の砲弾が腹部、右肩、頭部の順で命中し、狙撃型は動かなくなった。
「おい…」
「どうした?敵を殺すのに何か不都合でもあったか?」
涼しい顔で言い放つリ級に、レ級は「そんな殺し方はないんじゃないか」なんて言えなくなった。
無言になったレ級を見て、リ級は動かなくなった量産型艦娘の艤装から燃料と砲弾を回収している。
「レ級さん」
チ級が横に来て言った。
「マズイです。おそらく敵にバレました」