ひどく混線している脳内に膨大な量の情報を吐き出し続ける「世界」を、
ただ1人、呆然と眺めていた。
後悔なんて、意味を成さない。
もう、いくら泣いたって喚いたってこうなってしまった以上はどうしようもないのだ。
ただ無知が故に、小さな氷精と妖精は、
あっけなく、
壊れてしまった。
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全てが分かる。
過去のこと、
現在のこと、
未来のこと、
全てが分かってしまう。
分からないことは無い。
何処かのさとり妖怪かのように、そこ行く者の思考も、
全ての者の思考も。
さとり妖怪のように、読むのではない。
流れ込んでくるのだ。
ただ、底の無い貯水湖のように。
ひたすら、流れ込んで来て、
自らの存在を主張する。
当然、「記憶」というメモリーにも底が無い。
ただひたすらに流れ込んで来た全ての記憶を貯めていってしまう。
「たすけて、」
そう呟く事も小さな氷精には許されない。
彼女も、自業自得だと分かっている、
いや、以前の彼女であれば分かる筈が無かったであろう。
「分かってしまう」から、口には出さない。
そう、今何をすべきかなんてとっくに分かっている。
ただ、それをしてももうあの頃に戻ることなんて無いのだ。
何でも分かるんだったら過去に戻る方法くらい知っているのではないかって?
否、「不可能」の3文字が虚しく脳裏に浮かぶだけだ。
もう、どうしようもないのだ。
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「チルノちゃん、あーそーぼー」
「んん…大ちゃん…おはよ…」
「珍しいね、チルノちゃんまだ寝てたの?いつもは鶏さんとどっちが早起きか勝負してるのに」
「うーん…眠い~…」
「そっかぁ…じゃあ今日遊ぶのやめる?」
「えーーーー!!!やだやだやだやだ!!!!大ちゃんと遊ぶーーーー!!!!!!」
「ふふ、そういうと思ったよ。じゃあ外で待ってるから支度しておいで」
「分かった!!!絶対待っててね!!!すぐ行くから!!!」
「はぁい、了解しました~」
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「ねぇ、チルノちゃん」
「なぁに?もう1回かくれんぼして遊びたい?」
「あ、えっと、そうじゃなくって」
「?」
「少し相談があるんだけど、良いかな?」
「良いよ!!!天才のあたいに何でもきいてみな!!!」
「う、うん。ありがとうチルノちゃん」
「早く早く!早くしょうだんして!!」
「し、商談…?な、なんかそれちがう…?大丈夫かなぁ…」
「大丈夫だって!あたいに知らないことなんて何にもないから!ほら早く!」
「うん…分かった…じゃあ言うね」
「恋って何かな」
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何が天才だよ。
全知全能の氷精は、
記憶の中の、
ただひたすら無知な自分に嫌気が差していた。
「何でも知ってる」、「天才」と豪語していた自分が、
自分の1番大切な人を1番苦しめ、傷つけていた事に、
全知全能となった今、やっと気付く。
しかしそれに気付いても
もう遅い、のだ。