魔法少女は悪役に恋をする 作:りゅうのまい
ある朝、相沢かがみが気がかりな夢から目ざめたとき、自分がベッドの上で一匹の巨大な毒虫に
就寝中の魔法の暴発は日常茶飯事だ。週に一度か二度は、こうして異形と化した自分の姿に向き合う羽目になる。
昆虫とも怪物ともとれないその外観をまじまじと見つめてから、私は魔法を行使した。瞬きの間に、毒虫は少女へと姿を変える。
破れてしまった衣服の残骸を拾い集めながら、私は肩を落とした。手痛い出費だ。比較的気に入っている肌着だったのに。
アパートの一室から覗く太陽は、既に随分と高く登っているように見えた。部屋の端に弾き飛ばされていたらしい目覚まし時計を拾い上げれば、真昼に近い時間を示している。カバーされた液晶が、それでもヒビ割れ始めていた。爪が強く当たってしまったのだろうか。
キッチンに移動し、買い溜めしているシリアルをボウルに注ぐ。牛乳を注いで、スプーンで頬張りながら、これからの予定のことを考える。半額のシールが貼られたままのペットボトルをゴミ箱へ放り込んで、先程から通知を受けて明滅しているスマホの画面を覗き込んだ。
高度に暗号化された符丁が、今日の『夜勤』の場所を示している。こういったデジタルな手段──つまり、他者から容易にトレースできる手段を用いて連絡を取り合うのは迂闊ではないのかと思うのだが、どういう手法を用いてか、私の雇い主達は上手く行政の追跡を遮断しているらしい。
「……はぁ」
モチベーションは地の底だ。生きるためには仕方がないが、どれだけ身を粉にしても僅かばかりの金銭を得られるだけ。難しい仕事ばかり与えられる割に、報酬は美味しくないのが常だった。
プラスチック製のボウルを流しに放り込んで、浴室へ移動する。シャワーのコックを捻って、お湯が出るまでの間に新しい衣服を用意する。39℃に設定した湯が寝汗を流してゆく感覚に目を瞑った。
魔法の特性上、これは私の中でも重要な儀式の一つだった。衣服、水、空気。それらと私の肉体が触れ合う界面の形を覚えこむ。うろこが目立ち始めた鏡が映す私の顔も同様。
タオルで水気を拭き取ると、気化熱で冷え始めた身体が私の輪郭を鮮明にする。
外出用の服装に着替える。目立たないことを念頭に置いた服装だ。夜の街を歩いても人目を惹かず、警戒されにくいもの。とはいえありがちなスウェットなのだけど。
ベッドに戻って腰掛ける。スマホには新たな通知は来ていなかった。
棚に置かれた遺影を起こす。線香もあげていない薄情な姉は、数分だけ祈ってからまた写真を伏せる。
「……いってきます」
スニーカーのかかとを踏みながら、玄関の鍵を開ける。人差し指で靴のかかと部分を引っ掛けて、アキレス腱の直下までをスニーカーの中に収める。ドアの外へ一歩出てしまえば、室内とは明らかに違う匂いの風が吹く。
この世界の事象には二分化できるものとできないものとがあって、それらは互いに均衡を取り合いながら地球を満たしている。部屋の内と外、足の右左、白と黒、昼と夜。自明に分かたれているものもあれば、善と悪のようにグラデーションを成すものもある。
魔法少女達は善であり、私のような存在は悪であり。街を歩く人達の大半は、善と悪の狭間に揺れている。
電車に揺られ、指示された地点へ向かう。入り組んだ路地に入口を構えるビルの階段を上り、人気のない空きテナントの中に入る。中には古びたコインロッカーが並んでいた。その中の一つを開けると、中には白い携帯端末と、現金が入った封筒が置かれている。端末のロックは私の顔認証で外れるようになっている。所在地、目標、時間、難易度、いくつかの補足と備考。それだけが書かれた画面の内容を頭に叩き込んで、封筒をポケットに突っ込む。
たった15万円。私が人生を天秤に載せるには、それだけで充分だった。
仕事が始まるのは夜だ。準備と移動に時間をかけたとはいえ、まだ夕方に差し掛かる手前の時間帯だから、余裕がある。
私が自然と足を向けたのは、都内のとある公園だった。電車を乗り継いで、10分ほど歩く。三時頃の公園は、幼い子供を連れた親子で賑わっていた。幼稚園や保育園帰りだろうか。チャイルドシートが取り付けられた自転車が駐輪場にいくつか駐まっている。
今となっては良い思い出とも言い難いが、私も弟とよくここを訪れた。あの頃は両親も健在で、きまってアイスを買ってくれた。
「あ、おねーさんだぁ」
鈴が弾むような声が耳朶を打つ。遠くでボールを追いかける男の子を目で追っていた私は、反射的にそちらへ振り返った。
「ほのか。……学校は?」
「うん? もう終わったよ?」
近隣の私立中学校の制服を身にまとった少女が、にこにこと私へ笑いかけていた。彼女とはこの一年ほど、出会う度に世間話をする程度の仲にある。
名前は北川ほのか。明るいブラウンの髪を、肩につかない程度の長さで全体的にふんわりとカールがかかったボブスタイルに切り揃えている。レトロな雰囲気の制服が、日本人離れしたはっきりとした目元と、すらりとした体型によく映える。
私は常々、彼女に「お嬢様的だ」という印象を抱いていた。話してみれば年相応の少女なのだけれど、外見は一般人離れしている。凡俗な容姿と服装の私と並べば尚更だろう。
彼女はわざわざ私の後ろから声をかけ、私が背中を預けるベンチの背もたれに一度両手をついてから、隣へ腰を下ろした。肩にかけていたカバンには教科書が入っているのだろうか。なかなか重そうだ。
「おねーさんはサボり?」
「そ。今日も昼まで寝てたよ」
「ずるー。わたしは頑張って早起きしてるのに」
「ほのかも大学生になったら適度にサボれば良いよ。中学生の頃は私だって早起きしてた」
まさか非合法の労働に従事しています、と自己紹介をするわけにもいかず、私は大抵、大学生であると身分を偽っている。今のところその虚構が暴かれたことはない。きっと、ボロが出るほど付き合いが長い人間がいないからだろう。
「おねーさんは授業中寝てたタイプでしょ」
「いやいや。真面目に聴いてたよ」
「ホントかなぁ?」
「ほんとほんと。数学が好きでね」
彼女は表情豊かだ。
虚構に塗れた私の言葉を、カラフルなキャンディでも手に入れたかのように受け止める。
「算数も数学も苦手だなぁ。クラスにも、数学が好きって子はいないかも」
「そう? それはそれで珍しい気がするな。得意な子は数学だけ凄く点数が良かったりするでしょう」
「いるかな、そういう子……思い付かないけど」
私はこの時間が嫌いではなかった。
時間潰しとはいえ、わざわざこの公園を訪れることを選んでいるあたり、それは自明である。
思い上がりでなければ、彼女もそれなりに私に懐いてくれているように思える。そうなったきっかけは実に在り来りで、落ち込んだ様子でこのベンチに座っていた彼女に、私が声をかけたからだった。
その時彼女が話してくれたのは、彼女の複雑な学校生活についてだった。家庭の事情か、変則的なカリキュラムで学校に通っている彼女は、普通の学校生活が送れていないらしい。同級生との噛み合わなさだとか、普通の生活への憧れだとか、そういう悩みを零していた。
学外の一般人である私にはどうしようもならない悩みだから、私がそれらを解消できたわけではない。ただ、悩みを口に出して整理してみるだけでも意味はあったらしく、以来、彼女は機嫌良さげに私に構うようになった。
「はい、これ」
「……カフェオレ?」
「うん。おねーさん、好きでしょ」
話の切れ目、ほのかはふと思い出したかのようにカバンに手を差し込み、ペットボトルを取り出した。自販機で買ったのだろう。何度かほのかの前でも飲んだことがあったメーカーの商品だった。
ペットボトルを差し出され、遠慮がちに受け取る。
「まあ、普段は飲むけど」
「あげる」
「中学生に奢られるのはな……」
「わたし、お金持ちだよ?」
「中学生の金持ち発言は信用ならないかもね」
「えぇ〜」
カフェオレを受け取る代わりに、小銭を彼女に渡す。彼女はしぶしぶそれを受け取った。
「学校は、どう? ちゃんと通っているようだけど」
「最近はちょっと楽しくなってきたんだぁ。友達も増えたし……」
代わりの話題を振るとすぐに機嫌が直る。キラキラと輝く瞳を中空へ向け、学校生活のことを話し始めた。
以前は普通の学校生活が上手くいかない、というようなことを愚痴っていたのだから、そこからを考えれば大きく進歩しているのだろう。クラスの友達がどう、とか誰と誰が付き合っている、とか、あの部活がどう、とか。私がとうに失ってしまった日常が眩しい。
相槌を返しながら、私は数年前の、まだ幸せだった頃のことを思い出す。
両親がいて、弟がいて、友人がいて、好きな人がいて、尊敬できる先生がいて、毎日学校に通っていた日々のことを。
「あ、またわたしのことばっかり話しすぎちゃった。ねぇねぇ、おねーさんの友達とか恋人は?」
「……また今度ね。そろそろ行かなくちゃ」
「え〜。じゃあ、約束だからね。またここで会ったら、わたしとお話してね!」
「うん、きっとね」
気が付けば、一時間近く話し込んでいた。移動時間も含めれば、そろそろ移動を考えても良い時合いだ。
椅子の座面に手をついて、私の方へと懇願するように顔を寄せてくる彼女の頭を撫でた。整えられた前髪を崩してしまわないように梳いてみれば、きめ細やかな紗のように流れていった。
「あ、おねーさん! 今日は夜遅くまで出歩いちゃダメだよ!」
「中学生に心配されたくないなぁ。……大丈夫だよ。用事を済ませたら帰る」
「ほんと、気を付けてね。最近はブッソウだって、大人の人はみんなそればっかりなんだから」
その物騒の原因は私だって、彼女が知ってしまったらどうなるだろう。
詮無いことを考えた。
──
「殺しがいちばん上手いのは誰かって尋ねたら、満場一致で一人の名前が上がってきたんだよ。誰だと思う?」
「さあ。叩き上げの幹部の誰かなんじゃないですかね」
「俺もそう思ってたんだけどさ。その名前の持ち主は、バイトみたいな端金で雇われてる下っ端なんだよ。笑っちまうだろ」
たまたま引っ掛けたタクシーの運転手が、世間話の代わりに物騒なことを話し始めた。とっくのとうに逃げることは諦めているというのに、私の周りには絶えず血の匂いを漂わせた人間が目を光らせている。
男はタクシーの運転手らしく白手袋とスーツを身にまとっていたが、無精髭が擬態を崩している。
「気付いてるんだろ? クスリの連中も、魔法のやつらもそう言うんだ。本人だって自覚してるはずさ。お前は、殺しが向いてるんだよ」
「嬉しくないですね」
「もっと稼ごうって気にはならないのか?」
「そう考えたときが私の寿命でしょうから」
私に課せられる命令は、実にわかりやすい。表立って邪魔な人間を殺すこと。ただそれだけだ。組織の末端であり、所謂トカゲの尻尾である私は、平日昼のワイドショーを盛り上げるニュースにしばしば当事者として関わる羽目になる。知事の暗殺であるとか、とある土地の管理者の始末であるとか、時には閣僚や企業の役員さえもその対象になるほどだ。
当然ながら、そんな大事件を起こしておいて追っ手がかからないはずがない。私が今も町の空気を吸えているのは、私に命令を下す連中が私を隠してくれているからだ。
トカゲだって尻尾を切らずに済むならその方が良いと思うはずだ。
私の魔法は擬態や逃走、それから暗殺にも向いているけれど、それだけで現代社会の監視網から逃げ切れるとは思えない。
魔法が悪役だけの特権であれば、その限りでもないのだが。
運転手は私に紙切れを手渡した。「派手にやるように」とだけ書かれている。早くも事前に考えていた穏便なプランが崩壊した。
「見せしめなんだとよ。ウチが援助してたのに裏切ったらしい。政治家なら清濁併せ飲める度胸がなくちゃいけねぇってことだ」
「……もしかして、これ、本業なんですか?」
「あん? これのことか?」
彼はハンドルを叩いて、「まあそうだな」と答える。
「お喋り好きみたいなので、そうかなと」
「職業病とは言えるかもしれんな。……一芸か、便利に使える身分でもなけりゃこっちの世界でも生きていけねぇよ。もっとも、その方が幸せだろうが」
夕暮れの景色はいつの間にか、都市の夜景へと変貌を遂げている。
会食へ向かう議員が今日のターゲットだ。目的地にほど近い路地で、私はタクシーの窓を開けた。
「確かに、こんな魔法なんて欲しくはなかった。でも、この一芸さえ無くなったら?」
「死ぬしかねぇだろうよ」
窓から身を乗り出して、魔法を行使する。幹線道路を走る車の流れに紛れて、私は一匹のアブラコウモリへと変身した。飛行能力でいえば鳥類の方が望ましいが、夜の街で車のヘッドライトが視界を晦ますことを思えば、ただでさえ夜目が効かない鳥類は選びにくい。結果として私は蝙蝠を変身の対象に選びがちだった。視界と飛行能力だけなら昆虫類にも備わっているが、今度は他の生き物に狩られそうで躊躇する。
しばらく飛んで、ビルの外壁に留まる。目標地点へと到着していることを確認して、身を隠しながら一度変身を解いた。
暗殺の対象を確認する。彼は幾人かの側近と共に車を降りたところだった。会食の後を狙うつもりだったが、間に合ったのなら今でも構わないか。
「派手な暗殺」とは何か。大統領暗殺事件のように、衆人観衆で行なわれるべきだろうか。それともこの国の有名なクーデター事件のように、暴動と共にあるべきか。少しだけ悩んで、一つ思い付いた。
蝙蝠へと再び変身してターゲットの近くに移動し、物陰に身を隠す。そのまま今度は、ターゲットへと変身する。
撫でつけられた髪は、染めてはいるものの僅かに白髪が混じっている。垂れた目尻とは対照的に、顔立ちは歳の割に若々しく精力に溢れている。フルオーダーのスーツ、薬指の結婚指輪、よく磨かれた革靴の装いまで、私の魔法はトレースしてのける。鏡を見るまでもなく、私はターゲットのドッペルゲンガーとなっていた。
「あれ、大橋さん、今店の方へ──ん?」
「派手にっていうのは、できる限り血が飛び散れば良いのかな」
右手を変形させて鉤爪を形成する。そのままターゲットの側近を、逆袈裟に斬り払った。車体と電灯の柱に鮮血が飛び散る。誰かの悲鳴が上がり、とうのターゲットがそれに反応する時には、私は彼の目前に立っていた。
「やあ、私。不幸な夜だね、ドッペルゲンガーに会ってしまうなんて」
頚動脈を切り裂いた。膝を着いた彼を思い切り蹴り飛ばす。死体蹴り紛いの追撃で、今度は首の骨が折れた。魔法の治療でも間に合わないはずだが……遅延のため、そばにいた数人を追いかけて斬りつける。こちらはギリギリ致命傷かどうかといったところ。
目的を達したことを確認して、私は姿を眩ませるためにイエバエへと変身した。そのまま夜の闇に乗じて現場を飛び立つ。屋外で襲撃を行えたのは僥倖だった。
人々の視線から隠れたところで、蝿から蝙蝠へと姿を切り替える。先程の運転手と合流すれば──
「見つけた」
──右翼に熱が走った。
咄嗟に身体を捩った瞬間、バランスを崩して身体が墜落を始める。翼が完全に切り落とされていた。
落ちていく翼を足で掴んで、身体の形を調整する。後頭部に生やした眼が、襲撃者の影を目視した。予想よりもずっと早く駆けつけた魔法少女が、壁を跳ねるように追撃を狙っている。
アカゲザルとオマキザルの形を真似て、配管や手摺を掴みながら、パルクールのように駆ける。……どうやら、振り切れそうにない。もう一度虫や蝙蝠に姿を変えても、今度こそ斬り刻まれるだろう。
「もう、逃げるなぁ!」
振るわれた剣を、背中を甲虫の外骨格へと変えることで凌ぐ。歪曲した表面が刃を受け流し、キチン質の骨格が削られるだけで被害を抑える。
人生最大の身体的危機だ。どこか他人事のように、そんなことを考えた。
袋小路に入り込む。
さて、どうしたものか。
背後からの追っ手の正体を探りながら逃げていたが、どうにも、私では勝てそうにない。
路地の行き止まりに辿り着くと、私は人の形を取った。慣れない姿を取ると変身にラグが生じるから、逃げるチャンスを逃さないために普段の私の姿を取る。仮面を着けてフードを被り、正体が割れないように。それさえも、心のどこかではどうでも良いと考えている。
「一連の暗殺事件の犯人は、あなたですね」
「……そうだと言ったら?」
「魔法法第4条に基づいて、あなたを逮捕します」
改めて追っ手を直視する。
彼女は魔法少女だ。善と悪、私と対極をなすもの。魔法を用いて社会を害する私たちを、魔法を用いて捕らえるもの。ヴィランに対するヒーロー、ヴェノムに対するスパイダーマン。
身長は150cmに届くかどうか。ふわりとウェーブがかかった前髪の奥から、碧い瞳が輝きを放っている。
考えることは沢山だ。この速度で追っ手がかかることも、「派手にやれ」という指示の意味も……最強の魔法少女が、私の前にいる意味も。
──そして彼女が、私と先程まで公園で話していた少女にそっくりであることも。
「逮捕、ね。私の魔法は見たでしょ。どうやって手錠をかけるつもり?」
「虫かごに入れるとか?」
「
右手を軽く持ち上げる。その瞬間、目視さえできない速度で肘から先が斬り飛ばされていた。
「動かないで」
宙を舞う右腕を掴み取って、五体満足に組み直す。よろめいて捲れ上がったフードをそのままに向き直ると、彼女は動揺と疑念をその瞳に滲ませた。もう一度手を斬り落とされる覚悟をしながら仮面へ手を伸ばす。今度は、斬撃は飛んでこなかった。
仮面を取り払う。
幾分開けた視界に前髪がかかるのを横へ流した。
「──おねーさん?」
「夜遅くまで出歩いたつもりはないんだけど。……随分と物騒だね」
仮面を放り投げる。視線誘導の刹那、私は不定形の粘液状物質となり路地を覆い尽くす。
顔を見せたのは隙を作るため。過去と今後の私生活を犠牲に、私は今日を生き延びることを選んだ。
彼女を覆う程の巨大な粘液から、瞬間的に小さな昆虫へと姿を変え、マンホールの蓋の隙間から下水道に飛び降りる。二度は通じないだろうが、いくつか想定していた逃走ルートの一つに無事に到着した。下水道を辿って、ある程度任意の場所へと逃げることができる。
私はタクシーの運転手を介さず自室へと戻り、最低限の手荷物を掴んで街中へと逃げ出した。