姫と従者のRadio Duo   作:びーびー

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感想待ってます!(笑)


受け止めてぃ!

 

 

 

「はい、もっと笑顔でー!」

 

「あー」

 

 姫が、厳しい。

 

 時は年が明けて2週間ほどたっている。

 

 年末年始をのんびりと過ごし、そして今は配信始めのための準備中。

 

「いやーやっぱり姫が一人で踊った方がいいんじゃない?」

 

「だめだめ。こういうのは一緒に踊るから楽しいんじゃん」

 

「ちょっと向いてないっていうかー、やっぱり適材適所でさー」

 

 そう言いながら縋るように姫を見るも、返ってきた答えは両手を大きく交差する姫の姿。

 

「あーちゃんならできるよ!」

 

「いややっぱずっと踊りっぱはきついっていうか」

 

「歌ったり演奏したりはできるのに?」

 

「それは精神的に楽っていうか」

 

 曲の付属物扱いなのか前世であった踊りさえも再現できるチートを今だけは恨みたくなる。

 

 とはいえ動きを再現できるだけなのでキレは足りず、感情が乗らないのでロボットダンスと前に姫に笑われたが。

 

 それに引き換え姫は一度見れば私の何倍もすごいダンスを踊ってしまう。

 

「それにやっぱり姫がやったほうがかわいいし、みんなも待ってるって」

 

「あまーい!」

 

「あいたっ」

 

 突如伸びてきたデコピンに襲われた額をさすりながらその指の持ち主にジト目を向ける。

 当の本人はさして気にもせずその二つの眼をらんらんと輝かせていた。

 

「わかった、じゃあこうしよう!」

 

「……どうしよう」

 

「んーと」

 

 やる気が炸裂している姫を見ながらその口から出てくる提案を戦々恐々と待つことしばし。

 

 ある意味救済策とでも言うべきそれが告げられる。

 

「一曲丸々やるか、かわいいサビのとこだけ何曲分かやるか。どう!?」

 

「いやいやそんな何曲もライブでできないって」

 

「だからショート動画みたいに動画を流すの。何曲かのショートをまとめた感じで」

 

 つまり、LIVEでやらなくても良いってことか。

 

 それならばだいぶ楽ではあるが。

 

 そんな私の顔色を読み取ったのか姫が目を輝かせる。

 

「じゃあどれやるか決めよー!ちなみに今練習してたのは最後にやろー!」

 

「え!?それは動画の?それともLIVEで?」

 

「あーちゃんはどっちがいい?」

 

「いや、それはもちろん動画の方がいいけど」

 

「じゃ、そうしよっか」

 

 そう言いくるめられ、踊る曲が増えたことに気づいたのはそれから少しした後だった。

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

【姫と従者のLiveDuo~踊れぃ!~】

 

・サブタイwwwww

・俺たちが、踊るのか……

・ダンレボは得意なんだ!

 

「どーん!姫だよー!」

 

「どもーアネモネです」

 

「あーちゃんテンション低めー!」

 

「そりゃ、まぁ大体は姫のせいだけど」

 

 あれから結局サビだけとはいえ5曲分のダンスを姫が納得するまで練習し、その後動画を撮影した。

 その精神的な疲労が私のテンションを地の底に縫い付けていた。

 

「まぁまぁ。今日は上げていかないと乗り切れないよ!」

 

「はいはい。とりあえず今日やることの説明からね」

 

・踊る?

・ダンス?

・舞う?

・どれもほとんどおなじじゃねえか

 

「まぁ大体コメント欄の言うとおりかな」

 

「今日はあたしが選んだダンサブルソングを歌って、踊ってしていくよ!もちろんあーちゃんも!」

 

「……ま、私は一部だけね」

 

・きたー

・ありがてぇありがてぇ!

・アネさん頑張ってー!

 

 このまま喋っていてもしょうがないので姫に合図をして本日の一曲目を始める準備をする。

 

 今回の一曲目はこっちの世界の曲で、最近姫がよく見ているVライバーがショート動画にあげていた曲だった。

 

 この曲はとりあえず私は踊らなくていいとのお達しなので余裕をもってギターの準備を行う。

 

「最初は、この曲!『カガミノロック』」

 

・おーサビだけ知ってるやつ

・サビだけ動画サイトでやたらめったらショートで流れてるやつ!

・Aメロこんな感じなんだ

 

「踊れぃ!」

 

・サビ!

・見たことあるやつ!

・っぱこれよ!

 

 まぁ姫が楽しそうで何より。

 

 ちらりと配信画面で楽しそうに踊る姫を見ながら、これからの予定を振り払うようにギターをかき鳴らす。

 

 コメント欄の盛り上がりとともに跳ね回る姫を横目に最後のリフを弾き曲が終わる。

 

「たのしー!けど疲れたー!」

 

「お疲れ様。はいタオル」

 

「ありがと!」

 

・888888

・踊れぃ!

・8888888

・おつー!

 

 姫にタオルを渡しながら、私も水分を摂取する。

 

 コメントの盛り上がりもかなりのものでなかなかのスピードで流れていくコメントはもう目では追いきれない。

 

「どうです?やっぱりこういう曲もいいよね」

 

「みんな踊ってくれた?今日は予告の通りこんな感じの曲をやっていくよ!」

 

・アネさんもですか?

・アネさんも?

・アネさーん!

 

「あーちゃんは、どうですか?」

 

「あー。ノーコメントで」

 

「焦らすー!」

 

 焦らすも何も、やっぱり姫のクオリティの横で踊る動画を流すことを考えると、やはり動画はなしにして姫が踊って私が演奏するいつもの形式でもいいと思うが。

 

 姫に目をやるもこちらの考えはお見通しなのかすでに大きく両手をクロスしている。

 

・どうしたwwww

・姫様急にバッテンしてwwwww

・アネさんがちきったかwwwww

 

「往生際悪し!」

 

「いやいや。まぁねぇ」

 

「というわけであーちゃんがバックギアに入る前に次行くよー!あーちゃん準備は?」

 

「おっけぇ」

 

・不服そうでわろた

・wwww

・レッツゴー!

 

 不満そうな私を尻目に姫がパソコンを操作して動画を再生させる。

 

 内容は姫と相談して歌って、踊ったショート動画をランキング形式で紹介するものだ。

 

『今回はあーちゃんが泣きついてきたから普段とはちょっと形式を変えてランキング動画で行くよ!」

 

 動画の冒頭にデフォルメされた姫のキャラクターが私の知らないリークをまき散らしている。

 

「ちょっと、姫!」

「事実事実!これマイク入ってるからね、あーちゃん!」

 

・これってカウントダウン〇V?いや……

・おいたわしやアネさん……

・マイクはいっとるぞwwww

 

『それでは一曲目、難易度1!シュールなあーちゃんに要注目!』

 

『いや私たちどっちもシュールでしょ』

 

『第5位はーこれだ!1・2・3!』

 

 姫のカウントダウンとともに画面には私と姫が真顔で二つの振り付けを繰り返す動画が流れ始める。

 

 

『踊ってない夜を知らない。踊ってない夜が気に入らない』

 

『踊ってない夜を知らない。踊ってない夜が気に入らないよ』

 

 難易度1だけあってサビに合わせた単純な踊りだが、妙に人を引き付ける不思議な世界が画面に広がっていく。

 

・???????

・ふぁーーーーーーーwwwwww

・これは、ダンスなのか?

・アネさーん!?

 

『『ちょっと待てい!』』

 

 手元に準備されたスイッチを押すと某テレビ番組のように画面が一時停止される。

 

 なお声についてはそれぞれがお互いの声で録音したものを使っている。

姫は弾むように、私は呆れた声で画面が停止する。

 

「いやさすがにこれくらいなら私もできるから」

 

「でもあーちゃんたまにあたしと逆になってた時あったでしょ」

 

・コメンタリー付きかwwww

・○○食堂wwww

・この踊り?でミス?

・もしかして:運動音痴?

 

「いい子は、静かに、動画を見ましょうね?」

 

「アッハイ」

 

・アッハイ

・ワァ

 

 少しだけ圧をかけて姫に笑顔を向けるとなぜか画面の向こうまで固まってしまう。

 

 軽く息を吐き、手を叩いて姫のフリーズを解除している間にも動画は次へ次へと進んでいく。

 

 

『……はい、ということで第3位シカ色デイズでしたー!』

 

『『ちょっと待てい!』』

 

「……シカ色デイズは、あーちゃんなんなの、これ?」

 

「なんなんだろうね?」

 

・こういうのを見るとアネさんの転生して前の世界の曲っていうのもなんか納得できるよね

・まぁこの曲をアネさんが作ったと言われると、ちょっとね

・しかのこのこのこ

・こしたんたん

 

「なんかコメント欄に感染してるよあーちゃん」

 

「……ま、バズる曲ってことじゃない?」

 

「あーちゃん!?見捨てないであげて」

 

・感染が広がってい……のこのこ

・このウィルスはっ!?感染力が高すぎたんたん

・しかのこのこのこ

・こしたんたん

 

 ノリのいいリスナーたちをもって私たちは幸せなのかもしれない。

 

「はいじゃあ第2位のVTR!これだー!」

 

「1・2・3」

 

・あぁこれザ・ベストハウスか

・アネさんのカウントダウンは大分セクシーやな

・だいぶ古いような……

 

『御唱和あれ!』

 

『『Bibbidi bobbidi boowa!Bibbidi bobbidi boowa yeah!』』

 

『混絡がっても仕様が無い、ガラスシューズで踊るtonight!』

 

・温度差www!?

・so cool!

・いやその中に確かに光るジャパニーズkawaii!

・これで2位!?

・クオリティ高すぎ……

 

『『ちょっと待てい!』』

 

「ちなみにあーちゃんが技術的に一番苦戦したのはこれね」

 

「……少し手足がもつれただけだから」

 

「楽器はあんなに簡単に弾けるようになるのになんでだろうね?」

 

・リズム感とかは楽器弾けるってことはあるはずだしあんまり苦戦しなそうだけどね

・しかし姫はスマートに踊るねぇ!

・キレが違うよ!

 

「というわけで次で最後だよ!」

 

「……もう終わりでよくない?」

 

・?

・どしたんアネさん?

・姫の満面の笑みを見ろよ、ありゃあ何かを企んどる顔や

・またおいたわしやアネさん案件か

 

 これから流される動画の内容を考えると頭痛がするが、満面の笑みを浮かべた姫を止めることは不可能だということもわかっている。

 

 わかっているがそれを許容できるかはまた別問題でもある。

 

「じゃあ行くよ、あーちゃん!」

 

「姫は楽しそうだねぇ」

 

「そりゃあかわいいあーちゃんが見れるのが何よりの楽しみだからね」

 

「はぁ……」

 

・姫がここまで嬉しそうなほどにかわいいアネさん、だと!?

・早く!早く動画を!

・総員衝撃に備えろ!

 

 なぜか加速するコメントに比例するように姫の機嫌も上がっていくことが傍から見ていてもわかる。

 

「それではー!1・2・3!」

 

・1・2・3!

・1・2・3!

・1・2・3!

 

『私の全力受け止めてぃ!』

 

 何かがおかしい。

 

 今流れる動画を見て再度思う。

 

 そもそもフルで踊らない代わりに何本もショート動画で踊ったはずでは……

 

 そんなことを思ったのはすでに姫が目を輝かせながら動画編集している姿を疲労困憊になりへたり込んだ床から見上げていた時だった。

 

 短い曲だからと姫にそそのかされ乗せられて踊り切った私を待っていたのは特大の羞恥心だ。

 

「私、こういうキャラじゃないんだけど……」

 

「まぁまぁ!たまには違う一面を見せるのも良いって何度も言ったでしょ?ほらコメントも喜んでる」

 

 ちなみに振りがない部分には姫が振りを付けていた。

 

 我が親友ながら本当に何でもできるのには驚きを隠せない。

 

 逆に何ならできないのだろうか。

 

『『こんなに大きくなりました!』』

 

『だから超many-manyめな約束ドドっとぷりーず。もりもりmanyめに返すから!』

 

『いつだってしゅーきしゅーきしゅきシュプリームなオネガイきいて、わたしあいたー『ちょっと待てい!』』

 

「ちょっとあーちゃん!?」

「無理だー!見てられない!」

 

・wwwwwww

・いや、草

・あ、あ、あああ思考が溶けるぅ……

・口角上がりすぎてないなった

 

「終わり!」

「あー!ちょっ」

 

この配信は終了いたしました。

 

・あwwwwww

・あかーん!

・終わったwwwww

・フルはどこで見れんの?

・頼むー全曲フルを見れるようにしてくれー!

 

 

 




ただし優しいものに限る

使用楽曲コード:32829949,N00054594,N01388424

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