姫と従者のRadio Duo   作:びーびー

17 / 17
5周年記念配信

 

 

 あれから数時間、たまに脱線しながらも私たちは記念配信の打ち合わせを終えた。

 

 大丈夫かなと思ったのも最初だけであとの彼女は終始しっかりとしたシンフィア・グレイだった。

 

 配信のプロとしてファンのために最大限できること、求めることをはっきりと口にする彼女の姿に私たちのテンションも自然と高まり、結果有意義な打ち合わせだったと思う。

 

 それからも数回の打ち合わせを行い、今まさに記念配信が始まろうとしている。

 

「じゃあ行ってきます」

 

「頑張ってねグレイ」

 

「ファイトー!」

 

 記念ライブともなるとある程度の部分を録画で対応することもあるみたいだがグレイは違う。

 

 すべてを一発で歌いきるその姿はリハーサルを見ていた私たちも震えるほどだった。

 

 だからこそ私も姫も負けじと飛ばしていくことになるだろう。

 

 そしてその時は近い。

 

「はーい。というわけでオープニングから続けて3曲聞いてもらいました!どう皆?楽しんでる?」

 

・おおおおおおおおおおお

・最高!

・すごすぎるwwwww

 

「いやーあっつい!もうね楽しすぎて、止まれなかった!ほんとはMCのタイミングとかあったんだけどね!」

 

 そう言いながらグレイは置かれていた水に口を付けながら一息つく。

 

 傍から見ていても楽しいという感情が体中からあふれているその姿に姫はもちろん私も出番を今か今かと待ち望んでしまう。

 

「で、次の曲なんだけど。私ずっと歌いたい歌があったんだ。みんなには言ってたかな?」

 

・え?もしかして許可でたん?

・企業勢だとなかなか時間かかってしまったな

・ひめじゅーのやつ?

・おめでとー!

 

「だからさ、歌うよ今日。アネさんのあのライブからずっと歌いたかったあの曲を!」

 

 そのグレイの言葉とともに私と姫に合図が出る。

 

「じゃあ行こうか姫」

 

「おっけぃ!楽しんでこー!」

 

 二人で軽くハイタッチをしてグレイの両隣で楽器を構える。

 

 グレイはちらりと私たちに視線を向け、興奮を抑えるためか深く息を吐く。

 

 配信画面にはグレイの隣に並ぶ黒子の私たち。

 

 これは姫のたっての希望でそうなった。

 

 グレイは抵抗していたが、ご本人登場をやりたいらしい姫の希望が最終的には優先され、彼女は泣く泣くオッケーを出していた。

 

「っふ」

 

 吐き切った息をグレイが吸い込んだ瞬間、何度もリハーサルで合わせたタイミングで姫のギターがスタートする。

 

 そこにグレイの歌が追いかけるように乗っていく。

 

「夢はもう見ないのかい?明日が怖いのかい?諦めはついたかい?馬鹿みたいに、空がキレイだぜー!」

 

・うおおおおおおおおおおお!

・きたーーーーーーーー!

・黒子と息ぴったり!

 

 あぁ楽しそうに歌うなぁ。

 

 それにそれが画面の向こうまで伝わっている。

 

 流石、と言わざるを得ない。

 

「神様なんていないぜ!ハナから信じちゃいないさ!」

 

 そして曲はもうサビの直前。

 

 姫が用意したサプライズその1が間もなくだ。

 

「僕たちよ、このままで」

 

「「「あぁ、もう泣かないで!」」」

 

「君が思う程に弱くはない」

 

「「「あぁ、まだ追いかけて!」」」

 

「負けっぱなしくらいじゃ終われない!」

 

・ふぁっ!?

・コーラス、誰?

・startedのメンバーにこんな声の子いたっけ?

・なんか聞いたことあるような?

・いやでも流石に

・いやこの声ってか、ギターとベースもじゃ?

 

「「「あぁ、もう泣かないで」」」

 

「君が思う程に弱くはない」

 

「「「あぁ、まだ追いかけて!」」」

 

「負けっぱなしくらいじゃ終われない!遠回りくらいが丁度いい!」

 

 

・8888888888

・8888888888

・【龍崎龍樹:started】えぐぅっ!てかこのギターとベースって!俺たちがスタジオ立ち入り禁止なのって!

・おい龍崎おるやんけ!

・ってかお前最初に一緒に歌ってやん!

・え、これってそういうこと?

 

「ありがとー!Hump Backさんの『拝啓、少年よ』でしたー!いやー感動!もう泣きそう!」

 

・最高!

・おめでとう!

・ずっと歌いたいって言ってたもんね。

・てか直近の配信ひめじゅーについて語りつくす雑談だったしな

・【龍崎龍樹:started】グレイお前説明しろー!どういうことだ!控室から出られないぞ!

 

「あ、龍崎じゃん。ぷぷぷ。あとでたっぷり説明してあげるよ」

 

・煽ってて草

・龍崎くん顔真っ赤で草

・てか龍崎がここまで言うってことは黒子の二人は……

 

「もーせっかくのサプライズなんだから龍崎は少し静かにしててよー」

 

・【龍崎龍樹:started】俺も一緒にライブやりたい!

・【鈴ノ音命:started】いや私もやりたい!ってか今からスタジオ行くわ!

・わらわら湧いてきてワロタwwww

・あーもーめちゃくちゃだよwwwww

 

「五月蠅いよー!全く。……さて、それじゃ答え合わせ、しよっか!BLUE ENCOUNTさんで『1%』!」

 

 グレイの言葉を合図にドラムがスタジオに鳴り響く。

 

 ここからは予定通りに、私と姫、それぞれが声を出した瞬間に黒子の姿からいつものアバターへと舞い戻る。

 

「Wowーohーwowー!」

 

・姫ー!

・姫様ー!

・まじかぁぁぁぁぁぁ!ありがとおおおおおお!

 

「Wowーohーwowー!」

 

・アネさーん!

・あねじゅー!

・ようこそぉおおおおおおぉ!

 

「Wowーohーwowー!」

 

・グレーイ!

・おおおおおおおおお!

・輝いてるぞグレーイ!

 

「「「Wowーohーwowー!」」」

 

「たった1%だけの、奇跡で挑め、そう!失敗は成功を生み出す合図だ。99%の努力が今、不可能を壊すから!」

 

・新曲!

・えぐいって!

・グレイ、よかったなぁ!!

・ありがとーひめじゅー!

 

 

 サプライズは大成功。

 

 コメント欄も目で追えないほどのスピードで流れていき、彼らが見ている先で姫も私もグレイも笑ってる。

 

 嬉しい。

 

 楽しい。

 

 そんな気持ちを画面の向こうに届けようと、声を振り絞っている。

 

 それはグレイが徹頭徹尾言い続けていたこと。

 

 リスナーを喜ばせたい。

 

 リスナーを応援したい。

 

 その気持ちをマイク一本で世界に響かせている。

 

 だからこんなにも彼女の歌は心を揺さぶる。

 

 だから私たちもこんなにも頑張れる。

 

「絶望なんか期待して、希望を謳ったわけじゃないだろ?」

 

「宿す夢に寿命はない「「跳べ!」」誰かに勝つためじゃない、自分にまけないために!」

 

「「たった1%だけの、奇跡で挑め、そう!失敗は、成功を生み出す合図だ。99%が否定してもひたすら君は!」」

 

・ひめじゅー!!!!

・姫様!アネさん!

・グレイ、俺らのために頑張ってくれたんやな!わかるで!

・ありがとうグレイ!!!!!

 

「いっぱい点と点を、線につないできた。失敗を成功に帰るスターター!100%越えのその覚悟で余すことなく駆けろ!」

 

「迷わずつかめ、「「君だけの勝利を!!!」」」

 

・なんか泣けてきた

・背中押されたよグレイ!!!

・ずっと応援してるよ!

・ありがとうひめじゅー!

 

「Wowーohーwowー!足掻いて、磨いて!」

 

・姫、ほんとにありがとう!

・姫様、最高のサプライズだった!!

・ありがとおおおおおお!

 

「Wowーohーwowー!剝き出しの闘志!」

 

・アネさん、最高!!!!

・イケメーン!!!!

・ありがとおおおお!!!!

 

「Wowーohーwowー!届いているから!」

 

・グレーイ!!!!

・届いたぞ!!!!!

・こっちこそありがとうグレイ!!!!!

 

「「「Wowーohーwowー!」」」

 

・888888888888!

・8888888888888888!!!!

・ありがとーーーーーーー!!!!!

 

「あねじゅーのお二人でしたぁ!!!」

 

 

 

 

 

 

 




感想お待ちしています。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。