ライブの締め切りとかわからないのでそんなもんかくらいでお願いします。
※登場人物
水無瀬 光 母 ママ
水無瀬 澄人 父 イベント会社勤務
「それで?」
「それでってー?」
「どこまでがマジなの?」
「え?全部だけど」
全部だけどじゃない。
あの後無意識に検索していたUNIZON HALLのキャパシティは3000人。
3000人?
埋まるわけがない。
「っていうかこんな直前に箱が取れるわけないでしょ?」
「いやーあたしも無理だろなーって思いながら澄人さんに聞いてみたらちょうどよくキャンセルが出た箱の代わりを探してたらしいんだよね」
「……でもお金は?あのクラスじゃあ会場を押さえるだけで1000万円くらいかかるでしょ?ほかに機材とか入れたらとても私たちには払えないけど」
「お父さんと澄人さんから借りた!無利子でいいって!」
「子供に甘すぎる!」
どいつもこいつももう少し子供には厳しくしないととんでもない大人になってしまうことを少しは知るべきだ。
厳に私の前にはすでに1000万円オーバーの借金を背負ったのに、ライブのことについて目を輝かせて提案している少女がいる。
「あーちゃん聞いてる?グッズ案はとりあえず基本のTシャツとタオル、トートバッグは光さんにデザインをお願いしてるんだけどほかに何かあーちゃん欲しいのある?ちなみに締め切りはもうないよ」
「これって父さんのイベント会社が運営する感じなの?」
「そうみたいだよ。総合プロデューサーだって!あーちゃんも何かオリジナルグッズ作る?」
「姫は、何か作るの?」
「あたし?あたしはステッカー!スマホとかに貼れるサイズのやつ」
おー、我が母ながらいいデザインだ。
これでデザイン料無料?
あ、私と姫の借金返済の一部に……
「明日、説明配信するからね」
「そうだね!詳しいライブの内容とかチケットの買い方とか説明しなきゃね」
「なんでそんなに前向きなの?3000いや少なくとも2000は来てもらわないと大赤字だよ?」
「大丈夫だよ、みんな盛り上がってたし。明日の配信でお願いすればいいじゃん!ゲストとかも呼んじゃう?」
このお気楽娘は……!
胃が痛い……
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【姫と従者のRadioDuo~『超緊急』みんなの力を貸してくれ!~】
・ライブ情報まだー?
・チケット争奪戦、君は生き残ることができるか
・グッズデザイン良すぎ。当日は行けそうにないから通販だけでもお願いします。
・ユニゾンホール良くとれたなー
「「みんな!おらにちょっとずつだけ元気をわけてくれ!」」
・ふぁああああああwwwww
・どうしたwwwww
・もってけー
「というわけで連日連夜こんばんわ。アネモネです」
「昨日はトレンドランクインありがとー!姫だよ!」
・おめでとう!
・めでたい!
・おめー
・ライブの情報はよ!
「えー、みんなも驚いたと思いますが、何を隠そう私も驚きました」
「あーちゃんにはね、秘密にしてたの!いやーいい反応だっあっ痛い痛い!」
「私は寿命が縮んだよ!正直ライブの告知には遅すぎるの。普通はもっと早く告知しないと!」
・それはそう
・飛行機代とかもあるしな(すでに東京行きの飛行機は確保済み)
・休みを上司から奪い取る必要もあるしな
・チケット争奪戦を勝ち残れたらなんだよなぁ
「ほらねー。みんな来てくれるって」
「あんたねぇ。3000人だよ3000人!さすがにこの人数は簡単に埋まんないよ」
「でも今の同接が8000人くらいだから半分が来てくれれば満員だよ?」
「みんなにもいろいろ用事とかあるんだからそんな簡単じゃないでしょ」
・ま・か・せ・ろ!
・チケット取れたら行くぜ!
・チケット外れても行くぜ!
・チケットがないのにどこに行こうというのかね
「じゃあまぁライブ情報のおさらいから行こう!」
「うん。そうだね!なんとかライブの魅力を伝えてたくさんの人に足を運んでもらわないと」
・アネさんはどうしてこんなに自己評価が低いんだ?
・姫から受けた混乱の状態異常が治ってないんだろ
・俺たちがチケットを即完売にしてわからせてやらないと
・草
コメントを見るとおおむね好意的だが、だからと言って手を抜くわけにはいかない。
しっかりライブを告知して少しでも席を埋めなければ待っているのは借金少女だ。
「まずはライブ開催日時から」
「今年の8月22日午後6時からでーす!」
「大体4か月あとくらいかな。もう少し早く言ってくれれば……」
「はいはーい。あーちゃんはくよくよしすぎ!次は開催場所だよ!場所は東京のユニゾンホールだよ!大体東京の真ん中へん!」
・雑で草
・ユニゾンホール良く空いてたね
・夏休み後半に空いてんのはマジでラッキー
・まぁ確かに告知は遅めか
・大丈夫いけるよ。予定?……ちょうど運よく空いてたんだ
・草
「チケット情報!チケットは電子チケットサイトのチケッティーで抽選予定、だって!」
「抽選……なんとか2000、いや半分でもいいからみんな来てね!」
「申し込みはなんと今日の配信が終わってから3日間!当選発表はさらに3日後!どしどし申し込んでねー!不安になってるあーちゃんをぶっ飛ばすくらいに申し込んでね!」
・うおおおおおおお!
・のりこめー!
・グルってて草ぁ!
・チケッティーさんサーバー強化しといてよー!
・ネット配信とかはしないのー?
「ネット配信は今のところ予定してません。あんまりこんな話をしたくはないけどネット配信するにもそこそこのお金がかかるんだよ?」
「えー!チケット外れてライブに来れなかった人がかわいそうだよー」
・ネット配信やって欲しい
・まぁライブの箱が埋まるかわからないところでのネット配信は分散する可能性があるからリスキーではあるな。
・まずは箱を埋めることが優先か
・どれくらいお金かかるかわかんないけど、実際どれだけ視聴者数があるかもわからないしね
「……もし、もしチケットが抽選で外れてしまった人が多かったらネット配信も検討する、かも」
「ってことなんでみんなちゃんとチケット申し込んでね!」
「よろしくお願いします!」
・任せろり
・やってやんよ!
・楽しみにしてる!
「というわけで今日最後のお知らせ!ライブグッズー!」
「まずはこれ!ライブTシャツー!」
「このライブのためにママに書き下ろしてもらいましたー!」
・おおおおおおおおお!
・かっけー!
・在庫の用意をしておいてください!
・いまだにママとしかクレジットされてない謎のデザイナー!えぐいて!
「カラーバリエーションは白と黒の二色!サイズもS・M・L・XLの4種類!」
「私たちも多分ライブで着る機会があるかもしれないので、皆さん買ってくださいね」
「あたしは白!あーちゃんは黒?」
・黒かっこいい
・おしゃれだから普段使いできそう
・センス良すぎてワロエナイ
「次はマフラータオルでいいのかな?結構大きなタオルです」
「こちらもなんとママ書き下ろしのライブロゴ『Fist Step』入り!」
・ふぁっ!?
・全くの新規デザインが2枚?来るぞ遊馬!
・力入れてんなー!
・稼いでやるというつよい意志を感じる。
「夏場で汗をかくからタオルは嬉しいよね」
「えー観賞用に飾っておきたいから開けたくなーい!」
・それはそう
・わかるまーん
・3本買えば解決する話だ。あぁTシャツは二枚ずつ頼む。
「そしてそんなグッズたちを入れるトートバッグも発売だぁ!これもまた書き下ろし!」
「ていうかこの絵、どっかで見たような」
「おっ?気づいた?」
・なんぞ?
・書き下ろしじゃないの?
・姫はまたアネさんに隠し事をしとるんか……いいぞもっとやれ!
・おいwwwww
「それでは御開帳!今回のライブに関する書き下ろしは私とあーちゃんの過去の写真をもとに作成してまーす!」
「あー……。あー?あぁーー!」
・三・段・活・用!
・おいたわしやアネ上。
・これは草
「ちなみにあーちゃんとあたしの両親が写真は選んでるよ」
「でしょうね!」
確かにこの間、昔のアルバムを開いて椎名家とうちでわいわい騒いでいたわ。
流石に恥ずかしいからその場から撤退したけど、こんなことならもっと詰めておけばよかった。
「Tシャツのはあたしたちが初めて海に行った時の写真ね」
「……姫が海に入るのを私が見てるやつか。ってことはトートバッグはこれ小学校の入学式じゃん!」
「おーあたりー!センスがある人ってすごいよね。あの写真がこんなにおしゃれになるなんて」
「本来なら姫が私の手を引っ張って走り出して、私が転びそうになってるやつだからね」
・草
・まぁそれはそれで青春っぽい。
・Fist Stepにかけていろんな一歩目のイラストなのかな
・なるほど
・そういう話もっと頂戴!
「話をもどして、グッズはあと2種類!私とあーちゃんがそれぞれプロデュースしたグッズってことで私のは……ステッカーでーすっ!あーちゃんどの写真だかわかる?」
「あれでしょ、姫が初めてギターを持った時。確か小学生のときだよね。姫が写真撮られてるのにカメラ目線じゃないのってあんまり数ないはずだし」
「大正解!あたしがFコードに初挑戦してるとこでした!こう見るときりっとした表情のあたしも可愛いー!」
・自画自賛だけど間違ってない!
・小学生のころってことはイラストは成長させてるんだな
・小さいころの姫も見てみたかった
「この写真を選ぶとは……いいセンスだ」
「誰なの……」
・ママさんはリボルバー向き、と
・スネークっ!
・……いいセンスだ
「ちなみにあーちゃんのグッズは昨日決めたばかりだからまだデザインされてませーん!」
「一応キーホルダーを予定してます。デザインって私はFist Stepのライブロゴって言ったはずだけど」
「それはママから半分却下されました!キーホルダーはアタシとあーちゃんが入ったデザインとFist Stepのライブロゴの計2種でママが今デザイン中でーす!」
「なんで増えるの!?」
・ママさんすごいな
・筆が早いというか、間に合うのか?
・またしても何も知らないアネさん……
「ママさんからメッセージを預かってます。えーっとあと1枚使いたい写真があったんで、キーホルダーに決まる前にデザインはほぼ終わってるから大丈夫、だって」
・ママさん都合で草
・使いたい写真があったならしゃーない
・ブラボー!おぉ!ブラボー!
「なんでこんなことに……!」
「まぁいいじゃん、すでにデザイン済みだったみたいだし」
「……もう言ってもしょうがないか」
「そうそう!素直に喜ぼうよ!」
「そこで素直に喜べるのは姫の良いところだけどね。私はプレッシャーがすごいよ。いろんな人に期待してもらって、力を貸してもらってるから」
「だからこそ私たちができるのは全力でライブすることだよ!見せてあげよう、私たちのパワーを!」
・楽しみにしてるぞ!
・待ってる!
・ブルーレイも待ってる
・気が早すぎwwww
・先に行っててくれ!休みを勝ち取って必ず追いつく!
・死亡フラグやめーやwww
流れるコメントの声援に胃が痛くなるようなプレッシャーを感じるのもつかの間、姫が握る右手が、姫が私を見つめる瞳が、姫が紡ぐ言の葉が『できる』と私の背中を押してくる。
流石にここまで言われてビビっていられるほど私も素直な性格じゃない。
「……ま、ここまで来たら私も覚悟を決めるよ」
「うん!みんなも楽しみにしてて!本気になったあーちゃんはすごいんだから!」
「姫も、でしょ」
・てぇてぇ
・てぇてぇ
・てぇてぇ
「じゃあ今日の告知はこれでおしまい!この後すぐに抽選申し込み開始だから、みんなよろしくね!」
「みんなの期待に応えられるように一生懸命がんばるし、期待以上のものを見せられるようにするから!抽選申し込み、よろしくお願いします」
「「それでは申し込み、スタート!」」