決戦兵器の制御コアにされた俺のパイロット候補が全員ヤンデレで依存してくる   作:なっくる@2作品書籍化

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第14話 美嘉のケアをしておこう

「はうぅ、眠いってばハカセ~、昨日はパパとお話ししとって2時寝なのにぃ」

 

「だらしないですね美嘉さん。私はいつでも出れますよ」

 

「昼夜逆転生活してるオタクちゃんに言われたくないな~」

 

「ちっ、パパ活ビッチ……やっぱりフェイク動画をダークウェブに流しておきましょう」

 

 10分後、カグツチ弐型専用ハンガーに呼び出された美嘉と莉乃は、爽やかな?朝の挨拶を交わしている。

 

「先ほどの話の続きなのだがね」

 

 カグツチ弐型に搭載された、二基の熱核バーストエンジン。

 試運転が終わるまで少し時間がある。

 その時間を利用して、博士が話しかけて来た。

 

「ワタシの開発したオムニゲート機関を使った防壁のお陰で、ここ半年以上民間人の被害は出ていない」

 

 ブンッ

 

 仮想空間のモニターに、被害状況のグラフが映し出される。

 確かに、1年前に比べるとこの半年で一気に激減している。

 

「とてもいい事なのだが、その影響で防壁を発動させるための鍵となる”防衛本能”の総量が減少していてね」

 

 もう一つのグラフがオーバーレイ。

 被害の低下に従い、緩やかに減少している。

 

「生成される防壁の大きさと密度に影響が出ている。一隻なので大丈夫だと思うが……敵が防壁の至近距離から攻撃してきた場合、一部を止めきれない可能性がある」

 

「そ、それは」

 

 防壁の下に広がっているのは、沢山の人々が暮らす但馬直轄市の町並み。

 

「防衛本能が緩んだこの状況で、民間人に大きな被害が出た場合……その緩みは恐慌にかわり、一気に崩壊する危険がある」

 

「な、なるほど……」

 

 博士が言うには、適度な緊張感を保ちつつ人々の精神がある程度安定している状態が一番オムニゲート機関の位相変換効率が高いらしい。

 その為に、ネットやゲーム、スポーツなどの娯楽が極力維持されているのだと。

 

「だが、ワタシはこの状況を逆手に取る。カグツチ弐型が敵のフリゲート級を撃破する光景を全世界に伝えれば、人々に絶大なる勇気を与えるだろう…………ああそうだ、上手くいけばこの成果を以って再び主導権を我が手に……ふふふ」

 

「び、微力を尽くします」

 

 マッドサイエンティストモードになった博士に近づいてはいけない。

 俺は本能的に博士との通信を切るのだった。

 

 ***  ***

 

「熱核バーストタービンエンジン、定格出力に達していることを確認。推力偏向パネル、両ウイングのフラップ動作問題なし」

 

 マニュアルに従い、発進前の最終シークエンスを確認する。

 いちいち声に出すのは、その方が思考制御に”遊び”を持たせられるからだ。

 

(変なことを考えた瞬間墜落とか、シャレにならないからな……)

 

 細かい動翼の操作などは、補助AIがやってくれる。俺はカグツチ弐型が飛翔するイメージを発散すればいい。

 

「発進準備プロセス、1から15まで完了。低高度管制をHQ(ヘッドクオーター)に引き継ぎます」

 

 シミュレーター飛行訓練は制御コアである俺の特性を生かし、数千時間に匹敵する密度で実施して来た。実機での飛行訓練も百時間以上。カグツチ弐型の操縦に不安はない。

 

(それより問題は……)

 

 やはり初の実戦となる、美嘉と莉乃だろう。

 もちろん標的ドローンを用いた実機訓練は何度も行っているものの、飛行空域は防壁の内側、つまり成層圏までだ。

 敵艦との接敵予想高度は300㎞。かつて低軌道衛星が飛んでいた高度であり、殆ど宇宙空間と言える。

 

(よしっ)

 

 やはり二人のメンタルケアを行っておくべきだ。

 そう判断した俺は、まず美嘉に秘匿通信を繋ぐ。

 

 ***  ***

 

 ブンッ

 

 美嘉が座るカグツチ弐型壱号機のサブコンソールに、俺の仮想体を映す。

 

「美嘉、不安はないか?」

 

 渾身のASMR音質で、優しく語りかける。

 

「はう……優っち!? ウチらうちゅーまで行くんよね? 美嘉、息が出来んよーになるんじゃあ?」

 

 美嘉はさすがに緊張しているのか、お国訛り丸出しでプルプルと震えている。

 ……いつものブレザー制服姿で。

 

「ていうか美嘉、なんで制服?」

 

 飛行訓練の時は、ごつめのパイロットスーツを身に着けていた。

 だが、今の美嘉は赤いブレザーに白いミニスカ、くしゅくしゅルーズソックスにローファーと言う恰好である。

 

 ……ていうか、俺の子機をまたいで座っているから、下着が丸見えなんだが。

 これはさすがによろしくない。視界の映像にスパッツをオーバーレイ、コックピット内の記録映像も加工しておく。

 

「なんかハカセが~、せっかくパイロットが美少女なんだから報道用にアピールせねばな、はっはっはっ。敵を撃破した暁には可愛くポーズを頼むぞ!って~確かに美嘉は美少女だけどぉ」

 

「…………」

 

 思わず頭を抱える。

 あのマッドサイエンティストが言いそうなことである。

 

『正直な話、充分な慣性制御機能を弐型には搭載しているし、万一オムニゲート機関の防壁を破られたらチリも残らないからねぇ! パイロットスーツの有無など、誤差だよ誤差』

 

 すかさず博士からメッセージが飛んで来た。絶対に美嘉には見せられない。

 

「次からはちゃんとスパッツを履いて来るんだぞ? 美嘉のを……他の男に見られたくない」

 

 俺は博士のメッセージを消去すると、美嘉の目をしっかりと見据える。

 

「あっ!? ……ふっふ~ん、さすがに優っちも美嘉のおぱんつが気になるのか~」

 

 一瞬恥ずかしそうな声を上げた美嘉だが、すぐににやりと笑みを浮かべると俺の子機に抱き付いてくる。

 

「今日はぁ~、カグツチちゃんのコックピットでお話ししようと思ってたからぁ~、とっときの勝負おぱんつだよ♡?」

 

 すりすりと子機にほおずりする美嘉。こら、年頃の女の子がおぱんつとか言うんじゃありません。

 

「それは後でな……それより、美嘉。これで頑張れそうか?」

 

 誤魔化すために咳払い。少しだけ声のトーンを真面目にする。

 

「あっ、うん。きんちょーが抜けたかも」

 

 頬に赤みが戻り、血色も良くなっている。呼吸も落ち着いたようだ。

 

「攻撃は全部俺がかわすから。美嘉は安心して攻撃に集中して」

 

「おっけ! ありがとー優っち!」

 

 ちゅっ

 

 これで大丈夫だろう。

 美嘉のキスの音を聞きながら、俺は秘匿回線を莉乃の弐号機に切り替える。

 そう、これは大事なメンタルケアなんだ。自分にそう言い聞かせる……イマジナリーストマックが痛くなってきた。

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