決戦兵器の制御コアにされた俺のパイロット候補が全員ヤンデレで依存してくる   作:なっくる@2作品書籍化

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第23話 三人目、降臨

「皆さま初めまして。このたびカグツチ弐型改参号機のパイロット候補として採用されました、清家 礼奈子(きよか れなこ)と申します」

 

 優雅に一礼する若い女性。赤みがかったサラサラのロングヘアーが、ふわりと広がった。

 

 数日後、カグツチ弐型パイロット専用のブリーフィングルームで俺たちは”三人目”のパイロットを迎えていた。

 

「年齢は21です。お恥ずかしながら、プローバーの攻撃があった2年前の時点で高等学校を留年しておりまして。その後は世間の混乱で通えず……今だ高等学校の学生という身分になります」

 

 困ったように頬に手を当て、苦笑いする礼奈子。紺色の瞳は落ち着いていて、清楚な大人の女性という印象だ……首から上は。

 

「え、あ? おねーさん高校生? きゃばのキャストじゃないよね?」

「なんか臭そうです……」

 

 失礼すぎる美嘉と莉乃の感想も、根拠がないとは言えない。

 礼奈子は青襟、朱色のリボン、白のラインが入った紺色のスカートという由緒正しいセーラー服姿なのだが、丈が短くへそ出しで、スカートは美嘉よりは長いもののかなりのミニスカ。すらりと長い脚にはソックスの類は履いておらず、少しヒールの付いたローファーという物凄くコスプレ感漂う恰好なのだ。

 

「ふふ、ごめんなさい。わたくし戒律の厳しいミッション系の中高一貫校に通っていて……こういう奔放な格好に憧れがあったの」

 

 少女たちの正直な感想を、淑やかにいなす礼奈子。

 ここだけ見れば個性的な少女たちをまとめる大人の女性……10代中盤のアイドルグループにまとめ役として一人だけ成人が混じっているアレだ。

 

「礼奈子君は、この二年間戦略自衛隊の後方支援部隊にいてね。各種機材の運転もお手の物。看護師の資格も持っているから、君たちも頼りたまえ」

 

「よろしくね。甘井美嘉ちゃん、陰野莉乃ちゃん」

 

「「あっ、はい」」

 

 流石に二人も、年上のお姉さん相手には素直に頷いている。

 

「おいおい二人とも。ワタシの時と態度が違わないかね?」

 

 まあ博士は見た目中学生ですからね。

 そう考えた瞬間、仮想体の頭にピコピコハンマーが落ちて来た。

 

「とりあえず、参号機の操縦について座学を始めよう。制御コアAIの紹介をするから、礼奈子君はセンタールームへ」

 

「「…………」」

 

 美嘉も莉乃も、不満げな視線を博士に送っているが声に出すことはない。

 服装が少しアレとはいえ、お姉さんを加入させたことは正解だな。

 ……そんな俺の第一印象は、徐々に上書きされていくことになる。

 

 

 ***  ***

 

 最初の違和感は、座学を終えた彼女が制御コア本体と対面した時のことだった。

 

「なるほど。人の脳をトレースし、隔絶された処理能力を実現していると……そうですね満里奈博士?」

 

「……ふうん? コイツの特殊性を一目で見抜くとはね。前任地は第17補給廠だったか? 誰の下で働いていたのかね?」

 

「はい、機密任務で……七條(しちじょう)技術大尉の所に」

 

「ち、あそこか。いくら戦略自衛隊内の組織とはいえ、軽々しく機密情報を喋って欲しくないねぇ…………嫌がらせのつもりか、馬鹿姉め」

 

(……え?)

 

 ぼそりと呟いた博士の声に気を取られる。

 姉?博士とは名字が違うのに?

 思わず問いかけようとした俺だが……。

 

「で、どこの人間を使っているんです? 避難民?それとも最初期の被害者ですか?」

 

 落ち着いて会話をしていた礼奈子が、突如その紺色の両眼を光らせる。

 な、なんだコイツ……俺の中身に興味があるのか?

 それに、俺がAIではなく生体パーツだと知っている?

 気持ち身構える俺。

 

「…………ここではぐらかしても(ヤツ)に聞く可能性があるな」

 

 渋面を浮かべる博士。制御コアの秘密を教えるべきか迷っているみたいだ。

 

「もうわたくしはココの所属ですよ? 軍属としてそんなことはしませんが」

 

「どうだかねぇ…………兵庫県の神戸市で奴らの攻撃を受けた、最初期の被害者さ」

 

 しぶしぶという感じで、博士が俺の情報の一部を開示した瞬間。

 

「ま、まさか!! わたくしの担当(ダーリン)の可能性があるっ!!」

 

 礼奈子は豹変した。優し気なたれ目が、大きく見開かれる。

 

「…………は?」

『…………は?』

 

 俺と博士の声がシンクロする。

 あ、やべ。思わず音声をオンにしていた。

 

「その優しい声! ダーリンに似ている!! こうしちゃいられないわっ!!」

 

 テンションマックスになった礼奈子は、セーラー服のポケットからスキレットを取り出すとキャップを開け豪快にあおる。

 

 ごくごくごく

 

「ぷはっ! ふふ、今日はドン○リを入れさせてもらったわ! これでアナタが売り上げトップね!!」

 

「…………え?」

『…………え?』

 

 あまりの展開についていけない。

 俺と博士は啞然とするしかない。

 

「もう会えないと思っていたわ! ああ、わたくしの担当(ダーリン)~!」

 

「ちょ、ちょっと落ち着きたまえ礼奈子君!

衛生兵! 衛生兵はどこだ!!」

 

『え、え~っと』

 

 酒が抜けて?礼奈子が正気に戻るまで……三十分ほどの時間を要したのだった。

 

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