決戦兵器の制御コアにされた俺のパイロット候補が全員ヤンデレで依存してくる 作:なっくる@2作品書籍化
「ということで、よろしくねユージ……おっと、この名前は出しちゃダメだったかしら?」
『いや、この回線は参号機との秘匿回線だから、大丈夫だよ』
「ふふ、了解♪」
数日後。俺は参号機の実機訓練の為……礼奈子の機体に搭載された子機に意識を移していた。
「あとの二人はちゃんと着いてきている?」
「操縦は俺の仕事だからね。問題ないよ」
今日の訓練の目的は、超電磁砲の試射。
参号機を支援する壱号機と弐号機も、数百メートルの間隔を開けて、後方から追従させる。
『美嘉的にはあーいうおねーさんに憧れん事もないけどぉ……まだ優っちに気づいてないよね?』
『くっ……私の苦手なタイプだというのに、あんなに優しくされると調子が狂います。まあ、軍属とはいえカグツチ弐型には関わっていませんでしたから、優史さんのことには気づいていないでしょうが……』
今日の主役は参号機だ。
いつもなら張り合ってきたり嫉妬するだろう二人も、おとなしく従っている。
「美嘉ちゃん莉乃ちゃんと女子会を開いて、親睦を深めたお陰ね♪」
礼奈子は先日、市内の高級クラブを貸し切り美嘉たちと女子会という名のパーティを開いた。そこですっかり意気投合したとは礼奈子の談だが……。
「二人に酒を飲まそうとしただろ? 法律違反は駄目だぞ?」
「ごめんなさい、ユージ」
博士からの指令で、女子会の様子を監視もとい観察していた俺だが、いきなり高級ワイン(なんたらコンティと言うアレだ)を飲ませようとした礼奈子を博士を突入させる事で止める。
『ワタシは暇じゃないんだがねぇ!』
と言いつつ、礼奈子が開けてしまったワインを別室で飲むことになった博士はどこか楽しそうだった。さすがに見た目が中学生でもオトナである。
その後、先制パンチをくらった美嘉と莉乃は、少々ビビりつつも礼奈子が出会った理想の男性(ホストのことだ)の話題や、補給廠で得た機密の話など二人に刺さりそうな女子?トークでそれなりに盛り上がっていたのだが……。
(正直、仲良くなったというより礼奈子のヤバさに圧倒されていたというのが正しい)
俺は先日の『女子会』の様子を思い出していた。
*** ***
『さて、二人とも。食べたいものを何でも頼んでね♪ 今日はわたくしのおごりよ!』
『『は、はぁ……』』
高級クラブの2階には、これまた高級なレストランが存在する。そこから何でもオーダーできるのだが……。
『礼奈子さん、ちょっと頼み過ぎです!!』
『こんなに食えんしぃ……』
テーブルからはみ出んばかりに並べられているのは、大量の料理。
今や超高級品となった、刺身やアジフライ、それにステーキまで。ありとあらゆる品が並んでいた。
『貴重な食材をこんなに浪費して……一体いくらになると思っているんですか!』
『大丈夫大丈夫、担当の為にもなるから』
『担当ってなにぃ……?』
明らかに食べきれない量の料理に、正論で抗議する莉乃と引いている美嘉。
主食のコメを除けば、副食は合成素材を使うのが普通らしいから、莉乃の抗議も尤もだろう。
『まぁまぁ、食べましょう。ん~、美味しいわ!』
二人に構わず、色々な料理をつまみ食いする礼奈子。
『あ~!! 食べかけをそんなに残さないでください!』
『れ、礼奈っち激ヤバなんじゃけど……』
首から上はお清楚なのに、天性の浪費家でだらしない。
あの莉乃がフォローに回っているくらいに。
(それだけじゃなく)
映像が別のシーンに切り替わる。
『ん~、二人とも苦労してきたのね。はい、いい子いい子~♪』
一通り料理をつまんだ後(残りは博士やスタッフが美味しくいただきました)、ソファーに座って美嘉たちの話を聞きながら、二人の耳かきをする礼奈子。
『ふひ~、ヤバい。”ママ”もいいかもしれん……』
『くっ、この私が王子様以外に簡単に陥落するわけにはいきません!』
こしょこしょ
『ああ~♡』
『ふふ。もっと行くわよ』
浪費癖で二人をドン引きさせたかと思えば、母性溢れる耳かきで二人を篭絡する。
そして最後は……。
『ふぅ、そろそろわたくしもアレが欲しいわね』
この店は高級クラブである。棚に置いてあったどう見ても高そうなシャンパンを手に取ると。
ごくごくごく
情緒のかけらもなく一気飲み。
『…………はっ!? ここはもしや、わたくしの担当が修行していた伝説のクラブ!! うおおおおおおっ!! あの人の!あの人の痕跡はいずこ!!』
『はいはい、衛生班の出番だねぇ』
酒の力により、担当ホストの幻影を追う礼奈子のヤバい人格が顔をだす。すかさず博士が指揮する治療スタッフが店内に突入し、麻酔を打たれた礼奈子は担架に乗せられて退場。
『『えぇ……』』
後には、子猫のように手を取り合って震える二人が残された。
……というワケである。
*** ***
(アカン)
改めて、礼奈子のぶっちぎりの気性難を実感し頭を抱える俺。
だが……俺には彼女を導く義務があった。