決戦兵器の制御コアにされた俺のパイロット候補が全員ヤンデレで依存してくる   作:なっくる@2作品書籍化

3 / 14
第3話 覚醒

 ヴンッ

 

「さぁて、三俣君。改めて自己紹介としようか」

 

 あれからどのくらいの時が経ったのか知らないが、唐突に俺の意識は覚醒した。

 

「…………」

 

 前回とは異なり、俺の意識はハッキリしている。

 そして、俺の前に立っているのは前回と同じ白衣を羽織った背の低い少女。

 

「ふふ、そう怖い顔をしないでくれたまえ。ここは制御コア内に構築した仮想空間さ。前回のように、身体的違和感はないだろう?」

 

 少女の言う通り、俺には身体と手足が存在する。

 動き回ることも出来そうだが、少女はここを仮想空間だと言った。

 仮に俺が彼女に飛び掛かったとしても、即座に止められるだろう。

 

「……それで、ここは結局どこなんだ?」

 

 まずは現状把握である。

 俺は恐らく機械生命体? の攻撃で負傷し、この少女にここに連れてこられた。

 

「ふぅん、取り乱したり暴れることもなく、冷静に質問をしてくるとは……さすがワタシが見込んだ被験者だけはある」

 

 少女は組んでいた腕を解くと、さっと右手を振る。

 その途端、空中にいくつかのウィンドウが表示された。ここが仮想空間であることは間違いなさそうだ。

 

「ワタシの名前は摩弩 満里奈(まど まりな)。戦略自衛隊航宙軍研究センター首席研究員を務めている」

 

 戦略自衛隊?

 航宙軍?

 少なくとも二年前は小説やアニメの中にしか存在しなかった単語だ。

 

「そして、対機械生命体(プローバー)決戦兵器、カグツチ弐型の設計主任でもある」

 

 ヴンッ

 

 ひときわ大きなウィンドウが開き、カグツチ弐型とやらの機影が大写しになる。

 ブロックを組み合わせたようなゴツイ胴体部分に、左右に広がるウィング。

 脚部は円筒形のスラスターになっていて……なんというか某アルパなんちゃらに雰囲気が似ている。

 

「そうそう、ワタシも新金型が出たあの機体が好きでね。参考にさせてもらったというワケさ」

 

 愉快そうに笑う満里奈と名乗った女性。

 その反応に、この女は俺より年上であることを確信する。

 見た目は中学生なのに……ロリババァというヤツだろうか。

 

「失礼だねぇ、君。ワタシはまだ二十代だと言うのに」

 

 ヤバい、俺の思考はこの女に筒抜けらしい。

 思わず仮想体(?)に冷や汗をかく。

 

「まあいい、三俣優史君。君は地球に侵攻して来た機械生命体、プローバーの攻撃に遭い、瀕死の重傷を負った」

 

 やっぱアレは実際に起こった事だったのか……なら、一緒にいた真彩は。

 ぎりっ。思わず唇をかみしめるが、痛覚は感じない。

 

「正直、君が搬送された時には手の施しようがなくてね。めでたくワタシが開発を進めていた、新型オムニゲート機関を搭載したカグツチ弐型の生体制御コアの被検体に選ばれたというワケだ」

 

 え、本人の同意無しで酷くない?

 そんな横暴が許されるのだろうか。

 

「君を診た医師は、一度死亡宣告を出していたからね。有効に使わせてもらったよ」

 

「えぇ……」

 

 あまりの言い草に、思わず声が漏れた。

 つまり俺は死亡扱いとされ、この女に勝手に実験体にされたという事だ。

 ショ○カーもびっくりである。

 

「あの時ワタシが君の脳を制御コアの試作機に移さなければ、君はあそこで死んでいたんだぞ。まあ、被検体の中で意識が回復したのは君だけだったが」

 

「!! な、なら真彩は……俺の妹は?」

 

 目覚めたのは俺だけ、他にも被験者がいる。

 その言葉に、俺の背筋は凍り付く。まさかあの場にいた真彩は……。

 

「ん? 君の妹かい? ワタシの持っているデータには存在しないねぇ」

 

 両手を上げ、おどけたポーズを取る満里奈。

 本当だろうか?

 その赤銅色の瞳の奥の思考を読むことはできない。

 

「という事で、カグツチ弐型の生体制御コアを務めてくれると助かるんだが、どうだろう?」

 

「ど、どうって」

 

 命を助けて? もらったことは感謝するが、あまりに横暴すぎないか。

 目を覚ましたら自分の脳を改造され、兵器の制御コアにされていた。

 

「そんなの……」

 

「ああ、言い忘れていた」

 

 挙げかけた抗議は、満里奈が右手を上げると封殺された。

 やはりこの空間の中では、この女が絶対的な権限を持っているようだ。

 

「オムニゲート機関研究の副産物として、高性能な義体の開発も進んでいる。君がこの仕事を務めあげてくれたなら、その初号体を戸籍と共に贈呈しても良いのだが」

 

「!!」

 

 満里奈の言葉に、目を見開く。

 生体制御コアの状態から、人間に戻れるという事か?

 

「……それに」

 

 再度腕を組んだ満里奈は、にやりと笑う。

 ゲームやアニメでよく見る、マッドサイエンティストの笑み。

 

「たった今調べたのだが、三俣真彩という14歳の少女は、死亡・行方不明者リストに存在しない」

 

「!?!?」

 

「これは噂なのだけどねぇ。連中(プローバー)は、初回攻撃の際に人間をいくらか連れ去ったらしい。もしかしたら、君の妹も……」

 

「…………やりますよ。やればいいんですよね」

 

 自分の身体を取り戻し、妹を探し出せるかもしれない。

 そうであれば、俺の選択肢は一つしかなかった。

 

「ふふっ、よろしくサンマタ君。ワタシのことは博士と呼んでくれたまえ」

 

「……ミマタです」

 

 仮想空間内で、満里奈……博士と握手を交わす。

 

「さぁて! まずは君のパイロット候補を探そうか! オムニゲート機関の制御は繊細でねぇ、いくらワタシの開発した制御コアとはいえ生体ベースである以上マルチプロセス数には限界がある……むしろマスコミ受けを狙って、くふふふ」

 

 ぎらり、と赤銅色の瞳を光らせ何やらぶつぶつ呟き始める博士。

 

(やべぇ)

 

 さっそく承諾したことを後悔するが、もう遅い。

 こうして、俺の奇妙な生体制御コア生活が始まってしまったのだ。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。