人型決戦兵器に改造された俺氏、美少女(但しヤンデレ)パイロット達のお世話をしながら世界を救う   作:なっくる@2作品書籍化

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第35話 まずは莉乃と作戦会議をしよう

「と、いうことなんだが。ここは莉乃にお願いしたい」

 

 翌日の夜。

 俺は秘密の仮想空間に莉乃を呼び出していた。

 

「ふふっ、やはり優史さんが最初に頼るのは私なのですね」

 

「まあな。電脳戦と言えば、莉乃だからな……正直、ネットダイブに関しては世界でも有数の使い手だと思う」

 

 俺の膝に頭を乗せ、ご満悦な莉乃の耳を耳かきでそっとくすぐる。

 

「んんっ♡ もう、褒めすぎですよ♪」

 

 外面はSだったりむっつりな莉乃だが、二人きりで王子様プレイ(?)をしている時は素直に甘えてくる。

 いつもこうなら可愛らしいのだが。

 

「お仕事とはいえ、一番に選ばれたのがマシュマロ陽キャでもなく倫理観ぶっ飛びアル中お姉さまでもなく私……いいですね」

 

 恍惚とした笑みを浮かべる莉乃。

 二人に対する表現が少しだけ柔らかくなっているのは心を許してきた証拠だろうか。

 

「満里奈博士はアレで人参をぶら下げたつもりでしょうが……そもそも優史さんの仮想体と意思疎通ができる私と周回遅れ女どもとでは勝負になりません。ただ、満里奈博士に恩を売っておくことも必要でしょう。優史さんの義体のアレを凄いドリルにしてもらいたいですし」

 

(ドリルはやめて!?)

 

 と思ったら、ヤバい願望を垂れ流しながらマウントを取り始める莉乃。

 

 半年後に義体が完成する。制御コア内で俺の意識が目覚め始めている……博士が突然ぶっこんだ爆弾は、パイロットの少女たちのやる気と対抗心をさらに燃え上がらせていた。

 

(今まで以上に気を付けないとな)

 

 三人とも、俺の意識と会話できるのは自分だけだと思っている。

 他の二人もそうだとバレてしまえば、深刻な仲違い(下手したら同士討ち)やチームの崩壊に繋がる可能性がある。

 ……ヤバい。また胃が痛くなってきた。

 

「……つまりは、私のハッキングもとい諜報能力を生かして、満里奈博士の対抗勢力の弱みを探せばいい訳ですね」

 

 そんな俺の内心に気付くことなく、俺のクソ長い説明をAIでまとめた莉乃は、空中に投影したメッセージを右手の人差し指でなぞる。

 

「そうなるな。まずは小さなネタでも構わないけど、奴らのスキャンダルが欲しい」

 

「了解です。それにしても売国奴と名高い外務省の鬼島と銭ゲバ財務省の霜田。それをまとめる廊外総理……相変わらずこいつらは国民の敵ですね」

 

 過激な発言をする莉乃。形式上はプローバーに対抗すべく挙国一致体制を敷いている日本。プローバーの攻撃時の政権は失政を繰り返し支持率は低迷、内閣不信任案一歩前だった。

 ……日々仕事に追われる当時の俺は、フーンくらいにしか思っていなかったが。

 

「まさか、毎日ワイドショーを騒がせていた連中がまだ政権の座にいたなんてな」

 

 緊急事態が宣言され政権は継続し……博士が開発していたオムニゲート機関の成果に乗っかる形で支持率を回復したらしい。閣僚を入れ替えつつも支持率低迷の元凶である3名は留任したまま今に至る。

 そいつらが博士にちょっかいを掛けてくる対抗勢力というワケだ。

 

「ですね。こいつら悪運が強いだけのクソ野郎です。少し余裕が出てきたと思えば、すぐに私腹を肥やし売国政策……徹底的に潰しましょう」

 

「だ、だな」

 

 すっかりブラック莉乃が表に出てきているが、彼女がやる気になってくれたのはいいことだ。

 

「俺としては、まず鬼島外務大臣を狙おうと思うんだけど」

 

「良い方針だと思います。霜田はシモ駄と言われるくらい下半身ユルユルの猿ですから、美嘉さんや礼奈子さんをあてがっておけばイチコロでしょう」

 

「おいおい……今どき美人局って」

 

 とんでもない提案をした莉乃にツッコミを入れる。

 

「いえ、勝算はあります。上級ほど自身の権力を過信してこういうのに引っかかるんですよ。待遇に不満を持った美少女パイロットが権力者である自分を頼って来る……釣れそうなエサじゃありませんか?」

 

 ハッキングにより俺よりたくさん世界の闇を見て来たであろう莉乃がにやりと笑みを浮かべる。

 

「な、なるほど……」

 

 妙な説得力が彼女の言葉にはあった。

 

「そういえば、シモ駄の手下とおぼしき斡旋員が私のいた児童福祉施設に何度も来ていましたね。このネタを絡ませるもの良いでしょうね……ふ、ふふふっ、あの時姉さんは……」

 

(これは……)

 

 何かヤバい出来事でも思い出したのか、莉乃の目からハイライトが消える。

 

「莉乃、それ以上いい」

 

 トラウマスイッチの発動を検知した俺は、声色を調整すると莉乃の背中をそっと撫でる。そう、ここで彼女が過去のトラウマを思い出しても何の得もないのだ。

 

「……っつ!? 優史さん? そこにいてくれるんですね」

 

 俺の手を取ると自身の頬に擦り付ける莉乃。この仮想空間は少しだけ自身の感覚を伝えることが出来る。

 

「んんっ、もう大丈夫です」

 

 俺の手のぬくもりを感じたのか、莉乃の両目にハイライトが戻った。

 

「もしその策を使ったとしても……ちゃんと二人は助けるぞ?」

 

「ふふ、別にいいんじゃないですか?」

 

「いや、良くないって」

 

「それはともかく、侵入の手はずですが……」

 

 俺はいつもの調子を取り戻した莉乃と、深夜の作戦会議を続けるのだった。

 

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