東方模倣魔女 〜 The magic girl of imitation.   作:緋鳥

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幻想郷に行ったら心安らかになります

と思ってます(おい)


#2:天秤の魔

「…アウラ様?」

「えぇそうよ。文句でもあるの?」

 

その、目の前の存在は、私にはアウラ様には見えなかった。

 

かつて纏っていた恐怖を与える雰囲気や、鋭く息の根を止めるような視線などはどこにもなく。

私を優しく包むような穏やかさだけがあった。

 

「……アウラ様、変わった?」

「あぁ、なんだか憑き物がとれたような、不思議な気分よ。こればっかりはフリーレンとその仲間に感謝ね」

 

アウラ様はふふ、と穏やかに微笑む。

その顔に何か、言葉にできない想いを感じた。

何かは分からないけれど。

 

「変わったと言うなら、お前もじゃない?」

「私、も?」

「何だか、前よりも顔が晴れやかになったわよ」

 

思わず自分の顔を触ってみるが、もちろん分からない。

すると、アウラ様が突然私のほっぺを両手で挟んだ。

 

「アウラ様?」

「気にしなくていいわ、何となくしたくなっただけよ」

 

…やっぱり、アウラ様は変わった。

前はこういうことする方ではなかったと思う。

そして、私も変わった。

ただほっぺを挟まれただけなのに、少し体が熱を持っている。

理由は分からない。

 

「それで、どうするの?」

「どうするって、なにを?」

 

アウラ様は呆れたような顔をした。なんで?

 

「リーニエ、お前ねぇ…何もしないで生きていけるわけないだろう?」

「あ、そっか」

 

死んだ事実に引っ張られて忘れていた。

生物は最低でも飲み食いしないと死んでしまう。

 

けど、なんでだろう。

 

人を喰うのは、あまり進まない。

 

「…アウラ様」

「取り敢えずは、食を探すのがいいか。リーニエ、ついて来い」

 

気だるそうに言うと、アウラ様は私を抱えていた手を離して立たせた。

そしてフワリと浮くと、私の手を取って空を進み始めた。

 

私も置いていかれないように飛行魔法を使用した。

 

前はきっと、私をエスコートなんてしなかっただろう。

そのことにアウラ様の変化を感じる。

 

そういえば、と私は思い出したように口に出した。

 

「そういえば。さっきなんで、アウラ様は私の太もも撫でてたの?」

「?私の部下を可愛がるのに理由がいるの?」

 

…やっぱり、変わった。

そしてその変化は、なぜだか心地良い。

 

◇ ◇ ◇ ◇

 

しばらく飛んでいると、何かが動くのが見えた。

 

「ん、アウラ様。あそこ」

「獅子猪よりでかいわね。リーニエ、よくやった」

 

褒められて悪い気はしない。

私は口元を少し緩ませて、飛行魔法を解除した。

重力に従い落下していく体。

私は記憶の中から、1人の戦士の技を思い浮かべる。

 

私が最強の戦士と認めた者が使い、弟子へと継承され、私を殺した技。

 

模倣する魔法(エアファーゼン)

 

手元に巨大な両刃斧を召喚し、未だ気付かない猪の頭頂に狙いを定める。

 

落下と共に威力は増大し、模倣元には及ばない私の威力を幾らか補填する。

慢心はしない。前世の最期で学んだことだ。

 

斧の軌道をイメージする。

 

問題ない。即死だ。

 

私は斧を強く握り、構えを固める。

 

「ーーー閃天撃」

 

一瞬、最期に私の存在に気付いた猪と目線が合う。

その時、私はその言葉を確かに発した。

 

「…ごめんね」

 

そして、自分で驚いた。

私が誰かに本心で謝るなんて、あり得なかったから。

 

けどすぐに切り替え、私はその一撃を猪の頭頂に叩き込んだ。

 

眩い閃光が走り、斧の刃から強い衝撃を感じる。

それも一瞬だ。

 

抵抗を真正面から破壊したその一撃は、猪の頭蓋を砕き割り、地面にまで深い傷を残す。

 

ずるりと音を立てて刃を地面から、猪の頭から引き抜く。

 

「中々やるじゃない、腕を上げたわね」

「いや、まだまだだよ。本物はもっとーーー」

 

あの時、私の体を抉った一撃。

あれが城壁に当たっていれば、壁を粉砕し両断していたはずだ。

 

今の私が放ったものは、それには遠く及ばない。

せいぜい大岩を両断するのがいいところだ。

 

「自分に厳しいのね。まぁいいか」

 

アウラ様は私の頭を撫でた。

…少し、顔が熱い気がする。

 

すると、アウラ様があっ、と声を上げた。

 

「これ、どうやって食べるの?」

「…あっ」

 

盲点だった。

人間を食べる時は、直喰いだった。

でもそれは魔族がそうやって進化したからだ。

 

生物を食べる時碌に加工しないとアタるかもしれないのは人間も魔族も同じだ。

つまり、最低でも焼く必要がある。

 

問題なのは、どちらも炎を起こせる類の魔法を持っていないこと。

 

人を探して調理してもらうしか無い。

 

2人で猪を運ぼうと手をかけた、その時。

 

「なんだ?随分な大物だな」

 

はきはきとしたよく通る声が、響いた。




まぁ、一度見た上で重ねて見て、受けもしたんだから使えるかなぁ…と思いながら書きました。
威力はシュタルクが放ったやつの半分もありません。

途中のやつですが、
リーニエの太ももスリスリするアウラ様が見たかっただけです。

収斂進化という言葉で説明されていたところから色々考えて、
「人を食べるように進化しただけでそれ以外は人間と酷似している」
という体でいきます。
違うぞ!っていう情報があればぜひ教えてくださると助かります。

次回はとうとう森の案内人さん(他称)が…!?
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