ReゼロTS転生モノ   作:うてえええええ

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初投稿です


プロローグ:ルグニカの空は、あまりにも青く

――何がどうして、こうなった。

見知らぬ天井、ではない。見上げるほどに高い、青。どこまでも広がる吸い込まれそうな青空と、頬を撫でる風の匂いが、自分の知る東京のそれとは決定的に違っていた。

頭が割れるように痛む。最後に覚えているのは、深夜のコンビニからの帰り道。トラックのライト。耳を突き刺す制動音。

「……あ、あれ?」

自分の口から出た声に、脳の芯が痺れるような違和感を覚えた。

低く、聞き慣れた自分の男の声ではない。鈴を転がすような、どこか可憐で、しかしひどく掠れた少女の声。

慌てて自分の手を見る。

白かった。そして、驚くほどに細く、小さい。

形骸化した男のゴツゴツした骨感は消え失せ、滑らかな皮膚が指先までを覆っている。胸元に手を当てれば、ささやかながらも確かな膨らみが、トクトクと刻まれる鼓動と共に手のひらを押し返した。

(嘘だろ……。俺、女になってる……?)

混乱を加速させるように、脳内に「見知らぬ記憶」が濁流となって流れ込んでくる。

ルグニカ王国、親竜王国、亜人、魔法、魔女。そして、自分の現在の名前。

――「セリア」。

どこかの地方の没落貴族の娘。行き倒れ、身寄りをなくし、行き着いた先が、このルグニカの王都の路地裏。

「異世界転生……それも、性別が変わるタイプのやつか……」

呆然と呟き、セリア――いや、かつて男だった彼女は、ふらつく足取りで立ち上がった。

まずは生き延びなければならない。状況を把握し、水と食料を確保する。それが先決だ。だが、現実は非情だった。

異世界の路地裏は、日本のそれよりも遥かに薄暗く、そして治安が悪い。

「おいおい、見ねえ顔だな。上等な服着てるじゃねえか、お嬢ちゃん」

絵に描いたような路地裏の悪漢。三人組。小汚い格好をした男たちが、ギラついた目を向けて迫ってくる。

セリアは本能的に後退った。男だった頃の感覚で殴り飛ばそうにも、今のこの身体には力が入らない。足が竦み、声が出ない。

「や、やめて……!」

「へへ、大人しく持ってりゃ痛い目は見せねえよ」

じりじりと詰め寄られ、背中が冷たいレンガの壁にぶつかる。万事休す。転生初日にして、最悪の結末が脳裏をよぎった、その時。

「――そこまでになさい!」

凛とした、しかしどこか優しさを孕んだ少女の声が、薄暗い路地裏に響き渡った。

その場にいた全員の視線が、声の主へと向く。

路地裏の入り口に立っていたのは、一人の少女だった。

風に揺れる、美しい銀の髪。

天上の造形かと思わせるほどに整った、紫紺の瞳。

神秘的でありながら、どこか浮世離れした美しさを纏った彼女は、憤然と男たちを睨み据えていた。

「女の子一人を大勢で囲むなんて、感心しないわ。その子から離れなさい」

セリアの息が止まる。

その容姿、その圧倒的な存在感。知っている。前世の記憶が、目の前の少女の正体を正確に告げていた。

――エミリア。

『Re:ゼロから始める異世界生活』のメインヒロイン。そして、この世界の運命の中心にいる存在。

「あ? なんだお前、すっこんでろ……ッ!?」

「微精霊たち、お願い!」

男たちが悪態をつきかけるより早く、エミリアがそっと手を掲げる。

空間に輝く光の粒子が集まり、一瞬にして鋭い氷の礫へと姿を変えた。男たちの足元へ正確に突き刺さる氷の刃。地面が凍りつき、凄まじい冷気が路地裏を満たす。

「ひ、ひえっ! 魔法使いかよ!?」

「次はお肌に突き刺すわよ。どうする?」

「お、覚えてろ!」

男たちは蜘蛛の子を散らすように逃げ去っていった。

静寂が戻る。セリアは壁に背を預けたまま、ただただ、目の前の「奇跡」のような少女を見つめることしかできなかった。

エミリアは男たちが去ったのを確認すると、ふう、と小さく息を吐き、すぐに心配そうな表情を浮かべてセリアへと駆け寄ってきた。

「大丈夫? どこか怪我はない?」

間近で見る彼女は、暴力的なまでに美しかった。

そして、その瞳に宿る純粋なまでの善意が、セリアの凝り固まった心を強く揺さぶる。

「あ……う、うん。大丈夫、です。助けてくれて、ありがとう……」

声が震える。それは恐怖からではなく、目の前の存在に対する圧倒的な感情の昂ぶりのせいだった。

元が男であるセリアにとって、エミリアは「憧れのヒロイン」だった。だが今、同じ「少女」としてその手を差し伸べられた瞬間、セリアの胸の奥で、前世とは全く異なる、熱く、切ない感情が小さく産声を上げた。

「よかった。私、ちょっと探し物をしていて通りかかっただけなんだけど、間に合って本当によかったわ。私はエミリア。あなたは?」

「私は……セリア。セリア・エヴァンス、です」

「セリアね、可愛い名前」

エミリアはそう言って、ひまわりが咲くような、屈託のない笑顔を浮かべた。

これが、二人の。

狂おしいほどに優しく、そして長い旅路の、すべての始まりだった。




これよく考えたらTS要素要らんかったかもしれん
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