10人目のサイボーグ   作:れぷとん

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第144話 懲りない記事

 ゴシップ誌をどうにかするのは無理だった。00ナンバーサイボーグたちも悟った。リビングで記事を広げて読む、笑う。最近の習慣になっていた。003が言った。 「相手にしない方がいいわ」 004も頷いた。 「エネルギーの無駄だ」 002が笑った。 「むしろ面白くなってきた」 009-7は呆れた。 「私は面白くない」 「慣れろ」 004が即答した。そこで方針が決まった。ゴシップ誌は放置して、女性誌、一般誌など、きちんとした媒体に協力する。こちらで正しい情報を出す。実に004らしい方針だった。

 

 まず、009と003の二人でインタビュー。女性誌の人気企画となった。記者も緊張していた。世界中が知っているカップルだった。実際に会うと、仲が良すぎた。 「ジョー」 「何?」 「その話前にも聞いた」 「そうだっけ」 「三回目よ」 長年連れ添った夫婦みたいだった。記事は大ヒット。見出し『戦場を越えて続く絆』 『009と003の素顔』 女性読者は歓喜した。 SNS『尊い』 『本物の愛』 『ゴシップ誌は何を見ていたの』 圧倒的だった。一方、009-7もインタビューを受けた。女性誌だった。編集部は真面目だった。戦争、再生、家族、仲間、人生。そういう話を聞いた。009-7も真面目に答えた。ブラックゴースト、サイボーグ化、家族との再会、仲間との戦い、平和への願い。記事は感動的だった。しかし、なぜか読者の反応がおかしかった。 『お姉さま……』 『凛々しい……』 『まるで男役スター……』 『宝塚で見たい』 編集部も困惑した。戦争体験の記事である。なのに、コメント欄が『お姉さま素敵』 『戦闘服が似合いすぎる』 『敬礼されたい』 方向性がおかしい。009-7は記事を読んだ。 「なぜ?」 003は肩をすくめた。 「諦めなさい」 「納得できない」

 

 その頃、ゴシップ誌の編集部では「負けてたまるか!」記者が叫んだ。そして、新しい記事が出た。見出し『一人で戦う銀の魔女』嫌な予感しかしなかった。記事『009を振り返らせるために努力を続ける009-7』 002は爆笑した。 「努力してるらしいぜ」 009 「知らなかった」 003「私も」 004は静かに記事を読んだ。数秒後、笑った。009-7も記事を見た。 『しかしその想いは届かない』 『だからこそ戦い続ける』 『銀の魔女の孤独』 沈黙した。009-7の反応を全員が待っていた。 「私は別にそのために戦ってないよ」 当然だった。 「ジョーと戦ったこともない」 「そうだね」 009が頷く。 「孤独でもない」 「そうね」003も頷いた。「むしろ賑やかだ」 「それは間違いないな」 002が言った。毎日うるさいくらいだった。記事の中の009-7は悲劇のヒロイン、叶わぬ恋、孤高の戦士。現実の009-7は、ジャージ、みかん、秋葉原、PCパーツ。まるで違った。

 

 003が記事を閉じた。「もう好きに書かせておきましょう」004も頷いた。 「もう害はないな」 009も笑った。 「そのうち飽きるんじゃないかな」 002が言った。 「絶対飽きないぞ」 全員「そうかも」 完全一致だった。そして翌週、また新しい記事が出た。 『沈黙を守る銀の魔女。その真意とは』 009-7は記事を見て言った。 「私、何も喋ってないだけなんだけど」 00ナンバーサイボーグたちは、また笑った。

 

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