深夜のバラエティ番組『恋する夜の本音DX』。ネオンが輝くスタジオで司会者が妙にテンション高く叫んでいた。 「というわけで本日のテーマは! “もし一晩だけ抱かれるなら誰!?”スペシャル〜!!」 観客席から歓声。出演しているのは高級クラブ嬢、人気キャバ嬢、そして高級ソープの女性たちだった。酔ったような空気の中、司会者が一枚のパネルを掲げた。そこには、最近世界的英雄として知られる“00ナンバーサイボーグ”たちの写真。 「やっぱり人気なのはこの人たちですよねえ!」
最初に名前が出たのは004だった。 「あー、絶対004さん!」 「わかる〜! あの危険な感じヤバい!」 「絶対優しいし、あと背中がエロい!」 004ことアルベルト・ハインリヒは、テレビ画面の向こうで煙草を持ったまま静止した。 「……背中?」 隣で見ていた006が吹き出す。 「ぶはははは! なんだそれ!」 次に名前が挙がったのは002。 「002さん、絶対モテるでしょ!」 「なんか女慣れしてそう!」 「あと速いじゃん!」 「何が!?」 司会者のツッコミでスタジオが爆笑した。ジェット・リンクはテレビの前で頭を抱えた。 「おい待て!! 変な意味にするな!!」 007が腹を抱えて転げ回る。 「ははははは!! ジェット、速いと言われてるぞ!!」 そして問題は、その次だった。 「私は009かなぁ……」 「わかる」 「なんか、守ってくれそうだし」 「あと顔が反則」 「抱きしめられたら絶対好きになる」 島村ジョーの顔が一瞬で真っ赤になった。 「う、うわぁぁぁぁ!!」 003が冷たい目を向けた。 「……何を想像してるの、ジョー。」 「し、してないよ!?」 「してる顔よ。」 005が肩を震わせながら耐えている。 「……ぷっ。」
だが本当の爆弾はここからだった。司会者がニヤニヤしながら聞く。 「では逆に、“絶対崩したい素顔”とかあります?」 一人の派手な女性が即答した。 「009-7。」 一瞬、スタジオが静まり返った。 「えっ、女性ですよ!?」 「だからです!」 観客席がざわついた。 女性は真顔で続けた。 「あの人、綺麗すぎるんですよ。無機質っていうか人形みたいで。だから逆に……乱れた顔を見てみたい。」 「わかるー!!」 「禁欲的な美女って崩したくなる!」 「子宮が疼くっていうか!」 テレビのテロップが躍る。 【009-7 謎の女性人気】 さらに別の女性が爆弾を落とした。 「高級ソープにいたら永久指名ですね!」 すると、スポンサー席にいた高級店の店主まで便乗した。 「もし00ナンバーの方々が来店いただけたら、当店、無料サービスします!」 「おおおおお!?」 スタジオ大爆笑。 一方、その放送を見ていた00ナンバーたちは。 「…………」 完全に沈黙していた。気まずい。ものすごく気まずい。009は耳まで真っ赤。002はニヤニヤを堪えていた。004は無言で煙草を吸っていた。003だけが額を押さえていた。
そして当の009-7はポテトチップスを食べながら感心したように言った。 「私、人気者なんだな。」 「そこじゃないわよ!!」 003が即座に突っ込んだ。 「え?」 「“乱れた顔を見たい”とか言われてるのよ!?」 「それは興味深いな。」 「興味持たないで!!」 009-7は首を傾げた。 「でも人類の性衝動は文化的にも重要な——」 「理屈で分析するな!」 003が頭を抱えた。だが009-7はどこ吹く風だった。 「しかし無料サービスというのは経済的合理性に欠ける。いや宣伝効果を考えると・・・」 「そこを真面目に検討しないで!!」 002が腹を抱えて笑い出した。「駄目だ、003! こいつ天然すぎる!」 009-7はさらに続けた。 「あと、“乱れた顔”というのはどのような状態の顔のことか——」 「聞かなくていい!!」 003は絶叫した。その横で009はまだ真っ赤になったまま固まっていた。004がぼそりと言った。 「……お前、しばらくテレビ見るな。」 「うぅ……。」 すると009-7が真顔で009を見た。 「ジョー。」 「な、何?」 「君はなぜ赤くなっているの?」 003がじとっとした目を向ける。009は視線を逸らした。 「……説明しなくていいわよ。」 007がニヤニヤしながら肩を叩いた。 「青春だねえ。」