10人目のサイボーグ   作:れぷとん

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第79話 戦闘

 その国境地帯の難民キャンプ周辺、最初は小規模な襲撃だった。夜の検問所への攻撃、補給路への妨害、迫撃砲による威嚇。だが、次第に規模が大きくなっていった。背後には周辺勢力の支援があることは明らかだった。難民たちは再び恐怖を思い出した。 「また戦争が始まるのか」 子供たちは泣いた。老人たちは荷物をまとめ始めた。ようやく平和になったと思ったのに。一方、自称東ローマ帝国軍は陣地を守っていた。兵士たちは覚悟を決めていた。 「ここを通せば難民キャンプが危ない」 「分かっている」 「最後まで持ちこたえる」 彼らは本気だった。誰かに命令されたわけではない。自分たちの意思でそこにいた。だが、戦力差は大きかった。敵は多く、武器も重い。時間が経つほど押し込まれていった。

 

 中東自由連邦に緊急報告が届いた。009-7は立ち上がった。 「民間人は?」 「巻き込まれています」 返答は短かった。 009-7は言った。 「行こう」 006も立った。 「了解」 002は笑った。 「久しぶりだな」 004はため息をついた。 「本当に厄介なことになった」 00ナンバーサイボーグが出動した。

 

 戦場では、帝国軍を名乗る兵士たちが疲弊していた。弾薬は少なく、負傷者も増えていた。突然、敵側の通信が沈黙した。ドローンが停止し、誘導兵器が機能を失った。車両の電子機器が一斉に異常を起こした。戦場全体が混乱した。誰も理由が分からなかった。空を見上げた若い兵士がいた。 「あれだ」 遠くの丘に白い髪の少女が立っていた。009-7が電子戦能力を最大限に展開していた。戦場のネットワークを掌握し、民間施設を保護し、攻撃を無力化していった。その隣では、002が超高速で負傷者を救出し、006が炎を使って避難経路を確保し、004が指揮系統を分析していた。まるで神話だった。少なくとも、その場にいた若い兵士たちにはそう見えた。 「見たか……」 「本当にいた……」 「009-7だ」 誰かが震える声で呟いた。 「天使だ」 別の兵士が言った。 「違う」 「もっと凄い」 言葉が見つからなかった。彼らに見えていたのは、圧倒的な力を持ち、民間人を守るために使う存在だった。やがて戦闘は終息した。難民キャンプは守られた。避難民も保護された。そして、009-7は負傷した子供の頭を撫でていた。兵士たちはその姿を遠くから見ていた。

 

 少し離れた場所からエレニは救護所を見ていた。生き残った人々、助かった子供たち、その光景に安堵した。だが、兵士たちの視線も感じていた。尊敬、憧れ、信仰に近い感情。それは以前よりさらに強くなっていた。エレニは小さくため息をついた。 「また難しくなったわね」 隣で004が苦笑する。 「言っただろう」 「何を?」 「本物の英雄を見せると、人はますます物語を信じる」 遠くでは、兵士たちが009-7を見ながら語り合っていた。しかし当の009-7本人は、子供たちと一緒に食事をしていた。まわりの大騒ぎは、あまり気にしていなかった。

 

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