事の発端は深夜のお色気バラエティ番組だった。基地のリビングで、001以外の全員でテレビを見ていた。 「なんで俺たちこんな番組見てるんだ?」 004が不機嫌そうに言った。 「暇だから。」 002が即答した。「そうなんだよ、暇なんだ」 008も言った。バラエティ番組の司会者が質問した。 「好きな有名人っていますか?」 出演していた人気AV男優が真顔で答えた。 「います!」 「誰ですか?」 男優は迷わず答えた。 「009-7さんです!」 リビングが静まり返った。 「……は?」 009-7が固まった。テレビでは続きが流れていた。 「無機質そうに見えるじゃないですか」 司会者が苦笑する。 「まあ、そういうイメージありますね」 「だから気になるんですよ」 「何がです?」 男優は真顔で言った。 「絶対いろいろ溜め込んでると思うんですよ。」 ブフォッ!! 002が飲んでいたコーヒーを吹いた。007は床を転げ回って笑った。 「ははははは!」 009-7は真っ赤だった。 「な、何を言っているの、あの人は!」 テレビではまだ続いた。 「感情が爆発したらすごそうですよね。」 002と007はもう限界だった。 「だめだ!」 「腹痛い!」 004は額を押さえていた。 「人類はなぜこうなんだ……」
その隣で009は耳まで真っ赤だった。異様に静かだった。003が気付いた。 「ジョー?」 「え?」 「なんでそんな赤いの?」 「いや」 「いや?」 「その」 003の目が細くなった。 「何を想像してるの?」 「してない!」 「してるわね?」 「してないって!」 002が余計なことを言った。 「でも確かに009-7って綺麗だよな。」 007も頷いた。 「世界最高レベルだろ」 009はさらに赤くなった。003がそれを見た。沈黙があった。そして、003はなぜかキレた。 「そんなに気になるなら!」 全員が振り向く。003自身も止まれなかった。 「私が見せてあげるわよ!」 静寂。三秒。五秒。十秒。時計の秒針が動く音が聞こえた気がした。003が自分の発言を理解した。 「……」 顔が真っ赤になった。 「違う!」 002が爆笑した。007も机を叩く。004ですら吹き出した。009は完全停止した。009-7は頭を抱えた。 「なんなんだこの空間は……」 その後一週間ほど002と007は003を見るたびに、 「見せてあげるわよ!」 とモノマネを続けた。003は本気で二人を追い回した。そして009-7は改めて思った。世界征服を企むブラックゴーストより、この連中の方がよほど手に負えないのではないか。