天笠キヤは親友君を堕としたい 〜異常TS性癖者によるマッチポンプヤンデレ育成計画〜 作:ゆきゆき@TSっ娘
Ep.1 悪魔を超えた悪魔
やぁやぁ諸君、初めまして。
私はキヤ。
私はなんの変哲もない男である。そう、どんなところにもいるような普通の男。
ちょーっと悪知恵は回るが、それだけである。
だがしかし、そんな普通な私には度し難い性癖があった。
「あぁ……TSして親友君を依存させたい……っ!」
私はちょっと人に見せられない笑顔を浮かべた。まぁ自室なので誰も見ていない、大丈夫だろう。
そうだ。私にはTSして親友君と結ばれたいという願望があった。
別に性自認は男だし、多分恋愛対象も女性だ。しかしそれをこっちの性癖が上回っているのだ。どうしようもないやつだね。
「しかも出来れば親友君を曇らせた上で依存させたい……っ!」
ヤンデレ育成計画。私はそう呼称しているが、実際のところ実現できるとは思っていない。
『ククク……どうやらお困りのようだな?』
「悪魔さん……!」
私の背後から声がかけられた。振り返れば、そこにはザ・悪魔といった容姿の何かがいる。
『取引だ。お前をTSさせてやろう』
「えっ、マジ!? 早く早く!」
『ククク……それは契約を受け入れる、ということで良いのだな?』
「うん!」
『クックック……フハハハハ! 良かろう、ならばこれより貴様をTSさせてやる。この大悪魔アステリアがなァ!』
「早く、早くっ」
突如やってきた千載一遇のチャンス。これはもう逃すわけにはいかない。
悪魔の契約って時点でどう考えても怪しいが、実際には借金なんて成功している人は躊躇なくやる。
つまりこれもそういうことだ。必要なリスクというわけだな。
『「クックック……アーッハッハ!!」』
私は満面の笑みを浮かべた。部屋中に、大悪魔さんの魔法か何かで赤い風が吹き荒れた。しかしTSに比べれば些細なことである。
私の身体からミシミシという音が聞こえる。肌が焼け、内側の肉や骨が飛び出して無理やり肉体が変形していく。
数十秒。それだけ経った頃にはすべてが終わっていた。
「おぉ……腕が細い……声も、高い……ッ!」
『お気に召したかな?』
「は、はは……あーっはっはァ! 良いよぉ、最高だぁ……だがしかし、この顔は良くないなァ。これは親友君の好みからは少し離れている」
私は近くに置いてあった鏡で自らの顔を確認した。
うん、美少女だ。だがこれよりカッコ良さを少し上げた方が彼の好みとなるだろう。
私は彼のスマホの中身を定期的にチェックしているため、もちろん彼の好みは熟知している。
あいつあんな優しそうな見た目して結構ボーイッシュな娘を調教するタイプの音声が好きらしい。これもギャップ萌えってやつだ。多分、おそらく。
『ほう、ならば……これでどうだ?』
そうして再び私の顔面に赤い風が纏わりつく。
今度は先ほどよりもすぐに終わった。
再び鏡を見れば、そこにはボーイッシュと美少女の中間ぐらいの顔をした女がいた。
そう、私である。
「ふ、ふひっ……ケケケケケ……行ける、行けるぞぉ。これなら絶対にヤレる……」
高校一年生の夏休み最終日。
私の人生は大きくアクセルを踏み出したのだ。
法定速度は、もしかしたら超えているかもしれない。
◇◆◇
「ん、んぅ……」
朝、私は太陽の光によって目を覚ました。
ふと、違和感。
体が熱い。布団の中がビシャビシャだし、なんだか変な匂いもする。
「ふぁっ……ん……んぅ?」
自らの声にも違和感があった。なんだかいつもより高いような……
私は眠い目を擦りながらベッドから出て、近くの鏡を見る。
すると、そこには……
「え、えぇっ!?」
絶世の美少女が立っていた。
「お、オレ……女の子になってるーっ!?」
……ふぅ、気が済んだ。
1回やってみたかったんだよね、これ。
「さてさて、それでは張り切っていこう」
私はロッカーから女物の服を取り出し……いや、これ使うと不自然だね。
まずは男物をそのまま着ていくのがベターだろう。
このまま行くと私がTSする前から女物の服を買っていた変態ってことになってしまう。いや実際そうなんだけどさ。
「ククク……待っていろよ親友君。私が沼らせてあげるからねぇ……?」
私はいつもの服を着て、外へと飛び出した。
ヤンデレ(男)育成計画開始である。
◇◆◇
俺の名前は
昨日まで夏休みだったせいで、今の俺は少し寝不足である。
そんな俺には何人かの友人がいる。俺はどちらかというと陰寄りの性格をしているが、それでもそこそこ話しかけたりはしてきた。
そのおかげか、俺の周りには優しい奴が多い。
特に
あいつとは小学校からの仲で、俺はいつもキヤに助けられてきた。
学校はそこまで好きではないが、そんな友人たちがいるのならば悪くはない。
だから俺は、意外にも良い気分で学校へと向かっていた。
——————あの大事件を目にするまでは。
「……? あの、誰ですか? 見たことない方ですが……キヤの知り合いだったりします?」
天笠キヤの席に、俯きながら座っていた女子。
そんな女子が、俺の問いかけを聞いてこちらを向いた。
「コ、コウ……オレだよぉ。うぅ……天笠キヤだよぉ……うっ、うっ……ぐすん」
「は?」
「あ、朝起きたら女の子になってて……うぅ」
「ちょ、ちょっと待ってくれ。理解が追いつかない」
そうだ。理解が追いつかない。
キヤが女の子になったこともそうだが、キヤの顔面が俺の好みど真ん中だったためでもある。
いやいや、親友相手に何を考えているんだ俺は。
あいつは本心から悲しんでいる。こういう時はしっかり話を聞いてやるべきだ。それはキヤから学んだことでもある。
「ま、まぁその、キヤが今どういう感情なのかは俺にも分からないけどさ……何か俺に出来ることがあったら教えてくれよ。力になるからさ」
「コウ……!」
キヤはうるうるとした瞳でこちらを見つめてきた。瞳は深い紺色で、気を抜けば飲み込まれてしまうように錯覚してしまう。
「く、くふ……イイ。イイぞ……初動は完璧だ……」
「ん? キヤ、何か言った?」
「あ、え……いや、何も言ってないよ。ぐすん」
「そっか」
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