天笠キヤは親友君を堕としたい 〜異常TS性癖者によるマッチポンプヤンデレ育成計画〜 作:ゆきゆき@TSっ娘
こんキヤ〜^^
みんな大好き天笠キヤだゾ☆
本当に好かれているのかは疑問が残るが、まぁこんなとこまで読んでる時点でおそらく私のことを好ましいとは思っているはずだ。
私はまごうことなきド変態だが、読者のみんなには親友君までそんな奴だと思わないでほしい。
あの子は真面目なんだ、私よりずっと———
だから、私と親友君とが結ばれるシーンを待っていてほしい。
私との約束だ。あの子には無垢のままでいさせてやってくれ……
私は変なテンションになっていた。何が原因だ? デートか。デートだな。
ふへへぇ……し、親友君とデートしちゃったぁ……♡
おっといかんいかん、ヨダレが出てきてしまうところだった。
デートは遠足と同じ。帰るまでがデートである。
私たちラブラブカップルは、一緒に電車へと乗り込んだ。あ? 誰がどう見てもラブラブカップルだろうが。
◇◆◇
「ここ座ろっか」
「そうだな」
私は親友君と2人、席へ座った。
今日はとても楽しかった。本当に……楽しかった。
なんだか穏やかな気分だ。いつも私の中を迸る激情が鳴りを潜めている。
今の私はさながら女神である。私は親友君のすべてを愛そう……
とか考えていると、私の隣に知らないおじさんが滑り込んできた。
「……失礼」
会社帰りってとこだろう。ヨレたスーツ姿の男だった。
「……!」
私はそれを見て閃いた。
なるほど。
これは『試練』だ。恐れに打ち勝てという『試練』と、私は受け取った……!
私はちらりと親友君を見た。親友君は窓の外を眺めている。よし、見てない。
私は隣のおじさんの手に、そっと自分の手を重ねた。そして———
ゆっくりと、丁寧に、己の尻の方と誘導した。
そしてそこでガッチリとその手を掴む。
「……!?!?」
おじさんが僅かに硬直したのが反応で理解できた。
……おい、お前。
お前今痴漢しようとしたな!? 痴漢しようとしたろッ!! 絶対痴漢するつもりだこの人ッ!!
私の顔がみるみるうちに青ざめていく。
ヒィッ……この私が痴漢されてしまうなんて! 嫌だ……ッ!
私はあまりにも怖くてつい親友君の手をぎゅっと握ってしまった。
ふえぇ……怖いめぅ(>_<)
「……! どうした、キヤ?」
「コ、コウ……」
私は小さい声で呟いた。
た、たしゅけて……!
すると親友君は、なんと私の手を掴んで自らの方へと引っ張ってくれた。
ちょっと抱き込まれてる感じである。
あっ、あっ、あっ、あっ……
私に痴漢しようとしてきた(断定)おじさんは困惑しながらも立ち上がり、遠くの席へと移動した。
ふぅ…..怖かったよぉ〜〜〜ッ
「……だ、大丈夫か?」
「う、うん……あ、あの。その、ちょ、ちょっとこの体勢は……うぅ……」
「あっ!? ご、ごめん!」
ぱっ、と手を離した親友君。あぁ……親友君の手、ゴツゴツしていて大きかったなぁ。
男女差というものを感じてしまうね。
これもTSの醍醐味というやつだ。
「こ、怖かったぁ……コウ、さっきは本当にありがとう。助かったよ」
「いやまぁ、親友だしな。親友を助けるのは当たり前だろ?」
親友君……っ!
ポチャァァァン……
◇◆◇
『なんか本格的に気持ち悪くなってきたな、この小説。読むのやめるか……』
今の声誰のだよ。私はアンチコメントを幻聴した。
いやまぁ分かるよ? 確かに最近の私は結構……いや、かなり気持ち悪かった、かもしれない。
だがな? これは仕方ないんだ。不可抗力ってやつなのだ。
私は生粋のドパガキである。日常には無数のイベントが満ちていないと退屈で退屈でしょうがないのだ。
だから私はよく親友君とデートに出かけるし、それ以外の時間は親友君のことを考えている。
つまりだね、私は他の人よりも親友君にときめくタイミングが多いというワケだ。だから頻度の問題は仕方ないんだ。
内容? 愛しているんだからちょっとくらいキモくなってしまうのは当然である。
愛とは本質的に滑稽なのだ。
『メタ展開も多くなってきたし、もういいかな』
それを私に言うんじゃない。というか誰だお前は。読者なのか? そういうことは作者に聞くべきである。
つーかなんだこの保険掛けみたいな時間は。私は配信者じゃないんだぞ。コメント返しなんて上手くできない。
というか、私はなんでこんなことを考えているんだ?
確かさっきまで私は親友君とデートをしていて……そうだ、電車で痴漢されたのを親友君に助けてもらったんだった。
それで、そのまま帰って、寝て……親友君の夢を見て、起きて、学校に行って、授業を終えて……
どうやらかなりの記憶が吹き飛んでいるらしい。なぜだ、私がこんなことになるなんて余程のことがないと……
お、おかしい。なんだこの感情は。これは……怒り?
バカな、どういうことだ。
私に何かあった?
それとも親友君に何かあったか?
客観的に見ると、どうやら今の私は怒りで我を忘れている状態のようだ。感覚とかも無いから……感情の昂りで気絶でもしたのか?
ま、まぁいい。一つ一つ思い出していこう。
放課後、私は親友君に絡みつこうとしたところを絆裂カナに妨害され、5分程度会話をしていたはずだ。内容は覚えていない。親友君ではないからだ。
そしてその後は、確か親友君に屋上へ呼び出されたんだ。
あの時、私の心は成層圏を突き抜けるくらいに跳ねていた。告白すらあり得るな……とかお花畑な妄想をしていた、はず。
で、ルンルンと屋上へと上がったのだが……なんだ? この先の記憶が封印されている……そんなに酷い出来事があったのか?
いや、しかしそれに触れようとすると凄まじい怒りが私を襲ってくる。
なんだ、なんなんだ本当に。なんで王道ラブコメでこんな、自分に打ち勝つ試練みたいなことをしているんだ私は。
『くっ……だが、私は負ける訳にはいかないッ』
私はねっちょりした触手で覆われた世界の中、中心にある無数の鎖に手を掛けた。
今更だけど私の心象風景これなの?
酷くね? もっとカワイイカワイイしてるはずだろ普通はさ。
『あつっ』
鎖に触れると、私の手に焼けるような痛みが迸った。
だが私は負けない。
どうやらこれは、それほどまでに私が封印したい記憶なんだろう。
だがなァ……過去に囚われず前に進む、それこそが素晴らしき未来へのカギなのだよ。
ついさっき何があったのかは知らない。だがおそらく、これを思い出さなければ私は未来に進めない。
待っていてくれ、親友君……
今、私はここで過去の自分を超えるッ!
『うおおおおおぉぉぉぉッ!!』
ばぢんっ!!と鎖の弾ける音がした。
封印されていた場所からドロドロとした闇が溢れ出し、私の中へと吸い込まれていく。
さぁ、思い出そうか……屋上で何があったのかを。
◇◆◇
「どしたの、コウ?」
「あのさ、キヤ……いや、なんだ。相談があるんだよ」
「なになにー? なんでも相談してくれていいよ、親友だからね」
「……! そ、そうか。いや、実はさ……」
「俺、カナに告白しようと思うんだけど……なんかアドバイスとか、ない?」
「…………? …………? ご、ごめん。もう一回言ってくれない?」
「いや、だから……」
「聞こえなかったかな。カナに告白するからアドバイスくれない?」
私はこの記憶を封印した。
NTRやんけ〜〜〜ッ!?
安心してください、この作品に寝取られはありません。純愛だからです。
あ、評価付与してくれるとうれしいでヤンス……