「ヤンデレられたい」とか軽率に言っちゃうタイプのよわよわ男子生徒くんVS秘めていた感情を解放したヤンデレ生徒たち 作:異常ヤンデレ愛者
原作:ブルーアーカイブ
タグ:R-15 オリ主 残酷な描写 アンチ・ヘイト
「ヤンデレな女の子に好かれるっていうのはな、男のロマンなんだよ」
そんな聞く人が聞けばドン引きするようなセリフを、俺は悪友の前で口にした。
「にはは……ソウさんってそういうのが好きだったんですね。なんというかその……こ、個人の自由だと思いますよ!」
「お前が振ってきた話だろうが!引いてんじゃねえよ!」
ミレニアムが誇るド級の問題児である白兎こと黒崎コユキが、静かに後ろへ後ずさる。おい。話題をそっち方面に持っていったのはお前だろうが。
ここまでのやり取りで察しが付くように、俺とこいつはそれなりに仲が良い。あっちの認識がどうかは知らんが、俺はこいつのことを友人というよりかは悪友的なポジションにいる相手だと思っている。まあどちらにしろ一緒にいて退屈はしないし、こうして性欲全開の性癖トークをしても問題ない相手ってわけだ。
「それにしてもヤンデレですか……うちでいうとコタマ先輩が近いんですかね?」
「あいつはただ単に音フェチなだけだろ。まあでも盗聴器とかはヤンデレ感あるアイテムだよな」
それ以外にも監視カメラとかGPSとか、愛が重い女の子に仕掛けられるタイプのアイテムには夢がある。……まあ先生なら全部一度は体験してそうだが。
「よくわかりませんね……要するに女の子に好かれたいってことですか?」
「そりゃ好かれたいさ。俺男だし。ただ自分を好きな女の子に囲まれるだけでも嬉しいだろうよ。でもヤンデレはまた違うんだよ」
「というと?」
「ヤンデレってのは病んだデレと書いてヤンデレだ。つまり病的なまでにこっちのことを愛してくれる子のことを指すんだよ。こっちのことを束縛するように常に監視してきたりとか、逆に恋慕を超えて崇拝の感情を向けてきたりとか、はたまた自分しか見れないように調教してきたりとか……まあとにかく、愛が重い女の子ってことだよ」
おっと、少し語りすぎたか。まあでもこいつならいい感じに茶化してくれるはず……
「そういうものなんですね。じゃあやってみます?」
「……はい?」
いやなんだよ「やってみる」って。
「やるも何もそんなことしてくれるやつなんて……あ」
「やっと気付きました?私がやってあげるって言ってるんですよ」
まあコユキならこういうバカみたいなことにも付き合ってくれるだろう。強いて言うならこいつにそんな演技が出来るかが問題だが、下手だったら下手だったでからかい返してやればいい。
「いいぜ。じゃあやってみろよコユキ。下手な演技だったら即ダメ出し入れるぞ?」
「じゃあせっかくですし何か賭けますか?私がソウさんの思い通りの演技ができたら、何か一つ言うことを聞いてもらうってことで」
「いつものだな。いいぞ。駄目だったらそん時は覚悟しろよ?」
「にっはっはー!そう言っていられるのも今の内ですよ?」
いつも通り得意気な笑い顔を晒していたコユキだが、突然その表情が変わった。いや、意図的に変えたと言うべきか。いつもムカつくくらいの輝きを湛えていた目は一切のハイライトを失い、その顔には愛しくてたまらない者を見るような色が浮かんでいる。具体的に言うと「あれこいつ俺の思う以上に俺の事好きなんじゃね?」って思うくらいの変わり様だ。
「ソーウさん?ちょっと動かないでもらえます?」
「あ、ああ……ってなんだよこれ」
いつもとはまるで違う声色に少しビビってしまった俺の手にかけられたのは、紛れもないガチモンの手錠だった。
「これなら逃げられませんよね?ずぅっと私と一緒にいてくれますよね?」
「い、いや、ずっとはちょっとな……一応俺にもプライベートはあるわけだしさ……」
コユキの言う「ずっと」が本当の意味で二十四時間三百六十五日一緒にいることだとわかってしまって俺は、思わず否定の言葉を述べる。しかしそれは逆効果だったようだ。
「ソウさんにプライベートなんてありませんよ?だっていっつも見てますもん。今日も
「っ!?」
それは事実だった。俺は今日ミレニアムに来てからこの部屋にたどり着くまでに、コユキのことで話かけにきたユウカさんとちょうどすれ違ったから少し話し込んだネル、それにトレーニング中だったスミレさんに会った。だがその事実を知ることは普通ならできない。そう、それこそ
「全部見てましたよ?ユウカ先輩との距離が近くてちょっと照れてたソウさんも、ネル先輩と意気投合して楽しそうだったソウさんも、スミレ先輩にトレーニングに誘うために手を握られてまんざらでもなさそうだったソウさんも、全部ぜーんぶね」
「ちょっ、なん、で……」
じわじわと俺の行動、否罪状を挙げながらこちらに近づいてくるコユキから逃げるため這いずり下がろうとするも、恐怖からくる震えと嵌められた手錠のせいで上手く動けない。結局そのまま俺の目の前にまで迫ってきたコユキは簡単に俺を押し倒すと、そのまま耳元でこう囁いてきた。
「ねえソウさん……私じゃ駄目ですか?」
「っっっ!」
「言ってくれたじゃないですか、私といると楽しいって。いつまでも馬鹿やっていたいって。私だっておんなじ気持ちですよ?あなたのことが好きで、ずっと一緒にいたいと思ってるんです。ここで楽しくお話ししている時も、二人でユウカ先輩たちを撒いて脱走した時も、カジノで有り金ぜんぶ溶かしてスカンピンで放り出された後顔を見合わせた笑ってた時も、私はこの思いを抱いたままあなたの隣にいたんです。そんな重くて『ヤンデレ』な女の子は……嫌いになっちゃいましたか?」
ふとちゃんとコユキの顔を見ると、そこにはどうか捨てないで、嫌わないでくれと祈る幼気な少女の姿があった。……そんな顔、すんじゃねえよ。
「嫌わねえよ。お前がどんなやつだろうが、俺がお前といて楽しいって気持ちは変わらない。だからそんな顔すんなよ。お前は黙ってりゃ可愛いんだからさ」
手錠の関係上片手で、というのは無理なのでどうにか両手でコユキの頭を撫でる。優しく撫でられた彼女は温かいものに触れたように表情を緩め、愛おしいものに触れるように俺の手を取った。
「ソウさん……」
「ほら、俺は逃げないからさ。とりあえずこの手錠外してくれ。……ほら、これだとあれだ。可愛い女の子の涙を拭ってやれないだろ?」
最後のセリフは我ながらクサイと思ったが、いい言い回しが思いつかなかったのでキザっぽくいくことにした。まあこれだと後でコユキに笑われそうな……ん?待てよ?これって演技じゃ……
「……っく……くくっ……に〜はっはっは!だ、駄目ですよソウさん!流石にそれは似合わなすぎですって!」
さっきまでの
「お前がそういう流れに誘導してきたんだろうが!後似合わない言うな!俺もそう思ってんだからさ!」
「でもあれは流石に反則ですよー!……くくっ、あー駄目だ笑い止まんない……!」
「笑い転げてんのはもういいから早くこれ取ってくれないかなあ!地味に邪魔なんだけど!?」
「あー、わかりました。えっと鍵はーっと……」
コユキがポケットから取り出した鍵によって、俺はようやく手錠から解放された。ふう。犯罪者になった気分だったぜ。まあよく共犯はしてるけど。
「はー、面白かったー……それで、どうでしたか?私の
「あ、ああ。演技、演技ね……」
演技とは思えない程鬼気迫るものを感じたというのが正直な感想なわけだが、それを直に言うのも面白くない。というわけで少しぼかした言い方で感想を返すとしよう。
「んー、まあ?それなりに好みだったよ。小道具もそれっぽい……というかこれガチでヴァルキューレで使われてるやつだし。どっから持ってきたんだよこんなもん」
「先生に言ったら廃棄品もらえました」
「先生あいつ……!」
今度会ったら恨むぞ。それはもうどっかの浪花騎士が如くな。
「後そういや俺の人間関係把握してたのはなんだったんだよ」
「あー、あれですか?ちょっとソウさんを驚かせようと監視カメラのハッキングをしてて……いい感じの使い所を見つけたのでそれで」
「あれに関してはマジで肝が冷えたぞ?」
「にはは!なら成功ですね!お願い、忘れてませんよね?」
現金な奴だ。俺程度ができることなんてえたかが知れてるだろうに、それでも何回もこの賭けを挑んでくるんだから。
「ああ、今回は俺の負けだ。何してほしいんだ?」
「そうですね……じゃあ」
コユキはそこで言葉を切ると、そっと俺に近づいて俺にこう耳元で溢した。
「私のものになってください……なーんちゃって!」
「お、おう……」
ビビった。マジで一瞬心臓止まるかと思った。こいつの演技力バケモンかよ。
「そうですね……今度ラーメンでも奢ってくださいよ」
「その程度ならまあ……いやでも今月ちょっと厳しいんだよな……」
「なら銀行をハッキングしにでも行きます?」
「それはやめろ。俺も巻き添えくらうだろうが」
「わかってますよーだ。それじゃあこの後はどうします?今日は私はここから出られませんけど」
「ああ、それなら最新弾のカードパック買ってきたから開封でも……」
こうして俺たちはいつもの雑談に戻っていく。さっきみた光景を無意識の内に冗談だと断じて。……その代償を払わなくてはならなくなる日が、そう遠くない内に来るとわかっていても。
「大好きですよ、ソウさん。とってもとっても、です」
コユキ
監視系ヤンデレ
ソウとは悪友的な関係であり、彼のことは大体把握している
こういうシチュエーションがいいなと思ってくれたら高評価・感想をよろしくお願いします!