「ヤンデレられたい」とか軽率に言っちゃうタイプのよわよわ男子生徒くんVS秘めていた感情を解放したヤンデレ生徒たち   作:異常ヤンデレ愛者

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一話だけの投稿でもらえなるレベル以上の高評価をもらってビビっております作者です
書き溜めとかないけどどうしよ

今回は若干バイオレンスな描写がありますので注意です


仲正イチカは傷つけたい

 

「ヤンデレられてみたい、っすか?」

 

 俺の隣に座っている正義実現委員会のエリートサマは、つい口から漏れた俺の願望を聞き逃さなかったらしい。

 

「……復唱する必要あったか?」

「いやー私にはヤンデレってのがよくわからないんすよね。確か本のジャンルというか属性……?みたいなものでしたっけ」

 

 コハルなら知ってそうっすけどねー。

 彼女はそう言って、あろうことか俺に説明を求めた。紛れもない異性である俺に、だ。

 

「ウィキでも見ればなんとなくはわかんだろ。俺は説明しないぞ」

「まあまあそう言わずに。今度勉強でも教えるっすから」

 

 勉強、か。確かに今度のテスト範囲はわりとやばい。最悪かの補習授業部入りの未来すらあり得る。それを回避できるなら俺の性癖の開示くらい安いもん……なわけあるか!

 

「その程度で俺は釣られんぞ。というかなんでそんなに気になるんだよ。そういうのに興味あったのか?お前」

「んー、それに興味を持てるか知りたいってとこっすかね。だから教えてくれないっすか?この通りっす!」

 

 頭を下げてまで頼み込んでくるイチカの様子を見ていると、まあいいかという感情が浮かんでくる。いやしかし……でも俺今女子に頼み事されてんだよな……ならいいか。

 

「わぁったよ。説明くらいはしてやる」

「ありがとっす」

 

 ケロッとした雰囲気で顔を上げるイチカ。こいつこうすれば俺が頷くって気付いてたんじゃないだろうな。

 

「まず、ヤンデレってのは人の持つ一種の属性だ。もうちょい細かく言えば『好きな人への愛し方』だな」

「どういう風にアプローチをかけるかって感じっすか?」

「まあそんなもんだ。極端な例を挙げるなら、プレゼントに色々と仕込むとかだな。それこそGPSだの盗聴器だの……自分の髪の毛だのを、だ」

「……まあそういう被害届はたまに来るっすね」

「マジ?現実にもいるんだな、ヤンデレって」

 

 ああいうのってフィクションオンリーの話じゃないのか。まあここ(キヴォトス)の治安ならいるかもな。

 

「後はなんだろうな……好きな相手を監禁しようとするとか、そいつに依存しててそいつがいないと生きていけないとか、まあ色んな種類がいるから一概には言えないが、要するにヤンデレってのはある人物のことが好きすぎて異常な行動を取る輩のことだ」

「なるほど……それで、ソウさんはそういう人たちに好かれたい、と。……難儀な趣味っすね」

「うるせえ」

 

 俺だって思ってるよ。でもな、憧れは止められねぇんだよ……!

 

「それで?これで満足してくれたか?」

「ああはい。よくわかったっす。ソウさんの好みについても」

「そこは覚えなくていい」

「それで一つ質問なんすけど、その人のことが好きなのに傷つけたいっていうのもヤンデレに入るんすか?」

 

 ん?なんでわざわざそんな質問を?まあ聞かれたからには答えるが……

 

「バリバリ入るぞ。そいつを害そうとするやつ、あるいはそいつ自身を痛めつけて自分だけのものにしたい。そんなのもヤンデレって概念の範疇だ」

「そうなんすね。じゃあ……」

 

 ふと、銃声が聞こえた。どこか遠くではなく、俺のすぐそばで。そしてその音がした方向を見れば、イチカが気付かない内に愛銃を構えていて……

 

「つっっ!?」

「あは♡いい顔してくれるっすね。もっと見たくなっちゃうじゃないっすか……♡」

 

 肩を、撃たれた?誰に?イチカに。なんでだ?なんでこいつがそんなことを……

 

「なんで撃たれたの?って顔してるっすね。せっかくだから教えてあげるっす。まあ簡単な話っすよ。私がそのヤンデレってやつで……その愛をぶつけてる相手がソウさんだったってだけっす」

「はぁ?なんで、俺なんかを……」

「んー……一目惚れってやつっすかね?あ、でも今は一緒にいると心地良いとか、話してると楽しくなるとか、理由は色々あるっすよ?まあでもとりあえず言えることは……いつからか、あなたを私のものにしたくなったってことっすかね」

 

 じんわりと血が流れる肩を押さえる俺から目を離さないまま、しかし目の前の俺に焦点を合わせずにイチカは続けた。

 

「あなたが他の人に気安く話しかけるのを見るのが嫌になった。あなたが私じゃない他の誰かの方を向いているのが許せなくなっていった。ずっと私のそばにいてほしくなった。理由なんてそんなもんっすよ。これじゃ人を愛すには足りないんすかね」

「そんなことはないとは思うぞ……相手が俺じゃなきゃな……!」

「そうっすよね。人を好きになる理由なんてこんなもんっすよ」

 

 俺の言った後半の文句は無視して、イチカはなおも言葉を紡ぐ。

 

「でもこんな暴力性を秘めた女の子なんて引かれて嫌われるのがオチってのは私でもわかってたっす。だから隠した。あなたといる時間を少しでも伸ばすために、必死で隠し通したっす。でもそれももう、今日で終わりっす」

 

 そこで俺はやっと、イチカが何故こんな凶行に及んだのかを理解した。

 

「俺が……ヤンデレ好きだって言ったからか……」

「そうっすよ、ソウさん。こんな不器用な愛し方しかできない私でもいいって、私だからいいって言ってくれたんすから、もう躊躇う理由なんてないっすよね?」

 

 再び銃声が鳴った。今度も標的は俺で、撃たれたのは右足だった。

 

「これで逃げられないっすね。ああ、そうだ。ソウさんはヘイローがないからこういう騒ぎに巻き込まれないように人混みを避けてるみたいですけど、それ逆効果っすよ。こういう人気の少ない場所にいたら、誰も助けに来れないんすから」

 

 その通りだった。ここは校舎の隙間にあるデッドスペース。意図的に向かおうとしなければ、通りかかる人なんていない。つまり、こいつを止めてくれる正義の味方は現れない。

 

「大丈夫っすよ。殺しはしないっすから、というか、そんなことを好きな人相手にするわけないじゃないですか」

「……好きな人に銃を撃つのはいいんだな」

「それとこれとは話が別っすよ。それともナイフとかの方がお望みっすか?ならそうしますけど」

 

 どっちも御免だよ。そう言いたいが、口が上手く動かない。何か口答えをすれば即座に撃たれるんじゃないかという恐怖心が、俺の行動を縛っていく。

 

「お前、は……こんなことが望みなのか?」

「こんなこと……そうっすよね。おかしいっすよね?好きな人の泣く顔が見たいなんて、苦痛に歪む顔がみたいなんて、異常者でしかないっすよね?」

 

 イチカの様子がおかしい。いやさっきまでもいつもと比べれば十分おかしかったが、今はそれに輪をかけておかしい。

 

「あは、あはははっ!そうっすよ!こんな最低な人間なんて、いなくなった方がいいんすよ!正義を掲げておきながら、大好きな人を泣かせる人間なんて……この世から消えちゃえばいいんすよ」

 

 イチカが自身の構える銃の銃口を自分の顔に向ける。そしてそのまま引き金を引いて……

 

「させっかよ!」

 

 イチカが傷つくのを、彼女を押し飛ばすことで食い止める。そのせいで銃身がぶれて何発かこっちにも流れ弾が飛んできたがそんなもん無視だ。

 

「なん、で……」

「なんでもクソもあるかよ。俺のことを好きだって言ってくれる女の子が自傷しようとしてんのを、見過ごす男がどこにいるってんだ」

 

 傷口は、肩と足と……それから脇腹と頬か。よし、どれも軽症だな。

 

「……俺も異常者だよ」

「……え?」

「お前が俺のことを傷つけたいくらい好きだって言ってくれた時、恐怖と一緒に嬉しさを覚えた。バカみてえだろ?俺は()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()?そんなのただのマゾじゃねえかよ」

 

 自分でも自分がおかしいとわかる。それでも、だからこそこいつに一言ぶつけてやりたかった。

 

「お前はなんにもおかしくねえよ、なんて言えねえけどさ、俺だっておかしい側の人間だぜ。だからまあ……割れ鍋に綴じ蓋的な?」

「それ、って……」

「一緒になってみてもいいんじゃねえかってことだよ。俺だって元からお前のことは嫌いじゃ……いやわりと好きではあったし。正直彼女は欲しかったし。それがヤンデレな女の子だったらなお良いなんて思ってたし。……だから、さ」

 

 俺は倒れ込むイチカに手を差し伸べた。

 

「頭おかしいやつ同士、仲良くやろうぜ?マイハニー」

 

 告白の文句としちゃイカれた文面に、取ってつけたようなキザ語。そんなカッコつかない俺の一世一代の告白に、イチカは笑ってこう返した。

 

「……よろしくお願いするっす。My Darling?」

「流石の発音だな」

「こんな可愛くてヤンデレな女の子を捕まえといて、感想がそれだけっすか?」

「オーケーもらえたのが嬉しすぎて何も良いことが言えなかったってことで頼むわ」

「じゃあそうするっす……ぷっ、あはははっ!」

「ふっ、くくっ、あはははっ!」

 

 何が面白いのかも分からず、俺たちは大声で笑い合った。それだけで満たされていた。きっと……そんな単純なことでよかったのだ。好きな人の隣で一緒に笑う。それだけで、俺たちは幸せなんだ。

 

「あっはっは……あーやば血ぃ抜けてふらついてきた……」

「ちょっ!?救護騎士団まで運ぶっすからそこまでは耐えてほしいっすよ!?」

「いやマジで無理そう……あ、イチカに噛みついてもらえばなんとかなるかも」

「……本気で言ってるんすか?」

「マジマジ。大マジだって」

「んじゃ遠慮なく……あむっ」

「んんっ!?」

 

 ちょっ!?イチカさん!?こういうのって普通腕とかじゃないんすか!?

 

「……これでどうっすか?」

「……はい、元気出ました」

「ならとっとと治療に行くっすよ!」

 

 なんで今……わざわざ()()()()んです?

 




ソウ

イチカとは多少話す程度のクラスメイトという関係……だと思っていた
Mというよりかは好きな人からの好意ならどんな形でも嬉しいという感じ

イチカ

暴力型のヤンデレ
好きな人を傷付けたいけど傷付けたくないという矛盾に苦しんでいたところをスパダリムーブによって救われた




もう書き溜めという名の妄想書き殴りが尽きました
ですが!今ならなんと!感想といい感じの概念を対価に次話の召喚が可能に!……なるかもしれません
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