シン・逆襲のクロト   作:皐月莢

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第四章 前 歌姫と火種

 ハルバートン提督宛の報告書は、まだ完成していなかった。

 

 艦長室と呼ぶには狭すぎる小さな区画で、マリューはひとり端末に向かっていた。

 冒頭には、ヘリオポリスで発生した事態の概要が置かれている。

 ザフト軍クルーゼ隊と思われる部隊による強襲。

 開発中だった新型モビルスーツの奪取。残存機およびアークエンジェルの緊急離脱。

 ヘリオポリスの崩壊。その後の追撃と、アルテミスへの退避。

 

 文字にすれば、事件は数行に収まった。

 

 軍用文書としては、それでいい。

 何が起き、何を失い、何を保持し、現在どこへ向かっているのか。

 報告書はそのためにある。

 警報の音も、隔壁の閉じる振動も、避難民の叫びも、そこには必要ない。

 

 マリューは画面を少し下へ送った。

 

 アルテミスに関する記述が現れる。

 友軍管理下の軍事施設に退避。補給および指揮系統への復帰を期待するも、基地司令部との間で本艦および搭載機の扱いをめぐり齟齬が発生。

 状況を鑑み、同施設を離脱。

 

 齟齬。

 

 便利な言葉だった。

 

 実際には、保護ではなく接収に近かった。

 ストライクのロック解除を求められ、アークエンジェルは味方の施設でさえ安全とは言えないことを知った。

 だが、それをそのまま書けば、別の問題になる。

 第八艦隊の司令官であるハルバートン提督には、ありのままの事実を伝えなければならない。けれど、文書にする以上、言葉は選ばなければならない。

 

 マリューは文面を削り、角を落とし、もう一度保存した。

 

 次の項目を開く。

 

 キラ・ヤマト。

 表示された名前の横で、カーソルが点滅していた。

 民間人。ヘリオポリスの学生。避難中に本艦へ収容。

 現在、ストライクの操縦を担当。

 

 そこまでは書ける。

 そこまでしか書けないことが、すでに異常だった。

 

 キラは、事件の中で発生した一つの例外だった。

 軍の計画に含まれていない民間人が、残された機体を動かしている。

 負傷したマリューに代わって操縦席に入り、戦闘中に機体の挙動を修正した。

 そうしてストライクは動き、アークエンジェルは生き残った。

 

 報告書の上では、それをどう扱えばいいのか。

 民間人が偶発的に搭乗。

 そう書けば、あの戦闘の異常さは薄くなる。

 

 操縦適性あり。

 そう書けば、キラは戦力として処理される。

 

 ストライク運用に不可欠。

 そう書けば、彼女は艦から降りられなくなる。

 

 どの言葉も間違いではなかった。だから、どれもそのままでは使えなかった。

 

 マリューは入力しかけた一文を消した。

 戦うために乗ったのではない少女を、その後もストライクのパイロットとして扱っている。

 報告書に残すべき事実はそこにある。

 だが、それをどの角度から書いても、彼女を別の形で縛ることになる。

 

 ハルバートン提督個人を疑っているわけではない。

 むしろ、提督ならば状況を正しく見てくれるはずだった。

 

 けれど、報告書は提督個人への手紙ではない。軍の文書だった。

 

 そこに書かれた一文は、いつか別の誰かの命令の根拠になる。

 キラ・ヤマトはストライクを動かせる。

 その事実は、この艦を生かしている。同時に、その事実は彼女を逃がさない。

 

 マリューは、キラの項目を短くまとめた。

 

 ストライク運用については、現状キラ・ヤマトの搭乗を継続。

 本人は民間人であり、精神的負荷の増大に留意。

 可能な限り休息を確保し、保護対象としての扱いを維持する。

 

 軍の報告書になった。

 嘘ではない。

 

 けれど、ストライクを降りたあとに震えていた彼女の姿が、脳裏に残っていた。

 マリューは軽く目を伏せ、次の項目へ移った。

 

 クロト・ブエル。

 

 その名前が表示された瞬間、キラの項目で感じていたものとは別の感情を抱いた。

 キラには、少なくとも経緯があった。

 クロトにも、この艦に残った経緯は存在する。

 ヘリオポリスが襲撃され、格納区画は混乱し、アークエンジェルは生き残ったわずかなクルーたちと共に離脱するしかなかった。

 あの場でクロトとレイダーを降ろす余裕などなかったし、いまも切り離せる状況ではない。

 そこは説明できる。

 説明できないのは、その前だった。

 

 なぜ、そこにいたのか。

 

 マリューはレイダーの関連資料を開いた。

 レイダーは、アークエンジェルの正式な受領機体にも運用計画にも存在しない。

 にもかかわらず、補助資料の末端には、その名だけが差し込まれていた。

 

 地球連合軍本部。おそらく大西洋連邦系の上層部。

 

 ハルバートンの指揮系統よりもさらに上で、誰かが別の線を引いていた。

 

 所属、命令系統、任務。

 どれも、報告書には必要な項目だった。

 だが、クロトについては、そこを埋めようとするたびに手が止まった。

 どこから来たのか。誰の指示でレイダーに乗っていたのか。

 正式な受領計画にない機体が、なぜヘリオポリスで戦闘可能な状態に置かれていたのか。

 

 書類の中には断片を示すものもあったが、決して線にはならない。

 

 最大の問題は、それを動かしているのが、ナチュラルの少年だったことだ。

 

 マリューは、キラの項目とは違う意味で指を止めた。

 キラがストライクを動かしていることも異常ではある。

 民間人の少女が最新鋭機を動かしているという一点だけで、十分に従来の常識から逸脱していた。

 

 それでも、説明することは出来た。

 キラはコーディネイターであり、戦闘中に未完成のOSを書き換えている。

 ストライクが動いた理由は、少なくともそこに置ける。

 だが、それを明記することもまた、彼女を別の意味で軍の目に留まらせる。

 

 一方でレイダーには、それがなかった。

 

 整備班から上がってきた報告を開く。

 制御系の一部に、解析不能な領域がある。

 通常のOSとも、ストライクの系統とも違う。

 外から確認できる範囲では、処理の流れが追えない箇所が残っている。

 

 ブラックボックス。

 

 整備班の所見には、そう書かれていた。

 

 機体の仕様なのか、後から加えられたものなのか。

 搭乗者との適合に関わるものなのか。現時点では判断できない。

 ただ一つ言えるのは、通常の操縦系として扱うには、見えない部分が多すぎるということだった。

 

 クロトはナチュラルだ。

 少なくとも、資料上はそう記されている。

 

 にもかかわらず、彼はレイダーを動かしていた。ストライクのように、搭乗者がその場でOSを作り替えたわけでもない。通常の訓練課程を経たパイロットとして処理するには、機体の側にも、搭乗者の側にも、説明できない空白がある。

 

 マリューは報告書に文字を打った。

 

 機体制御系に未確認領域あり。

 搭乗者との適合条件は不明。詳細解析には専門部署による検証を要する。

 

 そこまで入力し、指が止まった。

 それ以上は書けなかった。

 

 クロトがなぜレイダーを動かせるのか。

 あの機体が、何を前提に作られているのか。

 資料の上ではナチュラルとされる少年が、なぜその前提を満たしているのか。

 

 推測はできる。

 だが、推測は報告書に載せられない。

 ナタルからは、クロトの単独行動範囲を制限すべきだという進言が出ていた。

 妥当だった。

 

 武装区画や通信設備に近づけるかどうかだけでも、警備上の問題になる。

 クロトは命令を理解できないわけではない。

 だが、それは軍人の従順さではなく、生き残るための本能に近いものだった。

 命令がその線上にあれば従い、邪魔なら拒む。

 

 完全な爆発物として封じ込めておけば済む相手ではない。

 

 レイダーは必要だった。

 

 ストライクとメビウス・ゼロだけで、次の追撃をしのげる保証はない。

 危険だからと切り離せるほど、状況は甘くなかった。

 レイダーがまだ戦える状態であることは、救いであり、同時に重荷だった。

 

 マリューは、クロトの項目を短くまとめた。

 

 必要戦力として運用継続。

 単独行動については制限を検討。

 機体制御系の未確認領域について、整備部門による継続確認を実施。

 搭乗者との適合条件は不明につき、詳細は保留。

 

 軍の報告書になった。こちらも、嘘ではない。

 

 それでも、肝心な部分は抜け落ちたままだった。

 クロト・ブエルが何者なのか。誰がレイダーをヘリオポリスに置いたのか。

 なぜ、アークエンジェルの知らないところで、その少年と機体が組み合わされていたのか。

 

 分からない。

 分からないこと自体も、まだ書けない。

 

 壁の向こうからは、ブリッジの低い声と機器音がかすかに伝わってくる。

 

 マリューは、報告書のどこにも記載できないことを考えていた。

 キラがクロトに声をかける時だけ、彼の反応がわずかに違う気がする。

 

 根拠はなかった。

 記録に残せるほどの変化もない。

 ただ、そう見えた。

 そして、見過ごしていいものには思えなかった。

 

 制御の糸口に見える。

 同時に、別の爆発点にも見える。

 

 マリューは、そのことを報告書に書かなかった。

 書けば、キラをクロトの拘束具のように扱う発想を招きかねない。書かなければ、ただの気の迷いとして胸の内に沈めるしかない。

 

 カーソルが点滅している。同じ間隔で、何度も。

 

 キラ・ヤマトとストライク。

 クロト・ブエルとレイダー。

 

 どちらも、この艦を生かしている。

 どちらも、この艦を危うくしている。

 

 置いてくるには危険で、連れていくには重すぎる。

 

 その一文だけが、最後まで報告書には書けなかった。

 マリューは保存を選択した。

 

 画面の端に、暗号化保存の表示が出る。送信欄は空白のままだった。ハルバートン提督との安全な通信回線が確保されるまでは、この文書を送るわけにはいかない。

 

 彼女は端末をロックした。

 黒く落ちた画面に、疲れた自分の顔が薄く映る。

 その時、卓上の通信機が低く鳴った。

 

『艦長代理、デブリベルト進入予定時刻まで、まもなくです』

 

 マリューは一度だけ目を閉じ、すぐに顔を上げた。

 

「分かりました。艦内放送を。回収可能な資材を優先して確認してください」

『了解』

 

 少し遅れて、艦内放送の回線が開く。

 傷ついた白い船の中へ、ざらついた声が流れていった。

 

 *

 

 

 艦内放送が終わる頃、クロトはもうレイダーのコクピットに収まっていた。

 仮修理は終わっている。

 完全ではないが、動く。変形できる。撃てる。それなら充分だった。

 クロトはシートに背を預けた。

 外部モニターに、デブリベルトが映りはじめる。

 壁だったもの。通路だったもの。生活区画だったかもしれないもの。

 黒い宇宙に、砕けた構造物が浮かんでいた。

 

『搭載機各機、哨戒配置を確認。回収班は指定ポイントへ』

 

 死んだ場所から、使えるものを拾う。

 クロトには、それ以上の意味はなかった。

 

『ストライク、発進します』

 

 キラの声はいつもより硬い。通信越しでも分かる程度には。

 クロトは舌打ちしかけ、やめた。

 

「レイダー、出る」

 

 射出の衝撃が背中を押した。白い艦体が足元から遠ざかる。

 レイダーのセンサーが周囲の残骸を拾い、画面に細かな光点を散らした。

 

 デブリベルトは、静かだった。

 

 砕けた外壁。ひしゃげた骨組み。かつて通路だったかもしれない筒状の残骸。

 凍った粒子が表面に貼りつき、ゆっくりと回っている。

 生活区画の名残らしい板が浮いていたが、それ以上は何も分からない。

 

 分かる必要もなかった。

 

『……ここが、ユニウスセブン』

 

 通信に、キラの声が落ちた。

 

 クロトはモニターの端に映るストライクを見た。

 白い機体は残骸の影を避けながら進んでいる。

 動きは相変わらず滑らかだ。だが、声の方はその動きについてきていなかった。

 

「だから何だよ」

『血のバレンタインで……ここに、たくさんの人が』

「死んだんだろ」

 

 キラの返事はすぐには来なかった。

 回収班の作業艇がアークエンジェルから離れ、デブリの間へ慎重に入り込んでいく。

 曳航ケーブルの確認、回収対象の識別、推進剤残量の報告。

 短い声がブリッジとの間を行き来した。

 

「使えるもんは使う。それだけだろ」

 

 言ってから、クロトは眉をひそめた。

 何をわざわざ返しているのか、自分でもよくわからなかった。

 キラがユニウスセブンに何を感じようが、アークエンジェルは水不足のままだ。

 レイダーの推進剤は増えないし、ストライクの弾も戻らない。

 それなのに、通信の向こうの沈黙が、やけに気に障った。

 モニターに警告が走った。

 

『不明機影。小型、単機。デブリ陰から接近』

 

 ブリッジの声が一段高くなる。

 

『ストライク、対応できますか。敵はそちらが近い』

『はい。行きま──』

「いや、僕が行く」

 

 言った瞬間、クロトは自分の声に眉をひそめた。

 

 レイダーを旋回させると、黒い機体が残骸の影を蹴るように加速する。

 ストライクの方が近いなら、任せればいい。

 そう分かっているのに、操縦桿はもう倒れていた。

 

『待ってください、そっちは──』

「うるさい」

 

 敵影がデブリの向こうで形を取る。識別表示が走った。偵察型ジン。

 両肩にレドームを張り出し、大口径のライフルを抱えた機体が、回収艇のいる方角へ機首を振った。

 

 まだレイダーには気付いていない。

 そこまで考えた時には、もう照準は合っていた。

 

 ツォーンの光が走る。

 ジンの胴が白く膨れ、次の瞬間、残骸の影ごと弾けた。

 

『敵機、反応消失』

 

 ブリッジの報告が落ちる。

 クロトは操縦桿を握ったまま、奥歯を噛んだ。

 推進剤を食った。機体にも負荷をかけた。あれはストライクの獲物だった。

 何で僕が。

 

『……クロトさん?』

 

 キラの声が通信に入った。

 礼でも非難でもなく、何が起きたのか掴めていない声だった。

 それがまた、耳に障った。

 

「早い者勝ちだろ」

『……そんなの』

「じゃあ、黙ってろ」

 

 通信の向こうで、キラの息が詰まった。

 何かを口にすれば、余計に何かがずれる気がした。

 モニターを切り替えようとすると、ストライクのセンサーが別の反応を拾った。

 

『待ってください。救命ポッド……生命反応があります』

 

 キラの声が変わった。

 ストライクが進路を変え、デブリの間に浮かぶ小さなポッドへ向かう。

 敵を前にすると反応が遅れるくせに、得体のしれない救難信号にはすぐ手が伸びる。

 クロトは鼻で息を吐いた。

 白い腕が、ポッドを壊れ物のように抱え込む。

 

『アークエンジェル、こちらストライク。救命ポッドを発見。回収をお願いします』

『回収を許可します。慎重に』

 

 ストライクの拾い物は、部品でも推進剤でもなかった。

 面倒な予感がした。

 

 哨戒を終えてレイダーが格納庫へ戻る頃には、収容準備が始まっていた。

 救命ポッドが運び込まれ、クロトの前でハッチロックが解除された。

 鬼が出るか、蛇が出るか。

 艦内が緊張感に包まれる中、最初に飛び出してきたのは桃色の丸い機械だった。

 

「ハロ! ハロ!」

 

 そのあとに、少女が出てきた。

 少女は跳ねる機械をそっと呼び寄せると、怪訝な表情のクロトに微笑んだ。

 

「ありがとうございます。助けていただいて」

 

 周囲のクルーが互いを見た。

 軍艦に拾われた民間人なら、普通は怯えるものだ。

 だが少女は、まるで見知った家に招き入れられた客のように礼を言った。

 クロトは眉を寄せた。

 

「ラクス・クラインと申します」

 

 その名に、格納庫の空気が変わった。

 乗員の一人が「クライン議長の……」と漏らした。

 

「はい。わたくしの父はシーゲル・クラインです」

 

 プラント最高評議会議長の娘。

 そんな人間が、なぜデブリの中の救命ポッドにいたのかは分からない。

 だが、地球軍の船が拾っていい相手ではなかった。

 

「ラクス! ラクス!」

 

 ラクスの視線がクロトに向いた。

 

「あなたも、こちらの船の方ですの?」

「見りゃ分かんだろ」

「そうですか」

 

 クロトはその反応が気に入らなかった。

 キラが口を開きかけたところで、ラクスと名乗った少女は医務室へ連れていかれた。

 

 

 しばらくして、ラクスは医務室から別の区画へ移された。

 救助した以上、食事は出す。

 だが、プラント最高評議会議長の娘を、ただの民間人や客として扱うわけにもいかない。

 

 食事を運ぶのはキラだった。

 救命ポッドを見つけた本人で、同じコーディネイターだから、ということらしい。

 だが、プラントの要人にキラ一人で会わせるわけにはいかない。

 それでクロトが付けられた。マリューの指示だった。

 キラが盆を持ち、クロトは飲み物のケースを下げている。

 

 もしもキラとラクスが結託するようなら、両方始末しろ。

 せいぜいそんなところか。

 

 通路の先から「ハロ! ハロ!」と声がした。

 曲がり角の向こうから桃色の丸い機械が現れ、続いてラクスが姿を見せた。

 閉じ込められているはずなのに、ラクスは廊下を歩いていた。

 

「あら。ごきげんよう、クロトさま。キラさま」

「閉じ込められてたんじゃなかったのか」

「ええ。そうだったのですけれど」

 

 ラクスは足元のハロを見た。

 

「この子が、扉を開けてくれまして」

「ハロ! アケタ! アケタ!」

 

「逃げる気かよ」

「いいえ。じっとしていると、退屈なので」

「そりゃ退屈だろ。お前、捕まってる自覚ある?」

 

 キラが息を詰めた。

 

「クロト」

「何だよ。本当のことだろ」

 

 ラクスは怒らなかった。

 お前は地球軍の捕虜だと言われても、怯えた顔もしない。

 キラが言葉を失っている横で、ラクスはキラの持つ盆へ視線を移した。

 

「それは、わたくしに?」

「……はい。部屋に戻りましょう。ここを歩いていたら、きっと騒ぎになります」

「そうですわね」

 

 ラクスは素直に頷いた。

 その素直さが、クロトは余計に気に入らなかった。

 ラクスの部屋の扉は、開いたままだった。

 足元でハロが跳ねた。

 

「ナンデヤネン! ナンデヤネン!」

 

 ラクスはハロを抱え、頭を下げた。

 

「ご迷惑をおかけしました」

「迷惑だと思うならさぁ、最初から出ないでほしいんだけど」

「はい」

 

 素直に返されると、言葉の行き場がなくなる。

 逃げるでも、隠れるでもない。

 文句を言うでも、言い訳するでもない。

 捕まっている人間のくせに、廊下を散歩していて叱られた客みたいな顔をしている。

 

 キラが盆を小さなテーブルに置いた。

 硬いパンとパックのスープ。

 敵の姫に出すには粗末で、捕虜に出すには上等だった。

 

「食事です。ちゃんとしたものじゃないけど」

「ありがとうございます。十分ですわ」

 

 クロトは飲み物のケースを置いた。

 

「届けたし、もういいだろ」

 

 クロトが踵を返しかけた時、ラクスはハロを抱えたまま頭を下げた。

 

「ありがとうございます」

「礼を言われる筋合いはないけど」

「それでも、届けてくださいましたわ」

 

 クロトは舌打ちして、話を切った。

 

「お前、自分の名前がどういう意味か分かってんの?」

「はい。少しは」

「だったら分かるだろ。お前を人質にしたい奴も、消したい奴も大勢いる」

 

 キラの手が止まった。

 ラクスはクロトの顔を見た。

 

「では、あなたはどちらでもありませんのね」

「は?」

「今のお話だと、クロトさまはどちらでもないとおっしゃっているように聞こえましたけど」

 

 クロトは言い返しかけて、止まった。

 

「……命令が出れば、どっちでもやってやるよ」

「では、今はそうではありませんのね」

 

 クロトは舌打ちした。

 

「ワケわかんないこと言ってんじゃねえよ」

 

 そのまま扉へ向かい、キラの横を通り過ぎた。

 キラはまだ動かない。

 クロトは一度だけ横目で見て、すぐに視線を外した。

 

「あとは何があっても、僕は知らないから」

 

 それだけ言って、クロトは返事を待たずに部屋を出た。

 扉が閉まった。

 キラはしばらく、その扉を見ていた。

 

「……すみません」

 

 口にしてから、何を謝ったのか分からなくなった。

 

「なぜ、キラ様が謝るのですか?」

 

 ラクスは責めるでもなく、ただ不思議そうに尋ねた。

 

「あの人は、たぶん、ああいう言い方しかできないんです」

 

 言ってから、キラは自分の声に戸惑った。

 クロトの非礼を謝ったつもりだったのに、むしろ庇ったみたいに聞こえた。

 

「けれど、クロトさまは私を撃ちませんでした」

「それは、命令がなかったからです」

「命令があれば、撃つ方ですか」

「……撃つと思います」

 

 そう答えるしかなかった。

 けれど、撃つ人だから悪い人だとは、言い切れなかった。

 

「でも、みんなが思っているほど、悪い人じゃない気がするんです」

 

 ひどく頼りない言葉だった。

 クロトは敵を撃つ。自分のように迷わない。

 それでも、ただ悪い人だとは言い切れなかった。

 ラクスは少しだけ首を傾けた。

 

「キラさまは、クロトさまのことが気になるのですか?」

「……はい」

 

 否定はできなかった。

 怖い。何を考えているのか分からない。近づきたいわけでもない。

 けれど、ただ悪い人だと思えたなら、こんなふうには引っかからなかった。

 クロトは敵を撃つ。

 自分のように迷わない。

 そして、その敵がキラの知らない相手ばかりとは限らない。

 そう思うほど、とある一人のことを考えてしまう。

 

「敵の中に、知っている人がいます」

 

 口にしただけで、喉が詰まった。

 

「アスラン・ザラ」

 

 ラクスの手が、ハロの頭の上で止まった。

 

「アスランを?」

「知っているんですか」

「はい。わたくしの婚約者です」

 

 キラは息を止めた。

 

「あなたが、アスランの婚約者……」

「ええ。キラさまは、アスランをご存じなのですか?」

「幼馴染なんです。昔、一緒にいました」

 

 声にすると、遠い昔の光景が急に目の前に浮かんできた。

 敵の中に、あの幼馴染がいる。

 それでもクロトは、目の前に立ち塞がる敵なら撃つだろう。

 

「あの人が、ただ悪い人だったら」

 

 言いかけて、キラは口を閉じた。

 

「……もっと、簡単だったのかもしれません」

 

 アスランが勝っても、仕方ないと思えたかもしれない。

 敵の中にいたのがアスランでなければ、クロトが撃っても、敵だからと自分に言い聞かせられたかもしれない。

 

「でも、違うんです」

 

 キラは扉を見た。

 クロトが出ていった扉だった。

 

「あの人は、敵なら撃つと思います。アスランも、きっと……」

 

 言葉がそこで詰まった。

 どちらが勝てばいいのか。

 そんな考え方をしたくなかった。

 

「こんなこと、言えません。アスランを知ってるなんて言ったら、きっと……」

 

 責められる。

 なぜ黙っていたのかと。

 敵と通じているのではないかと、疑われるかもしれない。

 それだけなら、まだ自分だけで済む。

 けれど、そのせいでクロトを一瞬でも迷わせてしまったら。

 その先のことは、考えたくなかった。

 ラクスは少し目を伏せた。

 

「キラさまは、クロトさまとアスランのどちらかを選びたいのではないのですね」

「……選べるわけ、ないです」

 

 言ってから、胸の奥が苦しくなった。

 考えたくない。

 けれど、戦場はそれを待ってくれない。

 迷っている間にも、クロトとアスランは向き合ってしまう。

 

「怖いのですね」

 

 キラは答えられなかった。

 

「クロトさまがアスランを撃つかもしれないことも。アスランが、クロトさまを撃つかもしれないことも」

 

 言葉にされると、息が詰まった。

 

「どちらも、キラさまにはただの敵ではありませんもの」

 

 ラクスはそれ以上、追わなかった。

 膝の横でハロが小さく揺れる。

 

「ハロ」

 

 その声で、部屋の空気が少しだけ動いた。

 ラクスは食事へ手を伸ばしかけて、ふとキラを見た。

 

「食事が終わりましたら、少し歌いませんか?」

「歌、ですか」

「はい。考えても答えが出ない時は、声に預けることもできますから」

 

 キラはすぐには答えられなかった。

 歌で何かが変わるとは思えない。

 けれど、拒む理由も見つからなかった。

 

「……私、上手くありません」

「うふふ。上手でなくてもよろしいですわ」

 

 ラクスは静かに微笑み、食事へ手をつけた。

 

「いただきます」

 

 キラは閉じた扉を見ていた。

 その向こうから、もうクロトの足音は聞こえない。

 まだ聞こえないはずの旋律が、部屋のどこかに漂い始めた気がした。




ここまでお読みいただきありがとうございます。

第四章は前後編になります。
後編では、遂にあの男が登場します。


【第八艦隊司令部提出用 添付資料】
GAT-X370 レイダー 暫定機体概要

提出者:アークエンジェル艦長代理 マリュー・ラミアス大尉
提出先:第八艦隊司令部 デュエイン・ハルバートン
資料区分:機密/暫定報告
対象機体:GAT-X370 レイダー
対象搭乗者:クロト・ブエル少尉

本資料は、アークエンジェル艦内で確認可能な範囲の機体情報、整備班による一次確認、ヘリオポリス宙域での実戦記録、および搭乗者本人の申告をもとに作成した暫定報告である。

本機は、アークエンジェルが当初把握していたG兵器受領計画の正式搭載機には含まれていない。
そのため、以下の記述には未確認事項を含む。


■機体識別情報

機体名称:レイダー
型式番号:GAT-X370
分類:可変高機動強襲型モビルスーツ
系列:GAT-X300系フレーム派生機と推定
装甲材質:フェイズシフト装甲
動力源:バッテリー
変形機構:MS形態/MA形態への可変機構を確認
所属:地球連合軍系統と推定
運用母体:不明
現在位置:アークエンジェル艦内MS格納区画
搭乗者:クロト・ブエル少尉
搭乗者申告所属:地球連合軍第81独立機動群所属
搭乗者申告任務:GAT-X370 テストパイロット

本機は、ヘリオポリスにおけるG兵器開発計画と同系統の技術で建造された機体と考えられる。
ただし、アークエンジェルの正規搭載予定機および受領機体一覧には記載がなく、モルゲンレーテ側の通常資料にも完全な形では確認できない。

補助資料の末端に本機の型式番号と名称のみが確認されるが、正式な受領経路、運用担当部署、指揮系統については現時点で不明である。


■基本性能

主用途:高速強襲、対MS戦、対艦攻撃、戦線突破
単独戦闘能力:極めて高い
大気圏内飛行能力:ありと推定
宇宙空間機動能力:高水準
整備難度:高
運用上の注意:搭乗者および制御系に未確認要素あり

本機はフェイズシフト装甲を採用している。
未起動時の装甲色は灰色に近く、起動後は黒色を基調とした装甲色へ変化する。
実体弾および実体剣に対して高い防御力を示す一方、装甲展開中は電力消費が継続するため、長時間戦闘および高出力兵装の連続使用には制限がある。

本機の機動性は、現時点で確認されているG兵器群の中でも特に高い。
MS形態での近接戦闘、MA形態での高速離脱、変形を挟んだ再突入を短時間で連続して行うことが可能であり、通常のMS運用よりも航空機的な一撃離脱戦法に適している。


■変形機構

本機はMS形態からMA形態への変形機構を有する。
MA形態では機体前方へ推力と火器を集中させ、高速突入・離脱を行う構造となる。

確認された特徴は以下の通り。

・MA形態での高速巡航
・急加速および急制動
・変形後の即時戦闘継続
・MA形態からMS形態への短時間移行
・MS形態での近接格闘戦対応
・高速機動中の火器使用

同じX300系フレームに属すると見られるイージスが、捕捉・拘束・砲撃を重視した構造であるのに対し、本機はより高速強襲と直接破壊に寄せられている。


■確認済み兵装

・100mmエネルギー砲「ツォーン」

装備位置:頭部口腔部
種別:高出力エネルギー砲
用途:対MS・対艦攻撃

本機の主砲に相当する高出力エネルギー兵装。
頭部に内蔵されており、発射時には機体正面へ高密度のエネルギーを集中照射する。

ヘリオポリス宙域での交戦記録では、ザフト製MS複数機を一撃で撃破する威力を確認している。
ただし、消費電力は大きいと見られ、連続使用はバッテリー残量に大きな影響を与える可能性がある。


・破砕球「ミョルニル」

種別:有線式質量打撃兵器
用途:対MS格闘、装甲破砕、奇襲、牽制

有線接続された球状の質量兵器。
投擲後もワイヤー制御による軌道変更が可能であり、死角からの攻撃に使用できる。

ビーム兵器と異なり、質量と運動エネルギーによって目標を破壊する兵装である。
通常MSに対しては極めて高い破壊力を持つが、正確な運用には搭乗者の高い空間把握能力と反応速度が必要と考えられる。


・2連装52mm超高初速防盾砲

装備位置:防盾部
種別:実体弾火器
用途:近中距離射撃、牽制、防御姿勢からの反撃

防盾と一体化した二連装火器。
防御姿勢から即時射撃へ移行できるため、近接戦闘時の牽制および迎撃に有効。

フェイズシフト装甲を持たない通常MS、作業機、艦載機、小型目標に対して高い効果が見込まれる。


・M417 80mm機関砲

種別:実体弾機関砲
用途:対MS牽制、対小型目標、対ミサイル迎撃

高機動中の弾幕形成、およびMA形態での射線制圧に使用されると考えられる。
ヘリオポリス宙域での戦闘では、接近するザフト機への牽制として有効に機能した。


・M2M3 76mm機関砲

種別:実体弾機関砲
用途:近距離制圧、対MS牽制

MA形態時の正面火力、またはMS形態での近距離制圧用兵装と推定される。
実体弾兵装であるため、フェイズシフト装甲機への決定打にはなりにくいが、通常装甲目標への制圧力は高い。


・短距離プラズマ砲「アフラマズダ」

種別:短距離エネルギー兵器
用途:近接戦闘、突撃時の火力補助

詳細未確認。
機体構造上、MA形態または近接戦時に使用される短距離高出力兵装と推定される。
本艦整備班のみでの完全確認は困難であり、追加解析を要する。


・アーマーシュナイダー

装備数:1
種別:折り畳み式対装甲戦闘ナイフ
用途:近接戦闘、非常用格闘兵装、密着状態での対応

ストライクと同系統の実体刃兵装。
ただし、ストライクが二本装備しているのに対し、本機で確認されたアーマーシュナイダーは一本のみである。

本機の主戦法は高機動強襲および重火器運用であり、本兵装は主武装ではなく、近接補助または緊急時の実体刃として位置づけられる。
バッテリー残量が低下した状況、またはビーム兵器の使用が制限される状況では、有効な予備兵装となる可能性がある。


■制御系・OS

本機の制御系には、通常のG兵器用OSとは異なる未確認領域が存在する。

整備班の一次確認では、以下の点が報告されている。

・操縦入力から機体反応までの処理系統に追跡困難な箇所がある
・通常のナチュラル用OSとは異なる補助制御が存在する可能性
・一部領域が外部解析を受け付けない
・変形機構と火器管制の連動が高度に統合されている
・搭乗者の操作癖に合わせて調整されている可能性

ストライクは、搭乗者が戦闘中にOSを書き換えたことで実戦稼働に至った。
一方、本機は起動時点から高い戦闘能力を発揮しており、未完成OSを現場で補正している様子は確認されていない。

このため、本機は通常のG兵器とは異なり、あらかじめ特定の運用条件を想定して調整されていた可能性がある。


■搭乗者に関する所見

クロト・ブエル少尉は、資料上は地球連合軍所属の士官として扱われている。
本人も、地球連合軍第81独立機動群所属およびGAT-X370のテストパイロットであると申告している。

ただし、以下の点について通常の士官運用とは異なる部分が見られる。

・年齢と階級の不均衡
・通常課程を経た士官としては確認しづらい経歴
・本機との高い適合性
・高負荷機動への耐性
・命令への反応が、正規軍人の規律とは異なる
・単独判断による行動傾向が強い

クロト少尉は命令を理解していないわけではない。
むしろ、戦況把握および戦術判断は早い。
しかし、その行動基準は正規軍人としての命令遵守よりも、生存、敵性判断、自己判断を優先する傾向がある。

現時点で、搭乗者の詳細な経歴および訓練記録は確認できていない。
本機の運用を継続する場合、医療班および保安担当による継続的な観察が必要である。


■実戦記録に基づく評価

ヘリオポリス宙域での交戦において、本機はザフト軍クルーゼ隊所属のジン複数機を撃破した。
また、シグーおよび奪取されたG兵器との交戦にも対応している。

確認された戦闘特性は以下の通り。

・MA形態による高速接近
・MS形態への移行後の近接戦闘
・高速離脱による被弾回避
・単機で複数のMSを相手取る戦闘能力

本機は、アークエンジェルが現時点で保有する戦力の中でも極めて重要な位置を占める。
ただし、その戦闘能力の多くは搭乗者の技量と判断に依存している可能性が高い。


■整備上の懸念

本機はG兵器共通規格に連なる部分を持つ一方、内部構造には不明点が多い。

整備班からは以下の懸念が報告されている。

・通常のG兵器整備手順では確認不能な領域がある
・制御系への不用意な介入は機体停止を招く可能性がある
・武装管制系と変形機構の接続が複雑
・アーマーシュナイダーなど一部共通装備を除き、予備部品の流用範囲が限定的
・詳細な整備には正式な技術資料が必要

現時点では、最低限の稼働維持と損傷確認は可能である。
しかし、制御系統の完全な解析、武装系の再調整、変形機構の長期運用確認については、本艦設備のみでは不十分である。


■艦内運用上の注意

本機および搭乗者を運用する場合、以下の点に注意を要する。

一、単独行動の管理
搭乗者の判断速度は高いが、命令系統が明確でないため、艦内での単独行動範囲には制限を設ける必要がある。

二、武装区画・通信設備への接近制限
所属および任務系統が不明瞭である以上、保安上の管理が必要である。

三、機体解析の制限
不明領域への不用意なアクセスは避ける。
解析は整備班長の判断のもと、段階的に実施する。

四、搭乗者の健康状態確認
戦闘後の身体的・精神的負荷が大きい可能性がある。
医療班による観察を継続することが望ましい。

五、外部施設による接収リスク
アルテミスでの事例を踏まえると、本機およびストライクは友軍施設においても接収対象となる可能性がある。
引き渡し、解析協力、共同管理の要請があった場合、搭乗者および艦の安全を考慮する必要がある。


■暫定運用方針

現時点では、GAT-X370 レイダーをアークエンジェルの必要戦力として扱う。

理由は以下の通り。

・ザフト軍による追撃が継続している
・ストライク単機では防衛戦力として不十分
・メビウス・ゼロの運用状態が安定していない
・本機の単独戦闘能力が極めて高い
・本機を艦外へ放棄することは、敵対勢力による鹵獲リスクを伴う

ただし、本機は正式な搭載予定機ではなく、運用母体も不明である。
したがって、完全な正規搭載機としてではなく、艦長代理権限のもとで暫定的に運用する。

第八艦隊との合流後、ハルバートン提督の判断を仰ぐべき案件である。


■総合所見

GAT-X370 レイダーは、G兵器計画と同系統の技術で建造された可変高機動強襲型モビルスーツである。
フェイズシフト装甲を採用し、MA形態による高速機動、ツォーンによる高出力射撃、ミョルニルによる質量打撃、各種機関砲による制圧射撃、一本のアーマーシュナイダーによる近接補助を備える。

性能面では、現時点で確認されているG兵器群と比較しても高い戦闘力を持つ。
特に、変形を絡めた一撃離脱戦法と近接戦闘への移行速度は、通常のMS運用を大きく上回る。

一方で、本機はアークエンジェルの正式受領計画に存在せず、運用母体、指揮系統、開発経緯に不明点が多い。
また、制御系には通常のG兵器用OSとは異なる未確認領域が存在し、搭乗者との適合条件についても明確ではない。

本機はアークエンジェルの生存に必要な戦力である。
同時に、現時点のアークエンジェルが全容を把握できない危険な機体でもある。

よって本資料では、レイダーを以下のように暫定分類する。

「地球連合軍系統に属すると推定される、フェイズシフト装甲採用型・可変高機動強襲MS。正式な運用母体および制御系の詳細は不明」

詳細は第八艦隊合流後、専門技術班による再確認を要する。


■追記

本機および搭乗者クロト・ブエル少尉は、現状においてアークエンジェルの防衛上、不可欠な戦力である。
しかし、その不可欠性は安全性を保証するものではない。

キラ・ヤマトによるストライク運用と同様、本機の運用もまた、通常の軍規および兵器運用の範囲から外れている。
両機は本艦を生存させる要素であると同時に、本艦が抱える最大の不確定要素でもある。
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