戦姫絶唱シンフォギア~光の絆~   作:@a.s

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第23話

 

 *主人公視点*

 

 な、何とか置いてこれたか。

 手口もどうってことは無い。

 

 こんな全身黒コートの男が何持ってるのか警戒しないわけがないからな、身体検査はすると思ったよ。

 ブラストショットの威力は前の触手と貯水タンクの破壊で証明済みだし、他にも何か隠し持ってないかと考えはずだ。

 

 それで身体検査をする時、乗り込む前から手の中に持ってた発信機を座った状態から立ち上がる際に足元の場所にこっそり置いておいて、立った後おはじきみたいにスコーンっと端に飛ばしただけだ。

 

 流石に静かな状態でやればバレると考えたから、マリアが近づいてきた時に予定であれば「コートを脱がそうとは考えるなよ。この距離でなら何時でも捕まえることが出来る」って言って手を掴み、注意を逸らすつもりだった。

 

 今回はマリアがフードを脱がそうとしてくれたから、コチラから難癖つける必要はなかったけどね。

 

 後は置いてきたことがバレないように祈るだけだ。

 明日切歌と調が買い物に出掛けるまででいい。

 その後は見つかっても問題は無いんだ、頼む!

 

 ────────────────────────

 

「楽しい楽しい買い物もこうも荷物が多いと労働デスよ」

 

 よ、良かった〜

 ここまでバレなかったら後は2人が怪我しないように見張るだけだ。

 

 ちなみに今はいつもの黒コートじゃなくて普通の格好につばの長い帽子をかぶっている。

 このまま2人を遠くから追っていけば──

 

 

 

「こんなに自由があるなんて、施設に居た頃には想像出来なかったデスよ」

 

 工事現場で食べ始めた。

 そろそろ注意しに行くか。

 

「そこの2人、そんなところで食べてたら危ないぞ!」

 

「わあっ!ご、ごめんなさいデス。

 調、行きましょう」

 

「...う...うん」

 

「調?調子が悪いのデスか?」

 

「だ、大丈夫..」

 

 あ、倒れる。

 やっぱりこうなるのか!

 

「危ない!!」

 

ガラガラガラ!!

 

「へ?」

 

「頭を守れ!」

 

 2人を庇うように覆いかぶさった。

 鉄パイプが背中に落ちてくる。

 

「い゛っ、たぁ!」

 

 鍛えてたら瓦礫が落ちてきても大丈夫なところだけど痛いもんは痛い。

 結構な数が背中に当たる。

 

「だ、大丈夫デスか!?」

 

「...っああ、平気だよ。

 そっちも怪我は無い?」

 

「あたしたちは平気デスけど、お兄さんが..」

 

「鍛えてたから大丈夫だよ。ちょっと痛むくらいさ。

 その子は大丈夫かい?体調が悪そうだけど」

 

「ちょっと無理してたみたいデス。

 早く連れて帰らないと」

 

「買い物の帰りだったみたいだね。

 それならどちらか持とうか?」

 

「本当デスか?

 なら荷物をお願いしたいデス」

 

「分かった。

 じゃあ移動しようか」

 

 それから少し歩いていき──

 

「あ〜っとデスね?

 運んで貰うのはそろそろ..」

 

「気にしなくてもいいよ。

 家を知らない人に教えないなんて良くできた子じゃないか。

 先にその子を運んでくるといい。ここで待ってるから」

 

「す、すみません。

 お兄さんが悪い人じゃないのは分かってるのデスが」

 

「本当に気にしないで。

 それよりも早く休ませてあげないと」

 

「分かったデス。

 すぐに戻ってくるデスよー!」

 

 それから20分後、切歌が走って来た。

 

「遅くなったデス!」

 

「そんなに急がなくても大丈夫だったのに。

 はいこれ、持てる?」

 

「な、何とか気合いで持っていくデス!

 それよりも何で体を張って守ってくれたり、こんなに親切にしてくれたんデスか?」

 

「そうだなぁ、危ない目にあいそうな人を放っておけなかった。苦しんでいるのを見過ごせなかったっていうのが理由かな」

 

「そんな理由で助けてくれたんデスか?」

 

「うん。別に見返りとかは求めてないよ。助けたかったからそうしただけ。

 偽善っぽいかな?」

 

「そんなっ!そんなこと、ぜんっぜん思ってないデス!」

 

「ありがとう。

 他はそうだなぁ、助けようとしないで後悔したくないから、かな?」

 

「後悔したくないから、デスか?」

 

「そう。

 例えば、友達や家族が何か悩んでいたらどうする?」

 

「もちろん、助けるに決まってるデス!」

 

「そうだろうね。

 助けなくて後々後悔はしたくない。困ってるなら助けたい。

 そういう気持ちが、俺は人よりも少し広いだけだよ」

 

「素敵な考えだと思うのデス。

 お兄さんみたいな考えの人がもっと増えて欲しいくらいデス」

 

「ははっ、今みたいな物騒な世の中だと、中々難しいよね。

 けど、案外いるもんだよ。助けようと思ってくれる人は」

 

「そういうものデスかね?」

 

「そういうものさ」

 

「...少しだけ、信じてみるのデス。

 今日は、あたしたちを助けてくれてありがとうなのデス!」

 

「念の為、君も診てもらうんだよ?」

 

「それはお兄さんの方が必要デス」

 

「確かに、それもそうか」

 

「あははっ、それじゃさようならデス!」

 

「気を付けてね」

 

 

 ...これで無事に終わることが出来たな。

 懸念点は多いが最悪の事態にはならずに済んだんだ。

 今日はもう何も起きなさそうだし、家に帰って体を休めよう。

 

 

 *切歌視点*

 

「助けるのは、自分が後悔しないために..」

 

 マリアに辛いことを押し付けてしまってずっと悩んでいた。

 なら、マリアが困っている時はあたしたちが助けるのデス!

 悩んでて、助けるのが遅くなって後悔はしたくないのデス!!

 

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