第2話
*主人公視点*
とうとう伝説のライブの日が来てしまった。
この世界に来てからもツヴァイウィングのCDを買って満足していたが、生の2人を見たら感動してしまった。今までは画面越しでしか見れてなかったし、奏のライブなんて1曲しか聞くことができなかった。それがこの世界では2年以上ツヴァイウィングが活動していて様々なライブを行っていたからライブシーンの供給が多すぎて沈むかと思ったね。
何よりここまで人気なトップアーティストたる所以の圧倒的歌唱力に、顔面偏差値の平均値が高いこの世界においても一際輝くビジュアル。流石に推させていただきます。
まぁトレーニング漬けの日々だったから大半のライブには直接行けなくてDVD買って見てただけだったけど。こんな状況でノイズなんて来なけりゃ2人のライブを全力で応援したかったなぁ。
これからそんな輝かしい2人のライブがあんなことになって、楽しみに並んでる観客も大勢亡くなるのを知っている身としてはかなり心苦しい。
何とかしたいと思いつつも何も出来ないのが現状で、仮に俺が並んでる人たちに今からノイズが出るぞーって言って回ったら頭のおかしい奴認定待ったナシだ。そんでいざノイズが現れたらあの時叫んでたやつは何者だという話になり捕まったら拷問一直線である。何より一番の問題は響がただの女の子になってしまうことだ。
俺にもっと勇気があってこれから来るやつ全員なぎ払える程の力や知恵があるなら、どうにかしただろう。その方が響の家庭も壊れないし平和に暮らしていけるからな、ただそれだと今後の影響力が計り知れないから止めることが出来ないわけで。
だからここにいる人たちを大勢見捨てることになるのは、元は原作通りであってもめちゃくちゃ心苦しい。出来ることなら助けたいと思っている。でも俺がでしゃばって今後更に被害が大きくなるのだけは避けなきゃいけない。....こんな言い訳並べても心のモヤモヤは無くならないな。
こんな事を考えてるとエボルトラスターが優しく光る。もしかしてネクサスも心配してくれてるのかな?
.......もうストーリーは始まってるんだ。今優柔不断になってたらダメだな。
俺が出来ることなんてたかが知れてるんだ、もっと目の前のことに集中しろ!
そうこう思っているうちにライブが始まったな、何が起こってもすぐ駆けつけるように最終チェックしておくか。
~数分後~
「...来たか」
ライブステージから爆発音と観客の悲鳴が聞こえてくる。
始まってしまった。
もう起こってしまったのなら迷いは振り切る。イレギュラーが起こるまで近くで待機しておくか。
それから少し経つと入口から大勢の人が必死の形相で出てくる。今回のライブによる死者の3分の2程度は観客がパニックになり、将棋倒しによる圧死や我先にと争った人による傷害致死によるものとは分かっていたが、この状態だと納得だった。でもみんな生き残りたいために必死なんだ。この場に居た人を責めることは出来ない。俺だって逃げ出したいって気持ちを心の隅に抑え込んでるが僅かに漏れ出てくる程だ。何の力も持たない者が錯乱するのも無理は無い。
...ある程度の人は逃げることが出来たのだろうか、人が少なくなっていく。このまま原作通りに終わってくれれば俺は何もすることなく帰れるん──
ゾワッ
「ッ!!」
何だ!この背筋が凍るような感覚は!エボルトラスターも激しく光ってる。ビーストが近くに現れたってのか!こんな急に、それも近くで!
敵はどんな奴だ!それに急に現れたってことは予めライブステージの何処かにこの時が来るまで静かに潜んでいたって事なのか!
クソッ、考えが纏まらない、嫌な予想ばかり出てくる!とりあえずは中に入るしかないか。
しかし中に入るにしても監視カメラが邪魔だな、今の状態で正常に作動してるかは分からないが、俺がいたってことは出来れば残したくない。
「ネクサス、ストーンフリューゲルを出した時みたいに俺の周辺だけでいいから電子系統のダウンを引きを起こすことは出来ないか?」
するとブラストショットが僅かに震えそれを取り出すと振動波が出る。恐らくこれで誰にも知られずに通ることが出来るだろう。
戦いの音も激しくなってきた。急ごう!
中に入ると圧死した人や殴られた跡のある人がそこら中に転がっていた。目を背けたくなる光景、もしかしたら生存者がいるかもしれない。しかしビーストの反応を捉えた以上留まっているわけにもいかない。心の中で何度も謝りながら中に進んでいく。
更に中に進んでいくとエボルトラスターの反応がもっと強くなる。ビーストが近いのだろう。ここからは更に注意して進まなければ.......
その時の感情はどう表したらいいのか分からない。ネクサス本編で散々見た奴ではあった。もし初めて出会うならコイツなのかもなと軽く考えていたが、実際に出会うとそんな生易しいものじゃない。心の底から恐怖が溢れてきて叫ぶかと思った。これがビーストなのだと思い知らされた。
ピンク色のウネウネと動いているナメクジのようなビースト【ペドレオン】が倒れた人たちのすぐ側を移動している。まるで何かを探していいるようだった。気づかれないように後をつけてみると、
「うぅ...」
まだ生きている人の声が聞こえてきた。そこでヤツの目的がわかった。ビーストは人を食うが同時に恐怖も糧としている。
ライブを楽しんでいたところに突然現れたノイズ、触れられたら死ぬという恐怖に、逃げ遅れいつ死ぬかも分からない恐怖、そして正体不明の生命体に襲われるという恐怖が合わさり、今はさぞ極上の食材に見えているだろう。アイツは楽に食えてかつ極上の恐怖を持つ人間を食うために探し回っていたのだ。食うより前に死んでしまわぬうちに。
人間を襲いエサの数を減らしているノイズはビーストも邪魔だと思っているだろうが、ビーストはノイズを利用してエサの質の向上を狙っていたのだ。どさくさに紛れておこぼれを貰いに来ていた。
当然ヤツに食わせる気はない。俺は手早くブラストショットをぺドレオンに向け、波動弾を発射する。ぺドレオンは何をされたかも分からないまま消滅した。
本編でもそうだったが、そこそこデカイ個体も一撃で消滅させるのは凄い威力だと改めて感じた。
先程の人を確認すると、まだ息はあった。しかしぺドレオンが一体のみだとは考えにくい。この人だけを襲うためにわざわざ出てきたとは思えない。
まだ何体かいるな、エボルトラスターもまだ反応している。一人一人を救う時間も無さそうだ。
「すまない」
そう言い、この場は後にした。その後もエボルトラスターの反応が強い方へ向かい、3体のぺドレオンを隠れながら撃破した。3体目を倒す頃には慣れてきて、落ち着いて行動出来るようになっていた。
反応がステージの方にもあり、急いで近くまでやってきた。そこでは響がガングニールの破片で重症を負う第1話のあのシーンだった。虚ろな響に「生きるのを諦めるな」と伝える、作中でも屈指の名シーンである。そして覚悟を決めた奏が絶唱を使おうとしていた。
「ステージの方は原作通りに進んでいるがビーストの反応が近くにいるのが不穏だな、アイツらはいつ出てくるってんだ。
しかし絶唱のシーンか、初めて見た時は奏が死ぬなんて思わなくてスゴいショックだったなぁ。
出来ることなら、生きてて欲しい。選り好みしている自分が嫌になるが、後の翼の事を考えると、奏だけでも翼のそばにいて欲しいと思っちまう」
そう思っているうちに奏の絶唱が完成する。ノイズを1匹も残さず消滅させた絶唱。奏の死が近い。翼もそばに駆け寄っている。
...見るのが辛い、あんな悲痛な叫びをあげている翼を見ているとビーストを見た時以上に心が揺さぶられる。
そんな時、1匹のぺドレオンが瓦礫の隙間から出てきて翼に迫っていた。
「あ゛?
まさか翼の奏を失う恐怖を糧にしようとしているのか?翼が食われれば奏はどう思う?守りきりると命までかけた彼女の心もアイツは汚すのか?
それだけは!
それだけは絶対に!!
させるものか!!!」
セレナをトンデモ理論で無理矢理にでも復活させるかどうか。もしするってなってもなるべく自然に出来るようには努力するので気楽にお答えください。
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する
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しない