すみません!完全にサボってました!
*主人公視点*
「怪我は前よりもマシとはいえ、今にも倒れそうなくらいボロボロになったわね」
「むしろこの程度で済んだのが奇跡だ」
実際死ぬかと思ったし。
「ホントに......あまり心配させないでね。
けど、あの子たちを守ってくれてありがとう」
「ああ、向こうに被害が出なくて良かったよ」
「帰ったらゆっくり休みなさい。また数日は寝たきりになるんでしょう?」
「そうさせてもらうさ。ただ、すぐには出来そうにないがな」
「どうして?」
「お前と似たようなことさ」
「私と似たようって、まさか誰かを?」
「そうだ。しかし、今回は色々複雑だからな。何もなく終わる可能性も高いが」
これからどうなるかねぇ。向こうの反応次第だが、このことを受け入れてくれるかな?
~数時間前~
──マリアの歌で世界が1つになった。
これで月遺跡の再起動は問題なく出来るだろう。
そして、俺が今からすることの絶好の機会というわけだ。
フィーネの時にネクサスから背中を押されて結構無茶してから考えてたこと。
既に死んでしまった人や、これから死ぬ運命の人をこの世に留める。
正直昔の俺なら何言ってんだって思うだろうな。けど、本気でしたいと思ってしまった。
この世界には、もっと幸せに生きてても良かっただろと思う人が何人もいる。
その人たちが生きる未来を見たい。これからを楽しんで欲しい。
そう思っていたんだ。
この考えは押さえ込もうとしていた。じゃないと依怙贔屓してしまう。
でも仕方ないじゃないか!好きなんだから!最初の奏の時は勢いでやってしまったけど、フィーネの時は違う。了子には後から色々理由付けしたが結局は俺が助けたいから助けた。
こうなったらもう止まらないからな!奥に秘めておこうとしていた気持ちをネクサスが引っ張り出してきたのが悪い!
覚悟を決める。
もう我慢しないって決めたのだから。
今から俺はセレナの魂を固定する。
アニメでマリアが見たセレナの姿。あれは、アガートラームのギアに残っていたセレナの残留思念が形になったんだと、俺は思った。
形となったタイミングなら、ネクサスに頼めば体は無理でも魂だけは残すことが出来るはずだ。
──俺の光エネルギーが少し減った。反応を見るにどうやら成功したみたいだ。
フィーネの時のように、体も魂もバラバラの状態から集めて固定するよりも、今回のように形となっている魂だけ固定するなら消費は少ないというわけか。
これでセレナは大丈夫。
フリューゲルの中に待機させておいてくれ。
次はナスターシャ教授だ。
こっちは、亡くなった直後にバラバラになりかける魂を固定する。セレナの時よりもエネルギーを使うが、問題なく終わったようだな。
これで二人の魂を回収することが出来た。あとは二人次第だ。
俺はふらつきながらも家に帰ってくることができた。
了子にはもう大丈夫だと伝えて、自室でフリューゲルの中に入る。
二人にこれからのことについて説明をしないといけない。
「ネクサス、二人の魂を起こしてくれ」
二つの魂の輝きがまして姿を形作っていく。
「ん、ここは?」
「私は死んだはずでは.....っ!
あ、あなたは......セレナなのですか?」
「あなたは、マム!?
一体どうして......もしかして死後の世界なの?」
「死後の世界ではない。ここは俺が入れる特殊な空間と思ってもらっていい」
「あなたは!?前に忠告をしに来た方ですね」
「そうだ。
そっちは初対面だな。俺が何者かは長くなるから言わないが、秘密が多い人間とでも思ってくれればいい」
「は、はい。初めまして」
「あなたが私たちをここへ呼んだのですか?」
「ああ。俺がお前たちの消えそうになった魂を呼び止めた」
「......私たちを呼び止めて、一体何用ですか?」
「別にお前たちを使って何かさせようとしているわけじゃない。
俺からは一つ。これから現世で生きたいかどうかだ」
「「!?」」
「今は魂だけの状態だが、いつか動くための器も用意する。
お前たちにはどうするかを決めてもらいたい」
「どうしてそこまで。私たちはあなたと親密だったわけでは無いはずです。
あなたがそうまでする理由を聞かせてくれませんか」
「.....そうだな。別に、深い理由はない。ただ生きて欲しいと思っただけだ。
幼い頃に姉と死に別れた少女に、姉と再開して幸せに生きて欲しい。
使命を終えて家族と1つになれた人に、これからは子どもたちの成長を見ながら幸せに生きて欲しい。
......さっきは決めてくれといったが少し訂正する。
二人には生きる道を選んで欲しい」
「そういう事でしたか。
あなたの本心が聞けて良かったです」
「私もそこまで知っていることに驚きましたが、あなたの気持ちは伝わりました」
「その上で答えます。
私は──その提案を断らせていただきます」
......そうか。ナスターシャ教授は断るか。
「......理由を聞かせてくれないか」
「私はもう何十年も生きました。それに、最期の時をあの子たちに囲まれながら終えたのです。
私はもう満足出来ました。これ以上を望むのは、贅沢というものです」
「無理強いはしない。その気持ちを尊重する」
あとはセレナだが、
「......私もお断りします。
マリア姉さんなら、私がいなくてもきっと前を向いて生きていけます」
セレナにも断られてしまった。
......残念だけど、こればっかりは大人しく引き下がるしかない。無理強いはしないと決めていたことだ。
「待ってください。
セレナ、あなたは生きなさい」
「え......マム、どうして?」
「あなた自分がいなくても大丈夫だと言いましたが、それだけの理由で断るのですか。
本当に、マリアと共に生きたくはないのですか?」
「それは......」
「私は後悔していました。
あの日それしか方法がなかったとはいえ、幼いあなたに頼るしかなかったことを。
あなたがマリアと過ごすはずだった時間を、永遠になくしてしまったことも」
「そんな......!私は後悔していません!
みんなを守ることが出来て私は──」
「大切な人を守るためならどんな危険にも立ち向かえる、あなたのその気持ちは素晴らしいことです。
ですが、自分をもっと大切にしてください。あなたはもっと我儘になってもいいのです。
......もう一度聞きます。これから先の未来を、マリアと共に生きたいとは思わないないのですか」
マムの問いかけに、セレナは悩みに悩んでいる様子だった。
そして──
「......生きたい。
マリア姉さんと、もっと一緒にいたいよ......!」
セレナが涙を流しながら答えている。
「ならば生きなさい。
まだ子どものあなたが、我慢する必要などないのですから」
「ぐすっ、......はい、マム。
あなたには先程断りましたが、撤回します。私はマリア姉さんと生きたい」
「分かった。そうしてくれるのは、俺も望むところだ」
「セレナをよろしくお願いします」
「任せろ。必ず会わせると約束する」
「そう聞けて安心しました。
では、私はそろそろあるべき形へと戻ろうと思います」
「もういいのか?
ここでセレナの器が用意できるまでいてくれても良かったんだが」
「ええ。そうしていると、二人の会うところを見たいと欲が出てきそうなので」
「......そうか。なら、魂の固定を解除する。
最後に別れを告げるといい」
「マム......」
「セレナ......あの日のことを、あなたに謝りたかった」
「気にしないで、私がそうしたかったんだから」
「あなたも優しい子ですね。
もう一度あなたに会えて嬉しく思います」
「私も、マムに会えて嬉しかった」
「これからはマリアと共に強く生きなさい。
......愛していますよ」
「......はい。
私も愛してるよ。マム」
「お待たせしました。
別れの言葉も済ませたので、もう大丈夫です」
「分かった。では解くぞ」
固定を解くと、ナスターシャ教授がどんどん薄くなっていく。
「......最後に伝えておきたいことがある。
ウルトラマンの正体は俺だ。彼女たちに危険が迫れば、俺が必ず守る。
だから安心してくれ」
「あなたが!?
......そうでしたか。セレナに会わせてくれて感謝します。
安心して逝くことが出来そうです」
「マム!私たちのこと、見守っててね」
「もちろんです。いつまでも見守り続けます」
そう言ってナスターシャ教授は消えていった。
セレナも泣いていて、今は落ち着いて話せる状態じゃないな。少し待っておこう。
──
────
「落ち着いたか?」
「すみません。待たせてしまって」
「気にするな。
それよりも今後のことだが、さっきも言った通りまだ器となる体が用意できてない。だから、当分はここで待ってもらう必要がある」
「分かりました」
「だが、何も無い空間で待ち続けるのは辛いだろう。
俺がいない間は意識を沈めておこうか?」
「そうですね。一人でここにずっといるのは、少し寂しいですし」
「毎日会いに来るさ。その時に外の話でもしよう」
「本当ですか!嬉しいです」
「けど、今日は色々あって疲れていてな。
話は明日からにさせて貰えるか?」
「ええ、分かりました。
ゆっくり休んでください」
その日以降、夜になったらセレナに会いに行って話をする日々が続いた。
簡単な自己紹介に、ウルトラマンやビーストの事を話すとすごく驚いていた。
他には、マリアたちがどうしていたのかを話した時、表情の変化が多くて見ていて面白かったな。
彼女たちの事を話終わると、今度は俺のことをもっと知りたいと言われたので普段何しているのか、どんな相手と戦ってきたのかを話すことにした。
それからだ。
何故か彼女が俺のことを褒めるようになったのは。
戦いのことを話してる途中から回数がどんどん増えていき、一日の見回り結果を話すだけでめちゃくちゃ褒められるようになった。
些細なことでもすごい、いつも頑張ってると頭を撫でながら言ってくるし、挙句の果てにはもっと甘えてもいいんですよと囁いてくる。
勘弁してほしい。あの声でそう言われると恥を捨てて甘えてしまいそうになる。
流石に子ども相手に甘える訳にもいかないから耐えてるけど、いつか堕ちる。限界が来たらコロッと行ってしまいそうなのが恐ろしい。
早く器をどうにかしないと。
「了子、やはり人と変わらない器の用意は難しそうか?」
「そうねぇ、私の専門外のことになるからかなり厳しいわ」
「そうか。出来るような人物に心当たりはあるか?」
「こういうことなら錬金術師が適任じゃないかしら」
「錬金術師か」
やっぱりそうだよなぁ。
「けど、彼らは普段隠れてるから、そう簡単に見つけられる存在でもないわ。
それに、求めるものを作れる存在はひと握りしかいないでしょうし」
「厳しい状況だが、約束した以上必ず成し遂げる」
「流石ねぇ。
けど、あなたならできそうな気がするわ」
前途多難だが、必ずたどり着いてみせる。幸せな未来を掴むために。