戦姫絶唱シンフォギア~光の絆~   作:@a.s

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1話に収めようと思ったら思ってた以上に長くなってしまった。
前回に纏めようとしなくて良かった。


第36話

 

 *響視点*

 

 キャロルちゃんとの戦いが終わって、翼さんとクリスちゃんの2人と一緒に本部に帰還しようと思ってたところにあの人が現れた。

 

「少しいいか」

 

「あっ、お前は!?」

 

「あなたも来ていたのか」

 

「ビーストの反応があったからな。もう終わったようだが」

 

「ウルトラマンさんが倒したんです。今はもう帰っちゃっていませんけど」

 

 彼は私たちの決着が着く頃にはもう消えてしまっていた。

 

「そうみたいだな。虹色の障壁に阻まれて入れなかったが、外からビーストと戦っている姿を見たよ」

 

「それで、私たちに何の用だ。まさか雑談をしに来たわけでもあるまい」

 

「そうだな、本題に入ろう。

 俺がここに来たのは以前立花響から言われた話を今更ながら受けようと思ってな」

 

 えっ、私!?

 

「えーっと、なんて言いましたっけ?」

 

「覚えてなくても無理は無い。半年以上も前だからな。

 病院で触手に襲われた時に話してただろう?一緒に戦いませんかって」

 

 あ!

『一緒に戦いましょう!』『いつでも待ってますんで!』

 

「あの時の!それじゃあ!!」

 

「ま、そのための交渉をしたいというのが目的だがな」

 

「ようやくあなたと話が出来るわけか」

 

「話す場所はそっちが指定していい。俺は出来るなら今からそっちの本部で話したいと思ってるが、信用出来ないならどこか場所を言ってくれ」

 

「師匠、どうしますか?私は信用出来ると思います!」

 

 今までも助けになってくれたんだし、疑うような真似はしたくない。

 

『こちらも問題ない。彼を連れて帰還してくれ』

 

「分かりました!

 今から本部に来てもらっても大丈夫だそうです!」

 

「そうか。なら案内は任せた」

 

「任されました!」

 


 

 ~S.O.N.G.内部~

 

 私たちが作戦指令室に案内すると、『歓迎!ようこそS.O.N.G.へ!』と映し出されたモニターが目に入る。

 

 ここらしい挨拶の仕方に私は懐かしく思いつつも、クリスちゃんは少し呆れたような顔をしていた。

 彼も意外だったようで、

 

「まさかここまで歓迎されるとは思わなかったよ。

 前まで敵対はしていなかったが突き放すような態度をとっていたからな」

 

「気にしてはいないさ。

 それに、何度も彼女たちを助けてくれたからな。感謝の気持ちの方が大きい。

 改めて、君を歓迎する」

 

 そう言って師匠が手を差し出す。

 

「ああ。どうぞよろしく」

 

 彼もしっかりと握り返した。

 そこからは各々彼に挨拶していくことになった。

 

 そんな中で未来が喋りかける。

 

「1週間ぶりですね。この前は響のことを助けてくれてありがとうございました。

 服は洗ってお返ししますね」

 

 私のことを?

 

「未来、私が負けちゃったあと何かあったの?」

 

「うん。あの後ビーストが出て、襲われそうになったところを助けてくれたの。

 裸になってた響のためにコートも貸してくれたんだよ」

 

「そうなんだ、危なかった─って裸!?

 私裸になっちゃってたの!?」

 

 は、恥ずかしい!!

 

「だ、大丈夫だよ!前は見られてないから。

 それに、すぐコートを渡してくれたし」

 

「後ろは見られたってことじゃん!

 あ、あのー...その時のことは忘れて頂けると嬉しいなーって」

 

「...ジロジロ見るようなことはしてない。安心しろ」

 

「うぅ、ありがとうございます」

 

 そんな事になってるとは思いもしてなかった。

 ...あれ?コートを貸してくれたってことは。

 

「未来!もしかして顔を見れたの!?」

 

「それは見れなかったよ。目を瞑れって言われたし」

 

 そっかぁ、ちょっと残念。いつか見せてくれる日がくるのかな?

 

「にしてもなんでお前は顔を隠したりしてるんだ?」

 

 お、クリスちゃんが気になってたところを聞いてくれた。

 

「その方が面倒なことにならないからな。追われても撒く自信があるから顔がバレなきゃ自由に行動出来る」

 

「確かに、君が通ったであろう場所の監視カメラはその時機能してないし生体反応もキャッチ出来ない。一体どうやったらこんな事が出来るんだ?」

 

「企業秘密だ」

 

 これはなかなかガードが固そうだ。

 

「いつかそのフードの中を解き明かしてみたいのデス」

 

「わざわざそんなことをしなくても、いつか打ち明けるさ」

 

「それはいつになるの?」

 

「やるべき事が全て終わった時かな」

 

 やるべき事か...。

 

「それってビーストを倒し切ることですか?」

 

「それもあるな」

 

「それもという事は、他にもあるのか?」

 

「あるが、今はまだ言えないな」

 

「もったいぶりやがって、気になるじゃねぇか」

 

「いつか分かるさ」

 

「そればっかりデス!」

 

 あはは、まだまだ秘密が多いままだな。

 

「親睦を深めるのはこれくらいにして、そろそろ交渉とやらに移ろうか」

 

「そうだな、手早く済ませるか。

 ではこちらから差し出すものだ」

 

 そう言って彼は小型の何かを出した。

 

「それは一体?」

 

「これはビーストの出現場所を発見する装置だ。

 これを地面に埋めることで半径50km以内であれば位置が分かる」

 

 すごい!今までは現れても分からなかったけど、これがあれば不意打ちされることは無い。

 

「これは凄いな。我々がまさに求めていたものだ。

 君が作ったのか?」

 

「いや、最近優秀な研究者を拾うことができてな。ソイツに頼んで作ってもらった。

 コレが複数ある。全国に埋めたらどこに来ようが対応できるだろう。

 信用出来なければこの中から適当に選んで調べてもいい。設計図と理論の入ったUSBも渡しておく」

 

 研究者がいたんだ!?どんな人なんだろう?

 

「至れり尽くせりだな。しかしどうやって分かるんだ?」

 

「ビーストからはビースト振動波という特殊な振動波が出ている。これは見た目が変わっても全く同じものだ。それをこの装置が感知して知らせてくれる。

 細かいことは理論のところを見れば分かる」

 

「なるほどな。早速コレを全国に埋めるよう上に掛け合ってみよう。

 それで、これ程のものを差し出したんだ。君からは何を要求する」

 

「俺からの要求は3つ。まず1つ目はビーストが出現した場所周辺の人の避難及び可能であればビーストの撃破」

 

「ふむ、避難に関してはノイズの時と似ているから問題は無いだろう。撃破もノイズの位相差障壁が無い分出来るかもしれん」

 

「2つ目は今までに出たビーストと、今後現れるビーストについて解析した情報を全て渡すこと。

 こちらもビーストのことについて研究を進めていてな、そちらが得た情報が欲しい」

 

「それは理解できるのだが、そちらの研究者をここに呼んで共同研究という形にするのはダメなのか?」

 

「当然の疑問だが、少し訳ありでな。うちの研究者を呼ぶ訳にはいかない」

 

 わ、訳ありって何なんだろう...怖い人なのかな?

 

「...分かった。渡し方はUSBに纏めたものでいいか?」

 

「それでいい。こちらも新しいことが分かれば全て教える。

 最後だが、エージェントを使って俺のことを探らないようにすることだ」

 

「君が自分の正体を隠そうとしているの理解している。上にはそう伝えておく。だが他国がどうなるか」

 

「分かっている。そっちから狙われるのはここに来た時点で承知の上だ。

 上に話がいく時点で他国にも存在は知られるだろうからな」

 

 そんな!狙われるなんて!大丈夫なのかな...。

 

「行き来の時は我々から護衛をつけるか?」

 

「必要ない。巻き込まれたら可哀想だ。それに、1人の方が逃げやすい」

 

「そうか、分かった」

 

「それと言っておくことがある。彼女たちの周りには注意しておけ。

 どうやらビーストは彼女たちのことを狙う傾向にあるみたいだからな」

 

 え!?私たちを!?

 

「以前私たちに言ってた事ね」

 

 マリアさんたちは聞いてたんだ。

 

「ああ。普通のビーストならもっと一般人を襲っているだろう。直近で一般人を襲ったのは半年ほど前にあったノイズのタワー襲撃の時ぐらいだ。

 彼女たちの前に現れるケースが多すぎる」

 

「なるほどな、理由は分かってないのか?」

 

「それは分からない。だが警戒は必要だろう」

 

「分かった。彼女たちの周りは特に注意しておこう」

 

「だが、アタシらを狙うってんならむしろ返り討ちにしてやる!

 イグナイトの力はデケェやつにだって通用すんだから!」

 

「クリス、前も言ったがビーストは狡猾だぞ。力押しで勝てる相手だけでは無い」

 

「わ、わーってるよ」

 

「それと、ビーストの扱いはどうするんだ?今のように秘匿しておくのか?」

 

「...上の考えはこれ以上国民を混乱させたくは無いそうだ。幸いまだ一般人にほとんど知られていないのと、ウルトラマンが隔離空間で倒してくれるから大丈夫だろうとな」

 

 詳しく聞いてなかったけど、そんな風に思ってたの!?

 

「何とも他人任せデスね」

 

「混乱を避けるのは理解出来るけどね」

 

「今はそれで問題無いだろう。ビーストは人の恐怖を糧に増えるからな。対抗策が出るまで放置するのも手だ。

 だが、もし市街地に堂々と現れたら大変なことになるぞ。現状維持出来ると軽々しく考えない方がいい」

 

「そうだな。改善するよう伝えておこう」

 

「あと、これを伝えておこう。

 ビーストに対する1番の対抗策として、人々がビーストへの恐怖に打ち勝つことだ。それが出来ればビーストが増えることは無い」

 

 恐怖に打ち勝つ...。

 

「かなりの難題だな」

 

「ああ。だから希望が必要だ。ビーストが相手でも諦めないでいられる希望が」

 

「諦めないための希望」

 

「そうだ。ビーストを研究すればそれが見つかるかもしれない」

 

「けど、希望ならもうあるデス!」

 

 それって───

 

「ウルトラマン。

 彼のことも一緒に公表したらみんなの希望になる」

 

「だが、それだと危ういな」

 

「翼さん?」

 

「ああ、翼の言う通りだ。今ウルトラマンのことを話せばみんなあいつに頼りきりになっちまう。

 もしもの事があれば立ち直れないかもしれない」

 

「もしもの事って、そんなことは───」

 

「起きないと思うか?立花。

 ファウストという巨人が現れた時を思い出せ。一歩間違えたら彼は死んでいた」

 

「っ!」

 

 確かにあの時はどうなってもおかしくなかった。

 けど、ウルトラマンさんが死ぬなんて───

 

「私も、そんな事は考えたくないがな」

 

「あ..」

 

 そうだ、翼さんもこんな事言いたくない。長い時間を過ごした訳じゃないけど、大切な仲間だと思ってるんだ。

 もしもなんて考えたくないけど、頼りにしすぎる危険性を教えてくれてるんだ。

 

「すみません、翼さん」

 

「いや、いい。私も言い過ぎた」

 

「しんみりとして終わってしまったな。

 だけどまだそうと決まったわけじゃない。その時によって変わるだろうからあまり深く考えずにしておけ」

 

「そうだな。今は目の前のことに集中しよう。

 今日はありがとう。君のおかげでビーストの被害を減らすことが出来そうだ」

 

「こちらこそ。スムーズに進んで助かったよ」

 

「なぁあんた、これからアタシたちと協力してくれるんだろ?

 だったら相棒と後輩たちのこと、よろしく頼むな」

 

「任せておけ。それが俺のいる理由だ」

 

「そうだ!せっかく協力関係になったなら名前を教えてくれませんか?」

 

「確かにな。いつまでも名前がなかったら呼びにくいし」

 

「名前か..」

 

「やっぱり秘密なの?」

 

「あたしたちがつけるのはどうデスか?」

 

 切歌ちゃんの言葉からみんなが一斉に名前を考え始めた。

 まぁ意見がバラバラすぎてあーでもないこーでもないって纏まらなかったんだけどね。

 

「だぁーー!纏まらねえ!」

 

「こうなったらあなたが考えて欲しい」

 

「それが一番だな」

 

「そうだな───リアン、という名前で呼んでくれ」

 

「リアン?海外だとそこそこ聞く名前だけど」

 

「海外!?もしかして外国の方だったんですか?」

 

「どうだろうね」

 

 うっ、またはぐらかされた。

 

「本人がそう言うなら決まりだな。よろしく、リアン」

 

「よろしく、翼」

 

「本当の名前じゃないかもしれないですけど、これからよろしくお願いしますね、リアンさん」

 

「こちらこそよろしく、未来」

 

「あなたとこうして手をとりあえて嬉しいです!リアンさん!」

 

「遅くなったがよろしく、響」

 

 みんなと握手していくリアンさん。名前があると仲間だっていう思いが強くなっていく。

 錬金術師にビースト。解決しないといけない問題が多いけど、みんなと一緒なら何とかなると思える。

 

 ウルトラマンさんも、私たちの大切な仲間。

 もしもなんて起こさせない!困難なことがあっても、助け合えばきっと乗り越えることだって出来る!

 

 




響のセリフは18話参照。

名前って昔にカッコイイの考えたりするよね。
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