*主人公視点*
話を聞きに行った結果、ウルトラマンは倒さないけど俺は倒すと言われてしまった。
俺はまぁともかく、ウルトラマンを攻撃するつもりは無いみたいで安心したよ。
S.O.N.G.のみんなは明日、バルベルデから持ち帰った資料を解析するために風鳴機関へと移動するだろう。
その時にサンジェルマンたちがファウストローブを纏って襲撃しに来るが、みんなが無事でいてくれるかどうかが不安だな。万が一のことがないようにしないと。
アダムの黄金錬成に巻き込まれないよう、何時でも出れるように待機しておくとしよう。
~翌日~
地域一帯に退去命令が出てるおかげで何処にあるのかが分かりやすいな。フリューゲルに上から落としてもらったら楽に入ることができた。
後はみんなを探せばいいだけだな。
──
────
広くて見つからん!流石に声が聞こえたりしないと探すのはキツい。
俺がいるのはバレたくないから、村を堂々と歩くわけにもいかないし。森の中から頑張って探すしかないか。
「あーーー!」
.....これは切歌の声か?
物音がしないから、彼女の元気な声がよく聞こえるなぁ。
声が聞こえた方まで近づいてみると、ちょうどカリオストロとの戦闘が始まっていた。
しかし、女性ホルモンが煮えたぎりそうってどういうことなんだ?けど、時折奇妙な言葉選びを聞くと、シンフォギアらしさを感じるなぁ。
翼も参戦したところでカリオストロは帰っていった。後は響たちについていけば風鳴機関まで案内してくれるだろう。
夜の襲撃に備えて少し休むとするか。
ラピス・フィロソフィカスの力はイグナイトにとって天敵だ。あっという間に3人がやられてしまった。
そして、情報を消すためにアダムもやって来たな。サンジェルマンたちも巻き込まれないためにテレポートジェムを使おうとしている。俺が出るなら今だ!
「──っ!お前は、どうしてここに!」
「前に言っただろ。助けるためだ」
マリアたちがノイズを蹴散らしてくれているうちに、一刻も早く3人を回収する。
「あなたは!」
「流石に3人は持てない!手伝ってくれ!」
重さは問題じゃないが、走るにはバランスが悪い。翼をマリアに、クリスを切歌に渡して全力で逃げる。これなら安全に避難できるはず──
.....なんだ、視線を感じる。一体どこから。
そう思い少し探してみると、上空からアダムがこっちを見ていた。そして、アダムがその手を振り下ろす。
ゴオオオォォォォ!!
爆発がこちらに迫ってくる。
けど、もうここまでせまってきているのか!これは.....間に合うか?くそ、分からん!
「調!響を頼む!」
「は...はい!」
「2人も調の近くに寄るんだ!」
「どうしようっていうの!」
「気にせず走れ!」
響を調に託す。
間に合うか分からないなら──
「.....信じてるぞ」
俺は立ち止まり、ブラストショットを取り出して全力のバリアを張った。
後ろで走るマリアたちも守れるよう、範囲を最大限まで広げる。頼む、持ち堪えてくれ!
───
──────
.........耐えきったか。
響たちの方へ視線を向けると、ちょうど爆発の範囲だったであろう場所に倒れ込んでいる。
俺がバリアを張らずに走っていると巻き込まれていただろう。
空を見ると、アダムが俺のことをじっと見ていた。すぐに姿を消したが、その目には警戒の色が浮かんでいた。
「ぐっ.....何が...一体どうなって....」
目が覚めたようだな。
「風鳴機関が跡形もなく....」
「あっ.....リアンさん、どうしてここに..」
「俺のことより、マリアたちは無事か?」
「ええ、大丈夫よ」
「危ないところだったデス」
「助けてくれて、ありがとうございます」
「.....いや、礼は言わなくていい」
「お...おい。どうしたんだよ」
「何でもない。じゃあな」
早くこの場を離れたかった。
礼を言われる資格なんて、俺にはなかった。
俺が助けようとしたせいで、みんなを危険に晒してしまったのだから。
理由は分からないが、アダムは確実に俺のことも狙っていた。そのせいで爆発の範囲が変わってしまったのだろう。
何もしない方が、みんなは安全だったかもしれない。たらればの話なんて終わりが見えないのは分かっているが、どうしても考えてしまう。
.....今までが上手くいきすぎたんだろうな。予想外の事態でかなり心が揺さぶられている。
「.....ダメだな。切り替えようと思っても、そう簡単に頭から離すことができない」
.....今考えるべきは、何故アダムが俺のことを狙ったのかだ。あの目、単に俺という存在を警戒していただけか?それとも、この力の方を?
消し去ろうと思うまで気になるものだったのか。
ドクンッ、ドクンッ
「大丈夫だよ、ネクサス。ちょっと考えこんでただけだから。
それと、さっきはありがとな。おかげでみんな助かったよ」
最悪の事態にはならずに済んだ。今はそのことを喜ぶとしよう。
*アダム視点*
当初の目的は遂行できた。
だが、できなかった。あいつを消すことは。
「ラピスの輝きはイグナイトを圧倒し、勝利は約束されていた」
「なのにあーしたち、あと少し戻るのが遅れたらこんがり焼かれちゃってたわよ」
「しかも結局、奴らを仕留め損なっているワケダ」
「みんな!そうやってギスギスしないで、キラキラしようよ!」
「「「........」」」
芳しくないようだね、サンジェルマンたちの様子は。
だがそれも仕方ない。
「どうどう、ティキ。
しかし、もっともだ。サンジェルマンたちの言い分は。
では、これからは任せるとしよう。シンフォギア共の相手は」
これで収まってくれるといいのだけどね。この気分が。
「.....分かりました」
「それと、想像以上だったよ。報告にあった男は。
受け止めたんだ。僕の黄金錬成を」
「うっそ、まじ?」
「あれを受けて耐えられるやつが存在するワケダ」
「局長、あの男はどうするつもりですか」
「とっととするべきだろうね。始末を。
大きな障害となるだろう。あの力は」
「あれって聖遺物の力なのかしら?」
「それにしては強すぎるワケダ」
「──神の力、なのかもしれないね。もしかしたら」
「あれが.....神の力!?」
「だとしたら納得はできるが、始末するには面倒なワケダ」
だが、違和感があった。神の力というには。
もっと別の何かだと感じた。僕たちが扱おうとしているものとは違う。
「任せるよ。彼の相手は。
使うといい。どんな手でも」
侮れないな。未知の力は。
立ちはだかるなら、させないよ。僕の計画の邪魔は。
*主人公視点*
一晩寝たら少しは気分がマシになったな。
LiNKERが完成するのは、分裂するノイズが現れる日だったはずだから、それまでは待機ってことになるかな。
.....LiNKERはちゃんと完成するのだろうか。
はぁ......知識がある分、本当にそうなるのか不安になる。
見回りをしてたら気も紛れるだろうか。
──
────
東京湾にノイズが発生したっていうニュースが流れたな。
様子を見るなら戦いの場となるシャトーの跡地まで行けばいいが、もしLiNKERの完成が間に合わなかった場合はリディアンの近くまで行った方がいいだろう。
.....俺はどうすればいいのか。
みんなを信じるならシャトーまで行けばいい。だが、万が一のことが起きれば──
結局、リディアンまで来てしまった。
マリアがノイズを倒してくれたおかげで、何もすることはなかったけどな。
LiNKERも無事完成した。
彼女たちは強いのだから、俺がお節介を焼かなくても何とかなる。分かってたことじゃないか。
何も心配することはない。
ちょっと俺が心配性だっただけなんだろうな。
そう結論づけて、家まで帰った。
~その夜~
ビー!ビー!
「絆紡くん!ビーストの反応よ!
この波形は.....ピンク色のナメクジみたいなビーストだと思うわ。数は3体」
「場所は高尾山の近くにあるトンネルです。そこまで遠い距離ではありませんね」
「すぐ出るよ」
「...おいお前、今日は少し様子が変だったが大丈夫なんだろうな?」
「.....ああ。もう解決したし気にしなくていい。
すぐ戻ってくるよ」
そろそろ名前を伝えた方がいいかもしれない。
呼ぶ時に困るだろうし。
──
────
「掃討終了だな」
これ以上ビーストの反応はない。
被害者も出ることがなかったようだし、文句なしだな。
.....このまま昔みたいにビーストのことだけを考えるのが良いかもしれない。
変に関わりすぎたせいで、余計なことをしようと思ってしまったのかもな。
だけど、それだと俺の理想は───
「こんな夜中にお仕事?」
!?
「お前たちは....」
「今度こそ、革命の礎となってもらう」
「前回のお返しをしに来たワケダ」
もうファウストローブを身にまとっている。戦う準備は出来てるってわけか。
「どうしてここが分かった」
「簡単なことだ。
ビーストが出現したことによって、各国は大騒ぎになった」
「そんな時に、日本でビーストの出現場所がわかる装置が出来たって話じゃない」
「そうなると必然的に、各国はその装置の製作方法を知りたがるワケダ。
もちろん、それは私たちが活動する欧州にも伝わったワケダ」
「あの装置は民間人を守るために作ったからな。
世界に広めるのは俺の望むところでもあった」
「私たちはその装置を解析した。そして、世界各国に配置された装置へ干渉し、その情報を取得することに成功した」
「そうなると、世界のどこでビーストが発生したのか一目瞭然ってわけ」
「ビーストの対処を専門にしているお前なら、必ずここに来ると思っていたワケダ」
「俺を狙ういい目印になってたってことか」
このやり方は、俺を狙う他の連中も真似してくるかもしれないな。
そう考えながら、俺はブラストショットへゆっくり手を伸ばしていく。この状況、さっさと逃げるに限る。
「逃がす気はない!カリオストロ!プレラーティ!」
「まっかせて〜!」
「お前の狙いはお見通しなワケダ!」
カリオストロとプレラーティが一気に接近して攻撃を仕掛けてくる。
バリアを張って凌ぐしかない。
「前は様子見で距離をとって攻撃してしまったせいで、お前に逃げる隙を与えてしまったが──」
「こうやって近距離で攻撃し続けてたら、あなたはバリアを張り続けるしかないわよね」
「だったら我慢比べをするか?俺が疲れる前に、S.O.N.G.からの増援が来る方が早いと思うが」
「この地域一帯にアルカノイズをばらまいておいたから、時間稼ぎは充分なワケダ。
それに、この攻撃はお前の注意を逸らすための囮だったワケダ!」
「何だと!」
「お前はこの空間から逃れられるかな?」
サンジェルマンの手から投げられたのは、数日前に響たちが戦った機能特化型アルカノイズだった。
.....ノイズの作り出す亜空間に閉じ込められてしまった。これでは、フリューゲルを呼び出すことは出来ない。
「はい、捕まえた」
「後は煮るなり焼くなり、好き放題にできるワケダ」
「お前を捕まえるために新しく作ったのでな。その力、存分に味わうがいい」
周囲から次々とアルカノイズが現れる。
.....これは、本気でまずいな。