戦姫絶唱シンフォギア~光の絆~   作:@a.s

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第47話

 

 *S.O.N.G.本部*

 

 本部の中は慌ただしくなっていた。

 

「アルカノイズが現れました!」

 

「急ぎ、装者たちを現場に向かわせるんだ!」

 

「アルカノイズの出現場所周辺では、既にビーストの出現によって住民の避難は完了しています。

 ですが、敵の狙いは───」

 

「リアン君に間違いないだろう。

 1人になるタイミングを狙われるとは」

 

「大型のアルカノイズの反応をトンネル内に確認!」

 

「急ぎ、トンネル内の監視カメラの映像を!」

 

「.....ダメです!どれを確認しても、姿が見えません!」

 

「これは.....以前響さんたちが遭遇した、亜空間を形成するアルカノイズの仕業なのでは」

 

「これじゃあ、リアンさんを助け出すことが....」

 

「ここで彼を失うわけにはいかん!

 周囲のアルカノイズを殲滅して、トンネル内に向かわせるんだ!」

 

「ですが、内部に入る方法は....」

 

「諦めるな!何としてでも、彼を助け出す方法を見つけるんだ!」

 

「──はいっ!.....頼むから、無事でいてくれよ」

 

 絶望的な状況だが、彼らは誰一人として諦めようとはしなかった。

 それでも時間は過ぎていき、皆の表情には焦りが見え始めていた。

 

 それは装者たちも同じであった。

 

 

 

 *調視点*

 

 アルカノイズが出現したという連絡が届いて、私たちはすぐに出動した。しかも、敵の狙いはリアンさんのようで、既にアルカノイズの亜空間に囚われてしまったらしい。

 

 今すぐ助けに行きたいけど、周囲に現れた大量のアルカノイズが私たちの邪魔をする。

 周辺地域に被害を出さないためにも、この状況を放っておくわけにはいかない。

 私たちは3つのチームに別れてノイズを殲滅することにした。

 

『こいつらは一体どれだけ出てきやがるんだ!』

 

『早くしないとリアンさんが.....!

 もうイグナイトを使うしか──』

 

『落ち着きなさい!助け出す方法も見つかってないのに決戦機能を使えば、カウントオーバーでギアの機能が停止してしまうかもしれない!』

 

『それに、私たちは奴らの力に対抗するための手段も持ち合わせてはいない。イグナイトを纏えば、即座にやられてしまうだろう』

 

「それじゃあ、ノイズを倒しながら待つしかないってことデスか!?」

 

 みんな焦ってる。当然だ。

 仲間が襲われているのに、助けることが出来ない。そのもどかしさを、私はよく知っている。

 

 私も彼を助けなきゃって思っている。だけど、それと同時に別のことも考えていた。

 

「........」

 

「調?どうしたんデスか?

 まさかっ、昼間のダメージがまだ残って──」

 

「違うの、切ちゃん。

 ただ、少し考えごとをしてて....」

 

「この一大事に、一体何を考えてるんデスか?」

 

「.....この前、リアンさんが私たちのことを、敵の攻撃から守ってくれたでしょ?

 あの時、彼がいなかったら私たちはやられていた」

 

「あれは危機一髪だったのデス。みんなを助けてくれて感謝してるデスよ」

 

「私たちは全員無事だった。なのに、助けてくれた本人はつらそうにしていた」

 

「確かに、まともに話もできないまま帰ってしまったのデス」

 

「うん。それが何でなのか、考えても分からなかったの」

 

「むむむむ.........あたしも分からないデス!

 こういうのは、助けてから本人に聞くのが一番デス!」

 

「.....そうだね!

 早くリアンさんのところに向かおう、切ちゃん!」

 

「さっさとノイズを片付けるデスよ!!」

 

 今は助けることに集中しないと!

 私たちが向かうまで、無事でいてください。そして、あの時に何を思っていたのかを、聞かせてください。

 

 


 

 

 *主人公視点*

 

「確かに、これでは逃げられないな」

 

 戦いは避けられない。

 だが、この状況を打開するにはどうすればいい?

 

「戦いを始める前にいくつか質問がある。

 お前が手に持つそれは、神の力なのか?」

 

 これが神の力かどうか.....。

 そうとも言えるし、そうでないとも言える。俺には判断がつかないな。

 

「当たらずとも遠からずってところだ」

 

「曖昧な答えね」

 

「では、その力をどうやって手に入れた?」

 

「それは言えないな」

 

「まぁ、素直に答えるとは思っていなかったワケダ」

 

「ならば、お前から奪って調べるとしよう」

 

「.....一つ言っておくが、この力は絶対に利用させないぞ。

 奪われるくらいなら、自ら捨てた方がましだ」

 

 もしサンジェルマンたちに負けた場合は、俺から離れてくれよ。

 

「.....私たちは、その力を悪用しようなどとは考えていない。

 人類を支配の楔から解き放つために、力が必要なのだ!」

 

「この力は、この世界に生きる人々を守るためにある。犠牲の上に目的を果たそうとするお前たちに、渡すわけにはいかない!」

 

「綺麗事を.....!!」

 

「分かってるよ。それくらい。

 だけど、譲れないんだ」

 

 ウルトラマンの力を、革命のために利用させない。

 

「.....仕方ない。今はその力を得ることを諦めよう。

 では予定通り、お前を排除させてもらう」

 

「最後まで抗わせてもらうぞ」

 

「さっさと消してあげるっ!」

 

 カリオストロが突っ込んでくる。

 得意のインファイトで来たか。

 

 俺がとれる行動は、3人の攻撃を躱しながら迫るノイズを処理することだけ。だが、隙があればカウンターを喰らわせてやる。

 

「へぇ.....こういうのは苦手かと思ったけど、結構やるじゃない」

 

「そりゃどうもっ!」

 

 カリオストロと距離をとって、ノイズの群れに攻撃を放つ。

 ブラストショットはなるべく防御じゃなくて攻撃に使用する。少しでも受け身に転じたら一気に追い詰められるだろう。

 

「思うようにはさせないワケダ!」

 

カァン!

 

 巨大なけん玉をバリアで防ぐ。

 少しでも距離を取れば、すぐにけん玉が飛んでくる。それに──

 

ダァン!

 

「嫌なタイミングで撃ってくる....」

 

 けん玉を防いだと思ったら、今度は銃弾がやってくる。

 そのせいでまともに動くことが出来ない。

 

 こうやって防いでいる間にカリオストロがまた接近してくる。

 

「どお?私たちのコンビネーションは」

 

「ジワジワと追い詰めていくワケダ」

 

「もう諦めたらどうだ」

 

 3人纏めてかかってこられた方がまだマシだ。

 このままじゃ適当に撃って、亜空間を発生させているノイズを探すこともできない。

 

 相手は時間をかけて、確実に俺を殺しにきている。精神的にもかなりキツい。

 流れを変えるためには──

 

「フッ!」

 

「ちょっ、急に動きのキレが──」

 

 この連携はカリオストロの負担が大きい。彼女の接近戦の強さを2人が信頼しているってことだが、ここを崩すことができれば.....!

 

「ヤバっ」

 

「カリオストロ!」

 

 俺の拳が完全に彼女の顔を捉えていた。

 こうやってダメージを与えていけば、時間を稼げ───

 

 

 ピタッ

 

 俺の拳が当たる直前で止まってしまった。

 

 

「.....あら、意外と紳士的なのね。

 けど──フゥッ!」

 

ドンッ!

 

「ぐぅっ!」

 

 彼女の渾身のストレートを両腕でガードしたが吹き飛ばされてしまう。

 しかも、その先は──

 

「ノイズが待ち構えているワケダ!」

 

 いや、このスピードならむしろ.....。

 

「バリアを張って守ったか。しかも、吹き飛ばされた勢いで纏めて倒すとは」

 

「ついでに周辺のノイズも一掃したワケダ」

 

「けど、初めてまともに攻撃を受けたわね」

 

 .....痛いな。まだ腕が痺れている。

 いや、今はそれよりも──

 

「まさか、お前が人を殴れないとは思わなかったぞ」

 

「そういうところは、あーしの好みだけど」

 

「この場においては致命的なワケダ」

 

 無意識だった。

 俺だって死にたいわけじゃない。生き残るために、そうするべきだと思って攻撃したのに。

 殴ることが出来なかった.....。

 

「それに、拳がダメなら何故その武器で私たちを攻撃しないワケダ?」

 

「.....まさか、お前の言う生きる人々とは私たちも入っているのか?」

 

「ああ、そうだ」

 

 この力は、お前たちと戦うためにネクサスから受け取ったんじゃない。

 

「呆れた。意地になってるのかしら。命がかかってるのに」

 

「さっきも言っただろ。譲れないんだよ、これだけは」

 

「.....その信念には敬意を表する。

 だが、私たちにも貫き通さなければならないものがある!」

 

 これで振り出し.....いや、悪化した状態で仕切り直しか。

 

 ネクサス、もういい。俺から離れてくれ。巻き添えにしたくない。

 

ドクンッ、ドクンッ

 

 いや、変身はしない。

 確かに、この場を抜け出せるかもしれない。だが、その先はどうなる。

 

 俺にウルトラマンの力があると知れば、アダムたちは俺の抹殺にもっと躍起になるだろう。

 最悪、ビーストが出現した地域一帯を、俺諸共攻撃するかもしれない。

 

 俺のせいで周りの人間に被害が出るのは、俺が許せない。

 だから、ここでお別れだ。次は、せめて拳を振るうのを躊躇わない奴を選ぶんだな。

 

「さぁ、続きといきましょうか」

 

「攻撃できないなら、こちらは好きにさせてもらうワケダ」

 

 俺の体から離れるまでは防御に徹するから、さっさとしてくれ。

 いつまでも耐えられるものじゃないぞ。

 

「ふぅ.....、来い....」

 

 ああ.....でも、心残りがあるとすれば、皆に別れの言葉を言いたかったな。

 遺書くらい用意すれば良かったかも。

 

 まさか、ビーストとの戦いで死ぬんじゃなくて、人との戦いで死ぬことになるなんてな。

 .....ここまできたのに、最後は呆気なかったな。

 

 できれば、もう少し先の未来を───

 

 

 

 

 

 

バリンッ!

 

「これはっ!」

 

「空間に穴があいたワケダ!」

 

「一体どうして.....!」

 

 開いた穴から誰かが一斉に降りてくる。

 

「お前は.....!」

 

「.....これ以上、こいつには手を出させないぞ」

 

「嘘でしょ!」

 

「どうしてお前がここにいるワケダ!」

 

「キャロル・マールス・ディーンハイム.....!」

 

「あたしたちを忘れてもらっちゃ困りますねぇ」

 

「派手に登場したのだ、久しぶりに暴れさせてもらうとしよう」

 

「マスターの大切な協力者に牙を剥いた以上、その代償は払っていただきます」

 

「最近は穴掘りばっかりだったから、好きにやらせてもらうゾ!」

 

 キャロルとオートスコアラーたちが、俺を庇うように目の前へ降り立った。

 

 

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