戦姫絶唱シンフォギア~光の絆~   作:@a.s

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時間は───ギリセーフか。




第48話

 

 *主人公視点*

 

 まさか、キャロルたちが助けに来てくれるなんて.....。

 

「キャロル.....行方不明と聞いていたが」

 

「コイツの仲間だったワケダ!」

 

「仲間?違うな。

 オレはコイツに貸しがあって、仕方なく協力しているにすぎん」

 

「素直じゃないですね〜、うちのマスターは」

 

「黙れ、ガリィ」

 

「けど、どうやってこの空間を破ったっていうの.....?」

 

「ノイズの位相差空間など、とっくに解析済みだ。

 それを応用した亜空間を破るなど、オレにとっては造作もない」

 

 流石、稀代の錬金術師だ。

 

「だが、お前たちが侵入してきた穴は既に塞がった。

 こうなった以上、纏めて始末させてもらう!」

 

「この中に入ったら、あなたたちも獲物なんだから」

 

 周りにノイズが出現していく。

 俺がさっき一掃した場所も、再び大量のアルカノイズで埋め尽くされてしまった。

 

「いくら数で上回ろうが、攻撃できない奴を守りながら私たちに勝てると思わないワケダ」

 

「攻撃できないだと?

 .....いくら多勢に無勢でも、お前が手も足も出せずに傷ついているのはおかしいと思っていたが」

 

「お前、とんだ甘ちゃんだったってことかよ」

 

「.....それに関しては、俺自身が一番驚いてるよ」

 

 ウルティノイドやビースト相手には殴れても、人にはダメだったなんてな。

 

「細かいことは後で聞くが──いささか、雑音が多いな」

 

「お任せ下さい、マスター。すぐにこの場を静かにしてご覧に入れましょう」

 

 そう言うと、レイアの手に大量のコインが握られていて──

 

「では、派手にいく!」

 

ガガガガガガガ!!

 

 まるでマシンガンのようにコインを周囲に撃ち出した。

 あまりの連射に、着弾のたびに土煙が舞い上がり、アルカノイズを次々と吹き飛ばしていく。

 

「いかがですか、マスター」

 

「お前の攻撃の方がうるさかったぞ」

 

「それは失礼しました。地味に反省しております」

 

「しかし妙ですわね?話では空間を制御するアルカノイズが、ここの中心にいると聞いていましたのに」

 

 確かに、あれだけ周囲に連射して一発も当たらないなんてことは無いだろう。

 

「いきなり滅茶苦茶してくれるワケダ!」

 

「あれだけいたアルカノイズが一瞬で.....!」

 

 土煙が晴れると、サンジェルマンたちはバリアを張り、さっきの攻撃を凌いでいた。

 

「それでは、次は私たちの番ね。行きましょうか、ミカ」

 

「マスターにいいところを見せるんだゾ!」

 

 今度はファラとミカが真っ直ぐ三人に向かっていく。

 いや、正確に言えば───

 

「あまりあーしたちを舐めないでよね!」

 

「突っ込んでくるなら、迎え撃つワケダ!」

 

 パシャン

 

「「──ッ!?」」

 

 2人の攻撃がファラとミカに直撃した瞬間、2機の体が水となって弾け飛んだ。

 

 向かっていった2機はガリィが作った偽物だ。レイアが土煙を巻き上げて、こちらの姿を隠している間に入れ替わっていた。

 

 綺麗に作戦が決まったな。

 上手く騙せてガリィも悪い顔をしている。

 

「本物は──」

「こっちだゾ!」

 

 横から岩陰に隠れていたファラとミカが飛び出した。

 ミカが長いカーボンロッドをバットのように使い、3人まとめて吹き飛ばす。それに続き、ファラが風を巻き起こして追撃した。

 

「ガリィ、奴らが離れたうちにこの空間を作り出しているアルカノイズを探し出せ」

 

「りょ〜か〜い。ほいっと」

 

 キャロルの指示に従い、ガリィが何か作り出したな。

 これは.....ただの水の玉か?だがかなり巨大だな。

 

 それを上空に撃ち出して破裂させると、まるで雨のように水滴が降り注ぐ。

 .....なるほど、そういうことか。

 

「姿を隠してるってんなら、この水を弾いている場所に──!」

 

 ガリィが氷の礫を飛ばす。

 

「いるってことよね」

 

 攻撃が当たり、円盤型のアルカノイズが姿を見せた。

 

「空を飛んでいたのか。

 さっきのレイアの攻撃で当たらなかったわけだ」

 

 このアルカノイズを倒せば、いつでもこの空間を解除できる。

 ガリィがアルカノイズを見つけだした頃には、サンジェルマンたちも体勢を立て直していた。

 

「あーもう!あーしが騙されるなんて!」

 

「面倒な能力を使ってくるワケダ」

 

「2人とも、ここからは油断せずにいくぞ」

 

 3人の目の色が変わった。

 

「まだ向かってくるおつもりですか」

 

「ならばこちらも容赦はしない」

 

「バラバラにしてやるゾ」

 

「身の程を分からせてあげる」

 

 

「止まれ!」

 

『──っ!?』

 

 これ以上はダメだ。

 

「.....何故止める」

 

「ここからはお互い無事じゃすまない。

 助けてもらった身で偉そうなことは言えないが、もう終わりにしよう。

 持ってきてるんだろ?テレポートジェムを」

 

「.....ああ。

 だが、今ここで奴らを仕留めないと、また襲ってくるかもしれんぞ」

 

「分かってる。

 けど、彼女たちと手を繋ごうとしている人がいるんだ。お前もよく知ってるだろ?」

 

「.....その結果、また閉じ込められでもしたらどうする?」

 

「その時は────また、助けに来てくれ」

 

「──っ!.....ふん、呆れてものも言えんな」

 

「そう言いつつマスター、頼られて嬉しそうじゃないですか〜」

 

「そんなわけないだろう!」

 

「ちょっと、勝手に終わらせようとしないでくれる?」

 

「お前たちを逃す気はない」

 

「さっきまでやる気だったのに、どういうつもりなワケダ」

 

「私たちはマスターの命令が絶対ですので」

 

「オレも、この男が戦わないというのなら、事を構える気はない」

 

「ありがとう、キャロル」

 

「別に、オレだけやる気になるのがバカらしく感じただけだ」

 

「お前たちが仕掛けてこないなら、こちらが──」

 

「しつこい」

 

「ぐうっ!」

 

 キャロルが攻撃を繰り出して足止めをする。

 けど、その威力はやりすぎなんじゃないか?

 

四大元素(アリストテレス)を同時に!?」

 

「流石の実力なワケダ」

 

「今のうちに帰るぞ。ミカ」

 

「分かったゾ!」

 

 キャロルがテレポートジェムを起動した瞬間、ミカの掌から射出されるカーボンロッドが円盤型のアルカノイズに突き刺さる。

 

「まだだ!!」

 

 サンジェルマンが最後まで攻撃を仕掛けてくる。

 だが──

 

「攻撃は出来なくても、守ることは出来るぞ」

 

 ブラストショットのバリアで完全に防いだ。

 

 その時に転移も完了し、俺たちは無事に帰還することができた。

 

 

 

 *響視点*

 

『トンネル内のアルカノイズの反応が消えました!』

 

『お前たち!すぐに向かうんだ!』

 

「はいっ!」

 

 急いで向かわないと!

 周囲のアルカノイズは全滅させた。あとはリアンさんを助けるだけ。

 お願い、無事でいてください!

 

 ──

 ────

 

 私たちが到着すると、そこにはサンジェルマンさんたちしかいなかった。

 

「彼はどこ...」

 

「まさか、もう....」

 

 そんな、嘘.....

 

「おい!答えろ!あいつを何処にやった!」

 

「.....逃げられたさ。余計な邪魔が入った」

 

 逃げた?

 良かった、無事なんだ!

 

「始末出来なかったし、あーしたちも帰りましょうか」

 

「待ってください!話を──」

 

「お前とは分かり合うつもりはない」

 

 そう言って、話をさせてもらえずに帰ってしまった。

 

「.....今は彼が生きていることを喜ぼう」

 

「そうデスね。

 けど、一体誰が助けてくれたんデスかね?」

 

『監視カメラには何も映っていなかった。

 正体は謎だな』

 

「謎が多すぎるだろ、あいつの周りには」

 

 あの3人を相手にして逃げるなんて、かなり強い人なのかな?

 誰かは知らないけど、リアンさんを助けてくれてありがとうございます。

 

 


 

 

 *主人公視点*

 

「.....ここは」

 

「オレの研究室だ」

 

「そうか。

 改めて礼を言うよ。助けてくれてありがとう、キャロル」

 

「もういい。

 それより、早く他の連中に顔を見せてやれ。酷く心配していたぞ」

 

「ああ。分かった」

 

 ──

 ────

 

「絆紡さんっ!!」

 

「セレナ.....おっと」

 

「良かった.....無事で」

 

 セレナがすごい勢いで飛びついてきた。

 目に涙を浮かべている。

 

「心配をかけた」

 

「本当よ。みんなすごく心配してたんだから。

 あなたがビーストを倒したのに全然帰ってこないと思ったら、急にキャロルちゃんが心配そうな顔をして家を飛び出して行ったんだもの」

 

「あれだけ慌てたマスターを見たのは初めてなんだゾ」

 

「事情も説明せずに、私たちに『ついて来い』とだけ伝えられましたから」

 

「おい!余計なことは言わなくていい!」

 

「それで、向こうで一体何があったんです?

 僕たちにも説明をしてください」

 

「分かった」

 

 それから俺は、捕らえられてからの出来事を全て話した。

 

「そうだったんですか。

 まずは、キャロルさんに感謝を。おかげで、私たちは絆紡さんを失わずに済みました」

 

「ほんと、大手柄ね。けど、どうやって絆紡くんが捕まってるって分かったの?」

 

「オレにはエルフナインがいるからな。帰りが遅いから、何かあったのかと試しにあいつの感覚を共有してみれば、コイツが敵に捕まったと大騒ぎしていた」

 

「なるほど。だから助けに向かえたわけですか。

 S.O.N.G.の状況を把握できるというのは便利ですねぇ」

 

「あっちもかなり心配してたでしょうね。

 絆紡くんも弦十郎くんから何か連絡がきてない?」

 

「そういえば、色々あって確認してなかったな」

 

 取り出してみると、何件かメールが送られていた。

 

「『無事なら連絡を』と書いてあるな。

 ちゃんと返しておくよ」

 

「心配かけたんだから、みんなに会いに行ってあげて。

 そうしたら、喜ぶと思うわ」

 

「.....そうだな」

 

 まだちょっと罪悪感があるけど、行かないわけにはいかないよな。

 

「おい。少し前から気になっていたが、様子がおかしいぞ。

 歌女どもと何かあったのか?この際だ、全て話せ」

 

「.....分かった」

 

 俺は、風鳴機関であったことを話した。

 アダムの黄金錬成に、俺がいたことで彼女たちを巻き添えにしてしまったことを。

 

「俺のお節介で、彼女たちを危険に晒してしまったからな。

 どんな顔をして会えばいいか分からないんだ」

 

「そうねぇ、普通に会いに行けばいいんじゃない?」

 

「そうですね」

 

「堂々としてればいいんですよ」

 

「バカバカしい内容だったな」

 

「いや、しかしだな....」

 

「だいたい、絆紡さんが助けに入ってきたからって、それでアダムが攻撃する場所を変えたなんて分からないじゃないですか」

 

「それは.....そうかもしれないが」

 

「あいつらは全員無事だったわけですから、あなたが気に病むことなんてないんですよ」

 

「あなたはいつも通り、お節介を焼き続ければいいのよ。

 それが絆紡くんの良さなんだから」

 

「だが、そのせいで誰かを傷つけることになれば....」

 

「その時は、お前が守ればいいだろ」

 

「そうですよ。だから、あなたは変わらずにいてください」

 

「僕に並び立てる英雄が、こんなところで立ち止まるなんてありえない!

 お前がそうしたいと思うなら!そうすりゃいいんですよ!」

 

「めちゃくちゃだな。それに、そんなことをする英雄でいいのか?」

 

「お前のお節介で助かった命があるんだ。なら、それでいいだろ」

 

「少なくとも私は、私やマリア姉さんたちを救ってくれるあなたのことを、英雄だと思ってますよ」

 

「セレナちゃんだけじゃない。私もそう思ってるし、あなたに助けられた人たちの中にも、必ずいるわ」

 

「.....ありがとう、みんな。

 これからも、俺らしく頑張るよ」

 

「ええ、あなたなら出来るわ。

 さ、早く休んでその傷を治しちゃいなさい」

 

「そうさせてもらうよ」

 

 みんなと別れて、自室へと戻った。

 

「ネクサス、さっきは諦めて悪かった。

 これからも、俺の力になってくれるか?」

 

ドクンッ!

 

 力強い鼓動だった。

 

「ありがとう、ネクサス」

 

 

 ~翌日~

 

 俺はS.O.N.G.のみんなに顔を見せるため、本部へと足を運んでいる。

 

「リアンくん!無事だったか!」

 

「ああ。生きてるよ」

 

「良かった〜、リアンさんが無事で」

 

「みんなには心配をかけたな」

 

「ほんとデスよ!気が気じゃなかったデス」

 

「あなたの顔を見れて安心したよ」

 

 そこからは皆が話しかけてくれて、俺の無事を喜んでくれていた。

 そんな時に、調が近くまで来て──

 

「あの、リアンさん。一つ聞いていいですか?」

 

「どうしたんだ?」

 

「この前私たちを助けてくれた時に、なんでつらそうな顔をしていたんですか?」

 

「あー、それはだな。

 アダムが俺のことを敵視していたようだから、俺が助けに入ったせいでみんなを危険な目に遭わせてしまったと思って、後悔していたんだ」

 

「お前、そんな事で悩んでいたのかよ」

 

「当時はかなり真剣に悩んでいたんだぞ。余計なことをしたってな」

 

「バカね。それくらいのことで、あなたを責める人なんていないわよ」

 

「リアンさんが助けてくれなければ、私たち3人だけじゃやられてたかもしれないし」

 

「そうデスよ!それに、来てくれてとても心強かったのデス!」

 

「私たちを助けようと全力を尽くしてくれたんだ。感謝こそすれ、責めることなどひとつも無い」

 

「こうしてみんな助かったんですから、リアンさんが気にすることはないですよ!」

 

「.....そうか」

 

 皆の言葉を聞いて、ようやく肩の力が抜けたよ。

 みんなを守るために、これからもこの力を使うと改めて誓った。

 

 




主人公がテレポートジェムを持ってなかったのはフリューゲルがあるのと、万が一持っているのがバレた時に追求されないためです。
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