*主人公視点*
S.O.N.G.はラピスの力に対抗するために、愚者の石を見つけようとするのだが───
「俺も参加して欲しいって?」
「ああ。愚者の石が保管されていた深淵の竜宮は、少し前に壊れてしまってな。その中から石を探し出すのに、少しでも人手が欲しい」
納得のいく理由だが.....
「理由はそれだけか?」
「.....いや、むしろこっちが本音だな。
俺たちとリアン君が別行動になった時に、敵がまた襲って来るかもしれない。そうなったら、助けに向かうのが困難になる。
だから今は、なるべく一緒に行動してほしいと思っているんだ」
今度襲われたら、無事で済むとは限らないもんな。
「分かった。俺も探すのに協力するよ」
「協力感謝する。
しかし、すまないな。錬金術師は任せろと言ったのに、簡単に君への接触を許してしまった」
「気にしてない。
協力関係になったら、少なからずこういうことは起きると覚悟はしていた。
それに、あいつらが襲ってきたのは、俺が力を見せてしまったからだろうしな」
「だとしても、こちらの対策が疎かだったのは確かだ。
今は共に行動する方が安全だろう」
「そうだな。しばらくの間、よろしく頼む」
「こちらこそ」
「リアンさん、よろしくお願いしますね!」
「ああ。とりあえず、愚者の石が見つかるまでは一緒に行動しよう」
「うえぇ!リアンさんもその名前で呼ぶんですか!?」
すまないが、俺にとっては聞きなれた呼び方だしな。
「では、早速愚者の石を探しに向かうぞ!」
『了解(デス)!』
目的地まで時間があり、船内でゆっくりしていたところにエルフナインがやってきた。
「リアンさん、少しいいでしょうか?」
「どうしたんだ?」
「少し、お話したいことが。研究室まで来てくれますか?」
「分かった。行こう」
何の話をするつもりなんだ?
──
────
「それで、何の話だ?」
「昨日の夜のことですが、リアンさんを助けたのはキャロルだったんですか?」
「エルフナインは分かっていたか。その通りだ」
「やっぱりそうでしたか。さすがキャロルです。
それで、キャロルはそっちでも元気にやってますか?」
なるほど、そこが気になっていたのか。
「ああ。他の仲間と一緒に、熱心に研究をしてくれているよ」
「良かったです。
そっちでちゃんとやれてるか心配だったので」
「最初はぎこちなかったけど、最近では普通に会話もしているし、問題ないぞ」
「そうでしたか。あのキャロルが....」
「やっぱり、様子が気になるんだな」
「.....はい」
「.....それなら、お互いに手紙を書いてみたらどうだ?」
「手紙ですか?けど、何を書けばいいんでしょう?」
「何でもいいさ。エルフナインの好きなように書けばいい」
「ボクの好きなように、ですか」
ガタッ
何だ?何か物音がしたような?
ま、気のせいか
「ああ。昔あった楽しかったことや、ここでの新しい発見とかな。
難しく考えることはない。エルフナインが感じたことや思ったことを書くといい」
「.....なるほど、それならボクも書けそうです。
けど、貰ったことはありますが、書くのは初めてなので少し緊張します」
「大丈夫、すぐに慣れるさ。
こういうのは経験だからな」
ゴンッ!
やっぱり何か聞こえる気がするんだが、廊下からか?
「なら、早速やってみます!すぐに準備をしますね」
「あっ、ああ」
エルフナインが紙とペンを持ってきた。
今すぐに書きたいという気持ちでいっぱいなんだろうな。
「じゃあ始めるか」
「はいっ」
エルフナインが書き出そうとしたその時──
「お、おい!押すなって!」
「うわあぁぁ!」
ドアが開いて響たちがなだれ込んできた。
「み、みなさん!」
「何をやってるんだ?お前たちは」
~数分前~
*研究室前廊下にて*
「や、やっぱりこういうのは良くないんじゃ」
「響さんは気にならないんデスか!エルフナインがリアンさんをこっそり連れ出したことを!
これは、リアンさんの謎を解くチャンスなのデス!」
「潜入美人捜査官メガネまでつけて、本気なんだね。切ちゃん」
「まぁ確かに、あの二人がなんの話をするか気になるところだが」
「盗み聞きとは褒められたものではないな」
「そうね。聞かれたくない話をするから、こっそり抜け出したんでしょうし」
「うぐっ。す、少しだけデスから。少し聞けたら撤退するデスよ」
そう言うと切歌は研究室の前まで行き、扉に耳を当てた。
「にしても、あれで会話なんて聞けるのか?」
「防音もしっかりされているからな。あまり聞こえないとは思うが」
──
────
「さて、中で一体どんな会話をしてるんデスかね」
よく耳を澄ましてみると.....
「.....エルフナイン...好き....」
「ボク.....好き.........です..」
「む、むむむむむ(な、なんデスと)!!」
咄嗟に口を抑えて大声を出さずにはすんだが、あまりの衝撃に目を白黒させている。
この内容を伝えるべく、急いでみんなの元へと戻っていった。
「た、たたた、た、大変デス!」
「ど、どうしたの切ちゃん。メガネもズレてるよ」
「リリ、リ、リアンさんがエルフナインにこ、ここっ、告白したんデスよー!」
「うえぇぇ!嘘ぉお!」
「う、狼狽えるな!エルフナインに性別はない。告白なんてそんな....」
「いや、真の愛の前でそのような事は関係ないのだろう」
「はっ!何バカなことを言ってんだよ。
どうせ何かの聞き間違いだろ?あたしが聞いてきてやるよ」
「う、嘘だと思うなら行ってみるといいデスよ!」
「はいはい、すぐに誤解を解いてやるよ」
──
────
「告白なんてバカらしい、あいつがそんなことするわけが──」
扉に耳を当ててみると.....
「初めてなので、少し緊張します」
「すぐに慣れるさ、こういうのは経験だからな」
ゴンッ!
頭を床に打ちつけてしまった。
「初めてって何をするつもりだーっ!」
クリスの突飛な行動に、他の装者が集まってきた。
「どうしたのクリスちゃん、急に頭をぶつけるなんて」
「バカ、し、静かにしろ。バレたらどうする」
「その慌てよう」
「やっぱり、間違いじゃなかったのデス」
「どんな会話を聞いたの?」
「そ、その〜.....エルフナインがは、初めてのことをするって....」
「ふむ。そういうことは家でやってほしいものだが」
「家ならいいってものじゃないでしょう!」
「どどど、どうします?何も聞かなかったことにして帰ったほうが....」
ドタドタ
「な、何か物音が」
「中で何が始まったんデスか....」
中の様子が気になり、全員が扉の前まで集まっていく。
そんな時に──
「おーい!揃いも揃って何をやってるんだー?」
「か、奏さん!?」
突然声をかけられてしまい、バランスを崩してしまう。
そして.....
「ちょっ、お前ら」
近くにいたクリスが押されて扉にもたれかかり、間違って開けてしまった。
~現在に戻る~
*主人公視点*
何があったらこんな状況になるんだ?
「あ、あなたたち!こんなところで一体何をしていたの!」
「そうですよ!そういうのはもっと特別な場所で──」
「何って....」
「手紙を書こうとしてたんです」
そう言ってエルフナインが紙とペンを見せる。
「え?」
「て、手紙デスか....」
「どうした切歌。そんなに青い顔をして」
「な、なんでもないデス!」
手紙を話題にだすといい反応をするな。
「では、告白というのは....」
告白?
「なんの話をしているんだ?」
「ボクたちはそんな事言ってませんよ?」
「やっぱり勘違いじゃねーか!!」
「ご、ごめんなさいデーース!!」
「けど、クリス先輩も勘違いしてた」
「うぐっ」
「何だか面白いことになってるな」
「奏か。何が起こったか分かるか?」
「さあな。だが、翼たちが盛大に勘違いをして赤っ恥をかいたことは分かる」
「悪いことをすれば天罰が下る。天はよく見ているということだな」
「ここは海の中だけどな」
「もう懲り懲りなのデス」
まぁ、一件落着ってことでいいのかな?
それから少し経つと、深淵の竜宮がある場所までやってきた。
「お前たち、そろそろ探し始めるが.....大丈夫なのか?」
装者たちは目に見えて疲れている。
「.....問題ありません」
「そ、そうか。
では行動に移ってくれ」
響、翼、マリアは海底で泥を集めるチーム。
俺、クリス、調、切歌は上で愚者の石を探すチームへと分かれた。
「.....これは、途方もないな」
次から次へと出てくる泥の中を、人海戦術で探していく。
「あまりにも多すぎるのデス」
「長丁場になりそう」
「文句を言ってないで、さっさと探し始めるぞ」
~1時間後~
俺たちやS.O.N.G.の協力者は探知機で探しているが、一向に見つかる気配がない。
「.....見つからないね」
「疲れてきたのデス」
単純作業だしなぁ。終わりが見えないと辛いよな、これ。
「気を紛らわすために会話でもするか?」
「そうですね」
「お前ら、サボるんじゃねーぞ」
「手は動かすさ。ただ、こうしてるだけだとしんどいだろ」
「それじゃあ、リアンさんはいつからビーストと戦い始めたんデスか?」
「そうだな.....本格的に戦い始めたのは去年の4月からだな」
「そうなんですか!?意外です」
「そうか?」
「そうデスよ。もっと長いことやってるかと思ってたデス」
「戦う準備をしてたのはもっと前からだけどな」
俺ってあの頃と比べると、かなり変わったよなぁ。
「お前、辛くなかったのかよ。
あんな化け物と戦うことになって」
「どうした、クリスも混ざりたくなったか?」
「うるせぇ。いいから答えろよ」
「辛くなかったと言えば嘘になるな。
けど、立ち向かわないとって思うと、少ししたら慣れたよ」
「.....強いな、お前」
「常にそうありたいと願ってるよ。
なら、俺からも話題を振るか。みんなの趣味でも教えてくれ」
そこからは趣味や好きな食べ物の話をしながら、愚者の石を探していく。
~1時間後~
石は未だに見つからない。
とうとうクリスが音を上げた。
「こんなんで本当に見つかるんだろうな?」
ちょうどその時───
「うわあぁぁぁ!!」
『!?』
協力者たちのいる方にアルカノイズが出現した。
「危ないっ!」
アルカノイズの攻撃から間一髪のところでバリアを張って助ける。
「あ、ありがとうございます!」
「早く逃げるんだ」
「はい!」
これでよし。後は──
「Zeios Igalima Raizen Tron」
シンフォギアの出番だ。
──
────
3人が次々とアルカノイズを倒していく。
「大丈夫デス!落ち着いて避難を!」
「大丈夫なんて簡単に言ってくれるじゃない?このお気楽系女子!」
突如カリオストロが現れる。
奴の狙いは──
「チッ」
逃がした人たちを狙った攻撃をバリアで防ぐ。
「大丈夫だ。俺もいるからな」
「リアンさん!ありがとうデス!」
彼女たちの戦闘がさらに激しくなり、いつの間にかプレラーティも参戦している。
2人ともかなりの強敵だが、1人が相手なら調と切歌のユニゾンで対抗できる。
クリスの機転を利かせたことで、調と切歌が合流した。
「いっちょやらかすデスよ!」
「切ちゃん!」
そこからはユニゾンにより大幅にパワーアップした2人がプレラーティを圧倒し、撃破するまで至った。
プレラーティがやられたことによって、カリオストロも撤退する。
錬金術師たちの襲撃は、被害者を出すことなく退けることが出来た。
「3人とも、お疲れ様」
「リアンさんも、あの人たちを守ってくれてありがとうございます」
「俺ができるのはあれくらいだからな、守ることなら任せてくれ」
日も落ちてきて、今日の捜索は終わりとなった。
~翌日~
今日も今日とて愚者の石を探しに泥の中を調べていく。
ピピピピピ
お、どうやら切歌のデバイスに反応があったみたいだ。
「およーーーー!」
勢いよく泥の中を探しているな。
あぁ、調の顔に泥が。絶対辛いよあれ。
「デーーース!!」
切歌の手の中には金色に光る石があった。
やっと見つかったか。ここまでかなり大変だったぞ。
「見せてくださーい」
エルフナインがこっちに歩いてくる。
あ、転けそう。
「気をつけなよ」
「す、すみません。ありがとうございます」
転ぶ前に支えることができた。
足元は滑りやすいから注意しないとね。
「間違いありません!愚者の石です!」
「見つかって良かったよ。これで泥まみれにならずに済む」
「リアンさんも手伝って頂きありがとうございます!」
「じゃあ、俺は一旦帰るよ。服も洗いたいしな」
「はい。お疲れ様です」
想像以上に疲れたな。
家に帰ったら少しゆっくりするか。
*夜のとあるキャンプ場*
そこでは、10人の大学生グループがキャンプを行っていた。
「.....何だか霧が濃くなってきたな」
「すぐに晴れるだろ」
だが、楽しいキャンプの時間は突如として終わりを迎える。
ギギギギギギギギ
「な、何だこの音!」
「ぐ、あ゛あ゛」
次から次へと倒れていく。
最後の一人となった男は周りを見渡す。
一体何が起こっているのかと。この音は何なんだ。
そして見てしまった。おぞましい怪物を。
その怪物は糸を吐き、男の体へ幾重にも巻きつける。
男は為す術もなく引きづられ、夜の森の奥へと消えていった。