決してモチベが無くなったとかではないので安心してください!
忙しかったのもありますが、AXZ編の最後をどうしようか悩んでて遅れちゃいました。
*主人公視点*
メフィストが去った後、俺は家に戻ってさっき起こったことをみんなに話した。
「あのメフィストと13日にまた戦うのね」
「ああ。その日に、今度こそケリをつける」
「絆紡さん....」
「そう心配そうにしなくていい。
必ず勝つから」
「自信があるのはいいが、戦いに向けて何か策はあるのか」
「無いな。強いて言うなら、その日に備えて体調を万全にしておくくらいだ」
「お前、それで本当に勝てるのかよ」
「その日に来るのが分かっているのなら、大勢で待ち伏せも手だと思いますが」
それも1つの手だろう。
だが──
「待ち伏せはしない」
「何故だ?」
「そういった行動をとられるリスクがあったのに、あいつは俺との再戦を申し込んだんだ。わざわざ予告なんてせず、その日に現れて戦えばいいものを。
なら、相手が対策をしててもおかしくないんじゃないか?」
「確かにありえますね。待ち伏せをしている時、急にドカン!とかね」
今ウェルが言ったことの他にも、ビーストを呼び出して相手をさせるかもしれない。
「俺以外にも誰かを連れていけば、どうなるかは分からない。
だから、俺一人で決着をつける」
「相手が罠を張っている可能性は....」
「有り得るが、ほとんどないと思っている。
以前戦った時も、小細工をせずに戦っていた。メフィストは俺との1体1にこだわっているように思える」
俺と決着をつけたい。
そんな執着のようなものを、あいつから感じていた。
もっと搦手を使ってくると思ってたんだが、意外だったな。
「実際に対峙したお前にしか分からないことなのだろうが、油断はするなよ」
「当然だ」
あくまで俺の予想だからな。
決して油断はしないさ。
奴との戦い、負けるわけにはいかない。
~翌日~
司令から連絡が届いて中身を確認すると、深夜にプレラーティを倒したという内容だった。
翼と調がやってくれたみたいだ。だが、これで動くことの出来る装者は響と切歌の二人のみ。何かが起こった場合に、対処できる人員が少なくなってしまった。
今ビーストに出てこられたらまずいな。二人は戦おうとするだろうが、今は錬金術師の方を優先してもらいたい。ビーストと戦って怪我をすれば大変なことになる。
明日は響たちがサンジェルマンと戦う日なんだ。
何事もなく終わってくれたらいいんだが.....
ドクンッ!
最悪のタイミングだ。
場所は一体どこに.....
「急いで絆紡くん!ビーストの反応が市街地に!」
───っ!
*とある町*
今日は日曜日。
家族や友人と出掛けている者や、一人で休日を満喫している者など、多くの人が楽しい時間を過ごしていた。
公園では子どもたちの笑い声が響き、商店街には買い物客が行き交う。
誰もが、ごく当たり前の日常を過ごしていた。
だが、そんな時間は突然終わりを告げる。
いち早く異変に気がついた者が空を見上げて声を上げた。
「おい、あれは何だ?」
その声につられ、人々は次々と足を止める。
楽しげだった会話は止み、視線が一斉に空へ向けられた。
そこには、暗く大きな穴が空いていた。
その光景を見て危険を察知し、すぐさま逃げた者は賢明であった。これから起きる惨劇を回避することが出来たのだから。
だが、不思議そうに見続けた者やカメラを向けた者たちは、その多くが命を落とすことになってしまう。
穴から巨体が現れ、地上に降り立った。
「ギシィィィィ!!」
【ブルームタイプビースト ラフレイア】
それは植物のような姿をしたビーストであった。
ラフレイアは出現と同時に閉じていた花弁を開き、辺り一面に大量の花粉を撒き散らす。
「逃げろー!!」
ここにきてようやく事態を理解できた人々が逃げ出す。あの化け物がビーストなのだ。逃げなければ死ぬのだと。
だが、逃げるのが遅かった。
ビーストから出た花粉は風に乗って広まっていく。
「あ゛ぁ゛....」
「苦しい゛」
「誰か....」
「助けて.....ウルトラマン....」
その花粉を吸った人々は苦しみ出し、喉を押さえながらその場に崩れ落ちていく。
助けを求める悲鳴だけが街に響き、一人、また一人と倒れていった。
「おい、大丈夫か!しっかりしろ!」
正義感溢れる者が助けようと駆け寄る。だが、その行いが命取りであった。
助けようと近づいた結果、花粉を吸い込んでしまう。誰であろうと等しく、ビーストの毒牙にかかる。
「ぐ.....くっそぉ....」
花粉を吸い込んだ者の中には、市民を避難させようとしていた警察官もいた。
苦しみながらも、最後の抵抗として腰にある拳銃を抜き、ビーストへと向けた。
それが、被害をより大きなものにするとは知らずに。
警察官が銃の引き金を引いたその時───
ドォオオオオン!!!
辺り一帯が大爆発を起こす。
ラフレイアが出していた花粉は可燃性のガスを含んでおり、発砲時に生じるマズルフラッシュに引火して粉塵爆発を引き起こしてしまった。
爆風が周囲を飲み込み、さらに被害が拡大する。
爆発が収まると、そこにはもう何も無い。
ビースト以外には、何も。
ラフレイアが出現してから僅か3分間の出来事だったが、これまでに起こったどのビーストの被害よりも甚大な被害を与えていた。
*主人公視点*
遅かった。何もかも。
ネクサスに変身してここに着いた時には、半径数百mが被害にあっていた。
辺り一帯は黒煙に包まれていた。
割れたガラス、燃え上がる車両、崩れ落ちた建物。
先ほどまで人々で賑わっていたであろう街並みは、一瞬にして瓦礫と炎の世界へと変わっていた。
その中心には──
花粉をなおも撒き散らしながら、ラフレイアが俺を嘲笑うかのような叫びを上げて佇んでいた。
「ギシィィ!」
これ以上被害を増やすわけにはいかない。
俺はジュネッスブルーへと変わり、メタフィールドを展開する。
だが、俺が展開したメタフィールドはダークフィールドGによって上書きされてしまう。
けど、そんなことはどうでもいい。こいつをこの場から隔離することができるなら、相手に有利なフィールドだろうが構わない。
──
────
「シェアッ!」
「ギシィィィ」
ラフレイアとの戦いが始まる。
俺は奴が撒き散らす猛毒の花粉を警戒し、取っ組み合いにならないように立ち回る。
《パーティクルフェザー》を放ち、牽制しながら距離を保つ。
「ハアッ」
光の刃がラフレイアの体を切り刻む。
「ギィィ」
怯んだ隙を逃さず《マッハムーブ》を使い、一気に背後へ回り込む。
「デヤァッ!」
背中に拳を叩き込み、さらに回し蹴りを浴びせる。
ラフレイアが振り返るより早くその場を離脱し、再び花粉の届かない位置まで飛び退いた。
ラフレイアの最大の攻撃が花粉である以上、奴もなりふり構わずに花粉を噴射してくる。
黄色い花粉が視界を覆い尽くして俺へと迫ってくる。
だが───
ネクサスのスピードの前では、そのような攻撃は当たらない。
「ギィィィ.....!」
苛立っているのか、ラフレイアの動きが目に見えて荒くなっている。俺へと一直線に突撃してきた。
俺はその攻撃に合わせて身を翻し、奴の胴体に蹴りを叩き込む。
勢いを殺せなかったラフレイアはそのまま前方へよろめき、大きく体勢を崩した。
さらに背後へ回り込み、その巨体を両腕で掴む。
「オオオッ!」
そのまま奴を投げ飛ばし、地面へ叩きつける。
ダークフィールドGによって強化されているのだろうが、奴の攻撃手段は花粉か接近戦を仕掛けてくるしかない。攻撃の種類が限られている以上、見切るのは難しくなかった。
何度目かの突撃に合わせて《シュトロームソード》を形成し、すれ違いざまに切りつける。
「セアッ!」
「ギシィィ!」
ラフレイアが大きくよろめいた。
これで最後だ!
手の平の間で光エネルギーをスパークさせる。
狙うは──そこだ!
「ハァァ──デヤァ!」
《クロスレイ・シュトローム》
放たれた光線が奴の頭頂部にある花粉袋に命中する。その瞬間、中に詰まっていた花粉が誘爆し大爆発を起こした。
.....これで、完全に消滅した。
俺はメタフィールドを解除して、この場から離れる。
──
─────
数時間後、今回の件は日本中を駆け巡る大きなニュースとなった。
死亡者や重軽傷者の数は、これまでに起きたどのビースト事件よりも多く、過去に類を見ない被害となっていた。このニュースを見た人々は、ビーストという存在が決して遠い世界の脅威ではなく、自分たちの日常を一瞬で奪う現実の恐怖なのだと知ることになる。
そして、異変があった際はいち早く避難することや、絶対に手出しはしないことを、人々に念を押して伝えた。
「お疲れ様。大変だったわね」
「その.....気休めにしかなりませんが、絆紡さんは最善のことをしたと思ってます」
「あまり気を病むなよ」
「.....大丈夫だ。
全てを救うことは出来ないと、初めから分かっている」
「頭で理解していても、心は別ですよ。
今回の件、かなりショックを受けているように見えますが」
「.....そう見えるか」
「僕は研究者ですが、それくらい読み取れますって。
それに、他の皆さんも感づいてますよ」
「.....ビーストのせいで多くの命が失われた。俺があと数分早ければ、ここまでにはならなかった」
「けど、それは──」
「分かってる。俺は全力で向かったけど間に合わなかった。これ以上どうすることも出来なかった。
分かってるけど.........キツいな。これは」
その時、テレビから亡くなった方の遺族が話しているのが流れる。
『どうしてあの子が.....!
遊びに行っただけなのに.....私たちの元に遺体すら帰ってこないんですよ.....!
もう、あの笑顔を見ることが出来ないなんて...』
部屋の空気が凍り付く。
誰も、何も言えない。
テレビから流れる嗚咽だけが、静かな部屋に響いていた。
「絆紡さん....」
「すまない、少し休む。
13日も近いからな」
「ええ。ゆっくり休んで」
俺はこの場を後にした。
明日からはもっと大変なんだ。切り替えないと。
この嫌な気持ちは、全部まとめて奴らにぶつける。
必ず、この戦いを終わらせるからな。
本編だとあまり活躍してなかったラフレイアだけど、実際街中に現れたら悲惨なことになってただろうなーって思い登場させました。
やっぱり一般市民にもビーストの恐ろしさは伝えておかないとね。
現時点でのキル数トップです。