AXZ編最終回です。長すぎるのでちょっと疲れるかもしれません。
正直半分にした方が良かったけど、主人公の後半の活躍が少なくなりそうだから1話に纏めちゃいました。
メフィストの突然の行動に、その場にいる誰もが呆気にとられている中、キャロルがいち早く動いた。
「ぼさっとするな!ビーストが倒されたのだから、お前たちは向こうへ行け!」
『───ッ!』
その声を聞き、ようやく全員が我に返る。
「この場はオレとコイツが見る。分かったら早く行動しろ!」
「......ここは任せた!皆、急ぐぞ!」
翼が先導のもと、装者たちは自衛隊に攻撃されている響の方へと向かった。
「お前もだ。これ以上人手は要らん。さっさとしろ」
「......分かった」
残っていたサンジェルマンも装者たちと共に向かい、この場にいるのは絆紡、キャロル、そして4機のオートスコアラーだけとなった。
「行ったか。
さて──おい、念の為聞いておくが、あいつとの戦いに助けは必要か?」
キャロルがウルトラマンへと問いかける。
だが、彼はその提案を断るかのように、メフィストの方へと数歩前に進んで構えを取る。
「だろうな。
お前たち、巻き添えにならんよう少し離れるぞ」
「承知しました。マスター」
キャロルたちは対ビースト用の武器が置いてあるところまで下がる。
そして、オートスコアラーたちに命令を下す。
「ガリィ以外の3機はこれを取り外して研究室に戻れ。
攻撃が飛び火して壊されては堪らん」
ウルトラマンとメフィストの戦いが始まりそうだが、既に装者たちの方では神の力を纏って暴れている響と対峙していた。
オートスコアラーたちは急いで取り外す。
「ガリィだけマスターのそばにいられて羨ましいゾ」
ミカが不満そうに愚痴をこぼす。
だが、それはミカだけではない。キャロルのそばにいたいという思いは、ファラやレイアも同じだった。
「あたしにはまだ役目があるんだから当然だろ」
そう言い返されてしまえば、3機とも何も言えない。名残惜しそうにしながらも、命令に従って帰還の準備を始める。
「それではマスター、ご武運を」
レイアたちが帰ったことにより、残りは二人と一機になった。
「想定外のことは起きたが、概ね予定通り事が進んだな」
「装者たちへの指示や、今の迅速な対応。
流石だな────
「......ガリィ、こいつの声で変な呼び方をさせるな。
他の奴らに聞かれでもしたらどうする」
「大丈夫ですよ〜。あれだけ騒がしくしてたら聞こえませんって」
「はぁ......、お前はそいつが偽物だとバレないように注意しておけ」
「安心してください。そんなヘマはしないですよ」
そう──ここにいる絆紡は本人ではない。
翼たちがここに到着する前に、本物の絆紡はガリィが水で作った偽物と入れ替わっていたのだ。
「ならいい。
オレたちはあいつの戦いを見届けるぞ」
「了解です、マスター」
キャロルはその瞳をウルトラマンへと向ける。
決して目を逸らさないという強い意志を込めて。
「負けるんじゃないぞ、絆紡」
「何か言いましたか?マスター」
「......何でもない。黙って見ておけ」
「はーい(応援くらい普通にすればいいのに、うちのマスターは素直じゃないですねぇ)」
*主人公視点*
皆が離れてくれたおかげで、この戦いに集中できそうだ。
それにしても、メフィストがゴルゴレムに光線を当てるなんて......
「邪魔ものが消えて、やっと私たちだけになったな」
前に会った時に奴から感じた思いからして、ゴルゴレムのことには違和感があった。
やはり、メフィストが仕掛けてきたわけじゃなかったんだな。
「では始めようか、ウルトラマン。
私たちの戦いを」
「フッ──」
俺はジュネッスブルーへと姿を変え、闘志を高めていく。
「お前の新たな力、存分に示せ」
奴もメフィストクローを出現させる。
俺たちは互いに戦闘態勢を整え、睨み合う。
見合った時間は10秒にも満たないが、俺には何倍にも長く感じられた。
いつ始まるのか。永遠にも感じられる極度の緊張の中、開始の合図は突然やってきた。
装者たちの方では響が破壊神ヒビキとなり、口腔より何度も放たれる熱線で周辺を破壊していた。その熱線の一つが俺たちの前を通り過ぎ、遠くに着弾して大爆発を起こす。
「シュアッ!」
「ハアッ!」
その爆発と同時に俺たちは駆け出す。
瞬き一つする間もなく距離がゼロとなり、拳と拳が真正面から激突した。
ドゴォン!
衝撃波が周囲へと広がる。
次に俺は右足による回し蹴りを放つが、メフィストは身を沈めて蹴りを躱すと、そのまま懐へ潜り込み、メフィストクローを横薙ぎに振るった。
その攻撃を俺は咄嗟に身を反らし、胸元を掠めるだけで済ませる。
左拳、右拳、肘打ち、膝蹴り。
様々な攻撃が俺たちの間で交わされる。
だが、互いに一歩も退かない。
躱し、受け止め、受け流し、相殺する。
互いの打撃が紙一重のところで交差し続ける。
言葉は交わさない。
一手でも読み違えれば終わる高速の読み合いだった。
「ハアッ!」
メフィストが踏み込み、クローを突き出す。
俺はその腕を外側へ払って掴み、その勢いを利用して──
「デヤアァッ!」
一本背負いの要領で奴の巨体を投げ飛ばした。
メフィストは数十メートル吹き飛ぶが、空中で一回転することで地面にぶつかることなく着地し、再び俺へ突撃してきた。
互いに一歩も譲らず、拳と蹴りが幾度となくぶつかり合い、その度に爆発にも似た衝撃音が戦場へ響き渡った。
何度目かの攻防の時、俺の蹴りをメフィストが飛ぶことで躱した。
そのまま空中で静止して、こちらを見下している。
まるで、「ここまで来い」と言っているかのようだった。
戦いの舞台は、地上から空中へと移る。
俺が飛ぶことで奴もさらに上昇し、どんどん地上から離れていく。
かなり上空まで到達したと思ったら、奴が反転して俺の方へ突っ込んでくる。
一瞬で間合いが消えた。
俺は迷わず拳を振るう。
メフィストも同じだった。
互いの拳が、ほぼ同時に相手の頬へ叩き込まれる。
「ガアッ!」
「グハッ!」
衝撃で首が揺れるが、それでも止まらない。
俺は空中であることを利用し、瞬間的に加速することで奴の腹へ蹴りを叩き込んだ。
鈍い衝撃がメフィストを貫く。
奴は上空へ吹き飛ばされたが、すぐに体勢を立て直し《ダークレイクラスター》を放った。大量の光弾が俺へと迫ってくる。
俺は高速で飛行しながら《パーティクルフェザー》で相殺していたが、その最中にメフィストが上空から急降下して来て、お返しだと言わんばかりに蹴りを俺の腹へと突き刺した。
その一撃で俺は下へ落とされたが、何とか空中で静止することができた。
しかし、残りの光弾がまだ迫ってきている。
俺は即座に《サークルシールド》を展開することで、防ぎ切ることに成功した。
奴の方へ見上げると、上空で静かに俺のことを見ている。
追撃はしてこなかったのか。
「どうした、戦いはこれからだぞ」
......そうだな。
お前との戦いは、ここからが勝負だ。
俺は一気に加速し、メフィストへと接近する。
奴も俺を迎え撃とうと近づく。
俺たちの戦いは、さらに激しくなっていった。
打撃音だけが空に響く。
メフィストが膝を突き上げる。
腹にめり込む感覚を堪えながら、そのまま拳を振り下ろす。
奴の肩へ直撃するが、メフィストも倒れない。
また拳を握り直す。
殴る。
殴られる。
蹴る。
蹴られる。
互いにガードという概念を捨てていた。
防御する時間があるなら、一発でも多く叩き込む。
その一点だけだった。
呼吸が荒くなっていく。
肩が上下し、拳を振る速度も少しずつ鈍る。
それでも攻撃は止まらない。
最後はほとんど意地だった。
互いに息を切らし、何度も吹き飛ばされながらも拳を打ち込み続ける。
そして同時に拳を振り抜いた瞬間──
衝撃で二人の身体が反対方向へ弾き飛ばされた。
数十メートル離れて静止する。
肩で荒く息をしながら、互いに相手を睨み続ける。
言葉は交わさない。
その時、俺のコアゲージが赤く点滅をし始めるが、それはメフィストも同じであった。
俺たちに限界が近づいている。
「ハアッ......ハアッ.....」
「フウッ......フウッ.....」
メフィストがゆっくりと地上へ降りていく。
......最後は地上で決着をつけようということか。
──
────
互いに地上へ降り立つ。
少し離れた場所で、メフィストが自身のクローを構える。
俺も右腕に《シュトロームソード》を出現させ、切り込む体勢を取った。
互いに理解している。
この一撃で勝者が決まると。
そして、示し合わせたわけでもないのに、俺たちは同時に走り出す。
この一瞬に全てを込める!
「オオオオオオオッ!!」
「ハアアアアアアッ!!」
ザンッ!!
互いにすり抜け、そのまま背中合わせとなった。
結果は───
「グッ......アァッ.....」
メフィストが脇腹を抑えて膝をつく。
そこには、俺の攻撃で深く傷つけられた証が刻まれていた。
「グアッ......!」
けど、俺の方も無傷というわけではなかった。
左腕に切り刻まれた跡がある。
だが、勝敗は誰の目にも明らかだった。
「......見事だ。この戦い、お前の勝ちだ」
メフィストが敗北を認めた。だが、この戦いで俺はある違和感を覚えていた。
ネクサス、俺の声をテレパシーであいつに届けられるか?
──ッ!繋がった。ありがとう。
-メフィスト、お前に聞きたいことがある。
戦って分かった。お前、まだ以前戦った時の怪我が完全に治ってないな-
「.........それがどうした」
-どうして治してから挑まなかった。それに、ゴルゴレムに放った光線の分、エネルギーを消耗してなければ、今の立場は逆転していたかもしれないのに-
「お前に答える義理はない。
しかも、お前が言えたことか」
なに?
「今の状態は、以前戦った時のお前の状況とまるで一緒だろう」
!?
『ダメですよ!もっと安静にしておかないと!』
『ノスフェルに使った技の分、体力は私の方が有利みたいだな』
「それでも、私はお前に膝をつかせることすら出来なかったのだ。
言い訳をするつもりは無い。弱かったのは、私の方だ」
メフィスト......
「さぁ、トドメを刺せ。
お前の最高の一撃をもって、私を殺せ!」
最後の力を振り絞って立ち上がり、俺の方を向いて手を広げる。
全てを受け入れるつもりなのだろう。
-分かった-
俺はアローアームドネクサスに、光の弓と剣を形成する。
「フッ......操り人形にしては、悪くない最後だった」
-それはどういうことだ-
「さぁな。早く撃て」
大人しく言うつもりはないだろう。
エネルギーを込め、メフィストに向けて撃とうとした瞬間、視界の端にサンジェルマンが空へと飛び立つ姿が見えた。
まさかっ──
サンジェルマンが向かっている方角を見る。
遠くを見つめると、ミサイルが飛んでくるのが見えた。
撃ったのか!?
俺もこの場にいるってのに!あれだけ国連で味方だの何だの言ってたくせに、いざとなれば諸共に吹き飛ばすつもりか!
それとも、俺だけなら逃げられると思っての行動か!
くそっ!
「何処へ行く」
決まってるだろ!サンジェルマンの方にだよ!
今ならまだ間に合うか、最後の手段を使うしかない。
「........」
──
────
もう反応兵器の爆発を抑え込んでいるところか。
三人分の命を補えるほど、俺のエネルギーは残っていない。
ならば、メタフィールド内に隔離して、サークルシールドで一か八か耐えるしかないか。
「あなたはっ!」
「何をしにきたワケダ!」
「ウルトラマン、ここは私たちに任せてもらおうか」
そういうわけにはいかないんでね。
これが俺のわがままだ!
「ハアァァ......デヤアッ!」
「お前、自分一人が犠牲になるつもりか!」
死ぬつもりはない。
必ず生きて帰ってみせる!
あと少しで展開が終わろうとするその時───
ドンッ
何者かに押されて邪魔をされた。
視線を向けると、そこには......
「どけ」
メフィスト!
なんでここに。
「勝者への、私からささやかなプレゼントだ。
───ハアッ!!」
消滅したメタフィールドの代わりに、ダークフィールドが爆発を覆っていく。
「せいぜい足掻くんだな。ウルトラマン」
その言葉を残して、爆発と共に消えていった。
数秒後、隔離空間ですら抑えきれなかった衝撃がやってくる。
その衝撃からサンジェルマンたちを庇い、俺たちは事なきを得た。
まさかお前に救われるとは。
だが、最後に残した言葉や操り人形といい、考えることが増えたな。全て、ダークザキの手のひらの上ということなのか?
......考えるのは後だ。
今は、彼女たちを救えたことを喜ぶとしよう。
ガリィが作った偽物とも早く入れ替わらないと。
俺は変身の解除を始める。響が暴れた時に出来た瓦礫のそばにいれば、バレることもないだろう。
「ウルトラマン。お前が助けようとしたことに、感謝はしないぞ」
それでいい。
俺が勝手にしたことだ。
「もう、サンジェルマン。命が助かったんだから、素直にお礼を言うところよ。
ありがと。二人を助けようとしてくれて」
「私からも礼を言うワケダ」
「..............分かった。
さっきの発言は撤回する。ありがとう──ウルトラマン」
直接助けたわけじゃないから変な感じだけど、その言葉が聞けて心の底から嬉しいと感じるよ。
──
────
「はあっ、はあっ」
何とか生きて帰ってこれたな。
「見事な勝利だったぞ」
「キャロルか」
「見事だったとも!流石は俺といったところか!」
妙にハイテンションな俺も出てきた。
「......俺で遊ぶのはやめろ、ガリィ」
そう言うと俺の偽物が水となって消えた。
「あら残念。もうちょっと遊びたかったのに。
......まぁ、今回は素直に褒めてやるよ」
「ありがとう、二人とも」
「それで、予定に変更はないな」
「ああ。予定通り進めて──」
ドォン!
「の前に、まだひと仕事ありそうだな」
アダムとの戦いも始まりそうだ。
あとはこれを乗り越えるだけ。
「ちっ、オレは向かっておくぞ。
お前はそこで休んでいろ」
「すまないな、キャロル」
「ガリィはそいつのことを見ておけ」
「分かりましたよ」
伝え終わると、キャロルは装者たちの方へと飛び立っていった。
俺はキャロルに言われた通り、岩陰に潜んで少しでも体を癒す。少しでもみんなの力になるために。
「...お前、相当疲れてるな」
「ああ。体もそうだが、光エネルギーをかなり消耗していてな。動くには少し時間がかかりそうだ」
「ふーん。そのエネルギーがあれば、また動けるようにはなるのか?」
「そうだな。まぁ、すぐに回復するようなものではないが」
「なるほどねぇ。とりあえず上を脱ぎな。
少しは手当してやるよ」
「助かる」
酷い怪我をした左腕を綺麗な水で洗い、包帯を巻いてくれたおかげでかなりマシになった。
「後はあっちに向かいながら回復させるよ。ありがとう」
「待てよ。
今お前にはエネルギーが足りないんだよな?」
「そうだな」
なんの確認だろうか?
「それで、今あたしはそのエネルギーで動いてるわけだ」
ん?
......おい、まさか。
「動くんじゃねぇぞ」
「待てガリィ!そこまでしなくていい!」
「うっさい!助けに行きたきゃ潔く受け入れろ!」
*響視点*
目が覚めて、何があったのかは全然分からないけど。
アダムの野望は必ず阻止する!
「私は歌で!ぶん殴る!!」
「いくぞ、立花響」
「サンジェルマンさん!
これでまた、話し合って、分かり合うことができますね」
「そんな資格はないさ。命を灯すことでしか、明日を描けなかった私には」
「資格とか、そんなのは必要ありません。
互いに分かり合おうとすれば、きっと.....」
「──ッ!......お前」
「分かり合えるものか!バラルの呪詛がある限り!
だが一つになれば話は別だ。統率者を得ることで、無秩序な物体は完全体へと──」
「だとしても!
今は隣に立って、共に戦っている。なら、分かり合うために手を伸ばし続けたこと、無意味ではなかった!」
「このバカの言う通りだ!」
「お前の語ったように、私たちの出来は良くない」
「だから、なんちゃらの一つ覚えで、何度だって立ち上がってきたのデス!」
「諦めずに!何度でも!そう繰り返すことで、一歩ずつ踏み出して来たのだから!」
「たかだか完全を気取る程度で!私たち不完全を、上から支配できるなどと思うてくれるな!」
みんな......
「なら、あーしたちも隣に立っていいのかしら?」
カリオストロさんとプレラーティさんも!
「二人とも.....」
「もちろんです!一緒に戦いましょう!」
「オレもいることを忘れるなよ」
うそ──
「もしかして、キャロルちゃん?」
「他に誰がいる」
生きてた!キャロルちゃんも無事だったんだ!
「一緒に戦ってくれるの?」
「今だけだ」
「それでも嬉しいよ!ありがとう!」
「ふん....」
「ごちゃごちゃと言ってくれるじゃないか。揃いも揃って」
アダムが大量のアルカノイズを出現させる。
「雑兵はオレたちが相手をする。お前は錬金術師どもと共に、さっさとあいつを倒しに行け」
「キャロル....」
「それとも不安か?代わりにオレが行ってもいいぞ」
「言ってくれるワケダ」
「その必要はないわよ。ね、サンジェルマン」
「......ああ。向かうぞ、立花響。
今度こそ決着をつける!」
「はい!!」
他のみんながアルカノイズ相手をしてくれているうちに、私たち四人はアダムと戦闘を始める。
「勝てると思ったのか?前より数が増えれば」
「勝てる!絶対に!」
「立花響、私たちの連携に合わせろ」
どういうことかを聞く前に、三人が一斉にアダムへと攻撃していく。
「すごい......!」
三人の完璧な連携に、アダムが忌々しい顔をしている。
あの連携の中に私が闇雲に突っ込んでも、三人の邪魔になるだけだろう。
だったら、私がすることは──
「そぉ──りゃあ!」
「くっ.....!」
三人の連携から逃れるため、距離を取ろうとするこのタイミングで!
「はあっっ!!」
ドゴンッ!
「ぐうっ.....!のるなよ?調子に!」
一撃を受けつつもすぐに体勢を立て直して、私に攻撃を放ってくる。
けど、このままいけば──
「私たちが押しているワケダ」
「力を失った今がチャンスだ!続けるぞ、立花響!」
「......そうさ、力を失っているのさ。僕は」
アダムの雰囲気が変わった!?
「だから、保っていられないのさ。僕の完成された美形を!!」
凄まじいエネルギーが溢れ出している!
「一体何なの!?」
「くっ、この力は......!」
そして、アダムの姿があっという間に変わった。
「これが局長の真の姿というワケダ」
「......知られたくなかった。人形ごと。
見せたくなかった。こんな姿を!
だけど僕も同じさ!負けられないのは!!」
「人の姿を捨ててまで.....」
フッ
消え───
「うわあっ!」
「立花響!」
見えなかった。攻撃をくらうまで。
真の力を解放したアダムによって、みんなが次々と倒されていく。
「舐めるなぁ!」
「やはり別格だね。君の強さは」
キャロルちゃんは糸を使ってその攻撃を受け止めていた。
「歌わせはしない。好き勝手には。
だから──」
アダムは手の先を自分から切断し、その切り離した部位が小型のアダムとなってキャロルちゃんと戦う。
「後回しにするよ。君だけは。
潰していくとしよう。周りを、少しずつ」
そう言うとキャロルちゃんから離れて、また高速で移動する。
「ぐあっ!」
「かはっ!」
「カリオストロ!プレラーティ」
二人がアダムによって吹き飛ばされてしまう。
しかも、その攻撃で二人のファウストローブが解除されてしまった。
「ちょうどいい。
利用させてもらうよ。この力を」
二人の手から離れた指輪とけん玉を握り潰し、強力なエネルギーへと変えてしまった。
そして、そのエネルギーを光線にして私に向けて放つ。
「ぐああああっ!!」
私はそのエネルギーを受け止める。
そして、ある賭けに出た。
「Gatrandis Babel Ziggurat Edenal
Emustolronzen Fine El Baral Zizzl」
「立花響!一体何を!?」
「まさか、オレの時と同じことを......!」
マリアさんが私の意図を理解して、素早く駆け寄る。
他のみんもすぐに私たちのことを支えて、その賭けに乗ってくれた。
『無茶だ!フォニックゲイン由来のエネルギーじゃないんだぞ!』
本部の人たちが心配してくれる。
けど、アダムを倒すには無茶を通すしかない!
『エネルギーの負荷は、ダインスレイフを触媒にして肩代わりさせます!』
みんなが私たちをサポートしてくれる。
これなら!
『響さん!!』
「バリアコーティング......リリース!!」
「抜剣!」
『ラストイグニッション!!!』
「程がある。悪あがきに」
アダムが上空に移動して黄金錬成の準備を始める。
まずい!まだ近くに四人が!
そう思い、サンジェルマンさんたちの方へ顔を向けると、もう一人の仲間──リアンさんが立っていた。
「行け。アダムを倒してこい」
リアンさん.....!最高のタイミングです!
「受け入れろ!完全を!」
ドーーーン!!
「だとしても!!」
*主人公視点*
黄金錬成の爆発が収まる。
ギリギリ間に合ったか。
「お前、もうそこまで動けるようになったのか!?
ガリィはどうした!」
「色々あったんだ。
ガリィは研究室まで戻ったよ」
「そうか」
自分が動けなくなるギリギリまで分け与えるなんて、無茶をする。
「何故助けようとする。
以前殺そうとした私たちを.....!」
「もう忘れたのか?
言っただろ、お前たちも守るべき人だって」
「あっ──」
「そういうことだ」
「こいつのお人好しは、あの立花響にも匹敵するぞ。
そういうものだと思って納得しろ」
いや、さすがに響程は言い過ぎだろう。
「それで、お前はここで立ち止まったままなのか?」
「なに?」
「戦うのはもう諦めたのか?
アダムの相手を、彼女たちに任せてしまってもいいのか?」
「いいわけないでしょう.....!」
「その通りなワケダ.....!」
「二人とも、大丈夫か!」
「何やってるのよ、サンジェルマン。
早く局長のところに行って、私たちの分も纏めてぶつけなさいよ!」
「私たちにはもう戦う力が残されてないが、サンジェルマンは違うワケダ。
なら、最後まで抗うべきなワケダ!」
「カリオストロ.....!プレラーティ.....!」
サンジェルマンの目に力が宿る。
戦う意思はもう充分だな。
「キャロルも、まだいけるか?」
「誰にものを言っている。あの程度を相手にしたくらいで、参るようなオレではない」
「なら、彼女たちを頼んだ。
俺はこの通り、空を飛べる力は無いからな」
「任せておけ。
行くぞ」
「ええ」
キャロルとサンジェルマンが飛び立つ。
「頑張ってね、サンジェルマン」
「目に物見せてやるワケダ」
それじゃあ、俺も役目を終わらせるとするか。
*響視点*
ギアの反動汚染がこのタイミングで起こってしまった。
このままじゃやられる!
「手を伸ばせ!」
みんなのギアが私の元へ集まってくる。
「終わりだ。これで」
..............光線が私に直撃したはず。けど私は無事。
一体どうなって。
目を開けて様子を見ると、私の目の前にマリアさんのアガートラームのバリアが張られていた。
それに私の中から感じる、この力はみんなの──
「いいってもんじゃないぞ!はちゃめちゃするのは!」
アダムがさらに巨大になり、私を捕まえようと指を伸ばしてくる
「借ります!」
切歌ちゃんの《切・呪リeッTぉ》と、翼さんの《蒼ノ一閃》を使って伸ばしてくる指を切り裂く。
落ちた部位を利用して、さっきキャロルちゃんにしたように小型のアダムを作り出そうとするが、調ちゃんの《非常Σ式 禁月輪》を使って真っ二つに切り裂いた。
その勢いのままアダムに向かって突撃するが、指を切り裂かれようとも気にせず、無理やり掴んで来るアダムに捕まってしまう。
「してる場合じゃないんだ。こんなことを、こんな所で。
カストディアンの降臨までに手にしなければならない。対抗し、超えるだけの力を。
なのにお前たちはぁ!!」
アダムの締め付けがさらに強くなる。
この状況をどうしようか考えていると──
「ぶっ飛ばせ!アーマーパージだ!」
クリスちゃんの声を聞き、纏っているガングニールを解除する。
アダムの手からは逃れられたが、今は生身の状態。攻撃を受けたらひとたまりもない。
「無理させてごめん、ガングニール。一撃でいい。
みんなの想いを束ねてあいつに!」
アダムの手がまた迫ってくる。
その時──
「立花響!!」
「サンジェルマンさん!それにキャロルちゃんも!」
「手を!!」
二人が手を伸ばしている。
その手を、私の右手と左手でしっかりと掴む。
───キャロルちゃんとはまた、サンジェルマンさんとは初めて手を繋ぐことができた。
「「はああっ!」」
私の手を勢いよく引っ張り、アダムの手が届かないところまで投げ飛ばす。
「Balwisyall Nescell Gungnir Tron!!」
もう一度身に纏ったガングニールは、黄金に輝いていた。
「黄金錬成だと!?錬金術師でもない者がぁ!」
「オレたちが共に戦う!」
「お前は真っ直ぐ前へと突き進め!」
「はい!!」
言われた通り、私は迷うことなく向かう。
アダムが伸ばしてくる指をキャロルちゃんが切り刻み、サンジェルマンさんが銃で消し去る。
「くっ......!」
アダムが接近を許すまいと指を長く伸ばして、重ね合わせることで壁を形成した。
「ここだあぁぁぁぁ!!!」
ダァン!!
「ぐはぁっ!」
サンジェルマンさんがありったけの力を込めて放った銃弾が、壁を突き破りアダムへと直撃した。
その突き破った穴を通って、アダムの胸元まで近づく。
「やれ!立花響!」
「おおおおおおおおおおおおっ!!」
ガン!ガン!ガン!ガン!
「オラオラオラオラオラオラ!」
あらん限りの拳をアダムへとぶつける。
衝撃と連打で、アダムの巨体が少しずつ宙に浮いていく。
何度も何度も何度も殴り、ついにはドームの天井を突き破るまで殴り上げる。
「はあああっ!」
《TESTAMENT》
最後は両腕で同時にパンチを放ち、回転させながら貫いた。
「砕かれたのさ。希望は今日に。
絶望しろ。明日に。未来に!」
そう言い残すとアダムは大爆発を起こす。
爆風に吹き飛ばされてしまったが、翼さんとマリアさんが受け止めてくれた。
クリスちゃん、調ちゃん、切歌ちゃんの三人も集まってくる。
「やったな、立花」
「はい。
そうだ、キャロルちゃんとサンジェルマンさんは.......!」
「来てねぇな」
「様子を見てくるデス」
切歌ちゃんがドームの方へと走っていく。
「それにしても、さっきの力は何だったんでしょう」
「分からない。
けど、もしかしたらキャロルちゃんたちが手を繋いでくれたから、なのかもしれない」
「案外そうなのかもね」
「響さーーん!二人ともいなくなってしまったのデスよーー!」
「......そっか。もう少し話したかったな。
知らせてくれてありがとう!切歌ちゃん!」
「我々も戻るとしよう」
「そうですね」
今度は、もっと色んな話をしましょうね。
キャロルちゃん、サンジェルマンさん。
*主人公視点*
現在、俺は響のお誕生日会の準備を手伝っている。
結局なぁなぁで連れ出されてしまった。
役割分担で、俺は調と一緒に料理を担当することになった。
全員からかなり驚かれてしまったがな。失礼だな、レシピに書いてあることくらい出来るわ!
「驚きました。本当に料理できたんですね」
「調も疑ってたのか」
「あ、いえ!その、意外だなって思いまして。
てっきり、お惣菜ですませているのかと」
前はそれが多かったけど、それでも偶には自炊してたんだからな。
「一人の時間が長かったからな。
いい気分転換だった。それに、上手にできると気分が上がる」
「ふふっ、楽しいですよね。お料理って。
食べてくれる人の笑顔が見れたら、もっと」
「そうなんだろうな」
そういえば、最近はずっと了子やセレナに任せっきりだったな。
「......今日、その気持ちが分かりますよ」
「だといいが......口に合うかは分からないぞ」
「大丈夫ですよ。だって、みんなに美味しく食べて欲しいって気持ちが入ってるんですから。
味の心配をするって、そう思っているからなんでしょう?」
「これは勝てそうにないな」
「ふふっ、早く準備をすませましょうか」
「ああ」
俺たちは何種類か料理を作って、本日の主役が来るのを待った。
──
────
『ハッピーバースデー(デース)』
一斉にクラッカーを鳴らす。
響のお誕生日会がスタートした。
「ありがとう、みんな。とんだ誕生日だったよ」
「さぁさぁ、主役はこっちデスよ」
響が切歌に連れられて、料理の前まで案内される。
「わぁ〜、すっごーい!これどうしたの!?」
「それはね。調とリアンが頑張ってくれました!」
「え」
響がこっちを見てくる。
「どうした、響。何か言いたいことがありそうだな」
「い、いやいや!ナンデモアリマセン!
ありがとうございます!調ちゃん!リアンさん!」
「大丈夫よ、響。
こんな格好をした人が実は料理上手なんて、アニメでもなかなか見られないんだから」
そこからは、みんなで料理を食べる時間となった。
皿の上の料理が次々となくなっていく。
「ん〜!これも美味しい!」
「それはリアンさんが作ってくれたんですよ」
「そうなの!?とっても美味しいです、リアンさん!」
「ああ。口に合って良かったよ」
「ホントか!どれどれあたしも」
「私も頂こうかしら」
みんな本当に美味しそうに食べてくれるな。
「どうですか、リアンさん。今の気持ちは」
「そうだな......確かに、もっと上がるな。これは」
「分かってくれたようで良かったです」
家でもたまには、俺が作ってみるか。
──
────
食べ終わってからはみんなでゲームをしたり、芸術家もびっくりな翼の片付け方を見て笑ったりしていたら、響が俺に話しかけてきた。
「リアンさん。少しいいですか?」
「ああ、構わないぞ」
俺たちはみんなと離れた場所に移動する。
「その、みんなから聞きました。
リアンさんがキャロルちゃんと一緒にいるって」
「......そうだな。黙っていて悪かった」
「大丈夫です!事情は分かりますし」
「そうか。それで、聞きたいことはそのことか?」
「あ、いえ。そこじゃなくって。
戦いが終わったあと、キャロルちゃんと一緒にサンジェルマンさんたちもいなくなりましたよね?
それって、今はあの三人も一緒にいるってことなんですか?」
「......誰かに聞いて来いって言われたか?」
「違います。私が聞きたかったからです」
「......そうか。
質問の答えは響の考えている通りだ。あの三人もいる」
「いつか、また話すことは出来ますか?」
「ああ。必ず」
「それが聞けて安心しました。
ありがとうございます」
「大丈夫だ。
だが、このことは公にしないでくれよ」
「分かりました。絶対に、誰にも言いません」
「なら、早くあっちに戻ろう。主役がここにいてはいけないだろう」
「はい!」
響がみんなのいる部屋に戻っていく。
......必ずみんなが笑い合えるようにしてみせるからな。
「おい!どこのどいつなワケダ!」
「一体どうしたのプレラーティ!?」
「私が楽しみに取っておいた高級プリンがなくなっているワケダ!!」
「プリンごときで大袈裟な」
「大袈裟ではないワケダ!食べ物の恨みは恐ろしいワケダ!
まさかキャロル、お前が食べたんじゃ──」
「バカなことを抜かすな!オレはお前ほど食い意地は張っとらん!」
「そんなに否定するのが怪しいワケダ!」
「やってないと言ってるだろう!」
「「ぐぬぬぬ......!」」
「......笑い合えるように、か」
「おい、神代絆紡。この状況をどうするつもりだ」
「サンジェルマンか。
お前が何とかしてくれ。同じ錬金術師だろう」
「私がするのか!?
いや、ここにはカリオストロも──」
「彼女でしたら、ついさっき『花を摘みに行く』と言って出ていきましたよ」
「逃げたのか......!私たちは仲間のはずなのに......!」
「こら!喧嘩はやめてください!みっともない!」
「だったらプリンを用意するワケダ!」
「ありません!!」
「一体何の騒ぎ?」
「了子、プレラーティのプリンがどこに行ったのか知ってるか?」
「プリン?
......もしかしたら」
「何か知ってるのか?」
「ええ。実は──」
「お邪魔しまーす!」
「来たわよ。犯人が」
「あぁ。なるほど」
「いやー、外は寒いですねぇ」
「今日も来たのか、
「はい!ここなら皆さんと会えますし。
美味しいお菓子も食べられるんで!」
「ほぅ。だったら、昨日のプリンは美味しかったか?」
「それはもう!頬っぺが落ちるほどの美味しさでしたよ」
「そうかそうか。
じゃ、そういうことだ」
「ほえ?」
「お前が犯人なワケダ」
「おかげで言い掛かりをつけられたぞ。覚悟しろ!」
「うわああっ!ごめんなさーーい!!」
「まぁ、これはこれで良いのかもな」
「
ガリィの投影ってどうなってるんですかねあれ。明らか自由に動いて喋ってますし。
この小説だと投影したものはガリィが自在に操れるってことにしてますけど、無理がありそうなら投影用にマネキンに服着せて置いておきますし、声は変声機でガリィに喋らせるってことにします。