ついにXVまできました。
ここまでよく書けたなーって自分でも思いますね。ラストまで一直線に突っ走ります!
評価をつけて頂きありがとうございます!
*主人公視点*
アダムとの戦いから早2ヶ月が経とうとしていた。
今日までビーストによる被害もなく、俺の記憶に残る出来事といえば、セレナと未来のお誕生日会をしたくらいだ。
それと、了子たちの研究は順調に進んでいる。
ラピスを用いた結果、ビースト細胞に対してかなり効果があったらしい。ようやく武器の完成が近づいたこともあり、全員の入れ込み具合が凄まじいことになっている。
食事の時間以外、ずっと研究室に入り浸っているくらいだ。
そろそろ休んでほしいと思ってるが、当人たちの様子をみると素直に受け入れてはくれないだろうな。もう少しだからって言って断りそうだ。
「絆紡くん、ちょっといいかしら!」
了子が急いだ様子でこっちに来る。
「どうした!何かあったのか!」
「やっと完成したかもしれないのよ!
どうなったか見せるから、研究室まで来てちょうだい!」
「分かった!」
──
────
「これが.....」
「そうよ。以前と形は変わってないけど、性能は全然違うわよ」
「彼も来ましたし、最終チェックに入りましょうか」
ウェルの合図とともに、武器の射線の前にゴルゴレムの一部が置かれる。
爆散したゴルゴレムの残骸はS.O.N.G.が回収し、了子たちの研究のためにファラがよく取りに行っていた。
「それではいきますよ」
銃身にエネルギーがチャージされていき、淡いピンク色の光線が発射される。
それを浴びたゴルゴレムの一部は、一瞬にして消え去った。
「まぁ、これくらいはやってのけないと話にならなかったからな」
「ビーストに対しての効果は問題ないワケダ」
「それじゃあ、クールダウンの間に次の準備を済ませちゃいましょうか」
「クールダウンにはどれくらいかかるんだ?」
「60秒だ。これ以上は短縮できなかった」
サンジェルマンが悔しそうに答えたが、効果を考えれば十分早い。
「マスター、準備が終わりましたわ」
次に並べられた物を見てみると、豚肉や牛肉、花、虫、ラット、コンクリート、ガラスなど、様々な種類が置かれていた。
「よし。なら撃て」
もう一度光線が放たれる。
だが、今度は何一つ消滅することはなかった。虫やラットも平気そうに動いている。
「それじゃ、撃った後で何か変化がないか確認するわよ」
実験に使ったものを、みんなで手分けして確認する。
結果はどうだ?
──
────
「......撃つ前と後で変化は一切なし。成功ね!」
「ようやくここまで来られましたか」
「だが、最後に大事なことが残っている」
「......人間だな」
それを調べないと公にすることが出来ない。
「そうだ。
そこで、お前とフィーネが実験体になってほしい」
「分かった」
「即答なワケダ」
「他に選択肢もないだろう。ウェルにはネフィリムの腕、キャロルとセレナはホムンクルスの体、サンジェルマンたちは完全な肉体なんだからな。
人間の身体と言えるのは、俺と了子くらいだ」
「まぁ、それはそうなんですけどね」
「......それに、俺は信じてるからな。必ず完成してるって」
「そこまで言われると、少し照れくさいわね」
「その信頼に、結果で応えよう」
「そうね。
じゃあ行きましょうか、絆紡くん」
「ああ」
俺と了子が前に立つ。
銃身にエネルギーがチャージされていく。
「ではいくぞ」
俺たちに向けて光線が放たれる。
......痛みはない。むしろ、何だか安心するような。まるで、暖かい風に吹かれているような気分だ。
「......異常はない。了子はどうだ」
「私も異常なし」
「本人たちは問題なし。では、検査をして異常がないか確認してみましょうか」
精密検査を受けた結果、身体のどこにも異常は見つからなかった。
ということは───
「実験は成功だな」
「長かったーー!」
「ようやく終わったワケダ」
「みんな、ありがとう。これを完成させることが出来たのは、みんなの力があってこそだ」
完成したことを喜んでいると、研究室にセレナがやってきた。
「皆さん、実験はどうなりましたか?」
「文句なしの大成功よ」
「本当ですか!?おめでとうございます!
今夜はお祝いですね。うんと豪華にするので、楽しみにしててください」
「それは楽しみだ。
お前もこの二ヶ月、ずっと我々を支えてくれていたな。感謝する」
「私は皆さんのように出来ませんから。少しでも助けになれたなら嬉しいです」
「セレナちゃんがいてくれたから、私たちは研究に集中することが出来たのよ。
充分、助けになっているわ」
セレナが役に立っていないなどと考える者は、この場には一人もいない。
「はい......!」
「それじゃあ、みんなで上に向かうか。
セレナ、料理は俺も手伝うよ」
「ありがとうございます、絆紡さん。人数が多いので助かります」
──
────
それからセレナと一緒に料理を作り、みんなで食べているとこんな話になった。
「そうだ!あの武器に何か名前を付けない?呼ぶときに何かと不便でしょ?」
「いい考えね。
それじゃあ、私たちを代表して絆紡くんが考えてちょうだい」
「ここで俺に振るのか。作ったのはお前たちだろ?」
「オレはどうでもいいんでな」
「こういうのはリーダーがやるワケダ」
「リーダーって......協力関係なだけなんだから、そんな立場じゃ──」
「いいんだよ細かいことは。ほら、さっさと決めな」
「派手な名前を期待している」
そうだなぁ......
「......人々の希望の光になるようにって願いを込めて、『エルピス』っていうのはどうだ?」
「お〜、何だかかっこいいゾ」
「いいんじゃないですか?僕は気に入りましたよ」
「決まりですね」
みんなから不満は無さそうだ。
「名前も決まったことだし、これからのことについても聞きましょうか」
「そうだな。
了子たちには、今みたいに研究室に篭もりっぱなしにはならない程度のペースで、エルピスを作って欲しいんだ。一つあたりどれくらいかかるかは分かるか?」
「そうねぇ。完成系は分かったから、だいたい1ヶ月程じゃないかしら。
他のみんなはどう思う?」
「私もそれくらいだと思っている」
「オレも同じだ」
「この様子だと、ここにいる全員がそう思ってるようですね」
「1ヶ月だな。分かった」
これなら、物語が本格的に始まるまでに二つは作れそうだな。
「それで、次はどうするワケダ?」
「次は、少し前にプレラーティが言ってた通りにするかな」
「私が?」
「世界をひっくり返す」
*響視点*
今日は、一週間以上も前からS.O.N.G.に来るよう言われていた日だ。
何でも、リアンさんが国連加盟国の代表たちと話をするらしい。難しい話をしそうだけど、私に理解できるかな?
開始まであと30分。
S.O.N.G.に所属しているみんなは既に集まっている。
「今日は一体、どんな話をするんデスかね?」
「リアンさんのことだから、ビーストのことについてだと思うけど.....」
「今まで我々以外には全く姿を見せなかった彼が、国の代表たちの前に立って話すのだ。どうなるのか予測できないな」
「いい話......なんですかね?」
「分からないわ。けど、いい話を期待したいところだけどね」
「あいつがここまでするんだ。あたしたちは期待して待ってようぜ」
「あっ、リアンさんが来ました!」
エルフナインちゃんの声を聞いて、みんなが一斉にドアの方へ振り向く。
そこには、いつもと変わらないリアンさんが立っていた。
「あいつ、やっと来やがったか」
「全員集まってるみたいだな」
「ああ。こちらの用意はできている。
リアン君の方は大丈夫か?」
「問題はないが、一つ頼みたいことがある。会議が始まって俺が合図を出せば、このチップの中に入ってるデータを代表たちに渡してほしい」
「それくらいならお易い御用だが、中に何が入ってるんだ?」
「いいものだよ」
良かった。悪いことじゃないんだ。
私は内心ホッとした。
「それと、みんなに聞いておきたいことがある」
聞いておきたいこと?何だろう......
「俺が今から何を言ったとしても、俺のことを信じてくれるか?」
そんなの──
『当然(デス)!!』
今更リアンさんを疑う人なんていない。
「......そうか」
「リアン君、もう少しで時間よ」
「分かった。繋げてくれ」
──
────
モニターには集まった代表たちの姿が映し出されている。
ついに始まるんだ。私がドキドキしてきた。
「今日は俺のために集まってくれたこと、感謝する。時間も惜しいのでさっさと本題に移らせてもらう。
俺の方で製作を進めていた、対ビースト用の武器が最近完成した」
『おお......!』
「以前使用したあれが、ついに完成したのか......!」
この場にいる誰もが、リアンさんの言葉に反応する。
「詳細はこれだ」
そう言うとリアンさんが手で合図を出す。
向こうにデータを渡したようだ。
「今送ったデータが、対ビースト用の武器『エルピス』だ。
これが放つ光線はビーストのみに効果があり、その他の生物や物体には一切被害を出さない」
『なんと!そのような夢の武器が......!』
「威力も折り紙つきだ。実験データにも書いてあるが、小さなものであれば一瞬のうちに消し去ることができる。
巨大なビーストが相手でも、その効果は絶大だろう」
すごい!!これなら、ウルトラマンさんにばかり頼らなくても、戦うことができる!
「ただ、今は一つしか作り出せていない。これは出現率の高い日本に渡すつもりだが、今後は1ヶ月に一つ完成する予定だ」
『その時は、是非とも我が国に!』
『いや、我が国にお願いしたい!』
向こうでは色んな国の人たちが言い合っている。
「どこが所有するかはそっちで決めてくれ。
だが、エルピスはあくまでビースト用に作られたものだ。それ以外の使用や利用は認めない。
だから、対策を施すことにした」
『その対策とは?』
「もしもエルピスを壊したり分解しようとしたら、内部が粉々になる。無論、データも真っ白だ。
それに加えて、どこに置いてあるか分かるようにGPSも内蔵されている。隠れて渡すことが出来ないようにな」
「凄まじい徹底ぶりね。これでエルピスを改造して軍事利用することは出来なくなったわ」
「以上の点を踏まえて、しっかり管理できる国を選ぶことだ。
では、エルピスの運用を認めない国は手を挙げてくれ」
......誰も手を挙げない。
「当然だ。こんな理想的な武器の使用を許可しないところなんてあるわけねぇ」
「決まりだな。
では、エルピスの完成にあたって、俺からあなたたちに向けてお願いがある」
『これまでのことを成し遂げたのだ。言ってみるといい』
「俺からは一つ。今から言う六人の者たちに対して、今後一切その罪を問わず、強制的な干渉もしないことを誓えるかどうかだ」
それって、サンジェルマンさんたちやキャロルちゃんのこと!?
けど、六人?残りは一体誰なんだろう?
『......ふむ。その者どもの名前を聞かねば、こちらも判断がつくまい』
「その通りだ。では言っていくぞ。
一人目、パヴァリア光明結社に所属していたサンジェルマン。
二人目、同じく所属していたカリオストロ。
三人目、同じく所属していたプレラーティ」
やっぱりサンジェルマンさんたちだ!
『先に起こった事件の首謀者たちではないか!?』
「彼女たちの力がなければエルピス完成には至らなかった。その功績を考えれば、罪を帳消しにしても問題ないだろう。四人目以降も同じだ」
『しかし......!』
「四人目、キャロル・マールス・ディーンハイム」
キャロルちゃんも!ここまでは私でも分かった。他のみんなも同じみたい。
『今度は魔法少女事変の......』
「五人目、ジョン・ウェイン・ウェルキンゲトリクス」
「ドクターウェル!?」
「生きてたんデスか!?」
「あの怪我でどうやって......!」
ウェルって、あのウェル博士!?
あの人も一緒にいたんですか!?
『なんだとぉ!!』
米国代表の人がかなり驚いている。
「六人目」
最後だ。全く予想がつかない。
一体誰が───
「櫻井理論の提唱者、櫻井了子」
「...............え?」
リアンさん......今...なんて......?
「なっ!!」
「櫻井女史!?そんな、彼女はあの時......!」
「どうしてその名前が.....」
「フィーネが......嘘だろ?」
私の聞き間違いじゃない。師匠たちも驚いている。
了子さんが......生きて?
『バカな!!デタラメだ!!彼女は1年以上前に──』
「以上が、罪の帳消し及び干渉を禁止する六名だ」
『少し待て!そのようなこと、この場では決められるはずが──』
「今、ここで決めろ。そうしなければ、エルピスを渡すことはできない」
『くっ......!』
「言っておくが、俺は一切譲歩するつもりは無い。
さぁ、選べ」
「一体全体、何がどうなっているのデスか!?」
「分っかんねぇよ!こっちも混乱してんだ!」
「デタラメを言ってるわけじゃねぇな。でも、どうやって.....」
「立花、大丈夫か?」
「えっ......あ、すみません。少しびっくりしすぎちゃって」
「無理もないわ。この場にいる誰もが理解出来てないのだから」
「リアンさん以外、誰も.....」
聞きたいことが山ほどあった。
けど、まずはこの会議の行く末を見届けないと。
後で、絶対に聞かせてもらいますからね。
リアンさん。