戦姫絶唱シンフォギア~光の絆~   作:@a.s

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第57話

 

 *主人公視点*

 

 世界のお偉いさんを相手に脅すなんて、とんでもないことをしちゃったなぁ。

 けど、今ここでやっておかないと、後から言い出しても結論を先延ばしにされかねない。

 ここは強気に交渉するんだ。

 

『認めるわけないだろう!そやつらは大罪人だ!すぐにこちらへ引き渡せ!!』

 

 猛反発してきたのは米国か。

 ここは想定内だな。表に出たらまずいことがわんさかあるんだから。

 

「引き渡してどうなる。幽閉か、それとも死刑か。

 俺の大切な協力者たちを、そんな目に遭わせるわけにはいかない!」

 

『奴らを庇うなら、キサマも大罪人だぞ!』

 

「今のままだとそうだろうな。だから、その罪を無くせと言っているんだ」

 

『ふざけるな!!』

 

「ふざけてなどいないさ。

 彼女たちの頭脳は、今後の人類にとって大きな力となる。それを潰すなど、それこそ愚行としか言いようがない」

 

『奴らを許し、それでまた暴れでもしたらどうなる!』

 

「それはない」

 

『なぜ言い切れる!!』

 

「簡単な話だ。もし彼女たちに暴れようとする気があるなら、今頃世界は大混乱に陥っている。俺と協力してこんなものを作る必要などない」

 

『──ッ!』

 

「それに一つ聞きたいんだが、お前たちが束でかかってきたとして、彼女たちに勝てるとでも思っているのか?

 お前たちが俺の要求を断れば、エルピスは使えない。それに、彼女たちを捕らえようとすれば、大きな被害が出るのは目に見えている。

 ハナから要求を受け入れるしか道はない」

 

『キサマッ!ぬけぬけと......!』

 

「脅すような形になったのは申し訳ないが、そうでもしないと決められないだろう。

 さぁ、今のを聞いてもなお不満がある国は手を挙げろ」

 

 多くの代表が苦虫を噛み潰したような顔をしながら、手を挙げずに座っている。

 

「決まりだ。この取り決めは正式な書面には残さない。だが、必ず守ってもらうからな。

 もし破った国がいれば、重い制裁を下すことをこの場で誓え。まずは米国からだ」

 

『......誓う』

 

 そこからは1ヶ国ずつ順番に誓わせていく。

 かなり面倒だが、後から誓ってませんなんて言われたら厄介だからな。

 

「これで全員だな。

 言うまでもないが、この場にいない非加盟国を利用して襲撃するのは止めておけよ。もし裏で糸を引いていたことが見つかったら、無事では済まないと思え」

 

『......分かっている』

 

「それと、強制的な干渉は禁止したが、正式な場での交渉を求めるのは構わない。

 もしかしたら、彼女たちから求められることもあるかもな。そうなっても、ちゃんと対等な立場での交渉にするから安心してくれ」

 

『理解した。だが、最後に一つだけ聞かせてほしい。

 もしも彼女たちが世界に仇なすときが来れば、お前はどう責任を取るつもりだ』

 

「......俺が命にかえても止める。その後、どんな罰でも受け入れよう」

 

 そうなった場合の責任は必ずとる。

 

『その言葉、違えるなよ』

 

「ああ。胸に刻んでおく」

 

『ならば、この話は終いだ。

 我々は所有権について話し合うとしよう』

 

「エルピスについては必ず用意する。どこが持つか決まれば、俺と協力関係にあるS.O.N.G.へ連絡してくれ。

 司令もそれでいいか?」

 

「あ...ああ、問題ない」

 

「では、俺はこれにて失礼する」

 

 モニターの接続が切れる。

 ......お、終わった〜。すっごい緊張したぞ。もうやりたくねぇ。

 

 けど、これで了子たちが狙われることはほぼ無いだろ。

 予定よりも早まったが、いい機会だったし良しとしよう。

 

 そう思って、俺が一息ついていたら──

 

「さて、それじゃあ説明してもらおうじゃないか」

 

 翼たちがにじり寄って来る。

 圧がすごいな。

 

「お前のことを信じるって言っても限度があるだろ!とっとと全部吐きやがれ!」

 

「みんな落ち着け、色々あったんだよ。色々」

 

「そんな説明で納得できるわけないでしょ!」

 

「じゃああれだ、不思議な力で何とかなったんだよ」

 

「誤魔化しが下手なのデス」

 

 実際に不思議な力なんだよ、信じてくれ!

 俺も原理とかはよく分からん!

 

「......あの、リアンさん。

 了子さんは、本当に生きてるんですか?記憶とかは.....」

 

「ちゃんと生きてるよ。記憶もちゃんとある。

 ここに呼ぼうか?すぐ近くに待機してもらってるんだ」

 

「はい!お願いします!」

 

「少し待っててくれ」

 

 俺は了子たちに連絡をする。

 しばらくすると、まずサンジェルマンたちが到着した。

 

「久しぶりだな、立花響」

 

「サンジェルマンさん!また会えて嬉しいです!」

 

「お前も、私たちとの約束を果たしてくれたな。ありがとう」

 

「あとはお前たち次第だ。これからは、周りと手を取り合って進んでくれ」

 

「ああ。もう人の道を外れはしないワケダ」

 

「あなたたちも、これからはよろしくね」

 

 そうこうしてるうちに、次はキャロルが入ってきた。

 

「キャロル!」

 

 エルフナインが笑顔で近づく。

 こうして見ると双子の姉妹みたいだ。

 

「お前は相変わらずだな、エルフナイン」

 

「みんなに挨拶はしなくていいのか?」

 

「オレのことは既に知っていただろう。今更不要だ」

 

 相変わらずドライだな。

 

「では、次は僕の番ですね」

 

 この声は──

 

「ドクターウェル......!」

 

「そんな顔をしないで下さいよ。もう何も企んじゃいませんって」

 

「怪しい.....」

 

「手厳しいですね」

 

「ウェルも今まで頑張ってくれてたんだ。過去のことはあれど、信用してやってくれ」

 

「リアンさんが言うなら、信じてみるデス」

 

 渋々といった感じだが、受け入れては貰えそうだな。

 

カツ、カツ、カツ、カツ

 

 ヒールの足音だ。もうすぐそこまで来ている。

 そして、ドアが開き──

 

「......了子君」

 

「久しぶりね、弦十郎くん。それに、他のみんなも」

 

「了子さん.....」

 

 響が了子に話しかけようとするが......

 

「響ちゃん。少し待ってくれるかしら。

 みんなに言いたいことがあるの」

 

「わ、分かりました」

 

 そう言うと了子はみんなの前へと立ち、静まり返った部屋の中で口を開いた──

 

 

「ごめんなさい」

 

 深々と頭を下げながら出た謝罪の言葉が、静かな部屋に響き渡った。

 

「私はあなたたちに迷惑をかけ続けてきた。利用して、裏切って、傷つけて。

 だから謝らせてほしい。本当に......ごめんなさい!!」

 

 了子がみんなの前に姿を見せることがあれば、真っ先にしたいことが謝罪だ。これをしなければ、隣に立つことができないと考えていた。

 

 そして、今度はマリアたちの前に行き、頭を下げる。

 

「あなたたちには、レセプターチルドレンのことで謝らないといけないわね。

 酷いことをしてごめんなさい」

 

「......あなたに言いたいことはあったけど、今はもう終わったことよ。

 ちゃんと全員保護もされた。だから、あなたの謝罪を受け入れる」

 

「私も」

 

「あたしもデス」

 

「......ありがとう」

 

 マリアたちには許してもらえたようで良かった。

 次に了子は奏の前に立つ。

 

「あたしにも......何かあるのか?」

 

「......ええ、......あなたの家族のことよ」

 

「まさか──」

 

「そう。あなたの家族を殺したのは私。あの地には神獣鏡の聖遺物の欠片があったの。

 それを回収されないように......私がノイズを操った」

 

「お前が、あたしの家族を......!」

 

 奏が今にも殴りかかりそうな雰囲気を纏っている。

 

「奏さんっ!」

 

「止めるな響。これは彼女たちの問題だ」

 

 割って入ってはダメだ。

 これは当人同士で済ませないと解決しない。

 

「あなたの怒りは最もよ。私は許されないことをした。

 顔も見たくないと言うのなら、一生あなたの前には姿を見せない。罪を償ってほしいと言うのなら、彼には悪いけど私は大人しく捕まるわ」

 

「......昔のあたしなら、家族の仇のあんたを殴り殺してたかもな。けど、今は違う。あんたには罪を償ってほしい」

 

「奏.....」

 

「......分かったわ。なら、すぐにでも──」

 

「勘違いするなよ、あたしは捕まってほしいんじゃない。

 あんたの力を、今を生きる人たちのために役立ててほしいんだ」

 

「奏ちゃん.....」

 

「あんたはあたしに真実を話してくれた。黙っていればバレなかったってのに、本気で自分の罪と向き合おうとしているのが伝わってくる。

 だから───みんなの力になってくれ、了子さん」

 

「もちろんよ......奏ちゃん」

 

「了子さん。あなたが教えてくれた胸の歌を信じてきたから、私はここまで多くの人たちと手を繋ぐことができました。

 ありがとうございます。それと、これからよろしくお願いします!」

 

「えぇ。こちらこそよろしく、響ちゃん」

 

 これで心からS.O.N.G.の一員になれたな。

 おめでとう、了子。

 

 ──

 ────

 

「さて、あまりしんみりし過ぎないように、俺からもう一人紹介したい」

 

「もう一人って、まだいるのかよ?」

 

「我々が知っている人物なのか?」

 

「いや、翼たちは知らないだろうが、マリアたちならよく知っているだろう」

 

「私たちが?

 全くもって想像もつかないけど.....」

 

 名前を当てられたら俺が驚きだけどな。

 

「入ってきていいぞ」

 

「分かりました」

 

「聞いたことのある声のような.....」

 

「よく思い出せないデス」

 

「.................嘘」

 

 マリアは誰か分かったようだな。

 ドアが開くと、セレナが中に入ってくる。

 

「久しぶりですね、マリア姉さん」

 

「......セレ、ナ?セレナなの?」

 

「はい。マリア姉さんの妹のセレナですよ。また会えて嬉しいです」

 

「一体どうして......あなたは昔──」

 

「彼女を助けられたのは運が良かった。それと、キャロルがいたからだ」

 

「体はオレの作ったホムンクルスだが、心と呼べる部分は間違いなくお前の妹だ」

 

「お二人のおかげで、またこの世界で生きられるようになりました」

 

「セレナ......

セレナーーー!!

 

 マリアがセレナに泣きながら飛びついた。何年かぶりの姉妹の再会だ。

 俺はこの光景が見たかったんだよ!

 

「良かったデスね、マリア」

 

「あれだけ泣いてるマリア、初めて見た」

 

 姉妹水入らずの時間を、俺たちは邪魔をしないよう静かに見守っていた。

 

 ──

 ────

 

「ぐすっ......結局しんみりしちまったじゃねーか!」

 

「そう言うな、姉妹がまた会えて良かっただろ?」

 

「これで、またセレナと一緒に過ごせるのね」

 

「あ、それは無理です。マリア姉さん」

 

「...................へ?」

 

「今は彼の家に住んでるので、一緒には住めません」

 

「へ〜〜.....」

 

 マリアの目が据わってる!

 

「落ち着け、マリア。落ち着くんだ」

 

「私はかつてないほど落ち着いてるわよ。

 それで?どうして姉の私じゃなくて、あなたがセレナと暮らせるのかしら?」

 

「それは──」

 

「私が頼んだんです。あなたのそばにいさせてくださいって」

 

 ガシッ

 

「あなた!セレナに変なことしてないでしょうね!!」

 

 マリアが俺の肩を掴んでぐわんぐわんと揺さぶってくる。

 

「し、してない!してないから揺らすな!」

 

 これ以上揺らされたら口から光が出る!

 

「こうなったら私もあなたの家にセレナと住む!」

 

 ええ!?

 

「そ、それは無理だ。流石に家を教えるわけには──」

 

「じゃあどうすればいいのよー!」

 

 やばい、もう限界だ!

 

「セ、セレナ!一日......いや、三日くらいマリアと過ごしたらどうだ!」

 

「しょうがないですね。わかりました。

 少しの間、よろしくお願いしますね。マリア姉さん」

 

「ほ、ほんと!?」

 

「はあっ......!はあっ......!」

 

「お......おい。お前、大丈夫か?」

 

「サンジェルマンか。何とか無事だ。

 視界がまだ揺れてるけどな」

 

「あの子、もう少し大きくなれば魔性の女になりそうね」

 

「どうしてそう思うワケダ」

 

「女の勘よ!」

 

「元男が何を言ってるワケダ」

 

 あー、やっと落ち着いてきた。

 

「司令。最後に頼みがあるんだが、エルピスを搭載した戦闘機の案がこのチップに入ってる。これをもとに開発を進めてくれないか?」

 

「わ、分かった。上には報告しておく」

 

「......なぁ、その戦闘機には誰が乗るんだ?」

 

「そうだな......4人は決まっていて、まずはウェルだ。これは本人の強い希望で決まった」

 

「当然です。武器を作るだけで終わっては真の英雄にはなれない。

 それを使い、ビーストを倒してこそ!僕は英雄となるのです!!」

 

「それと、サンジェルマンもだ。エルピスにはラピスが使われてるからな。

 何かあっても対応できるように乗るのが決まった」

 

「ほんとはあーしたちも乗りたかったんだけどね」

 

「人数が多すぎるのも問題なワケダ」

 

「三人目はキャロルだ。戦闘機にはメタフィールドに突入するための装置が組み込まれている。その製作者であるキャロルも、サンジェルマンと同じ理由で乗ることになった」

 

「それじゃあ最後は──」

 

「私よ。ビーストとの戦闘で、相手の解析をするためにね」

 

「そうか。

 ......なぁ、あたしもそれに乗ることって出来るか?」

 

 奏が?

 

「あたしも一緒に戦いたい!ここで翼たちやウルトラマンが戦うのを見てるだけなんて嫌だ!力になりたいんだ、あたしだって!」

 

「とっても危険よ。それに、あなたの身体でどこまで耐えられるか.....」

 

「分かってる。それでも、お願いだ」

 

「......なら、案を少し変えないとね」

 

「ありがとう、了子さん!」

 

「いいのよ、あなたの気持ちは伝わったわ」

 

 もうすっかり仲良くなったな。

 

「それじゃあ、今日は帰るとするか」

 

「リアンさん!今日はありがとうございました!

 皆さんも、また会いましょうね!」

 

「またね、響ちゃん」

 

 俺たちは別れを告げ、テレポートジェムで家へと帰った。

 

 

 

 *マリア宅*

 

「ね、ねぇセレナ......どうして彼のそばにいたいのか、聞いてもいい?」

 

「......ふふっ。どうしてだと思いますか、マリア姉さん?」

 

「それってどういう意味なの!?」

 

「秘密です」

 

 

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