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*主人公視点*
世界のお偉いさんを相手に脅すなんて、とんでもないことをしちゃったなぁ。
けど、今ここでやっておかないと、後から言い出しても結論を先延ばしにされかねない。
ここは強気に交渉するんだ。
『認めるわけないだろう!そやつらは大罪人だ!すぐにこちらへ引き渡せ!!』
猛反発してきたのは米国か。
ここは想定内だな。表に出たらまずいことがわんさかあるんだから。
「引き渡してどうなる。幽閉か、それとも死刑か。
俺の大切な協力者たちを、そんな目に遭わせるわけにはいかない!」
『奴らを庇うなら、キサマも大罪人だぞ!』
「今のままだとそうだろうな。だから、その罪を無くせと言っているんだ」
『ふざけるな!!』
「ふざけてなどいないさ。
彼女たちの頭脳は、今後の人類にとって大きな力となる。それを潰すなど、それこそ愚行としか言いようがない」
『奴らを許し、それでまた暴れでもしたらどうなる!』
「それはない」
『なぜ言い切れる!!』
「簡単な話だ。もし彼女たちに暴れようとする気があるなら、今頃世界は大混乱に陥っている。俺と協力してこんなものを作る必要などない」
『──ッ!』
「それに一つ聞きたいんだが、お前たちが束でかかってきたとして、彼女たちに勝てるとでも思っているのか?
お前たちが俺の要求を断れば、エルピスは使えない。それに、彼女たちを捕らえようとすれば、大きな被害が出るのは目に見えている。
ハナから要求を受け入れるしか道はない」
『キサマッ!ぬけぬけと......!』
「脅すような形になったのは申し訳ないが、そうでもしないと決められないだろう。
さぁ、今のを聞いてもなお不満がある国は手を挙げろ」
多くの代表が苦虫を噛み潰したような顔をしながら、手を挙げずに座っている。
「決まりだ。この取り決めは正式な書面には残さない。だが、必ず守ってもらうからな。
もし破った国がいれば、重い制裁を下すことをこの場で誓え。まずは米国からだ」
『......誓う』
そこからは1ヶ国ずつ順番に誓わせていく。
かなり面倒だが、後から誓ってませんなんて言われたら厄介だからな。
「これで全員だな。
言うまでもないが、この場にいない非加盟国を利用して襲撃するのは止めておけよ。もし裏で糸を引いていたことが見つかったら、無事では済まないと思え」
『......分かっている』
「それと、強制的な干渉は禁止したが、正式な場での交渉を求めるのは構わない。
もしかしたら、彼女たちから求められることもあるかもな。そうなっても、ちゃんと対等な立場での交渉にするから安心してくれ」
『理解した。だが、最後に一つだけ聞かせてほしい。
もしも彼女たちが世界に仇なすときが来れば、お前はどう責任を取るつもりだ』
「......俺が命にかえても止める。その後、どんな罰でも受け入れよう」
そうなった場合の責任は必ずとる。
『その言葉、違えるなよ』
「ああ。胸に刻んでおく」
『ならば、この話は終いだ。
我々は所有権について話し合うとしよう』
「エルピスについては必ず用意する。どこが持つか決まれば、俺と協力関係にあるS.O.N.G.へ連絡してくれ。
司令もそれでいいか?」
「あ...ああ、問題ない」
「では、俺はこれにて失礼する」
モニターの接続が切れる。
......お、終わった〜。すっごい緊張したぞ。もうやりたくねぇ。
けど、これで了子たちが狙われることはほぼ無いだろ。
予定よりも早まったが、いい機会だったし良しとしよう。
そう思って、俺が一息ついていたら──
「さて、それじゃあ説明してもらおうじゃないか」
翼たちがにじり寄って来る。
圧がすごいな。
「お前のことを信じるって言っても限度があるだろ!とっとと全部吐きやがれ!」
「みんな落ち着け、色々あったんだよ。色々」
「そんな説明で納得できるわけないでしょ!」
「じゃああれだ、不思議な力で何とかなったんだよ」
「誤魔化しが下手なのデス」
実際に不思議な力なんだよ、信じてくれ!
俺も原理とかはよく分からん!
「......あの、リアンさん。
了子さんは、本当に生きてるんですか?記憶とかは.....」
「ちゃんと生きてるよ。記憶もちゃんとある。
ここに呼ぼうか?すぐ近くに待機してもらってるんだ」
「はい!お願いします!」
「少し待っててくれ」
俺は了子たちに連絡をする。
しばらくすると、まずサンジェルマンたちが到着した。
「久しぶりだな、立花響」
「サンジェルマンさん!また会えて嬉しいです!」
「お前も、私たちとの約束を果たしてくれたな。ありがとう」
「あとはお前たち次第だ。これからは、周りと手を取り合って進んでくれ」
「ああ。もう人の道を外れはしないワケダ」
「あなたたちも、これからはよろしくね」
そうこうしてるうちに、次はキャロルが入ってきた。
「キャロル!」
エルフナインが笑顔で近づく。
こうして見ると双子の姉妹みたいだ。
「お前は相変わらずだな、エルフナイン」
「みんなに挨拶はしなくていいのか?」
「オレのことは既に知っていただろう。今更不要だ」
相変わらずドライだな。
「では、次は僕の番ですね」
この声は──
「ドクターウェル......!」
「そんな顔をしないで下さいよ。もう何も企んじゃいませんって」
「怪しい.....」
「手厳しいですね」
「ウェルも今まで頑張ってくれてたんだ。過去のことはあれど、信用してやってくれ」
「リアンさんが言うなら、信じてみるデス」
渋々といった感じだが、受け入れては貰えそうだな。
カツ、カツ、カツ、カツ
ヒールの足音だ。もうすぐそこまで来ている。
そして、ドアが開き──
「......了子君」
「久しぶりね、弦十郎くん。それに、他のみんなも」
「了子さん.....」
響が了子に話しかけようとするが......
「響ちゃん。少し待ってくれるかしら。
みんなに言いたいことがあるの」
「わ、分かりました」
そう言うと了子はみんなの前へと立ち、静まり返った部屋の中で口を開いた──
「ごめんなさい」
深々と頭を下げながら出た謝罪の言葉が、静かな部屋に響き渡った。
「私はあなたたちに迷惑をかけ続けてきた。利用して、裏切って、傷つけて。
だから謝らせてほしい。本当に......ごめんなさい!!」
了子がみんなの前に姿を見せることがあれば、真っ先にしたいことが謝罪だ。これをしなければ、隣に立つことができないと考えていた。
そして、今度はマリアたちの前に行き、頭を下げる。
「あなたたちには、レセプターチルドレンのことで謝らないといけないわね。
酷いことをしてごめんなさい」
「......あなたに言いたいことはあったけど、今はもう終わったことよ。
ちゃんと全員保護もされた。だから、あなたの謝罪を受け入れる」
「私も」
「あたしもデス」
「......ありがとう」
マリアたちには許してもらえたようで良かった。
次に了子は奏の前に立つ。
「あたしにも......何かあるのか?」
「......ええ、......あなたの家族のことよ」
「まさか──」
「そう。あなたの家族を殺したのは私。あの地には神獣鏡の聖遺物の欠片があったの。
それを回収されないように......私がノイズを操った」
「お前が、あたしの家族を......!」
奏が今にも殴りかかりそうな雰囲気を纏っている。
「奏さんっ!」
「止めるな響。これは彼女たちの問題だ」
割って入ってはダメだ。
これは当人同士で済ませないと解決しない。
「あなたの怒りは最もよ。私は許されないことをした。
顔も見たくないと言うのなら、一生あなたの前には姿を見せない。罪を償ってほしいと言うのなら、彼には悪いけど私は大人しく捕まるわ」
「......昔のあたしなら、家族の仇のあんたを殴り殺してたかもな。けど、今は違う。あんたには罪を償ってほしい」
「奏.....」
「......分かったわ。なら、すぐにでも──」
「勘違いするなよ、あたしは捕まってほしいんじゃない。
あんたの力を、今を生きる人たちのために役立ててほしいんだ」
「奏ちゃん.....」
「あんたはあたしに真実を話してくれた。黙っていればバレなかったってのに、本気で自分の罪と向き合おうとしているのが伝わってくる。
だから───みんなの力になってくれ、了子さん」
「もちろんよ......奏ちゃん」
「了子さん。あなたが教えてくれた胸の歌を信じてきたから、私はここまで多くの人たちと手を繋ぐことができました。
ありがとうございます。それと、これからよろしくお願いします!」
「えぇ。こちらこそよろしく、響ちゃん」
これで心からS.O.N.G.の一員になれたな。
おめでとう、了子。
──
────
「さて、あまりしんみりし過ぎないように、俺からもう一人紹介したい」
「もう一人って、まだいるのかよ?」
「我々が知っている人物なのか?」
「いや、翼たちは知らないだろうが、マリアたちならよく知っているだろう」
「私たちが?
全くもって想像もつかないけど.....」
名前を当てられたら俺が驚きだけどな。
「入ってきていいぞ」
「分かりました」
「聞いたことのある声のような.....」
「よく思い出せないデス」
「.................嘘」
マリアは誰か分かったようだな。
ドアが開くと、セレナが中に入ってくる。
「久しぶりですね、マリア姉さん」
「......セレ、ナ?セレナなの?」
「はい。マリア姉さんの妹のセレナですよ。また会えて嬉しいです」
「一体どうして......あなたは昔──」
「彼女を助けられたのは運が良かった。それと、キャロルがいたからだ」
「体はオレの作ったホムンクルスだが、心と呼べる部分は間違いなくお前の妹だ」
「お二人のおかげで、またこの世界で生きられるようになりました」
「セレナ......
セレナーーー!!」
マリアがセレナに泣きながら飛びついた。何年かぶりの姉妹の再会だ。
俺はこの光景が見たかったんだよ!
「良かったデスね、マリア」
「あれだけ泣いてるマリア、初めて見た」
姉妹水入らずの時間を、俺たちは邪魔をしないよう静かに見守っていた。
──
────
「ぐすっ......結局しんみりしちまったじゃねーか!」
「そう言うな、姉妹がまた会えて良かっただろ?」
「これで、またセレナと一緒に過ごせるのね」
「あ、それは無理です。マリア姉さん」
「...................へ?」
「今は彼の家に住んでるので、一緒には住めません」
「へ〜〜.....」
マリアの目が据わってる!
「落ち着け、マリア。落ち着くんだ」
「私はかつてないほど落ち着いてるわよ。
それで?どうして姉の私じゃなくて、あなたがセレナと暮らせるのかしら?」
「それは──」
「私が頼んだんです。あなたのそばにいさせてくださいって」
ガシッ
「あなた!セレナに変なことしてないでしょうね!!」
マリアが俺の肩を掴んでぐわんぐわんと揺さぶってくる。
「し、してない!してないから揺らすな!」
これ以上揺らされたら口から光が出る!
「こうなったら私もあなたの家にセレナと住む!」
ええ!?
「そ、それは無理だ。流石に家を教えるわけには──」
「じゃあどうすればいいのよー!」
やばい、もう限界だ!
「セ、セレナ!一日......いや、三日くらいマリアと過ごしたらどうだ!」
「しょうがないですね。わかりました。
少しの間、よろしくお願いしますね。マリア姉さん」
「ほ、ほんと!?」
「はあっ......!はあっ......!」
「お......おい。お前、大丈夫か?」
「サンジェルマンか。何とか無事だ。
視界がまだ揺れてるけどな」
「あの子、もう少し大きくなれば魔性の女になりそうね」
「どうしてそう思うワケダ」
「女の勘よ!」
「元男が何を言ってるワケダ」
あー、やっと落ち着いてきた。
「司令。最後に頼みがあるんだが、エルピスを搭載した戦闘機の案がこのチップに入ってる。これをもとに開発を進めてくれないか?」
「わ、分かった。上には報告しておく」
「......なぁ、その戦闘機には誰が乗るんだ?」
「そうだな......4人は決まっていて、まずはウェルだ。これは本人の強い希望で決まった」
「当然です。武器を作るだけで終わっては真の英雄にはなれない。
それを使い、ビーストを倒してこそ!僕は英雄となるのです!!」
「それと、サンジェルマンもだ。エルピスにはラピスが使われてるからな。
何かあっても対応できるように乗るのが決まった」
「ほんとはあーしたちも乗りたかったんだけどね」
「人数が多すぎるのも問題なワケダ」
「三人目はキャロルだ。戦闘機にはメタフィールドに突入するための装置が組み込まれている。その製作者であるキャロルも、サンジェルマンと同じ理由で乗ることになった」
「それじゃあ最後は──」
「私よ。ビーストとの戦闘で、相手の解析をするためにね」
「そうか。
......なぁ、あたしもそれに乗ることって出来るか?」
奏が?
「あたしも一緒に戦いたい!ここで翼たちやウルトラマンが戦うのを見てるだけなんて嫌だ!力になりたいんだ、あたしだって!」
「とっても危険よ。それに、あなたの身体でどこまで耐えられるか.....」
「分かってる。それでも、お願いだ」
「......なら、案を少し変えないとね」
「ありがとう、了子さん!」
「いいのよ、あなたの気持ちは伝わったわ」
もうすっかり仲良くなったな。
「それじゃあ、今日は帰るとするか」
「リアンさん!今日はありがとうございました!
皆さんも、また会いましょうね!」
「またね、響ちゃん」
俺たちは別れを告げ、テレポートジェムで家へと帰った。
*マリア宅*
「ね、ねぇセレナ......どうして彼のそばにいたいのか、聞いてもいい?」
「......ふふっ。どうしてだと思いますか、マリア姉さん?」
「それってどういう意味なの!?」
「秘密です」