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*主人公視点*
あれから数日後、司令からあるメッセージが届いた。
「サンジェルマン、カリオストロ、プレラーティ。聞きたいことがある」
「どうしたの?」
「アダムの目的について、何か分かっていることはあるか?」
「......すまないが、私たちでは力になれそうにないな」
サンジェルマンが少し考えるが、答えは出てこないか。
そりゃそうだ。知ってたらアダムに協力するはずがなかったし。
「そうか、分かった」
「何故今になって聞いたワケダ?」
「司令から連絡が入ってな。後日、ティキを調べてアダムの目的を探るらしい。
それで、結社に所属してたお前たちから情報がないか聞きたいんだと」
「ティキをか。
......だが、調べるなら注意するように伝えておけ。局長はティキが他人に触れられることを避けていたからな。
調べようとしたら何が起こるか分からないぞ」
重々承知してるよ。
初めから向かうつもりだったし。
「なら、俺が直接出向いて様子を見ておこう。何かあっても対応できるようにな」
俺は司令に連絡して、ティキが置かれている場所を教えてもらった。
──
────
後日、俺は海上の研究施設に赴いた。
そこでは数名の研究者がティキの調査の準備を進めており、俺はサンジェルマンからの言葉を伝える。
「......そんなわけで、ティキを調べるのは十分注意してもらいたい。尤も、危険物なのは承知の上だろうがな」
「いえ、お気遣い感謝します。警戒して、オートスコアラーの残骸は頑丈な部屋の中に配置しておきます。それでは始めましょう」
「俺は念の為に待機しておくよ。気にせずやっててくれ」
研究者たちがティキの解析を始める。
俺には何が行われているのかよく分からないが、次々と情報が送られていく様子を見るに、順調に進んでいるようだ。
~数時間後~
昼過ぎにここへ来たけど、外はもう暗くなってるだろうな。
解析はまだ続いている。俺は少しも気を抜かず、ティキから目を離さずにいた。
そして、その時は急に来た───
ドォォォン!!
ティキが大爆発を起こす。
あらかじめ爆発することを知ってた俺は、研究者たちに被害が出ないようバリアを展開して守る。
「全員無事だな?」
「は、はい!」
「ここはもう危険だ。早く離れるぞ」
研究者たちは守れたが、船の被害が大きい。
俺たちは急いで被害の少ないところまで避難する。少ししたら救助の船がやってきて、全員無事に保護された。
「先程は助けて頂きありがとうございます。あなたがいなければ、我々は今頃どうなっていたか.....」
「こういった時のために来てたんだ。無事でよかったよ。
ただ、完全に調べることができなくて残念だったな」
「そうですね。ですが、調べようとして爆発したということは、かなり重要な情報だったはず。
その一端だけでも回収することが出来たのですから、収穫はあったと言えるでしょう」
「ああ、その情報は必ず役に立つ。あとは他の者に任せるといい」
救助の完了後、俺は司令に呼ばれて本部へ行くことになった。
──
────
「リアン君、さっきは爆発から研究者たちを守ってくれて感謝する」
「お安い御用だ。それで、何か分かったことがあったのか?」
「それについては、装者たちが集まり次第説明しよう」
「了解」
その後の流れは、俺の知る通りだった。
最後にサルベージしたデータは南極のボストーク湖の座標を示しており、結社の捜査から得た情報と合わせると、その場所に棺が浮上すると推察される。
よってS.O.N.G.は1週間後、南極へ調査に向かうわけだが、残念だけど俺は居残りだ。テレポートジェムがあるから行けないことはないんだが、俺が向かっても響たちの活躍が見れるってだけで、出来ることは無いからな。
その間にビーストが人を襲いでもしたら大変だ。ビーストの元に向かうのは1秒でも早い方がいい。
急にスヒュームが現れて、レイキュバスが暴れるってんなら話は変わるけども。
「それでは、南極の極限環境を乗り切るための特別トレーニングを行う!
各自、俺が用意する映画を見ておくように!」
「また映画かよ」
そういえばそんなこともあったね。
本編にはなかったからちょっと抜けてたよ。
みんなが司令から紙袋を受け取っていく。
「司令、どんな映画を渡したんだ?」
「犬たちが過酷な環境を生きる、涙無しには語れない映画だ」
「名作だな」
「ただ、彼女たちには黙っててほしいんだが、人数分は用意できなくてな。
一つは謎のクリーチャーに襲われるホラー映画が入ってるんだ」
「あれか。面白い映画だが、当たった奴は気の毒だな。
あの映像は忘れたくても忘れられないだろう」
今見るってなっても、グロテスクなシーンが多いから抵抗感がある。
彼女たちには刺激が強すぎるだろうな。
「そうだ、君に報告があってな。
頼まれてた戦闘機の進捗だが、年を越す前には出来上がりそうだぞ」
ビーストに対抗するための要になるだけあって、政府の開発も早いな。
「分かった。了子たちにもそう伝えておくよ。
戦闘機を置く場所も決まったら教えてくれ。準備が必要だからな」
「ああ。決まればすぐに連絡しよう」
「頼んだ」
これで用事はなくなったかな。
そう思って帰路についていると、クリスと鉢合わせた。
「お前か。今帰るところか?」
「ああ。クリスもか」
「早く帰って映画を見なきゃいけねーしな。しっかし、これが過酷さを知るトレーニングになるのか?」
「実際強くなってる人がいるしな。
そうじゃなかったとしても、名作が見られるしいいんじゃないか?」
「確かにな。
なら、お前も一緒に見るか?」
「......いや、いい」
「なんで嫌そうなんだよ」
だってその中身ってあれだろ。
大画面で見ようとは思わないよ。
「......そんなつもりじゃない。今から少し用事があってな」
「お前、帰るとこだってさっき言ったじゃねぇか」
鋭いな......
「......そもそも、男の俺を家に誘うのは不用心じゃないか?」
「別に......映画を見るだけだろ。そんなことを気にしてんのか?
いいから行くぞ。一人で見るより話し相手がいた方が楽しいんだよ」
......これ以上は無駄なあがきか。
──
────
『ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙!』
「うぎゃぁぁぁぁああああ!!!」
うわぁ、これはなかなかキツイな。
昔の映画特有の生々しさが大画面に映し出されて、迫力が増してる。
最初はクリスも必死に声を抑えていたが、中盤からはダメだった。今では悲鳴をあげまくっている。
あと30分くらいか......頑張れ、クリス。
「......久しぶりに見たな。そっちは大丈夫か?」
「うぅ......南極。なんて過酷な場所なんだ」
「よく知れたようでなりよりだな。それじゃあ、俺は帰るぞ」
「ま、待てよ!もう少しゆっくりしていけって!」
怖がってるとこ悪いけど、流石にこれ以上遅くなるのはなぁ......
「もういい時間だろ?明日も学校があるんじゃないのか?」
「だ......だったら、あたしが眠れるまでそばにいてくれよ.....」
「お前......自分が何言ってるか分かって──」
「いいから!今から風呂に入ってくるけど、絶対帰るんじゃねぇぞ!」
「あ、おい」
俺が引き止めるより先に、クリスは風呂場まで行ってしまった。
「......マジか」
今帰ったら死ぬほどキレられそうだな。
まぁ、役得と思えばいっか。
風呂から上がったクリスがリビングに布団を持ってきた。
流石に自室に招くのは恥ずかしかったようだ。
「いいか、今日のことは誰にも話すんじゃねぇぞ」
「分かってるよ。いいから早く寝ろ」
~30分後~
「なぁ、ちゃんといるか?」
「いるぞ」
~30分後~
「なぁ──」
「ちゃんといるから、安心してろ」
~さらに30分後~
ゴソゴソ
......まだ寝付けないのか。相当怖がってるみたいだな。
もう12時を回ってるし、何かいい手はないか。......手......手?
「クリス」
「......な、なんだよ。あと少しだから、まだそばに──」
「俺の手を握るといい。
そうしてる間は、いなくなるかもって思わなくていいだろ」
そう言って、片手をクリスの近くへ差し出す。
「......ん、分かった」
その手を、クリスが両手でしっかりと包み込む。
「ありがと」
どういたしまして。
これで少しは安心して眠れるかな?
──
────
「すー......、すー.....」
ようやく眠れたか。
疲れたぁ、主に精神が。
すぐ隣にいるせいで、風呂上がりのいい匂いがしてきてずっとドキドキしっぱなしだった。正直かなりやばかったぞ。
ようやく生殺しの状態から解放される。
そう思って手をそっと抜こうとするが──
「......抜けない」
力強ぇ!めちゃくちゃしっかり掴まれてるんだが。
こうなったら少し強引に引き抜くしかないか。
「ん.......パパ......」
パパじゃないが。
えぇー、どうすればいいんだこれ。無理やりやったら起きるか?少し緩めてくれたらいいんだが、抜こうとすると握る力が強くなる。
目覚ましがなるまであと六時間。
もしかして、ずっとこのまま?
*クリス視点*
ジリリリリリ......
「.......ん、もう朝か」
いつの間にか寝てたみたいだな。
あいつには恥ずかしいところを見せちまった。
けど、あいつの手。大きくて、暖かかった。
何だか、パパのことを思い出しちまうんだよな。
ギュッ
そうそう、まさにこんな感じの手で───
「って、うわぁっ!
お前、なんでまだ家にいんだよ!」
「......お前が手を離してくれなかったからだよ」
「は、はぁ!?」
あ、あたしがそんな小さい子どもみたいなことを?
それに、こいつに寝顔をずっと見られて──
「ようやく起きたし、俺は帰るとするよ」
顔が熱い!こいつのことをまともに見ることが出来ない!
昨日あんな映画を見なければ、こんなことにはならなかったのに!
「その......わ、悪かったな。ずっと付き合わせちまって」
「別にいいさ。それより、ちゃんと寝れたか?」
「......ああ。おかげさまで」
「ならここまでした甲斐があったよ。南極での捜索、頑張れよ」
「言われるまでもねぇよ」
「じゃ、またな。次ここに来るのは、お前の誕生日の時かな」
そう言って、あいつは帰っていった。
ちゃんと覚えてくれてたんだな。
未だに謎の多いやつだけど、あいつの優しさは伝わってくる。
あたしたちを信頼してくれていることも。
その気持ちに応えるために、気合い入れていくか!
と、その前に──
「もう二度と観ないように、ディスクを取り出しておかねぇと」