『刹那! トランザムは使うなよ!』『了解! トランザム!!』 作:とんこつラーメン
ソフトボール投げにて、まさかの無限というガンダムも月まで吹っ飛ぶような大記録を叩き出したお茶子ちゃん。
まぁ…それに関しては私も人の事は言えないんだけど。
私の場合は思いっきり力技でしたが。
そんな後に投げるのは勝己君。
意気揚々と裸足のままで投球サークルの中へと入った。
「足を使った爆破でのソフトボール投げ…どれほどの記録が出るんだろう…」
「さてな…。だが、最低でも手を使った時よりは凄い記録が出るのは確実だろうな」
実際、私も足を使った結果、すんごい記録を出しちゃったしね。
未だに飛ばしすぎた感は凄いあるけど…。
本当に弁償沙汰にならなくてよかったでござるよ…。
「…………」
掌の上で何回かボールをポーン…ポーン…と跳ねさせながら精神を集中させてる。
何回かボールをキャッチした後に目をカッと見開き、空中にあるボールから手を引いた。
「…来る」
「…!」
脚を引き、ボールが地面に迫って来た…その時。
「ブッ飛べぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!」
ボールの中心に勝己君の足がクリーンヒット!
それと同時に、彼の足元が大きく爆発した!!
「い…行った!!」
「かなり飛んだな…」
ボールは一瞬で空の彼方まで飛んでいき、なんとグラウンドの端にある超巨大なフェンスに激突し、そのまま地面に落ちた。
「ば…爆豪すげぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」
「グラウンドの端まで行っちまった!?」
「いやもう、めっちゃ小さくなってるし!? どこまで飛ばすんだよ!?」
いやはや…これはマジで見事としか言いようがないな…。
ソフトボール投げでフェンスにぶつかるとか初めて見たんだけど…。
っていうか、雄英のグラウンドってめっちゃくちゃ広いな…。
トランザムの全力疾走で何週出来るかな…。
「爆豪…2843m」
「「「「まさかの四桁ぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!??」」」」
もうアレじゃん…完全に範囲の外に出ちゃってるじゃん…。
それでもちゃんと測定できる当たり、雄英の測定器ってスゲー。
「チッ…流石に無限とはいかなかったか…」
「「「「無限狙ってたのっ!?」」」」
「たりめぇだ!! んなの当然だろうが!!」
当然なんだ…。
私やお茶子ちゃんは完全な例外枠だと思うんだけど…。
それでも本人は納得しないんだろうなぁ…。
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無限を除けば間違いなくトップの飛距離を残した勝己君。
そんな彼の次は出久君。
彼も彼で似たようなことを考えているみたい。
「次、緑谷」
「は…はい!」
さーて…出久君はどれぐらいの距離を飛ばしてくれるのかな~?
因みに勝己君は今、持参したタオルで砂だらけの足を拭いてます。
「かっちゃんが足なら、僕は拳…! 今出来る全力で…!」
イメージするのは勝己君の爆破の一瞬。
その感覚を個性と拳に乗せる。
出久君はオタク気質だから、それ系の事は寧ろ得意分野とさえ言える。
「あ…あの…もしかしたらミスするかもなんで…その…」
「心配するな。ちゃんとボールが飛ぶまでは記録とみなすつもりはない。ただし、一cmでもサークルから出たら、それを記録として採用するから、そのつもりでいろ」
「わ…分かりました」
ま…そうですよね。
果たして、出久君は目論見通り、無事にボールを殴り飛ばせるのか?
「ふぅー……よし」
深呼吸をしてから、やる気な目になる。
これはタイミングが大事ですぞー?
「…………」
ポーン…とボールを軽く上に投げ、ゆっくりと下に落ちてくる。
その間に出久君は素早く腰を低くし、拳を後ろに引く。
そして……。
「いっけぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!!!!」
ボールと拳がぶつかる瞬間、緑色の火花のようなものが散った気がした。
それと同時に、ボールは物凄い勢いで見事に吹っ飛んでいく。
「す…凄いやん! 緑谷くん!!」
「藤原さんと爆豪君が蹴ったのに対し、彼は拳で殴って飛ばしたのか!」
お茶子ちゃんや飯田君が驚いている隣で私も目を細める。
さて…今のでどこまで飛んだ…?
「緑谷…941m」
おぉ~!! 昔の彼からは考えられないような大記録じゃん!!
よく見たら、個性による反動もそこまでじゃないみたいだし。
拳の表面…親指以外の指の第一関節から第二関節までの部分がうっすらと焼け焦げてる感じ。
あれぐらいならば他の競技にも支障ないでしょう。
「ヘッ…デクにしちゃ結構飛んだじゃねぇか…」
おやおや~?
ボソッとではあるけど、勝己君が出久君に対して見事なツンデレ発言しましたよ~?
めっちゃいいもん見たわ。
後々で絶対に弄るネタにしてやろう。
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最も皆が盛り上がるソフトボール投げが終わり、その後は地味な競技が続いていった。
例えば、持久走。
「…八百万百の『アレ』はいいのか?」
「バ…バイクに乗ってる…」
「アイツだけ完全に『持久走』じゃなくなってるじゃねぇか…」
これまた見事なチート個性によってトップになった子がいた。
というか、幾ら個性とはいえバイクに乗って走るのはアリなのか…?
これが許されるのなら、もうマジで何でもありになってこない…?
他には、長座体前屈。
これは普通にトランザムを使う場面じゃなかったから普通にやった。
「ふん」
「刹那ちゃんって体柔らか!? 体操選手!?」
「いや…生まれつきだが…」
強いて言えば剣道選手…かな?
別にお酢を飲んだりとかもしてないよ?
普通に昔から体が柔らかかっただけ。
転生前はガッチガチの体だったから、この感覚はマジで新鮮です。
そして、上体起こし。
「では、よろしく頼むぞ。切島鋭児郎」
「お…おう! 任せてくれ!」
流石に上体起こしは一人じゃできないので、二人一組で行うことに。
別に出席番号とか関係なしで組んでよかったので、私は実技試験の時もコンビを組んだ切島君を指名することに。
「や…やべぇ…なんかドキドキする…」
「何か言ったか?」
「な…何でもない! 早くやろうぜ!」
「分かった。では、始めるとしよう」
なんだろうねぇ…切島君って、私の顔を見る度に顔を赤くしてない?
私、何かしちゃったのかな?
「青春ですな~…うんうん」
「切島の野郎…一人だけ青春しやがって…」
はいそこ。五月蠅いですよ。
三奈ちゃんと上鳴くん、実は性格的な意味での相性良いでしょ。
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何事もなく全種目が終了し…結果発表~!
「んじゃ、パパっと結果発表をしていく」
さて…私は何位かな~?
上位陣に入ってると嬉しいな~。
勝己君と出久君も多分大丈夫だろうし…。
「このトータルはシンプルに各種目の評点を総合した数だ。いちいち口頭で説明していくのも面倒なので、一括開示していく。各自、勝手に見ろ」
勝手に見ろって…そんなのありかよ。
どんだけ面倒くさがりやねん。
「因みみなんだが…最初に言った『最下位除籍』っての…あれは嘘な」
「「「「「へ?」」」」」
う…嘘? うそ~ん…。
割と8割ぐらい信じちゃってたんですけど…。
「君たちの最大限を引き出すための…合理的虚偽だ」
「「「「「はぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!???」」」」」
合理的虚偽…なんて便利な言葉なんだ。
覚えておこう…。
「あんなの嘘に決まってますわ…。少し考えれば分かりそうなものでしょうに…」
あ…八百万さんは気が付いてたのね…。
じゃあ、私もそれに便乗しよっと。
「まぁ…そうだろうな」
「せ…刹那ちゃんも気が付いてたの!?」
「一応な」
「じゃあ…もしかして、かっちゃんも…?」
「たりめぇだ。常識的に考えて、入学初日から除籍とか絶対に有り得ねぇだろうが」
おぉ…勝己君のお陰で私も疑われずに済んだ…ホッ…。
今日の帰りに、彼にアイスでも奢ってあげよう。
「そう言うことだ。というわけで、これにて個性把握テストは終了だ。教室に各種カリキュラムなどの書類があるから目を通しておけ。じゃあな」
それだけ言うと、相澤先生は私達を置いて去って行ってしまった。
雄英教師はクールに去るぜ…ってか?
余談だが、総合結果は…私が一位で八百万さんって子が二位。
勝己くんは三位で、出久くんは7位ぐらいに入ってた。
うーん…見事なトランザム無双でしたなぁ…。
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校舎裏。
相澤が職員室に向かって歩いていると、不意に声を掛けられた。
「相澤君の嘘つき!」
「…オールマイトさん…やっぱり見てたんですね。暇なんですか?」
『やっぱり』と言った時点で、少し予想はしていたようだ。
その証拠に、相澤の目が完全にジト目になっている。
「『合理的虚偽』て!! エイプリルフールはとっくの昔に終わってるぜ?」
「知ってますよ」
「相澤君…君は去年の一年生を
相澤の足がピタリと止まる。
「…それが何か?」
「少しでも『見込みが無い』と判断すれば、どんな生徒でも容赦なく切り捨てる。そんな男がまさかの前言撤回。それはつまり…」
ビシッと指を差し、オールマイトはハッキリと断言した。
「君も『あの子達』に可能性を感じた…そうだろう!?」
「…………『君
オールマイトの奇妙な言い回しにピクリと反応する。
「そう言えば、貴方は入学前から妙に『ある生徒達』に肩入れをしている節が見受けられましたね」
「そ…それは…」
「緑谷出久。爆豪勝己。そして…藤原刹那。あいつらが気になりますか?」
「それ…は…その~…」
オールマイト。
致命的なまでに嘘が下手だった。
「ま…確かに『やるな』とは思いましたよ」
「だ…だろう!?」
「その中でも特に…藤原刹那。あいつは明らかに他よりも頭一つ分以上に突出している。持っている個性が恐ろしく強力ってのもあるが、それ以上に気になるのは、本人の異常なまでのストイックさ…。ぶっちゃけ、最近の若手ヒーロー達にも見習ってほしいとさえ思う」
「聞いた話じゃ、あの子は個性が発覚した次の日から自己流で個性の特訓をしていたらしいよ? 剣道も小学一年生から習い始めて、中学に入ってからはジム通いもしていたそうだ」
「なんだそれ…幼少期の頃から雄英のカリキュラムと大差ない生活を送ってたのか…。道理で他とは違うはずだ」
基本的に相澤は自分にも相手にも非常に厳しい性格をしている。
そんな彼が手放しで誰かを褒めると言うことは本当に滅多に無い。
「もしかしたら、あの藤原こそが今年の一年の中心となっていく存在になるかもしれませんね」
「確かに…藤原少女には言葉では言えない不思議な魅力がある。緑谷少年や爆豪少年もそうだが、藤原少女はきっと、次世代を引っ張っていくヒーローになる可能性を秘めている…そんな気がするんだ」
「あなたみたいに…ですか?」
「…そうだね。あの子ならば…あるいは…」
確かに『個性』は出久に継承した。
だが、それとは別にオールマイトの持つカリスマ性などは刹那が継承していくかもしれない。
刹那を中心にして、多くのヒーロー達が結束を固め、強大な敵へと立ち向かう。
何故か、そんな未来の情景が脳裏に浮かんだオールマイトだった。
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初日終了 下刻時間
「つ…疲れたぁ~…主に精神的に…」
「もしかしたら、今回のは精神的強さを測る意図もあったかもしれんな」
「あの先公なら十分にあり得るな」
まだ初日だってのに、物凄ーく長く感じたでござるよ神谷さん…。
流石に今日は帰って休息に時間を割きたいな…。
「「「「おーい!」」」」
「「「ん?」」」
今の、もしかして私たちの事を呼んだ?
思わず振り返ると、そこにはこっちに向かって手を振っている飯田君やお茶子ちゃん、上鳴くんや切島君たちがいた。
「途中までは帰り道一緒だろ? なら、一緒に行こうぜ!」
「そうだな。折角こうして再会できたんだ。それも悪くない」
「ケッ…勝手にしろ」
「んもぉ~…つれない事言うなよぉ~」
「かっちゃんに対して、あんなにも絡んでる…凄いな…」
「いやいや…緑谷君達は幼馴染でしょ?」
「俺としては、そっちの方が普通に凄いと思うがな…」
なんか一気に賑やかになりましたな。
けど…いいね、これ。
自分が高校生になったんだって実感が出てくるわ。
「これから大変かもしれないが…それと同じぐらいに楽しい日常になりそうだ」
おっと…つい本音が口から出てしまった。
誰にも聞かれてない…よね?
「…………」
なんだろう…お茶子ちゃんからすっごい見られてるんですが…。
「刹那ちゃん…落ち着きのあるクール系女子かと思ってたけど…私の勘違いやったみたいやね。本当は暖かかくて優しい女の子だ」
「……そうか」
なんだろう…すっごい恥ずかしいことを言われたんですが…。
刹那ロールしてなかったら、間違いなく羞恥心で悶絶してたわ…。
因みに、帰りにコンビニに寄って勝己君にアイスを奢ったら、めっちゃ怪訝な顔をされたでござる。
解せぬ。