『刹那! トランザムは使うなよ!』『了解! トランザム!!』   作:とんこつラーメン

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訓練開始だトランザム!

 『被服控除』

 

 すんごい簡単に説明すると、入学前に学校側に『個性届』と『身体情報』を提出しておくことにより、学校専属のサポート会社が生徒たちのコスチュームを製造、用意してくれると言う、とんでもなくご都合主義満載の画期的かつ素晴らしいシステム。

 こちら側から様々な『要望』を添付しておくことで、自分の思い通りのデザインで、便利で最新鋭のコスチュームを手にすることが可能となるのだ。

 

 後で皆から聞いた話では、どうやら基本的には紙に自分が欲しいと思うコスチュームのデザインをスケッチして提出していたみたい。

 それを聞いて、自分だけ妙に気合を入れすぎていたことが猛烈に恥ずかしくなった。

 だって私…自宅にあるパソコン使ってデザインして、そのデータが入ったUSBを添付しちゃったんだよ?

 まぁ…そのお陰で、私の要望通りの完璧なソレスタルビーイングの制服と言う名のコスチュームが手に入ったわけなんだが。

 これさ…ガンダム知ってる人が見たら完全に単なるコスプレ女だよな…。

 前世でも普通にコミケとかでコスプレはしてたけどさ。

 まさか、これを仕事着にする日が来るとは流石に思わないじゃん?

 ある意味…ガンダムファンの夢の一つを実現したと言えなくも無いのかもしれない。

 劇中で主人公が来ていた服を身に纏い、それでヒーロー活動を行う…。

 まだまだ早すぎる妄想ではあるけど、その時の事を想像するだけで思わず悶絶しそうになる。

 ま…実際にはしないんですけどね。

 だって、刹那は悶絶なんてしないから。

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

「さぁ…始めようか有精卵共!!! 楽しい楽しい…戦闘訓練のお時間だ!!!」

 

 遂にやるのか…この姿で…。

 それを思うと、ちょっと感動しそうになる。

 これはガンダムファンなら誰もが同じ気持ちになる…と信じてもいいよね?

 

(しっかし…)

 

 これだけ多種多様なコスチュームを着た人間が揃うと流石に圧巻だな…。

 私たちのような子供ですらそう思うのだから、実際の現場でのプロたちはもっと凄いに違いない。

 一応、刹那ロールをしているから表向きは緊張とは程遠いように見えるが、実際にはガッチガチに緊張してまくってるんだってばよ。

 

「おぉ…! 刹那ちゃんのコスチューム…スタイリッシュでカッコいいね!」

「そうか? ありがとう。出久のは…」

 

 うーん…何と言いますか…さっきも思ったけど…やっぱり…。

 

「…分かりやすいな」

「そ…そう? 照れるな…」

 

 別に褒めてるわけじゃないんだけどな…。

 ま、いいか。

 

「良いじゃあないか皆…最高にカッコいいぜ!!」

 

 オールマイトに褒められた。

 お世辞とは分かっているけど、それでも嬉しいよね。

 

「ムム!?」

 

 ん? いきなり何かに反応した?

 あの視線の先には…出久くん?

 

「…………!」

 

 あ…口を押えて横を向いて笑いをこらえてる。

 やっぱり、オールマイトにも分かったんだ。

 出久君のコスチュームの元デザが自分だってことを。

 

「先生! 質問よろしいでしょうか?」

「何かな? 飯田少年!」

「ここは入試で使用した演習場のようですが、またここで市街地演習を執り行うのでしょうか!?」

 

 あ、それ私も同じことを思ってた。

 いや…後付けじゃなくてね。本当に。

 なんか見たことがあるような景色だとは感じてたんだよね。

 

「いいや! 今日はもう二歩ほど先へと踏み込むことにする!」

 

 もう二歩踏み込むとな?

 それは一体どういう意味なのかしらん?

 

「今回行うのは…『()()()()()()()()()()』さ!!」

 

 屋内での戦闘訓練…しかも対人…!

 ってことは…。

 

(ヴィラン)退治は主に屋外で見られることが多いが、実際の統計からすれば屋内の方が凶悪(ヴィラン)出現率は高いと言われているんだ」

 

 そうだったのか…これはマジで知らなかった。

 流石は現役ナンバー1ヒーロー。

 この手の事には滅茶苦茶詳しいな。

 

「監禁に軟禁に裏商売…このヒーロー飽和社会と呼ばれている現代…真に賢しい(ヴィラン)屋内(やみ)に潜んでいる!!」

 

 そうか…確かに、外で大暴れするだけが犯罪じゃないもんな…。

 寧ろ、そう言った連中の方が遥かに厄介か…。

 所謂『頭脳犯』ってことだもんな。

 正面からの力押しだけじゃ絶対に勝てない相手…。

 真のガンダムマイスターを目指すのならば、これを学ぶことも必須項目だな。

 

「と言うわけで、君たちにはこれから『(ヴィラン)組』と『ヒーロー組』に分かれて…2対2の屋内戦をやって貰う!!」

 

 2対2…タッグ戦ってわけか…。

 単純に強いだけの個性じゃ勝ち目は薄いかもな…。

 文字通り、相方とのコンビネーションが大事になってくるってことか。

 

「基礎訓練も無しに…いきなり?」

「その基礎を学び、知るための実戦なのさ!」

 

 おっと。

 梅雨ちゃんの疑問が一撃で論破された。

 これ…予め答えを用意しておいたと見える。

 

「ただし、今回は破壊すればオールオッケーなロボじゃない所がミソだ」

 

 だろうな。

 相手は意思なき機械じゃなくて、ちゃんと自分の意思で動く人間。

 しかも、誰も彼もが強力な個性を持った相手ばかり。

 これは…相澤先生の時とはまた別の意味で大変な訓練になりそうだ。

 

「勝敗のシステムはどうなりますか?」

「どこまでぶっ飛ばしていいんスか?」

「また…相澤先生の時みたいに除籍とかあるんでしょうか…?」

「分かれるとは、一体どのように分かれればよろしいのですか?」

「このマント…ヤバくない?」

 

 おーっとー?

 いきなり百ちゃん、勝己くん、お茶子ちゃん、飯田君、青山君の怒涛の質問攻めだー。

 最後の青山君の質問は心の底からどうでもいいけどね。

 

「んんん~! 聖徳太子ぃ~!!!」

 

 こっちもこっちでいきなりどうした?

 聖徳太子は青いジャージで碌に仕事もせずに弾けないギターを弾こうとしたり、無駄に落とし穴を掘ったりしてる、謎に腐女子人気があるカレーが大好きな偉人でしょ?

 私も普通に好きだよ? 小野妹子も含めて。

 あと、松尾芭蕉も割と好き。

 

「いいかい!? 今回の訓練の状況設定はこうだ!」

 

 あ…話逸らした。

 気持ちは分かるけどね。

 

「『(ヴィラン)』がアジトに『核兵器』を隠していて、『ヒーロー』はそれを処理、もしくは確保しようとして動いている!」

 

 設定が実にアメリカンですな。

 あと、カンペが丸見えですよオールマイト。

 せめて、もうちょっと隠す努力をして欲しかった。

 暗記系…苦手なんだろうか?

 

「『ヒーロー』は制限時間内に『(ヴィラン)』を捕まえるか、もしくは『核兵器』を回収する。逆に『(ヴィラン)』は制限時間まで『核兵器』を死守するか、もしくは『ヒーロー』を捕まえる。それが今回の勝利条件だ」

 

 成る程な…。

 別に核兵器だけに拘る必要は無いし、かといって(ヴィラン)にばかり固執する必要もないと。

 二つある勝利条件のどちらか一つさえ満たしてしまえば、その時点で決着になると。

 

 にしても…核兵器かー…。

 ガンダム試作2号機でもあるのかしらん?

 ジオン再興の為に頂いていくの?

 『ソロモンよ! 私は帰ってきたー!!』って叫びたくなっちゃうよ?

 アトミック・バズーカ…いいよねぇ…。

 

「因みに、コンビ及び対戦相手を決めるのは…くじ引きだ!」

「適当なのですか!?」

 

 まさかのくじ引き。

 久々に聞いたわ。

 そういや…小学生の時、マリナママと一緒に商店街の福引を引いた時、特賞の熱海の温泉旅行が当たった時があったっけ…。

 あの温泉旅館…また行きたいなぁ…。

 

「プロは他事務所のヒーロー達と急増でチームアップする場合も多いって聞くし、その時に備えてってことなんじゃないのかな?」

「かもしれないな。闘いとは常に臨機応変が求められる。決まった相手とばかり訓練をしていたら、いざという時になって動けない…なんてことも十分に考えられる」

「そ…そうか…! 先を見据えた計らい…失礼しました!!」

「う…うむ! 分かってくれればいいんだよ飯田少年!」

 

 あ…今、オールマイトがこっそりと私と出久君に向かって小さくサムズアップしてた。

 割と素で困ってたのね。

 

 てなわけでくじ引きをしますよ~。

 …あれ? ちょっと待って?

 ウチのクラスって21人だよね?

 なのに2対2ってことは…誰か一人は余るのでは?

 でも、その事に関しては何も言ってないよね…。

 後でちゃんと説明がある…と信じるよ?

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

 くじ引きの結果、こうなりましたー。

 

 Aコンビ:出久君&お茶子ちゃん。

 Bコンビ:轟君&障子君。

 Cコンビ:百ちゃん&峰田君。

 Dコンビ:勝己君&飯田君。

 Eコンビ:青山君&三奈ちゃん。

 Fコンビ:砂藤君&口田君。

 Gコンビ:上鳴君&響香ちゃん。

 Hコンビ:常闇君&梅雨ちゃん。

 Iコンビ:尾白君&透ちゃん。

 Jコンビ:切島君&瀬呂君。

 

 で…私はと言うと…。

 

「…オールマイト先生。私のこの『☆』マークのやつは一体何なのだろうか…」

「おっと! 藤原少女がそれを引いたのか!」

 

 やっぱり、これは意図して入れられたやつなのね。

 

「君も知っている通り、A組は21名…つまり奇数だ。コンビで組もうとすると必然的に一人余る計算になる」

「そうだな」

「なので、取り敢えず最初は見学をして貰い、最後にまたくじを引いてから改めて藤原少女と組む相手と対戦相手を決定しようと思ってね」

「それはいいが…いいのか? 私だけかなり有利になりそうだが…」

「君もさっき言っていただろう? 闘いとは常に臨機応変が求められるって。時にヒーローは疲弊した状態での戦いをすることがある。少し変則的ではあるが、これもまた訓練の一環って奴さ」

「そうか…それならばいいのだが…」

 

 確かにオールマイトの言う通り、場合によっては(ヴィラン)の増援がやってきて、まさかの連戦…って事態も十分に考えられる。

 刹那だって、セカンドシーズンの最初ではズタボロの状態で一人孤独に戦ってたわけだし。

 

「では、次は最初の対戦の組み合わせを決めるぞ! 第一回戦はー…このコンビたちだ!」

 

 そう言いながらオールマイトがくじを引き、その手に握られていたアルファベットは…。

 

「まず…Aコンビが『ヒーロー』!!」

 

 A…出久君とお茶子ちゃんのコンビか。

 

「そして、『(ヴィラン)』側となるのはDコンビだ!!」

 

 Dって…勝己君と飯田君達?

 おいおい…最初から因縁のある二人の対戦とか…なのこの熱い展開は。

 まるで少年漫画の王道展開みたいじゃないか。

 けど…悪くない。

 だから気に入った。

 

「僕達とかっちゃん達が…」

「俺達とデク達か…」

 

 今と昔じゃいい意味で関係性が変わった二人。

 どんな対戦をするのか見ものだな…。

 

 

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