『刹那! トランザムは使うなよ!』『了解! トランザム!!』   作:とんこつラーメン

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体を鍛えろトランザム!

 ビバ! 中・学・生!!!

 うーむ…まさか、この私がセーラー服を着る日が来るとは…何とも言えませんなぁ…。

 これから三年間は、この制服を着て学校に行くのか…。

 もう思うと、なんだか少しだけ気恥ずかしかったりして。

 

「うん。凄くよく似合ってるわ、刹那」

「ありがとう。母さん」

 

 姿見の前で試しに制服を着て合わせていると、後ろからマリナママがやって来て褒めてくれた。

 しっかし…この人もこの人で全く変わらないなぁ…。

 私が転生してから9年ぐらい経過してるのに、全く見た目が同じだし。

 もしや、マリナママはスタンド使いか?

 もしくは波紋でも使ってリサリサみたいに若さを保ってるとか?

 

「そう言えば、前々から聞こうと思ってたんだけど…」

「ん?」

「少し前から、近所に住んでる爆豪君がよく朝に迎えに来てるけど…仲がいいの?」

「そうだな…爆豪勝己は私の大事な友だ」

「友達…そうなのね…」

 

 あ…あれ?

 なんかマリナママが遠くを見つめながら黄昏てるんですけど?

 

「彼も大変ね…」

 

 何が?

 私ってば何かしちゃいましたか?

 うーん…マジで全く心当たりがない…。

 

「今年から、例のトレーニングジムに通うのよね?」

「そのつもりだ」

「無理だけはしないようにね? 剣道もやってるんだから」

「分かっている。私だって、無理をして倒れるような真似はしたくない」

「それならいいけど…」

 

 中学になると一気に勉強のレベルが上がるけど…問題ないでしょ。

 少なくとも、高校三年生ぐらいまでは勉強面では無双出来る自信がある。

 流石に大学の勉強は普通に頑張らないといけないけど。

 

「今はまだいいけど、来年や再来年になると受験の話も出てくるでしょうし…これから色々と大変になっていくわね」

 

 受験かー…。

 前世で死ぬほど苦労した分、今回は前々からちゃんと準備をして万全の態勢で臨みたいよなー。

 じゃないと、後悔するのは自分自身なんだから。

 

「ところで、刹那はどこか行きたい高校とかってあるの?」

「いや…まだ決めていない」

「そう…別に焦る必要はないわ。お母さんはどこでも構わないから。お金なら問題ないし」

「了解した」

 

 金銭面での縛りが無いのは大きいけど、逆に選択肢が多すぎるってのも問題なんだよな~。

 ここら辺は、中学生活をしながらボチボチと考えていきますか。

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

 

 我が家から少し離れた場所にある個性使用可能な会員制トレーニングジム。

 その名も『ヒーロートレーニングジム』。

 うん。まんまですな。

 実際、軽く中を見渡すと、街中や雑誌、テレビとかでよく見かけるヒーローの姿がちらほら。

 中学生になった私も、マリナママ経由でここの会員になって、今年から剣道場の合間に通っている。

 そんな私が今していることは…。

 

「はっ…はっ…はっ…はっ…」

 

 ジムに設置してある最新式のルームランナー。

 勿論、距離は10kmで。

 その前にはちゃんと日課である腕立て伏せ100回、上体起こし100回、スクワット100回を終わらせている。

 これさえ終われば、今回のトレーニングのメインに移れる。

 

『目標距離に到達。停止します』

 

 終わったか…流石に汗を搔いたな。

 でも、凄くいい汗だ。スッキリした。

 ルームランナーから降りて、予め用意しておいたスポドリで水分補給を…。

 

「刹那…オメーも来とったんか」

「爆豪勝己…?」

 

 にゃんと。

 トレーニングウェアに身を包んだ爆豪くんがいたじゃありませんか。

 これまた意外な場所で意外な出会いですな。

 

「剣道だけじゃなくて、ジムにまで通うようにしたんか。ストイック過ぎんだろ」

「そういうお前も、ここに通っているのか?」

「今年からな。俺は絶対に雄英に首席で入学して、首席で卒業をぶちかます。んで、そこから一気にトップヒーローになんだよ。その為には…」

「今から本格的に鍛える…か」

「あぁ。おめぇもそうじゃないんか? だから、昔から剣道とかやってたんだろ」

「まぁ…そうだな」

 

 流石に彼にガンダムマイスターの事は…言えないわなぁ…。

 絶対に『はぁ?』って顔をするに決まってるし。

 

「もう終わりにすんのか?」

「いや…まだだ。と言うか、ここからが本番だ」

「本番?」

「『あそこ』を予約してるからな」

 

 私が親指で示した場所にあるのは、このジムの中で唯一、自由に個性を使うことが許された『特別練習場』。

 他の施設よりも遥かに丈夫に作られていて、ちょっとやそっとの衝撃ではビクともしないらしい。

 ここならば、私も全力でトランザムを使った特訓が出来る。

 目標は、中学三年間の間に一気にインターバルを1分にまで縮める!

 

『藤原刹那さん。特別練習場が空きましたので、どうぞコチラまでお越しください』

「…とのことだ。では、行ってくる」

 

 さーて…汗を拭き拭きしながら行きますかー…って?

 

「爆豪勝己? どうして一緒に来る?」

「見学すんだよ」

「見学?」

「あぁ。今思えば、まだ俺はテメェの本気ってのを見たことがねぇ。だから、その一端だけでも見とく。そんだけだ」

「…そうか」

 

 別に見るぐらいは構わないと思うけど…。

 さっきまで特別練習場を使っていたヒーローのトレーニングにも、沢山の見学者がいたみたいだし。

 

「藤原刹那です」

「はい。確認しました。使用時間はどうしますか?」

「最大で、どれぐらい使えるのですか?」

「次の予約もありますからー…2時間ほどですね」

「では、2時間でお願いします」

「分かりました。終了5分前にはアナウンスが流れるので、それを目安にしてください」

「了解です」

 

 アナウンスとか流れるんだ…。

 まるでカラオケだな。

 

「さて…と」

 

 首をコキコキと鳴らしながら特別練習場に入っていく。

 おぉー…これはまた、なんとも…固いと言うよりは、周囲の壁がショック吸収系の素材で構成されてるのか。

 成る程なー…これならかなり手荒にやっても大丈夫そうだわ。

 

「ならば…いくか」

 

 目を瞑り、腰を低くしてかーらーのー…?

 

「トランザム…発動!!」

 

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

 刹那が個性を発動させたと同時に、場の空気が一気に変わった。

 あいつの体が昔と同じように深紅に染まり、フェンス越しにも分かるほどの力が溢れているのが分かる。

 

「まずは!」

 

 練習場内にある大岩に向かて刹那が飛び掛かる。

 赤い残像を残しながら、まるで瞬間移動でもしたかのような速さに、俺だけじゃなく、見ていた他の連中も目を丸くして驚いていた。

 

「な…なんだっ!? あの有り得ないスピードはッ!?」

「しゅ…瞬間移動じゃないのか!? マジで只のジャンプッ!?」

「あんな速度を叩き出せるヒーロー…マジで何人もいないだろ…」

「あの子は一体なんだっ!? え? 中学生っ!? マジでッ!?」

 

 そんな周りの視線なんて全く気にしてない刹那は、空中で態勢を変え、そのままの勢いで大岩に向かって蹴りをぶちかます!!

 

 ボゴォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォン!!!!!

 

 刹那の蹴りを受けた大岩は、木っ端微塵になって砕け散った。

 パラパラと細かな破片が周囲に飛び散るのを見て、俺の心臓が激しく鼓動したのを感じる。

 

(あれが…刹那の本気かよ…! ハハ…とんでもねぇじゃねぇか…クソが…!)

 

 自身の身体能力を5分間だけ100倍にまで引き上げる、紛れもない超強個性。

 幾ら再使用の為のインターバルがあるつっても、大半の相手は最初の五分で終わっちまうのは明白。

 しかも、自分の体を鍛えれば鍛える程に『100倍』と言う数値は予想以上のデカさになる。

 昔から密かに体を鍛え続けていて、更に剣道までやってんだ。

 個性なんて使わなくても、そこらの連中よりもずっと強い。

 それが100倍になるんだから…その強さは推して知るべしだ。

 

(あれが…俺が目指すべき場所…超えるべき壁…!)

 

 はは…いいじゃねぇか…悔しいけどよ…最高だぜお前…!

 目標ってのは高ければ高いほどいい。

 オールマイトを始めとしたヒーローは、まだ俺にとっては雲の上のような存在だが…刹那は違う。

 こいつは俺の一番近くにいて、一番デカくて強大な壁だ。

 そう思うと同時に、こんな凄い奴が自分の幼馴染だと言うことが誇らしくもある。

 

 俺がそんなことを考えている間に、刹那の奴は超巨大な鉄球を使ってリフティングをやってやがった。

 あまりにも常識離れした光景…だけどよ…こいつならこれぐらいは当たり前と思えてしまう自分もいる。

 

「そー…っれ!」

 

 超巨大鉄球を蹴り上げたかと思ったら、それを空中でオーバーヘッドキック。

 鉄球は凄まじい速度で壁にぶつかり、そのままめり込んでしまった。

 刹那が地面に着地したと同時に個性が解除されたのか、赤い発光が消えていた。

 

「ふぅ…まずは、こんなものか」

 

 ここからインターバルに突入か。

 確か、今は30分ぐらいにまで縮んでるっていってたな。

 目標は、それを一分にすることだとか。

 もしもマジでインターバルが一分になったら、刹那の個性はとんでもないチート個性になっちまう。

 その前に…俺も少しでもあいつに追いつく…!

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

「なんと…」

 

 マジですか…。

 体を思い切り使ったトランザムの訓練が、ここまで明確な効果を発揮するとは…。

 今回のトレーニングだけで、インターバルが30分から25分…つまり5分も縮んだ。

 まだ完全にインターバルは終了してないけど、自分自身の個性だからか感覚的に理解が出来た。

 昔は、この5分を縮めるだけでも四苦八苦してたのに…。

 やっぱり、何の遠慮もなく個性を使うってのは、個性を鍛える上で凄く大事なことなんだな。

 

「ん?」

 

 ちょっと視線を感じたから顔を向けると、そこにはフェンス越しに意味深な笑みを浮かべている爆豪くんが。

 おっふ…なにあの獲物を見つけた野獣みたいな顔は…。

 

「うぉぉぉぉぉっ!! なんだ、あの子!! 物凄いぞ!!」

 

 ひゃっ!? び…びっくりしたー…。

 いきなりなんじゃらほい。

 

「あの強さでまだ中学生っ!? 信じられん!!」

「もう今から既に将来のスカウト候補最有力じゃないか!!」

「あれほどの強さ…埋もれさせるには余りにも惜しい!」

「あぁ~…! あの子が高校生で、尚且つ雄英生とかだったら、迷わずスカウトするのにな~!」

 

 な~んざんしょ。

 プロっぽい人たちが私の方を見て好き放題言いまくっておじゃりますのよ神谷さん。

 GNバズーカ! お客様の中にGNバズーカ・ハイパーバーストモードが使える方はいらっしゃいませんかっ!?

 いらっしゃいましたら、あのうざそうな野次馬連中を消し飛ばしてくださいません事!?

 

「今のうちに水分補給と塩分補給でもしておこうか…」

 

 たった五分間の出来事とはいえ、その体力消費量は尋常じゃない。

 実際のトランザムだって、一度完全に使い切った後はGN粒子を再チャージしないと使えない。

 私はそれを生身でやってるんだから、その肉体的負担はお察しの通りだ。

 これはマジで昔から鍛えてなかったら、自分の個性に自分が潰されてたな。

 結果として、私の判断は正しかったってことになる。

 

 さて…スポドリ飲んで、塩タブレットも食べた。

 もうそろそろ縮まった25分のインターバルも終了する。

 残された時間は余りない。

 ここから更に飛ばしていきますかね!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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