~トレセン学園喫煙所にて~
「ラヴズちゃんにルドルフ、アルダン……。ハローさんもどえらい美女ときた。…いやぁトレセン学園もいいもんですなぁ!右も左も美人揃いで!あっはっは!!」
いやホントに美人揃いで俺様困っちゃう!
眼福ってのはこういうことを言うんだろうなぁ!
ほんとならタバコをツマミにしたいところだが、ここは未成年が多い。それにウマ娘は嗅覚も良いからなぁ、タバコの臭いめちゃくちゃ嫌だろうしなぁ。
「トレセン学園内でどうにか合法的にウマ娘の近くで吸えないかな…ここは一旦理事長に直談判を…ん?」
俺のガラケーに着信が入る。
なんでガラケーなんだって?
俺別にソシャゲとかやらんし連絡取れればそれでいいっしょって感じ。
んで?お相手さんは…げっ、たづなさんか。
俺は鼻をつまんで電話に出る。
「この電話はお客様の都合により出ることができま…」
「ふざけてないで要件だけ聞いてください。至急理事長室に来てください。以上です」
ブチ切りしやがったよあの人…
でもまぁ理事長からのお呼び出しなら行かなきゃなぁ…
~理事長室にて~
「という訳で呼ばれて飛び出てきました、ワタリです。雑務の追加とかです?」
「感謝!急に呼び出したのは理由がある!」
相変わらず元気だなぁ理事長。
そして相変わらず俺をゴミを見るような目で睨みつけてくるたづなさん。
世知辛いね…
でも急な呼び出しな訳だ、かなり重要な要件なのだろう。
「君にはウマ娘の今後の為にナンパ対策をしてもらいたい!」
「……は?」
何言ってんだこのガ…人。
ナンパ対策?この学園にはトレーナーゾッコンな娘達ばかりだろ。
「困惑する理由は十分理解している!しかし、現代のファン層は少々行き過ぎた言動が多いのだ!だからこそ、コレは君にしか頼めないのだ!」
「俺にしか…頼めない…?」
俺にしか頼めないだって…?
なんて良い響なんだ…
「君を推薦する理由は他にもある!これを見たまえ!」
理事長が何かの雑誌を広げる。
そこに書かれているのは…俺じゃないか!
イケメン男ランキング1位だって!?
「イケメン1位…!?なるほどもう世界が俺に追いついてしまったか…だけど理事長?イケメンの前の文字に修正液が塗られてるのはちょっと気になるんですが…」
「こ、これはたづながコーヒーをこぼしてしまったのだ!なので修正液を使ったのだ!」
あぁだからか!
納得納得!
「ふっ…そこまで言われたならしょうがないですね…俺もトレセン学園の一員にしてイケメン1位!例え火の中水の中、なんだってやりますとも!さぁ理事長!そのナンパ対策とやらの内容をお聞かせ願いたい!」
「承知!その対策の仕事とは…」
仕事とは…!?
「この学園の生徒に声を掛けて欲しい!つまり、君が生徒をナンパするのだ!」
「うんごめんさっきはあんなでかい事言ったけどもう引き受けたくないです」
やっぱふざけてんだろこのガキ。
俺が生徒をナンパ?
社会的に抹殺されるわ!!
「な、なんと!?決して巫山戯てる訳ではない!それに了承してくれた暁には君の大好きなこれをやろうと思ったのだが…」
そう言ってたづなさんにアイコンタクトを送る。
何処から取り出したのかそこには俺の大好きなメンソールのカートンを持ってやがる!
札束をヒラヒラさせるみたいに見せびらかしやがってこの
だが俺も男…こんな事で引き受けたら足元を見られ
「喜んで引き受けさせてください」
何言ってんだ俺!
メンソールの誘惑に勝てなかった!
なら仕方ねぇなぁ!
「あ、でもドッキリ大成功みたいな看板は欲しいです。俺社会的に抹殺されたくないです…」
「うむ!そういうと思ってもう準備はしてある!」
おぉ!用意周到じゃねぇか!
「まぁ大舟に乗ったつもりで任せてくださいよ…タクシーで鍛えに鍛え上げたトーク力…見ててくださいよ理事長…」
「泥舟の間違いじゃないかしら?」ボソッ
おい聞こえんぞそこの緑の悪魔。
まぁいい指を咥えて見ていろ。
このイケメン1位がハーレムを築き上げるところをな!
俺はメンソールのカートンを手に取り堂々と理事長室を退室する。
今、世界いや天は俺の時代となった…
華麗に決めてやるさ…例えドッキリでもな!
「上手く誤魔化せましたね、理事長!」
「うむ!まさか修正液の所に気づくとは少々甘く見てたな!評価を改めなければ!」
「本当にバレなくて良かったです。この"残念なイケメンランキング"」
~トレセン学園カフェテリアにて~
さて勢い良く出発したのはいいが誰に声を掛ける?
令嬢達は論外だ…声をかけた途端ボディガードに拉致られるのは目に見えている。
ここは恋愛に疎そうな奴だ。
「はい!カツ丼大盛り定食お待ち!」
カフェテリアのおばちゃんから定食の乗ったお盆を受け取る。
ここはまず飯を食べながら考えるか?
いや…イイ鴨がいたじゃねぇか。
「やぁオグリキャップ。今日も良い食べっぷりだね。隣いいかい?」
「ん、ワタリか。ちょっと待ってくれ」
そういうとオグリはエグい量のエビチャーハンを早急に平らげる。
「ふぉうそ(どうぞ)」
「はは、ありがと」
なんかの怪奇現象か何かか?
まぁいい、第1ステップは踏めた。
ここからはもう俺の手のひらの上で転がされるだけよ。
「キミの食べっぷりはホントに気持ちがいいね。たくさん食べるキミが好きって言うのかな?」
「₺‹"₺‹"…ワタリは沢山食べる娘が好きなのか?」
ふっ…そういう返答が来るのはわかってたぜ!
ならばこの一手で一気に王手まで持っていく!
「もちろん、健康的だし一緒に食べていて凄い楽しくなると思わないかい?例えばそうだな…オグリ、キミみたいな可愛い娘なら特に…ね?」
そう言って彼女の手を取る。
ウィンクをしてオグリを見つめる。
どうだこのイケメンムーブ!
こうされることで落ちぬ女はいなかった!
さぁ赤面して困惑しろオグリ!
所詮男は獣なんだと言うことを身をもって知るがいい!
「…ワタリ」
「ん?どうしたんだい?」
( ゚∀゜)フハハ八八ノヽノヽノヽノ \
恥ずかしくて声も出ないかオグリ!
そりゃそうだろう!田舎から来たばりのキミが俺のこのイケメンムーブに
「このままだと食べ辛いんだが?」
うっそだろおい…
「あぁごめんよ?キミに見惚れてつい…」
「ワタリが何を言ってるのかあまり理解は出来ないが褒められているのはわかる。ありがとう」
そう言って彼女は食事を再開する。
お、俺の策は甘かったということか…?
「お、オグリこの定食キミにあげるよ…急な仕事を思い出した…」
「いいのか!?ありがとうワタリ!…キミはホントに優しい人だな」
ま、眩しい!そんなイイ顔で俺に笑顔を向けないでくれ!!
「なはーはーはー!。゚(゚´ω`゚)゚。」
マヌケな鳴き声を出して俺は食堂を抜け出した。
~トレセン学園グラウンドにて~
恋愛に疎いヤツは失敗だった…
なら今度は愛に飢えているヤツか?
しかし俺が仕掛けても高レベル過ぎて伝わらない可能性もある…
ならば話し掛けられるのを待つか!
我ながら天才だ!
ちょうどここはグラウンド…
そして練習をしている生徒たち…
休憩がてら俺がいるのをいいことに声を掛けてくれる娘はいるはず…
石の上にも三年…
ふっふっふ、待つのは得意だぜ
~1時間後…~
おかしい…なぜ誰も俺に声を掛けてくれない?
なんか俺を見ながらヒソヒソ話してる娘達はいるけれども!
なら話しかけてくれてもいいじゃん。゚(゚´ω`゚)゚。
あ、アレかぁ!
俺が雑誌でイケメン1位になってるから話し掛けるのが恥ずかしいのか!
なるほどな!
それならば仕方あるまいこんなイケメンが佇んでいるんだ。
俺への声掛けはハードル高ぇよな?
「あの、すみませんワタリさん…でよろしいですよね?」
とうとう来たぜ次なる鴨がよぉ!
さぁそのツラ見せてみな!
「突然すみません、メジロアルダンです。お久しぶりですねワタリさん」
会いたくねぇ令嬢来たァ!!
いやしかしどっかのラーメン狂とは違ってメジロ家には黒服いねぇよな…よな!?
ならここで仕掛けるしかあるまい!
「やぁアルダン練習終わりかい?それにしても相変わらずキミは美しいね…それも俺達を照らしてくれる太陽が霞むくらいにね」
「まぁ御冗談を。練習に関しては先程トレーナーさんと話し合って終わりにしました」
なるほど練習終わりか…
ふっ仕掛けてきたのはアルダン…君からだぜ?
ここからは俺のバトルフェイズだ!
「冗談でこんな事言うもんかよ。キミは大きなハンデを背負いながらも努力して勝利を掴んでいる。それに誰に対しても謙虚だ。だからキミは美しいんだよ」
「ありがとう、ございます」
赤面したぜこの小娘!
どうだこの破壊力!
さっきは一気に王手へと駒を進めてしまったがここは弱火でじっくり攻めていくぜ!
「はは、キミそんな顔もするんだね。イイものを見れた気がするよ。良かったらこれからお茶でもどうだい?もっと俺にイイものを見せてくれないか?」
「あ、あのよければ友人も誘っても?」
「普段の俺なら誘って構わないところだったんだけどね…けど今は…」
彼女の手を取り跪く。
「キミを少しでも独占したいんだ。2人きりでお茶はダメかい?」
決まった…
俺がこうすることで落ちぬ(n回目)
手を取られたアルダンは俺から目を逸らしてる…
落ちたな…
ふっやはりさすが俺!アルダンも笑って…え?笑ってる?
「そういうことをしてると色々とワタリさんが誤解されちゃいますよ?」
そういった後アルダンは俺の耳元へと顔を近づけ
「残念なイケメンさん?」
クスッと笑った声が聞こえた。
アルダンは俺から手を離し、顔を遠ざけて言う。
「お茶のお誘いありがとうございます。今度、私の友人達と一緒に楽しみましょうね?」
そう言ってアルダンは離れていく…
え?俺、弄ばされたってこと…
てか待て残念なイケメンってもしかして、あの雑誌のこと…?
なんだろう俺の身体から段々色素が抜けていく感じがする…
死後硬直ってこんな感じなのかな…?
「ねぇあれどうしたのかなぁ?」
「見ちゃいけないよ!バカになっちゃう!」
おい誰だ今バカって言ったヤツ!
今俺超元気になって色素取り戻したよ!?
いいよやってやるよ!
残念だろうがなんだろうがイケメンはイケメンだ!!
こっから耐久戦じゃあ!!
~夕方 喫煙所にて~
うん、ダメでした
ドッキリの看板出すどころの話じゃない
声を掛けても逃げる奴はいるわそもそも無視されるわ…
挙句の果てにはフェノーメノに連行されかけるし
はぁ…イケメンって何なんだろうな…
「あ、いたいたワタリさん!なんか超ブルーって感じだね!」
誰だ俺の
「パーマー?なんでこんな所に?」
俺は吸ってる最中のタバコをスモーキングスタンドに捨てた。
「ありゃりゃ、吸ってても私気にしないのに」
「俺が気にするし、子供が大人の喫煙どうこう気にする必要はないのだよ。外で話そうかパーマー」
喫煙所の外のベンチで俺とパーマーは腰掛ける。
にしてもなんでパーマーがこんなところに?
「実はさ、その知り合い達から聞いたんだけど手当り次第ナンパしてたってのさっき知ってさ。せっかくカッコイイのにそんな事してたら勿体ないよ?」
「残念なイケメンって雑誌には書かれてたけどな…それにナンパはお前達のためにやってたんだよ!ほらこれ!」
俺は半べそかきながらドッキリ大成功の看板を取り出す。
それを見たパーマーは察してくれた。
「あ〜大変だったね。まぁでも色々言いくるめられて、それなりの報酬が出たからキミも引き受けたんでしょ?なら半分は自業自得じゃない?」
「うぐっ!!」
急にナイフで刺してくるなぁこの娘…
「でもホントにワタリさんはカッコイイと思うよ?」
「お世辞はやめとけ…今の俺には傷に塩塗ってるようなもんだぞ…」
「そう悲観的にならないでよ。本心だよ。だってワタリさんいつも嫌な顔せず私達を運んでくれるでしょ?それも距離が近いとか遠いとか関わらずに。私や他の娘がタクシーの予約した時も雑務をすぐに終わらせて運転に集中できるように動いてくれてるの、知ってるんだよ?」
あぁなんていい娘なんだ…
俺涙が出そ…あ、出てるわ
「えぇ!?ワタリさん大丈夫!?」
「気にするな!これさっき飲んだポカリが目から出てるだけだから!」
「尚更気にするよ!」
そう慌てるなパーマーよ。
ホントにポカリが出てるだけだから!
強がってねぇから!
「そういえばパーマー、キミは選抜レースはそろそろだったよね?こんな所で油を売ってていいのかい?」
「さすがワタリさん、そこまで知ってるかぁ。初出走なんだけどメジロ家として『メジロの名折れ』なんて思われないように頑張らなきゃだね」
そう言ったパーマーは苦笑いを浮かべる。
「パーマー、キミはキミだよ。やりたいようにやればいいしそれを理解してくれるトレーナーもきっと現れるさ」
「ワタリさんが言いたいことも分かるんだけどね…ほら!やっぱり世間体もあるからさ!メジロ家として失望される訳にはいけないし…」
彼女の言いたいことは何となく分かる。
「酷い話だよな…好きでメジロ家になったってわけでもないのにさ。勝手に期待されて勝手に裏切られて…ホント疲れるよな」
「あぁゴメンね!キミを慰めに来たのに私が慰められる形になっちゃった!これ以上話しちゃうと今はお互いブルーな状態が続いちゃうね!今度また話そうワタリさん!」
そういうとパーマーは駆け足で離れていく。
「気をつけて帰るんだぞパーマー!選抜レース絶対見に行くからなぁ!」
「ありがとう!待ってるからね!」
彼女は俺の方へ振り返り手を振った。
そしてまた進んでた方向へと向き帰っていく。
俺は喫煙所の中に入る。
「世間体…ね。どいつもこいつもメジロ家だ名家だ…バッ鹿バ鹿しい…」
その時に吸っていたメンソールはいつもより煙が出ていた気がした。
キャラの雰囲気とかセリフあってるのかこれ…
てかタクシー要素なくね?
とまぁこんな感じですが次回はついに乗務するかもしれません!!