機動戦士ガンダム 最前線の地平   作:風間しんや

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第十話

機動戦士ガンダム最前線の地平第10話

 燃え盛る炎が夜空を赤く染め、爆発の閃光が暗闇を断ち切る。グラウナイト基地の各所で火の手が上がり、崩れ落ちる施設の断末魔のような轟音が響き渡っていた。

 

 そんな中、数機の型落ちした陸戦型ジムやジムが懸命に消火活動を行っていた。腕に装備された簡易的な消火システムを使い、少しでも炎の広がりを抑えようと奮闘する。だが、それを嘲笑うかのように、新たな火の手が基地の各所で上がる。

 

「くそっ!これじゃキリがねぇ……!」

 

 消火作業を指揮する整備兵の叫びが無線越しに響く。

 

 一方、その火を放っている張本人ーーノア計画機関のモビルスーツ

それを迎え撃つのは、ストライクディーレ。赤と青と白のトリコロールカラーの装甲を持つその機体は、敵の放火を阻止するため、すでに交戦状態にあった。

 

「おい!今すぐ放火をやめろ!どこの組織のものだか知らないが、これは地球連邦への反乱行為とみなすぞ!」

 

 エイドリアンが敵機へと呼びかける。しかし――

 

「…………」

 

 応答はない。まるで意志の疎通が不可能であるかのように、敵は沈黙したまま動きを止めない。

 

「――ッ!話す意思がないのか!」

 敵は攻撃を止めようとしない。ならば、こちらも戦うしかない――。

「攻撃を続ける以上は、やらなきゃ、やられるんだよ!」

 エイドリアンのストライクディーレが動く。高出力の推進剤が吹き出し、一気に間合いを詰めると、右腕に装備した実体剣を振り下ろした。

 

 しかし攻撃ははじき返される

「……これは、少々難敵かもね……」

彼の呟きを遮るように、背後から通信が入る。

『隊長!』

 その声に振り返ると、十数機のストライクディーレが地面を蹴り、駆けつけてくるのが見えた。

「遅いぞ、君たち!」

「すみません!」

「……まぁいい。さあ、暴れようか!」

 

 エイドリアンの合図とともに、ストライクディーレ部隊が一斉にヴェルテノアへと斬りかかる。突撃戦闘を得意とする彼らの動きは、まさに猛禽のような素早さだった。

 

 しかし、その頃――

 

 イズモの動力室から1本の長大なケーブルが伸びていた。

 

 そのケーブルは格納庫へと続いている。格納庫の内部は広大で、フリーダムアークが1機あっても十分な余裕があるほどだった。

 

 そのフリーダムアークは即席のハンガーに固定されており、機体の各部には複数のケーブルが接続されていた。

 

 それらのケーブルは、動力室から延びた主電源ケーブルと合流するように接続されていた――。

 

 戦場の混乱の中で、静かに、しかし確実に――。

 

 何かが、起動しようとしていた。

 

 フリーダムアークのコックピットは、無人だった。

 

 その巨躯はイズモの動力源として機能するために、いまやケーブルに縛られている。

 

 その作業を終えたカイトは、艦内の整備区画で作業着のまま額の汗を拭った。

 

「……よし、完了だな」

 

 全ての接続を確認し、最後のチェックを済ませると、彼は素早くロッカールームへ向かった。

 

 パイロットスーツへと着替え、次に向かうのは……格納庫の奥にある、もう1機の機体――。

 

 「トイボックス」。

 

 カイトの予備機として準備されていた機体であり、フリーダムアークほどの性能はないものの、戦場に出るには十分なスペックを持つMSだった。

 

 「フリーダムアークは動かせない以上、こっちで出るしかないか……」

 

 独り言のように呟きながら、彼はコックピットに乗り込んだ。

 

 起動スイッチを押すと、メインモニターが明滅し、トイボックスの機体各部がゆっくりと稼働を開始する。

 

 ――その時だった。

 

 衝撃。

 

 まるで爆発のような振動が、艦全体を襲う。

 

「何っ!?」

 

 カイトは反射的に操作レバーを握り、モニターを切り替える。

 

 爆発の振動が、艦内の空気を揺らす。

 

 「っ……何が起きてる?」

 

 トイボックスのコックピット内で、カイトはモニターを操作しながら戦況を確認する。

 

 モニターに映るのは、炎上するグラウナイト基地と、次々と撤退してくる味方部隊――。

 

 ストライクディーレを主力とする第1~第3中隊は、ヴェルテノアとの交戦によって戦線を維持することが困難になり、司令官の指示で基地奥の施設へと後退していた。

 

「このままじゃ……」

 

 カイトは素早くトイボックスの起動を完了させ、機体を前進させる。

 

 その時――、格納庫のシャッターが開いた。

 

 撤退してきたストライクディーレの部隊が次々と格納庫へと入り込む。

 

 彼らは目前に広がる巨大な艦――イズモの存在に驚愕する。

 

 「な、何だこの艦は!? こんなものが基地に……!」

 「おい、本当にここに撤退してよかったのか?」

 「司令がここへ行けって言ったんだ、理由は知らねぇ……が、こんなデカブツがあるとは聞いてねぇぞ!」

 

 彼らは困惑しながらも、すでに限界寸前の状態だった。

 

 そこへ、カイトのトイボックスが前進する。

 

 「ようこそ、イズモへ――とは言ってる場合じゃなさそうですが……」

通信を開くと、カイトは撤退してきた第二中隊隊長――エイドリアンへと話しかける。

 「戦線が崩壊寸前ってとこか?」

「……その通りだ。クソッ、こんな化け物相手にどう戦えってんだ……!」

エイドリアンの機体は激しい損傷を受けており、その苦戦ぶりが窺えた。

その背後では、モビルスーツがゆっくりと迫ってくる――。

「戦線はもう持たない……だが、ここで終わらせるわけにはいかない!」

カイトは操作レバーを握りしめ、トイボックスの武装を確認する。

「仕方ないな……ここからは俺が出る。お前たちは一旦、艦内で機体の修理と補給をしろ」

「大隊長殿は?」

「時間を稼ぎます。少しでも長く」

カイトはトイボックスを前進させ、イズモの格納庫を守るように立ちふさがる。

その向こうでは、モビルスーツが不気味に佇んでいた――。

 

トイボックスは肩部の試作GNジェットスラスタシールド型を起動しモビルスーツの群の中へと挑もうとするがある声が彼を止めさせる

「グラウネイル防衛大隊!ここを去れ!」

 グラウナイト基地の司令官だ、彼は……いや彼らは全員持ち場を離れていないが火災は直ぐ側まで迫っていた

「司令官!?」

「君達のような人材は今後の連邦に不可欠だ!そんな君達を、こんな訳のわからない連中に殺させてやるつもりはない!」

 彼は声を荒げて言う、カイトはそれに反論する

「ならば何故その場を離れないんです!?貴方だって……貴方達だって!こんなところで死ぬような人では!」

「…………この基地には爆弾が仕掛けられている」

 その通信を聞いていた全員が戦慄する

「ば、爆弾……!?」

「君達にはその犯人を探してほしい、今分かっているのはこの司令塔にいる全員は仕掛けた犯人ではない、それは分かった」

 司令塔にある席全てに人が座っていた確かに彼の言う通り司令塔に居る司令官も合わせた15人は犯人ではない 

 レイヴェリオンのコクピットにいるエイドリアンは拳をコクピットに叩きつけ、静かに泣いた

「非戦闘員は収容完了したな? さぁグラウネイル防衛大隊、旅立て!ジャブローに行くんだ!」

 彼の言葉を聞きカイトはトイボックスをイズモへ向け、飛ぶ

 足がつくと同時に彼は命令を下す

「イズモ、出撃!各員持ち場に着け!」

 それを聞いて隊員達は涙をこらえながら空いている持ち場へ着く、カイトは迫るヴェルテノアを蹴散らす

 

 

 司令塔でカイトの号令を聞いたオペレーターの一人がこぼす

「司令官」

「…………なんだ?」

 二人の会話はとても穏やかだった、死を待つ身でありながらそのようにできているのは恐らく前から死への覚悟ができていたからであろう

「今だから言いますが、お世話になりました……」

「っふ、よく言う……この基地ができてほんの数ヶ月まさか謎の敵により壊滅など上層部はどうするだろうか……」

「念の為援軍を要請しましたが……まぁすれ違いでしょう」

 

 

彼らは最後のひとときを会話で終わらせる、火の手はもう扉の前だった

 イズモは高度を上げていく、その間に基地に仕掛けられた爆弾の一つが爆発する

「っく!」

 

 司令官は燃え盛る炎の中、叫ぶ

「いけ!グラウネイル防衛大隊!君達の武運長久を願ってる!」

 そこまで言った後、彼の体は炎の中へ消えていく

 イズモが空へ飛び立った後グラウナイト基地は爆発の中へと消えていく

 

 グラウナイト基地からだいぶ離れた後カイトは告げる

「グラウナイト基地は失われました。しかし、その名に刻まれた意志と誇りは、僕達が引き継ぐ。この部隊の新たな名は、グラウネイル大隊。」

 

 

 

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