機動戦士ガンダム 最前線の地平   作:風間しんや

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第十一話

 

グラウナイト基地を失いひとまずの目的地としてジャブローを目指す強襲輸送艦イズモ

彼らは現在アジア大陸を離脱し太平洋を航行していた

「……」

「……」

艦内には沈黙が漂っていた

グラウナイト基地を離脱してから数日経っているがまだ気持ちの落ち込んでいるものもおり雰囲気は明るくとは言えなかった

 

 

しかし落ち込んでられないのもまた事実であった

「物資はジャブローまで保ちそうなのか?」

カイトは物資の確認をしていた隊員に尋ねる

「急いで積み込んだので……保って五日です」

頭を掻きながら隊員は言う

「……どうしたものか……」

と考えていると

「どうかしたんですか?隊長」

そう声をかけたのはラウルだった

カイトはラウルの方を見て相談する

というのも

現在彼らは太平洋を航行している、それは知っての通りだが

その太平洋のどこで補給を受けるかだ

ノア計画機関という組織を知った以上、迂闊にどこかに立ち寄れば、奇襲を受ける可能性がある

 

カイトたちは場所を変え、ブリッジにやってくる

「現在の位置を出してくれ」

そういうと足元のスクリーンに地図が映る

「現在の位置は北緯10°、東経145°、レーダーに反応はありません」

とオペレーターは告げる

「この近海だと……」

と地図を見ていると近くの島がいくつかピン留めされる

その中の一つにカイトは目がいく

「オーブも……一つの手か……」

オーブ連合首長国――第一次連邦・プラント大戦時に中立国家として連邦にもプラントにも属さず連邦軍の侵略を受けてもなおその意思は固く、その当時の代表――ウズミ・ナラ・アスハはその一生を燃える国防本部の中で潰えた

現在では正式ではないものの、後を継ぐようにその娘、カガリ・ユラ・アスハが務めている

「……現状はオーブの方が安全かと、関係修復もしたようですし、補給という名目であればオーブも受け入れてくれると思います」

 そうラウルが言うと

「……では、進路をオー……」

イズモの艦内に警報が鳴り響く

「レーダーに反応!本艦の右舷後方にモビルスーツらしき熱源探知っ!」

その報告を聞き、カイトは叫ぶ

「出撃可能なモビルスーツは?」

「トイボックスとレイヴェリオンだけならなんとか!」

とガイルは応える

 それを聞くとカイトは急いでブリッジを後にする

 

「……全く、少しは休ませてほしいものだねっ!」

エイドリアンはパイロットスーツに着替え更衣室を出ていく

 

 

「リニアカタパルトオンライン、システムオールグリーン、レイヴェリオン、トイボックス発進、どうぞっ!」

 

「レイヴェリオン、エイドリアン・カーヴィン、出るよっ!」

 そういって紅のモビルスーツは海中へ潜っていく

「……海中戦はあまり経験がありませんが……っ!」

「トイボックス、カイト・アステリア、行きますっ!」

 

 

2体のモビルスーツはただ海中の流れに合わせて動く

「……ところで少佐」

「ん?」

カイトは頭を掻きながら尋ねる

「水中戦の経験は?俺は士官学校を卒業する前に乗ったことはあるが、水中戦だけは経験が無くてな」

というと

「……え?隊長もなんですか?」

「……え?」

 このとき二人はある事実に気づいたのだ

 水中戦に全くの経験のない二人が何も考えず飛び出して行ったということだ

「……何やってんのあの二人は……」

とその通信を聞いていたサリアは「はぁ」とため息をつくのだった

 

 

「敵機種は判明しているんですか?」

とカイトは通信を繋ぐ

「……それが妙なんです」

「妙?」

「熱源はあるんですが識別できません。データベースにも該当なしです」

「……まさか」

とエイドリアンがある思考に行き着く、カイトも同じ考えがよぎる

現在自分達を狙う組織など一つしかいない

「ノア計画機関の追手…か」

カイトはそう呟く

「どうやらそのようですが……」

彼らの周りを高速で移動する敵

それに2人は気付いているが

「速すぎて、これではやられてしまう!」

エイドリアンはそう言うものの、水中での戦闘に特化してないレイヴェリオンやトイボックス、そして何よりその水中戦に不慣れな彼らではどうしようもできない

「……っくそ!」

「早いっ!」

その動きに翻弄される二人

 

少しの間敵の動きを感じなくなり二人は警戒を強める

「…………」

 

 

薄暗い海水の中で二人は目を凝らす

互いに背を合わせ、警戒する方向を減らす

 

するとその時、カイトの頭に電流が流れるような感覚が巡り、カイトは反射的に装備していたバズーカを放つ

 

数秒後、海中に爆炎が広がった。

「何だ!?」

「敵じゃない……岩礁か何かに当たったのか?」

と打ったカイト自身も不思議な様子だった

 その余韻に浸る間もなく、警告音がコクピットに流れる

 2機は構え、いつでも戦えるようにするが

その接近してきた敵はしばらくの間、カイトを見た後つぶやく

 

『……生きて、いたのか……』 

 

その声にカイトは少し体が反応する、しかしその声の正体が誰なのかは思い出せなかった

 

「おい、お前。どこの所属だ!」

エイドリアンはそう叫ぶも

その敵はそれ以降は何も言わずにその場を去っていった

「待てっ!おいっ!」

 と行きそうになるエイドリアンをカイトは静止させる

「深追いは禁物です、こちらも戻りましょう」

 

その時のカイトは相手が何者で、つぶやいた言葉の意味を知らなかったが、胸の何処かに違和感があったことは感じていた

 

 

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