機動戦士ガンダム 最前線の地平   作:風間しんや

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第十三話

機動戦士ガンダム最前線の地平第13話

カガリはカイトに問いかけた。

「それで、君たちは何をしにオーブへ?」

カイトは静かに答える。

「先の戦闘で、我が隊は現在とても満足に戦える状況ではありません。せめてどこかで補給と船体の修理を行う必要があり、ここオーブへやってきました。」

カガリはそれを聞き、彼らの状況を少し理解したが、まだ疑問が残る。

「君たちは何にやられたんだ?」

カイトは無言で資料の入ったファイルをカガリに差し出した。そこには、彼が戦った敵——ノア計画機関についての詳細なデータが記されていた。

 

カガリは資料に目を通し、眉をひそめる。

 

「ノア計画機関……? 聞いたことのない名前だな。しかし、これは……ゲリラなのか?」

カイトは真剣な表情で頷く。

「はい。ただ現段階で」

カガリは驚きながらも、慎重に考えを巡らせた。

「一体どんな組織……と聞いてもさっぱりなのだろ?」

 

「ええ……、僕たちの推測では、恐らくアナハイム・エレクトロニクスか、それに類する企業が関与している可能性が高いです。資金や技術力を考えれば、最も有力な候補でしょう。しかし、背後にいる勢力の正体は未だに掴めていません。」

カガリはしばらく黙考し、カイトに向き直る。

「これは非常に重大な問題だ。もしそんな組織がいるというのならオーブも、少し警戒しなければならない」

カガリは資料を閉じると、大きく息を吐いた。

 

「グラウナイト基地を壊滅させた戦力か……。」

 

その言葉に室内の空気が少し重くなる。

 

「もしそのノア計画機関という組織が本当に存在するなら、オーブにとっても無関係では済まないだろう。」

 

カガリは真っ直ぐカイトを見る。

 

「君たちは実際に奴らと戦った。そして生き残った。」

 

「……はい。」

 

「ならば、その情報には価値がある。オーブとしても見過ごすわけにはいかないな。」

 

そう言ってカガリは腕を組む。

 

「協力しよう。補給、修理、そして必要なら技術協力もだ。」

そうカガリが言うと、カイトは笑みを浮かべる、それも不敵なほうである

「そのために、オーブの技術者たちの協力をお願いしたいのです。」

 

 その後様々なことを取り決め、カイトとカガリの交渉は双方にとって有益な形で成立し、オーブの協力のもと、ノア計画機関に対抗するためのモビルスーツ研究が始まるのだった

 

 

翌朝 - オーブ首都郊外

 

ジープに乗ったカイト、エリシア、ガイルの三人は、とある施設へ向かっていた。

しばらく走ると、大きな建物が視界に入る。カイトは二人を連れ、建物の奥へと進んでいった。

エリシアは歩きながら不安げに尋ねる。

「カイト、本当にここでいいの?」

「ええ、ちゃんと許可は取っています。」

 

カイトはそう言いながら扉を開く。そこには、多くの研究者たちが作業をしていた。

 

その中の一人の女性が振り向き、カイトに声をかける。

「……あら、早いわね。」

「時間通りだと思いますが……エリカ・シモンズ主任。」

「まぁいいわ。それで? 私たちは何を作ればいいの?」

「それと、その呼び方はやめてちょうだい。もっとラフに呼んでくれる?」

「では……エリカさん、と呼ばせていただきます。」

カイトはそう言いながら、後ろの二人を紹介する。

「我が隊の技術主任エリシア・セラフィードと、モビルスーツ整備長ガイル・ヴァーネットです。二人とも、この方はモルゲンレーテ社の技術主任、エリカ・シモンズさんです。」

エリシアとガイルは、その名を聞いた瞬間、固まった。

「モルゲンレーテ……技術主任……エリカ・シモンズ……?」

その様子を見て、エリカはクスッと笑う。

「あなたの仲間、面白いわね。」

場を仕切り直し、エリカが話を切り出す。

「そちらで設計図を用意してきたと聞いたけど、早速見せてもらえる?」

カイトはバッグから設計図を取り出し、エリカに手渡した。

「どれどれ……」

エリカは設計図をじっくりと眺め、しばらく沈黙する

「……なるほど……へぇ、そこをそうするのね……」

しばらくして、彼女は設計図を机に置き、カイトを見つめた。

「……なるほど。」

 

エリカは設計図を机へ置いた。

 

「発想は悪くないわね。」

 

「本当ですか?」

 

「ええ。既存のM1アストレイのフレームを活かしながら性能向上を狙っている。これなら新規開発よりもずっと早い。」

 

エリカは設計図の一部を指差した。

 

「特にこのサブアーム機構は面白いわ。整備性もそこまで悪くなさそう。」

 

カイトは小さく安堵の息を吐く。

 

「では……」

 

「やりましょう。」

 

エリカは笑みを浮かべた。

 

「フレームの流用ができるなら期間も短縮できる。この施設なら十分形にできるわ。」

カイトはその言葉に安堵し、笑みをこぼした。

「しかし……モビルスーツパイロットが描いた設計図には見えないわね。」

「そうですか?」

すると、エリシアが口を挟む。

「カイトは士官学校時代、モビルスーツパイロットが受けないような講義のノートを私に聞きに来ることがよくありました。」

「へぇ……ほぼ独学で、よくここまで……」

エリカは感心しながらも、何かを考えているようだった。

 

 

こうして、グラウネイル大隊とモルゲンレーテ社による合同開発計画——

日を追うごとに開発が進み、カイトたちとモルゲンレーテ社は、新たなモビルスーツを完成させる

 

そして、その新型モビルスーツが完成間近となる頃、イズモの船体修理も終わりに近づいていた——。

 

 そんなある日

 モルゲンレーテ社地下試験場

 そこに1機のM1アストレイが佇んでいた

「それでは試験を始めます」

 カイトの声がスピーカーから聞こえる

 パイロットはコンソールを操作しアストレイを起こす

そのアストレイの背には2本の小型の腕が生えており腰部の背中側の装甲は延長され内蔵式のバッテリーで稼働時間の延長が施されていた

 

 

のちにそのサブアームは十分な性能を発揮し、グラウネイル大隊の協力もありオーブ連合首長国時期主力機「M2アストレア」が今から数年後に産声を上げることとなるがこれはまた後の話

 

 こうして、グラウネイル連隊とモルゲンレーテ社による合同開発計画――は無事成功に終わった

 

数週間後

 作業現場を見つめるカガリに、カイトが声をかけた。

「しかしよろしいのですか? 今回の開発費を全額負担するなんて。」

「まぁな。君たちがヴェルテノアの情報をいち早く持ち込んでくれたおかげで、オーブも対策を練ることができる。だから、今回は恩返しってやつさ。」

「カガリ様……」

「その呼び方よしてくれ……オーブ軍なら慣れたが、君が言うとなんか変だ……」

「そうですか。」

二人は軽く笑い、静かに搬入作業を見守っていた――。

 

 翌朝

 

イズモが停泊する格納庫には、オーブ軍兵士とカガリ、そしてグラウネイル防衛大隊の隊員たちが整列していた。カイトは一歩前に出て、カガリへと向き直る。

 

「短い間でしたが、お世話になりました。」

 

そう言いながら、カイトは右手を差し出した。

 

カガリも微笑みながら、その手をしっかりと握る。

 

「こちらこそ、君たちには世話になった。次にオーブへ来る時は、今回より丁寧に歓迎しよう。」

 

「ええ、よろしくお願いします。」

 

互いに握手を交わしながら、カイトとカガリの間に信頼の絆が生まれていた。

 

それから少しして、グラウネイル防衛大隊の隊員たちは次々とイズモへと乗り込んでいく。

 

――イズモ艦橋

 

「カイト、準備が整いました。」

 

エリシアが報告を入れる。カイトは艦橋の窓越しにカガリの姿を一瞥し、静かに頷いた。

 

「では、出航する。」

 

艦内に警告音が響き渡り、整備クルーたちが最後の点検を終えて格納庫を後にする。

 

その直後、新たにオーブの整備士たちによって増設されたスクリューが始動。イズモはゆっくりと海面に浮かび、滑るように航行を開始した。

 

海上を進む巨大な艦体を、オーブの軍艦が警戒のため並走する。イージス艦や駆逐艦が数隻、イズモの両側に位置取り、領海の境界まで護衛を務めることになっていた。

 

カガリは港の岸壁からその様子をじっと見守る。

カガリは岸壁から遠ざかるイズモを見つめる。

 

海風が金色の髪を揺らした。

 

「必ず生き延びろよ……カイト。」

 

やがてイズモの艦影は水平線の彼方へ消えていく。

 

カガリはそれを見届けると静かに踵を返した。

 

彼らとの再会を信じながら――。

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