機動戦士ガンダム 最前線の地平   作:風間しんや

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第三話

 

 翌朝朝礼は普通に行われる、朝礼の後エリシアが走ってくる

「カイト!頼まれてた新型機の試作型できたわよ!」

「ほう、早いね」

「まぁあくまで試作型よパイロットを誰か一人連れてきて」

「それなら私が引き受けよう」

 カイトの後ろに立っていたラウルが話に割って入る

「ラウル少佐?いいですね、良いデータが取れるのを期待しています」

 彼女がルンルンで去っていったのを確認しラウルは口を開く

「まさか皮肉か?」

「いや、多分本当に良いデータが取れるのを期待しているんだと思うよ、それはそうとこっちもしなくちゃいけないことがあるから」

 彼もまた足早に去っていく

 

 数時間後

 グラウナイト基地敷地内

「よ〜〜し!ラウル少佐!起こしてくれ!」

 ラウルはコクピット内で機器を起動させる

「機体出力安定、姿勢制御正常……立ち上がれ!」

 サブアームと呼ばれるモビルスーツの腕部を一回り小型化したものを搭載したストライクはゆっくりと立ち上がる

姿勢が真っすぐになったのを見て技術者達とそれを見ていたカイトとエリシアは全員

「おぉ〜」

 と言葉を漏らす

「機体を動かしてみる!全員離れて!」

 ラウルの指示で観察ポイントをさらに後退するカイトたち

 それを確認しラウルは操縦桿を握る

「ゆっくりと……だ」

 自分に言い聞かせ操縦桿を動かす、直後サブアーム搭載のストライクは初めて第一歩を成し遂げる

「よし、もう少し動かしてみてくれ!」

 ラウルは顔を引きつらせさっきよりも集中力を高め操縦桿を動かす

 2歩、3歩、4歩、5歩と順調だったが悲劇は突如訪れる

15歩目を踏み出した瞬間、コクピット内のモニターが一斉にブラックアウトした。

「なっ!?」

警告音も鳴らない。

操縦桿は反応せず、ラウルは必死に再起動を試みる。

しかしストライクは片足を上げたまま硬直し、その巨体がゆっくりと傾き始めた。

 

 外からも異変に気付く、片足を上げたまま硬直するストライク、次第に傾き始め倒れる、風圧が彼らを襲う、

「危ない!」

 砂塵などで視界が悪い中エリシアは誰かに押され地面に倒れる

 砂塵などが収まったあとエリシアは目を開けるするとカイトが自分の上に覆いかぶさっていた

「大丈夫か?」

「え、えぇ」

「装甲の少し大きい破片が飛んできていたんだ交わしてなかったら顔に怪我してたぞ?」

「あ、ありがと……」

 とエリシアは照れているとカイトは顔だけをストライクの方へ向ける

「エイドリアン中佐!ラウル少佐は!?」

「そうだ!工具の用意を!それと医療班も!」

 彼らは慌ただしく走り回る

 ストライクのコクピットに回り込んだカイトはコクピットのロック解除ボタンを押す、空気の抜ける音とともにコクピットハッチが強制的に開く、

「ラウル少佐!返事をしろ!」

「う、カイト中佐……自分は……平気で」

「頭を打ったか?医療班!ラウル少佐を医務室へ!」

 ラウルはコクピットから運び出され医務室へ向かう、

 

 その後すぐに会議が行われる、外では倒れたストライクの回収と飛び散った装甲などのパーツ回収が進んでいた

「まさかあぁもすぐバッテリー切れを起こすとは……」

「試作型配備を焦ったこちらの不手際だ、すぐにでも案を修正し、」

「いや、そういう話ではない!試作型の制作を焦らせた俺の責任だ!より安全性も配慮した上で試作型を作るべきでした!」

「中佐……」

話し合いの結果、今後テストパイロットの安全性が保証されない限り、テストパイロットの搭乗は許可されない運びとなった。

これにより数日間、強化型ストライクの運用試験は中止される……はずだった。

数日後のある夜――グラウナイト基地指揮所。

「司令! 北西よりアンノウン接近!」

「アンノウンだと? ジオン残党かザフトじゃないのか?」

「機体情報を照合していますが……駄目です。該当する機体がありません!」

「……ともかく、グラウネイル防衛大隊出撃だ!」

数分後、司令所へカイトが駆け込んでくる。

「アンノウンは?」

「現在距離二万にて確認。数は十五です」

「テロ組織にしては多いな……」

「かと言ってジオン残党やザフトでもありません」

カイトは数秒考えた後、即座に指示を飛ばした。

「第3中隊を出す! さらに第1中隊から1個小隊を派遣!」

「第3中隊を!? しかし彼らは予備兵では――」

「いいや、彼らももう予備兵ではない!」

そう言うとカイトは続けて叫ぶ。

「ストライクを出す!」

司令は思わず立ち上がった。

「ストライクだと!? あれはまだ実戦投入できる状態ではない!」

「分かっています!」

カイトは司令を真っ直ぐ見据える。

「ですが現有戦力だけでは迎撃戦力が足りません! 荒削りですが、最低限の改修は終わっています!」

司令は苦々しく拳を握った。

「……責任は取れるのか?」

「私が取ります」

短い沈黙の後、司令は頷いた。

「出撃を許可する」

 

 

 格納庫

第3中隊長サリア・ベルトラン。

予備部隊所属ではあるものの、ラウルやエイドリアンと共に一年戦争を戦い抜いた人物である。

「各機、この新型は『じゃじゃ馬』なのは知っているわね!」

「試運転なんてものはしていないから不安だろうけど技術者達がギリギリまで磨いた機体よ!彼らの思いを無駄にしないよう全力を尽くしましょう!」

「「「「「「「「「はっ!」」」」」」」」」

 約十機のモビルスーツが目を覚ます

「第3中隊、出撃!」

そのストライクの背中からは電源ケーブルが伸びており、おそらくバッテリー問題だけは解決できなかったのが分かる

 第3中隊はゆっくりと前進する、ある地点にまで来ると脚を止める前方には敵の大群が迫っていた

『全機!砲撃陣形!』

 その機体はサブアームを背負い多少装甲が盛られていた、それらはシールドとビームライフルを構え背中のサブアームも起動する

 レーダーには射程範囲が映され敵の反応はどんどんその輪へ迫る

 最初の数機が輪へ入る

「っ!…」

「まだよ!もう少し引き付ける!」

とサリアは攻撃のタイミングをギリギリまで伸ばす

 レーダーには気付けば約十機ほど集まっていた

「今よ!砲撃開始!」

 一斉にストライクからビームの雨が降り注ぐ、敵はそのビームの雨を受け次々と撃破されていく

「砲撃継続!敵は残り僅かよ!」

レーダーから徐々に敵の反応は消えていき最後の一基の反応が消える

「砲撃やめ!」

 第3中隊長の指示で砲撃は止む、そこには敵の残骸が残っていた

「ありゃ、こりゃ撃ちすぎたわね」

足元に転がるモビルスーツの破片を見て第3中隊長は反省する

「ま、仕方ないわね、全機帰投するわよ」

 

 基地に帰投した第3中隊を待っていたのは彼らの初陣を祝う声だった

「第3中隊!よくやってくれた!」

 そんな声が多く、彼女らは次第に照れ始める

「サリア少佐!」

 彼女――サリア・ベルトランを呼ぶ声がする、彼女が後ろを見ると彼女の上官カイトが走ってきていた

「サリア少佐、見事な戦果だ、そして、試験運用無しで戦わせてしまったこと申し訳ないです」

「いいえ、問題ないわ。逆に予備隊なんて言われてた私達に新型を預けてくださったこと感謝します」

「まだ彼らに預けられる自信がなく殆ど新米ばかりの貴方方ならうまく使えるだろうと半信半疑でしたが全員無事で帰還してくれたことのほうが嬉しいです、第3中隊は休息を、もしかしたらまた実戦に駆り出されるかもしれないので」

「了解、第3中隊休息に入ります!」

 ストライクを駐機させ格納庫を後にするサリア、生活搭へ繋がる通路に入るとある人物がいることに気付く

「あら、ラウル。怪我はいいの?」

 ある人物、ラウルは頭に包帯を巻き付け、とても大丈夫とは言い難い姿で彼は立っていた

「新型での初陣良かったな」

「なに?皮肉かしら?」

「……っふ、まぁ怪我したのが俺で良かった」

「っえ?」

「予備兵のお前が怪我したら俺なんかが怪我した時誰が代わりを務めると思ってるんだ?」

「……そうね」

「すまなかった、止めてしまって、今はゆっくり休め」

「そうするわ」

そう言ってサリアは自室へと向かうのであった

 

司令部

残骸を回収し終え、それの解析をしていた司令

その解析をするために呼ばれたガイルは顎鬚をさすりながら言う

「……コイツァ、俺でも見たことねえ作りをしてやがる。」

それに顔を顰める司令官

「というと?」

「いっちまえば、ジオンの高機動型ザクの高機動性、ザフト系の推力設計、そしてうちの整備性、こいつら全部を一つにまとめたモビルスーツってところだな」

そうガイルは言う

「三つの陣営の技術を集約だと?」

そう言う中でタバコに一本火をつけるガイル

彼のタバコの匂いが空間に広がる

「ここでは吸わないでくれ……しかし、そうなるとアナハイムか?」

と司令は考える

ガイルはタバコの火を消しながら言う

「確かにあそこはジオンもザフトも連邦も全部の技術があつまってる、なんならあそこは金さえ出しゃ、軍でもなけりゃゲリラにも作っちまうところだ……」

「……ありがとう」

と司令官は言うとガイルは静かに歩いてその場を離れていった

 

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