機動戦士ガンダム 最前線の地平   作:風間しんや

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第7話

 

翌日

鳩が飛ぶ中とても鳥とは言えない金属の塊が浮かんできて鳩に手を振る、それに驚いた鳩は飛び去っていく

「あら、逃げちゃった…」

「サリア機、聞こえますか?これよりテストを始めます、空戦用槍装銃の用意を」

「了解、さあ行くわよ!シルフィアーネ!」

メタリックの薄緑の塗装が塗られた装甲に太陽光が反射するその躯体の形状は人魚のようなものでその人魚の下半身を模した装甲から生えた尾翼は風を掴みシルフィアーネの姿勢を安定させる

「調子いいわね、ツェンドルグ同様とても素直な子だわ」

 (とても扱いやすい)

 とカイトはメモ帳に書く

「軽い模擬戦を用意しました、コアブースター3機が相手です」

『了解!』

 するとレーダーに3機の反応が映る

コアブースター()確認!」

『敵3機撃破をしてください、わかっているでしょうがコアブースターに近づきすぎないよう気を付けてください、いくら模擬戦でも死亡者を出しては意味がないので』

 この模擬戦は実際にシルフィアーネに乗って動かしているため実弾を間違って撃ってしまえば機体は傷つき下手をすれば人が死んでしまう、それは試作機の試運転などでは有り得るが今回は空で今だかつてない空での戦いに特化したモビルスーツで、まだわからない部分が多いそのためこの模擬戦は慎重に行わなければならないのだ

「わかってます、てか、ペイント弾もいけないんですか?」

 今このシルフィアーネの武装には弾薬は入っていなければペイント弾も入っていない

「ペイント弾ではコアブースターの視界を奪ってしまうためです、そのかわり撃たれれば撃破された通知が来るようになってるので何ら心配はないです」

「…………そういうわけじゃないんだけどなぁ」

「では、模擬戦を始めます!」

するとコアブースター隊はすぐさま機銃を撃つ

「うわぁ!?」

『敵を包囲しろ!』

『『了解!』』

 コアブースター隊は統率の取れた動きでシルフィアーネとの距離を詰める

「やられるわけにはいかないのよ!」

 ツェンドルグと同じコクピットシートのため後部にあるペダルを思いっきり踏み込む

『っな!?あんな加速ができるのか!?』

『追え!やつを逃がすな!』

 コアブースターが反転しシルフィアーネの後をつける

「随分血の気の多い部隊ね、その分磨きがかかってるけど!」

 シルフィアーネは減速しコアブースターは突然のことに対応しきれず3機とも前へ出る

「捉えた!」

 サリアはトリガーを引く

 

 

 模擬戦が終わった直後シルフィアーネよりひと足早く着陸したコアブースター隊は指揮官にこっぴどく怒られていた

 遅れて着陸したシルフィアーネの後ろが開きパイロットスーツのサリアがヘルメットを脱ぎ髪を払う

「ふぅ~、ヒヤヒヤしたわ」

「お疲れ様です、少し休憩してください」

「そうさせてもらうわ、ラウル行きましょ」

 カイトの背後にいたラウルへ声を掛けシルフィアーネから降りるサリア

 二人が去ったのを確認しカイトはシルフィアーネを見上げる

「お疲れ様です、シルフィアーネ」

 彼はそうポツリと呟く

 

 ラウルは持ってきた飲み物をサリアへ渡す

「!、ありがと」

「どうだ?新型は?」

「どうって言われてもあんまり変わんないわね、ツェンドルグと」

「…………」

「……あれ?もしかしていちごミルク?」

「あぁ、士官学校時代好きだったろ?」

「そう!…………覚えていてくれたんだ?」

「……あぁ」

 その会話を見ていたエイドリアンは

「全く、堅物のあいつにサリアの思いは届くのかね?」

 彼はそうつぶやきその場を去る

  それから数日後

 制式量産機としてまたミデアで輸送されてきた【ツェンドルグ】と【シルフィアーネ】

 

「では、皆さんにご紹介します、今回シルフィアーネを操縦するために訓練してきた第四中隊です」

「グラウネイル防衛大隊第四中隊隊長リリス・ハインラインです!よろしくお願いします!」

 第四中隊は拍手や歓声によってグラウネイル防衛大隊から祝福を受ける

「ハインライン?ハインラインって確かザフトの…」

「あ、そのハインラインではないです」

「あ、そうなの」

 と様々なことを話し合い歓迎会はおわる

「しかし隊長、なぜ新米の兵士をシルフィアーネに?」

「シルフィアーネは今での機体とは違いますから、まだ何も知らない新米のパイロットの方が覚えも早く馴染むのが早いと思ったからです」

「なるほど」

「とはいえ、彼らは本作戦のみです」

「!?」

「今回はツェンドルグとシルフィアーネを同時運用するため戦力は多いほうがいいんですよ」

「…………」

「大丈夫ですよ、死なせはしませんから」

「……」

 彼は静かにカイトを見送る

 

  それから数日

「ツェンドルグ1番機!手続き完了!次ー!」

「各中隊員は中隊長の指示の元、武装確認!」

 朝から騒がしい声の中作戦の準備が進む

『シルフィアーネ隊は5分後に集合!整備班は武装の最終確認を始めよ!』

 

シルフィアーネは多少浮かんでいた、そんな中多少不安定な躯体に乗り込む

「……うぅ、慣れてはいるけど……」

「シルフィアーネ隊!初陣ではありますが戦果を期待します」

「…………」

「俺も貴方方の加勢にいきます」

「……それは心強い」

 

 シルフィアーネ隊の側に鎮座する一基の人型モビルスーツ、それは背中に4本のサブアームが生えていた

「新たな機体か…」

「RX-N125 フリーダムアーク」

「……それがコイツの名前か」

「ええ、それよりも早く自機に乗ったほうがいいですよ」

「そうだな、戦果を期待する!」

 ラウルは敬礼しキャリッジの中へと消えていく

カイトもまたヘルメットを被りフリーダムアークへと乗り込む

 フリーダムアークが格納庫から歩いてでてくるとそこには複数のキャリッジを引いたツェンドルグと空に滞空するシルフィアーネがカイトからの指示を待っていた

「全機、いつでもいけますか?」

 彼がそう問いかけるとほぼ全員分の反応が返ってくる

「…………では、グラウネイル防衛大隊!出撃!」

 ツェンドルグは馬蹄を響かせ、シルフィアーネはゆっくりと飛び上がる、シルフィアーネが飛び上がったのを確認したカイトもまたフリーダムアークを起動する

「核エンジン正常に起動、…………システムオールグリーン、フリーダムアーク、カイト行きます!」

 フリーダムアークは地面を蹴り空へと飛び上がる

 静かな森、リスは木から降りてくるその直後大きな脚が通り過ぎその後を車輪が通る、驚いたリスは自身の尻尾を掴む、しかしその金属の物体は何も気にせず走りすぎていく、それは隊列を組んでいた

『各機!もう少しで敵の要塞が見える、武装と機体の確認を、この先でおろしたらあまり構ってやれないからね!』

「…………」

 ラウルはキャリッジ内でできる範囲で自身の機体を動かす

 彼の機体は白く塗装されいた

「な〜に?緊張してんの?」

 ラウルを茶化す声が聞こえモニターを見る

「なんだ?バカにしに来たのか?」

 ラウルをバカにした張本人サリアが首を振る

「違うわよ、緊張してそうだったからからかっただけ」

ラウルはため息をつく

「……そういうのは止めてくれと士官学校時代も言った気がするが……?」

「そんなの覚えてないわ」

「全く……」

「さぁ!敵地が見えてくるわ!全機構えて!」

 ラウルはもう一度集中し始める

 

 空を高速で飛ぶ物体それは人型でありながら空を飛び後続のシルフィアーネ部隊を引き離していた

「大隊長!足が速いです!」

「シルフィアーネ隊!敵要塞を確認!武装ロックの解除を!」

 彼はそんなこと知らないかのようにシルフィアーネ隊へ指示する

「ま、まじかよ……」

 シルフィアーネ隊は仕方なく武装ロックを解除する

シルフィアーネ隊の武装ロックが解除され、戦闘態勢に入った頃、遠方に黒煙を吐く敵要塞の影が現れる。その姿をモニターで確認したカイトは、通信で全隊に指示を送る。

 

「敵要塞確認。ツェンドルグ隊は地上からの突撃、シルフィアーネ隊は空中からの支援攻撃を行う。フリーダムアークは先行して要塞の迎撃拠点を破壊する。全機、迅速に動け!」

 

ツェンドルグ部隊は一斉に応答し、地を蹴る馬蹄音が響き渡る。整然とした動きで前進するツェンドルグたちを横目に、シルフィアーネ隊の各機が上空へと飛翔し始めた。

 

「シルフィアーネ隊、全機散開!目標をロックオン、狙いを外さないように!」

 

シルフィアーネ隊のであるリリスがそう叫ぶと、複数の機体が広がりながら隊列を整え、それぞれが武装を構えた。

 

カイトはフリーダムアークの操縦桿を握り、HUD(ヘッドアップディスプレイ)に映し出される要塞周辺の敵配置を確認する。赤く点滅する無数の敵影が、要塞を囲むように展開している。

 

「敵モビルスーツの数、想定以上……だが問題ない!」

 

フリーダムアークの推進器が青白い光を放つ。機体が風を切る音を残しながら、敵陣深くへと突進していった。

ツェンドルグ隊の地上戦が開始される。巨大な車輪を持つ機体が轟音とともに突撃し、地表を駆け抜ける。その様子を空中から見下ろしていたラウルは、通信を開き指示を飛ばす。

 

「ツェンドルグ隊、敵の迎撃が集中している箇所を突破しろ!その隙にこちらが空中から援護する!」

 

彼の言葉通り、シルフィアーネ隊の機体が一斉にビームを放ち、地上の敵陣へと攻撃を浴びせる。エネルギーの光が閃き、爆発音が響き渡る中、ツェンドルグ隊は次々と敵陣を突破していく。

 

しかし、敵の数は予想以上だった。要塞周辺から次々と現れる敵機が、シルフィアーネ隊を翻弄し始める。

 

「こっちの数が少なすぎる!支援を要請する!」

 

一部の隊員が焦りを見せ始めたが、その瞬間、フリーダムアークが上空から舞い戻り、光の刃で敵機を一掃した。

 

「慌てるな!俺が援護する!」

 

カイトの冷静な指示とフリーダムアークの圧倒的な攻撃力により、シルフィアーネ隊の隊員たちは再び士気を取り戻し、戦闘を続けた。

要塞内部へ進入するための突破口を開くべく、カイトはフリーダムアークで前線を押し上げる。周囲の敵機を圧倒しながら、要塞の外壁へと接近していく。

 

「ここを突破すれば、要塞内へ侵入できる……!」

 

フリーダムアークのサブアームが展開され、それぞれに装備されたビームサーベルが一斉に起動する。強大な力で要塞の外壁を切り裂くと、その隙間から内部への道が見えた。

 

「全機、突破口を確認!ツェンドルグ隊、ここを制圧して内部に突入する!」

 

通信で命令を下すカイトの声を受け、ツェンドルグ隊の機体が次々と突破口へ集結する。ラウルも自機をキャリッジから降ろし、隊の先陣を切って内部へ突入した。

 

「ここからは接近戦が主体になる!各機、十分注意しろ!」

 

要塞内の構造は複雑で、敵の迎撃が激しくなる。狭い通路の中、ツェンドルグ隊は次々と出現する敵機を迎え撃ち、慎重に進んでいった。

一方、シルフィアーネ隊は要塞周辺の制空権確保を続けていた。高機動のシルフィアーネ機が空中で敵機を翻弄し、次々と撃墜していく。

 

「大隊長、要塞周辺の敵機はほぼ排除しました!残存機の対応を続けます!」

 

隊員からの報告を聞いたカイトは、通信越しに返答する。

 

「よくやった。そのまま周辺の警戒を続けてくれ。俺も内部へ向かう!」

 

フリーダムアークは推進器を最大出力に切り替え、要塞内へ突入していく。狭い通路を進みながら、カイトは目の前に立ち塞がる敵機を次々と撃破していった。

 

ついに要塞の中枢へと到達したツェンドルグ隊とフリーダムアーク。しかし、そこには巨大な敵の主力機が待ち受けていた。黒光りするその機体は圧倒的な威圧感を放ち、ツェンドルグ隊の進軍を阻む。

 

「こいつが最後の障害か……!」

 

カイトはフリーダムアークの武装を構え、敵機に狙いを定める。サブアームが展開され、全ての火器が起動する。

 

「これで終わらせる……フリーダムアーク、全武装最大出力!」

 

フリーダムアークから放たれたビームとミサイルが、巨大なヴェルテノアを飲み込むように炸裂した。光と音の嵐が収まり、目の前に立ちはだかっていた障害が消え去る。

 

「やったか……!」

 

カイトのつぶやきを聞き、ツェンドルグ隊の隊員たちは歓声を上げた。しかしカイトは油断せず、通信で全機に注意を促す。

 

「警戒を怠るな。最後まで気を抜くなよ!」

 

こうして要塞の制圧作戦は成功を収めた。ツェンドルグ隊とシルフィアーネ隊の協力により、大きな損害を出すことなく敵陣を突破することができた

 

 

 

 




設定資料

GAT-X123 ストライクディーレ

連邦軍の第二次ガンダム開発計画によって生み出されたストライクの簡易量産機をカイト・アステリアの手によりバッテリー機の抱える稼働時間問題、量産機としての火力不足を改善したもの、またカイトの思いつきにより飛び道具と近接武器を切り替える手間を省くためにあくまで予備のような腕としてのサブアームを搭載、当初は3本の指にパイロットや戦局に応じた武装を装備していたが後期改修型は砲撃戦前提の改修が行われビーム砲搭載のサブアームに変更された

またそのデータは連邦軍にも流れ後に発足されるティターンズのモビルスーツにも小型化されて搭載されることになる(独自設定)

ツェンドルグ
カイトがストライクディーレの地上輸送用のモビルスーツとして開発した機体、この時代として初の四足歩行機でありその機体を動かしているのは二基のニュートロンジャマーキャンセラー搭載の核エンジンでありモビルスーツを最大3機まで搭載できるキャリッジを引いて走り回ることのできるほど出力がありこの二基の核エンジンを使うという技術は後のカイトの愛機に使われた

シルフィアーネ
カイトが開発したモビルスーツの中でツェンドルグ同様この時代としては初の自ら空を飛ぶことのできるモビルスーツとして作られている
当初は空中での機動性を高める為、軽装甲であったが後に改修し通常のモビルスーツの装甲が採用された。
またGN粒子を使った新技術も使われており躯体を浮かせるシステム「GNフロートシステム」がカイトとエリシアのGN粒子の研究によりGN粒子本来の使用用途のシステムを搭載した機体としても完成している
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