ツェンドルグは先程より速い馬蹄で森を駆ける、その先には燃える物があった、それは彼らの帰るべき場所ーーグラウナイト基地だ
「まさか強襲されるとは、シルフィアーネ隊は無理せずに、フリーダムアークは先行します」
カイトはそれだけ言い残しペダルを踏み込み加速する、シルフィアーネも急ぐべく加速する
(エリシア……)
カイトは基地に加えてその基地で待つある人物も心配していた
その頃地上ではラウルがサリアへ無茶振りを要求していた
「え?今なんて言った!?」
「だから!多少乱暴でもいいからキャリッジのブレーキを掛けずに置いていけって言ってるんだ!コイツなら多少の衝撃くらい耐えられる!」
サリアはそれを聞いてラウルに怒る
「駄目よ!機体は耐えられてもあなたはどうなの!?その機体はパワードジムじゃないのよ!」
「……だが!」
するとエリシアは彼の言葉を静止する
「安心なさい!しっかりと戦場には送るから!」
眼の前には燃える基地があった、そこにはフリーダムアークがソーデットカノンで敵を蹴散らしていた
「この感じ爆弾を使用したんでしょうが格納庫のみが破壊されてる…………司令所は……ギリギリ機能している」
カイトはキーボードを叩き司令所と通信を繋ぐ
「グラウナイト基地!応答してください!」
司令室には緊張感が漂い、通信機からは断続的に報告が入っていた。
オペレーターたちは必死に基地内外の状況を確認し、次々と指示を出している。中央のスクリーンには、燃え上がる格納庫や侵入してきた敵機の動きが映し出されていた。
「状況報告!格納庫の被害はどこまで拡大している?」
司令官が声を張り上げると、近くのオペレーターが素早く答える。
「第2セクションが完全に破壊、残存機体の搬出は不可能です!現在、第3セクションへの被害拡大を防ぐべく消火活動を行っていますが……敵機の攻撃が激しく、作業が遅れています!」
そのとき、外部からの通信が割り込んだ。
「こちらフリーダムアーク!基地の状況を教えてください!」
司令官は瞬時に応答し、通信回線を開いた。
「カイト中尉か!現状は格納庫が爆破され、戦力の多くを失った。敵は現在も侵攻を続けている。防衛は限界が近い!」
通信の向こうで司令官の声が少し低くなり、緊迫感が伝わってくる。
「了解しました。フリーダムアークで敵の主力を引きつけます。防衛部隊は基地の守りを固めてください。」
「了解した!」
カイトが戦場に目を戻すと爆発で崩壊寸前の格納庫と、慌ただしく動き回る兵士たちだった。
燃え盛る炎の中、エリシアはすでに次の手を打っていた。
「エリシア!」
カイトがスピーカー越しに彼女を呼ぶと、エリシアの冷静な声が返ってきた。
「カイト、来てくれたのね。状況は最悪よ。このままじゃグラウナイト基地は持たない……。だからイズモを発進させる準備を進めている。」
カイトは驚きつつも、すぐにその判断の意図を理解した。
「イズモを?でも、あの艦はまだ未完では?」
「ええ、完全な状態ではないわ。でも、この基地が落ちれば後退する術がなくなる。戦力を温存するためにも、今ここでイズモを出すしかない。」
エリシアの声には迷いがなかった。その判断が、彼女の中でどれだけの覚悟に裏打ちされているかをカイトは感じ取る。
その時、基地周辺にさらなる爆発音が響き渡る。敵の攻撃が勢いを増している。
エリシアは部下たちに指示を飛ばしつつ、カイトに向かって言った。
「イズモの動力系統はまだ不安定だけど、最低限の発進準備は整えたわ。あなたはフリーダムアークで敵を引きつけて。時間を稼いでちょうだい!」
カイトは頷き、すぐに操縦桿を握り直した。
「わかった。イズモを出す時間を稼ぎます。それまで絶対に諦めないでください!」
一方、基地外ではシルフィアーネ隊が敵の増援に苦戦していた。
森の中に潜む敵機は沈黙を守りながら的確に行動し、部隊の進路を阻む。シルフィアーネの副官が焦りの声を上げた。
「隊長!このままでは進軍が遅れます!」
「敵の目的は私たちを足止めすることだろうけど、そうはさせない!」
シルフィアーネは敵の動きを見極め、巧妙な機動で1機を仕留める。しかし、それでも敵は冷静に次の攻撃を仕掛けてくる。
「この連中があのノア計画機関の……面倒くさい奴らね!」
シルフィアーネは敵が意図的に接近戦を避けていることに気づく。敵の背後にはさらに別の部隊が控えている可能性が高い。
その頃、基地内ではイズモのエンジンが低く唸りを上げ始めていた。
艦長席に座るエリシアは、最終チェックを急がせながらオペレーターたちに命じる。
「動力安定化の調整を急いで!護衛機の搭載は完了した?」
「まだ一部が搬入中ですが、残りは戦闘に投入されています!」
「全力で急いで!この艦が無事に発進できれば戦局を立て直せる!」
その言葉に鼓舞された乗員たちは、懸命に作業を続ける。
外では、フリーダムアークが敵の攻撃を受け流しながら反撃を開始していた。
「イズモが発進するまで耐え切るんだ……!」
カイトは心の中で自分に言い聞かせるように呟き、操縦桿をさらに強く握った。
燃える基地と迫る敵、その中で運命を懸けた防衛戦が繰り広げられていく――。
「第一中隊展開!部隊を2つに分ける!格納庫と司令所の2箇所に展開するんだ」
「了解!」
第一中隊の力強い返事が返ってくる
その頃ツェンドルグは目の前にいる敵を二機槍で蹴散らす
「さぁ!あんた達!いってらっしゃい!」
サリアはそう言いコンソールのボタンを叩く、すると牽いていたキャリッジとの接続が切れそれと同時にキャリッジはオートでブレーキが掛かる
そこからモビルスーツが展開される
「A班は格納庫へ!B班は司令所へ!」
ラウルの号令により第一中隊は戦力を分断する
同時刻、イズモ周囲でたった1機戦うモビルスーツ――フリーダムアークがいた
多方向からくる敵、慣れない機体、この2つは彼にとってとても厳しいことだった
「っ!」
すると
『ヘルダート、撃て!』
その掛け声とともにミサイルがフリーダムアークの前に落ちる
「!?」
カイトは突然目の前に爆炎が上がったのを見て驚く、そこへエリシアから通信がくる
「カイト!一旦イズモに来て!」
カイトはすぐ機体を動かしイズモのある格納庫へと入っていく
格納庫内部
フリーダムアークをイズモの甲板に駐機させカイトは降りてくる、それをエリシアは迎える
「どうしたんだ?人手が足りないのか?」
カイトはパイロットスーツを緩める、それにエリシアは
「イズモの動力だけど、どうやらまだ未完らしいの」
「動力系が?…………どれくらい?」
「ざっと2割」
「…………2割だとこの巨体を浮かばせるには充分だろうが、…………それ以外が制約を受ける、ということか?」
「そうなの!だからフリーダムアークの炉を借りたいの、」
「フリーダムアークの!?…………確かに核エンジンを二基積んでいるから出力は申し分ないが…………」
カイトは悩んだ、確かに今、敵へ報復するならこの艦は必要である、がフリーダムアークは最近できたばかりの機体、それがすぐ戦艦の動力として機能してしまうとカイトもフリーダムアークも動けなくなってしまう、
カイトは2つの考えを巡らせある結論へ至る
「分かりました、フリーダムアークを使ってください」
「いいの?」
エリシアは少し心配そうな顔でカイトへ尋ねる
「ええ、ただしトイボックスをここへ用意してください」
そしてカイトは一度息を整え、あることを言う
「フリーダムアークの作業が終わった後、出撃します!」