魔導産業革命 ~エネルギーシフトと覇権通貨「エン」がもたらす軍事なき支配~   作:Camel おさ

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親愛なる『オーバーロード』ファンの皆さま

この節にはプレアデスの挿し絵を載せていますが、似せることができませんでした。特にエントマは、やればやるほど無惨な状態となってしまったため、最終的には諦めてしまいました。
決して意図して似せなかったわけではありません。
どうかご容赦くださいますよう、切にお願い申しあげます。



Phase8-4 抑えきれぬ衝動

バハルス帝国、帝都アーウィンタール。

 

キーロ・タヨトは、自動車工場内の執務室で、魔導ケータイをじっと見つめていた。

この「ケータイ」と呼ばれる通信機器は、すでにバハルス帝国やローブル聖王国にも普及し、魔法<メッセージ>を誰もが手軽に使えるようにした。魔導国が世界にもたらした、まさに偉大な発明の一つだ。

 

しかし、キーロの心を捉えて離さないのは、その革新的な機能そのものではなかった。彼の視線は、魔導ケータイの筐体に刻まれた三つのルーン文字――DCM――に吸い寄せられていた。

 

(ルーン文字とは、一体何なのだろうか……)

ドワーフが刻んだと聞く。だが、このケータイそのものを発明したのは、魔導国が誇る天才発明家――千エン札の肖像にもなっている――ンフィーレア・バレアレ氏だという。

キーロは、ルーン文字の組み合わせに、無限の可能性が秘められているような、抗いがたい予感を抱いていた。

 

(ンフィーレア氏と、どうしても話がしたい)

その思いは日増しに強くなり、やがてキーロの胸中で抑えきれない衝動へと変わっていった。

 

◇ ◇ ◇

 

ノヴァリア王宮。アインズの執務室。

 

「アインズ様。ジルクニフ皇帝から、親書が届いております。この頃、陛下への敬意の表れか、魔導国の偉大なる発明である魔導紙にて、書かれてくるようになりました」

アルベドはそう言って、親書の内容を報告する。

「タヨト自動車を発明したキーロ・タヨトと、ンフィーレアとの会談を希望する、とのことです」

「キーロ・タヨト……。自動車の外面図を持って謁見に来た男か」

(キーロとンフィーレアの会談……。これは何か新しい発明が生まれそうだな……)

 

「ジルクニフが何か企んでいる、とも思ったのですが……」

「そうではないと?」

「はい。キーロはルーン文字の可能性について、ンフィーレアと話したいと願っているようです。これがルーン文字を広めるきっかけとなれば、我が国の利益につながるものと愚考いたします」

 

アインズは思考を巡らせた。

日本の高度経済成長期における三種の神器。テレビは魔導国が発明した。洗濯機はバハルス帝国が発明した。残るは、あと一つ。

(もしかして、三つ揃っちゃう?)

アインズのコレクターとしての血が騒いだ。

「ふっふっふ」

アインズの不敵な笑いに、アルベドは肌が粟立つのを感じた。

「もしや、これも、アインズ様の描くロードマップの一つ、なのでしょうか」

「うむ。実は一つ、発明してもらいたいものがあってな。頃合いだろうな」

「そ、それは、何でございましょうかっ?」

「うむ。それはだな……」

 

コンっコンっ。

アインズが言いかけたとき、執務室のドアを叩くノックの音が響いた。

 

応対したメイドが告げた。

「アインズ様。プレアデスの皆さまが、アインズ様へのお目通りを願っております」

「プレアデスたちが?」

アインズは首を傾げた。

(ここへ来るとは珍しいな。何かあったのか?)

「構わん。通してやれ」

 

「失礼いたします」プレアデスたちが入室してきた。

 

「――!」

アインズは、下顎の骨が外れ、ぱかーんと口を開けた。

プレアデスたちは、全員がブラッドのウェディングドレスを着ていた。

(な、なぜウェディングドレスをっ? まさか、シャルティアに触発されたのか? いや、それにしたって、なぜ全員で……?)

 

アインズの思考が混乱する間もなく、瞬時にアルベドの殺圧のオーラが全開となる。

その般若の形相は、まるで鬼神のようだった。

「あぁなた達ぃっ! 殺されに来たのかあぁっ!」

 

「あああアルベド様! いらっしゃったのですかっ!」

「まずいっす! 逃げるっすー!」

「わ、私は反対したのです! どうか誤解なきよう!」

「なに自分だけ助かろうとしてるのっ! あなたも乗り気だったでしょ!」

「……一番乗り気だったのはソリュシャン」

「殺されちゃうー、食べられちゃうー」

 

「「「「「申しわけございませんでしたぁー」」」」」

とんでもない速度で全員が一斉に逃げていった。

 

 

【挿絵表示】

 

 

静寂が戻った室内に、「ぜぇっ、ぜぇっ」というアルベドの荒い息づかいだけが聞こえていた。

「あー、えー、なんだ……会談の件だったな」

アインズはアルベドを見たが、まだ顔の筋肉が引き攣ったままだ。

仕方なくアインズは、アルベドの返事を待たずに続けた。

「場を設けてやるが良い。いっそテレビ中継でもしてやれ」

 

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