大洗女子学園 vs 黒森峰女学園 交流戦
時刻 09:18
霧が徐々に晴れ始める中、黒森峰の本隊が中央谷道へ集結していた。
先頭には隊長・逸見エリカのティーガーII。
その後方にパンター隊、ティーガーI隊が続く。
「中央突破を開始する!」
エリカの命令が飛ぶ。
「左右の小競り合いは無視!最短距離でフラッグ車を叩く!」
黒森峰らしい力押しの戦術。
しかし単なる突撃ではない。
山岳戦では重戦車は不利。
だからこそエリカは谷筋を選んだ。
両側を尾根に守られた一本道なら側面攻撃を受けにくい。
一方、大洗。
隊長の西住みほは地図を見ていた。
「来る……中央だ。」
秋山優花里が頷く。
「黒森峰主力、推定10両以上。ティーガーII確認!」
「やっぱり。」
みほは即座に命令する。
「キツネさんチーム、北側斜面へ。」
「了解!」
「ムササビさんチームは尾根裏へ潜伏。」
「了解!」
「タカさんチームは狙撃位置につけます!」
その頃。
黒森峰先頭隊。
「前方異常なし!」
「進撃継続!」
ティーガーIIが轟音を響かせる。
谷道の中央を堂々と進む。
その姿はまるで鋼鉄の城塞だった。
しかし。
谷の上。
木々に隠れたキツネさんチームのチヌが砲口を向ける。
車長が息を飲む。
「距離600……」
「撃たないんですか?」
「まだ。」
さらに別の尾根。
タカさんチームのクロムウェル巡航戦車。
QF 6ポンド砲が静かに狙いを定める。
「ティーガーII側面まで待て。」
そして。
みほが無線で全車へ伝える。
「今は撃たない。」
「敵をもっと引き込む。」
黒森峰主力は知らない。
すでに谷道の両側に大洗の車両が展開していることを。
09:24
エリカは前方を睨む。
「静かすぎるわね。」
副官が答える。
「大洗は後退しているのでは?」
「いいえ。」
エリカは即座に否定した。
「みほがそんな戦い方をするわけない。」
その瞬間。
尾根上から報告。
「隊長!」
「何?」
「北側斜面に車影!」
エリカが顔を上げた時。
みほの号令が響いた。
「全車、一斉射撃!!」
ドォォォォン!!
ドォォォォン!!
ドォォォォン!!
谷全体が砲声で揺れる。
キツネさんチーム。 タカさんチーム。 カバさんチーム。 あんこうチーム。
四方向から砲撃が降り注ぐ。
最初の命中弾。
パンターGの砲塔側面。
白旗!
「パンター撃破!」
続いて。
III号突撃砲の砲弾が別のパンターへ命中。
白旗!
「伏兵!?」
黒森峰隊列が乱れる。
だがエリカは叫ぶ。
「慌てるな!」
「ティーガー隊、前進!」
「突破する!」
ティーガーIIが砲塔を旋回。
轟音。
88mm砲が火を吹く。
ドォォォォン!!
尾根上のキツネさんチームの近くで土砂が爆発する。
「ひゃあああ!」
「さすがエリカさん……!」
みほは思わず呟く。
待ち伏せは成功した。
しかし黒森峰主力はまだ止まらない。
むしろ突破速度を上げていた。